【経済の話】<みずほ銀>追加処分 金融庁「無責任体質」改善迫る

<みずほ銀>追加処分 金融庁「無責任体質」改善迫る

毎日新聞 12月26日(木)22時15分配信

 金融庁が26日、暴力団員らへの融資を放置したみずほ銀行に対し、異例の追加処分に踏み切ったのは、縦割りで無責任体質が染みこんだ企業風土の改善が必要と判断したためだ。一連の問題に早期の幕引きを図りたいみずほは、追加の社内処分に踏み切ったが信頼回復には課題も多い。また、みずほの当初の誤った報告を見抜けなかった金融庁も批判を浴びた。年末ギリギリの処分に踏み切ったのは、問題を越年させず、信頼回復を急ぐためでもあった。

 「現場任せ」「縦割り意識」「主体的に取り組まない」−−。金融庁は同日、みずほが抱える問題点を列挙し、組織見直しや経営トップの意識改革が不可欠と強調した。9月の業務改善命令に続き、同じ問題で2度目の行政処分を下すのは異例だ。最初の処分は「問題融資の情報は担当役員止まり」という同行の説明に基づいて行ったが、歴代3頭取に報告があったことがその後判明。今回は経営トップらがなぜ自浄能力を発揮できなかったかが焦点だった。

 11月5日から追加検査を実施した金融庁は「経営陣が現場(法令順守部門)任せにして問題を放置した」と批判。提携ローン業務を取り仕切る「個人グループ」や、オリコの経営管理を担う旧みずほコーポレート銀行の担当役員も「主体的に取り組まなかった」と断定した。

 みずほは2002年と11年に大規模なシステム障害を起こしたが、今回は暴力団員らへの融資という新たな不祥事が発覚。金融庁は「システム障害時の『縦割り意識の払拭(ふっしょく)』という教訓を生かせなかった」と指摘した。

 また、みずほの事実と異なる報告を信じた金融庁に対しても、国会審議などで「検査が甘く、事実と異なる説明を見抜けなかった」との批判が噴出。金融庁は、みずほに対して「想定を超える厳しい処分」(みずほ銀幹部)に踏み切らざるを得ない状況に追い込まれていたのも事実。それだけ、前回の業務改善命令をめぐる金融庁とみずほの認識が甘かったともいえる。

 同庁は26日、金融検査の改善策も発表した。暴力団員らへの対応に詳しい専門チームの創設▽重大な問題は、検査期間を延長するなどより深い検証をする−−など、今回の批判を受けた内容だ。今回の暴力団員らへの融資に関する問題は、金融庁がみずほに昨年12月から今年3月まで行った検査の終盤で判明。当時、検査を延長し精査しなかったことが、問題を見抜けなかった一因という反省もあった。

 金融庁は、年内の処分にこだわった。結果を出せないまま越年すれば、年明けの通常国会で野党から再び厳しい批判にさらされる可能性もある。信頼回復を急いだのはみずほだけでなく、金融庁も同じだったといえる。【谷川貴史、竹地広憲】


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