「TO 楕円軌道(前編)」を観た

2009年に放送されたそうですが、当時は(今もか…)情報収集能力がなく今回初めて視聴させて頂きました。
星野之宣さんの原作は読んでいたのですがタイトルだけでは思い出せず、視聴しているうちに部分的に思い出しました、…まだらボケだなぁ(笑)
このお話に限った事ではないのですが、星野さんの描く作品はセンスオブワンダーがあり、それでいて人の営みの哀しさや儚さともしっかりと描かれていて良質なSFという認識に異論はないと考えております。
本作もそうした優れた作品だったと記憶(押し入れにしまったダンボールの中に原作本はあるはずなのだがw)しているのですが…。
う〜ん、どうしてこれをCGで処理しちゃうのかなぁ。
トータルとしてCGの方が安い予算で制作できるというのなら仕方のない側面もあるのですが、でもそれって製作者側の都合で、観客が求める方向とは違うんじゃないかと。
リアリティを求めるのであれば役者さんを使ってセット部分だけをCG処理した方が、映像としての完成度は高そうに感じますし(実際アメリカのSF映画はその方向で質の高い映像を作っていましたし、最近ではSF以外もでも使われておりますし)、
なんであんなに気持ち悪いキャラ使っちゃうのかなぁ
いや、キャラのデザイン自体は好み(笑)だったりするので。正確に書きますと「何故あんなに表情の乏しいキャラを使うのか」という事でございます。
最近はTVアニメでもCGは多用されるようになっておりますし、しかも以前のように明らかに「浮いた」表現ではなくなってきていることは知っております。…ただし背景やメカの場合でございますが。
それこそハリウッドばりに表情をリアルに表現して下されば印象も変わると考えますが、それって日本のアニメが持っている二次元の絵に命を吹き込んできた先人たちの努力自体を否定しているんですよねぇ。
まあ否定しても良いのですよ
表現手法というものはその時代時代で変化して行くものでしょうし、CGを使う事によって絵心のない人でもアニメを使って作品を作ることが出来るようになれば、今までとは違う才能の持ち主の作品を観る事ができるで機会をが増えるかもしれませんし。
でもあのような表情の乏しいキャラしか使えないとするならば、その可能性は低いでしょうねぇ。大根役者と呼ばれる役者さんは沢山おりますが、そんな役者さんでも微妙な感情表現はできますし
大根役者以下
では問題外でございますよ。といいますか、あの「演技」で監督は何故OK出しちゃったのかな?
これが黎明期のCGの限界であるのなら、今後に期待もできますがもうその時代は過ぎているでしょうし、どうにかならなかったのか、と。
CGを全否定している訳ではございませんで、おっさんが個人的に現時点での3DCGの最高傑作として疑わない「やさいのようせい」のような作品もございますし、最近ですと「gdgdフェアリーズ」は安っぽいCGでございましたが、その「安さ」を逆手に取って人を煙に巻いたような作品でございましたので違和感は全くなく成功していたと思いますし、「プリキュア」のEDに使われているCGキャラは大好きです!(笑)
他にもタイトルが思い出せないのですが、昔観た幽霊や怪物の学校を描いたアニメも好きだったし…、そうかリアルじゃなければ(というか従来のアニメ絵に近い作品なら)CGでもあの「気持ち悪さ」を感じないのか。
多分この作品も登場人物のモデリングがもっとデフォルメされていたのなら、こちらの嫌悪感を刺激する事はなかったのでしょうが、下手にリアルに近づけたことがこれだけの文句を書かせる原動力になってしまっていたようです(笑)
まあでもデフォルメしちゃったら星野さんの絵の雰囲気を壊してしまって、それは原作自体を殺してしまう結果となりますので…、いやあのキャラでは同じことか(笑)
星野さんの世界を「絵」込みで表現するのなら、それこそ「テルマエ・ロマエ」のように動かさないで紙芝居として作った方が良かった…、でもそれだと商売として成立しなかったか。
結論といたしましては、作品に惚れこんで製作するのなら「手法選択は慎重に!」ということでしょうか。この作品は絶対役者さんを使った方が面白いってことですよ。
アニメで作るなら「京アニ」か「I.G.」か「ボンズ」か「良いJ.C」か…、いやそれなりのお金を出せばどこだってこれ以上の作品に仕上げてくれるはずでございます、…絶対誰か騙されているよなぁ(笑)
と、原作好きが憤慨して校正もせず(いつもですが)一気に書いたものですから、もし誰かの目に触れて気に障っても
年寄りの戯言
と逃げだけは打っておきます(笑)