恋の病

「恋する力」を哲学する PHP新書

「恋する力」を哲学する PHP新書


恋愛というものがわからなくなって、そのものを語った本を読んでみました。


読み終わって一言「ただの作者の奥様ラブなのろけじゃねーか!」と、がっくり苦笑を漏らしてしまいそうになりましたが。


内容は至ってまじめに、歴史的文学作品を参考に紀元前から相も変わらず右往左往する恋愛模様を分解しています。
まずは、ギリシアのプラトン哲学から理想の人はどのようにして選ばれるのか、自分の中の「アニマ」について語られます。恋愛によって、だめ人間から歴史的偉人へと変貌を遂げたルソーのエピソードなど。
次に、理想像とはどのようにして生まれるか?を村上春樹の「海辺のカフカ〈上〉」から。母親の「アニマ」から恋人に転換するにはどうすれば?ということを書いているのですが、なんか男性のマザコンは仕方がないんだよーといういいわけがましい叙述があちこちに…。(この辺は読んでるのがの気分良くなかったです。
エロスとしての恋愛についてはバタイユの作品やマルグリット・デュラスの「愛人(ラマン) (河出文庫)」から。
その後も、ニーチェのダメダメ恋愛エピソードやキュルケゴールなんかを引き合いに出して、最後またプラトン哲学でしめていきます。


が!
なんかねー、しっくりしないんですよ。きれい事なんですよ。
アンタと奥さんは確かに純粋恋愛だったかもしれないけど、もっといろいろあったでしょ?そんな文学作品みたいに小綺麗な恋愛だけだったか?と、問いつめたい(笑。多分、まだ恋に初な男性なら、うっとりと恋愛の苦しみに憧れる事ができるかもしれませんが、そこそこ酸いも甘いも経験した大人女子には「きれい事いってんじゃねーよ!実際の恋愛はバトルなんだよ!」と、毒づきたくなるないようでした。
おもしろくないわけではなかったんですけどねー。*1

*1:自分の恋愛にはこれっぽっちも役に立ちませんでした。とほほ