• ジャンプ・団体

2005年オーベルストドルフ世界選手権に次いで2連覇、更にジャンプ史上初の世界選手権・五輪・世界選手権と五輪を挟む3年連続の団体金メダルとなった。加えてオーストリアジャンプ史で通算50個目の世界選手権メダル獲得となった。27歳のロイツルにとっては4つ目の金メダルで金メダル数ではオーストリア史上最高位となる。
ロイツル:札幌に入って初めて満足できるジャンプができた。重要な場面できっちり飛べた。
シュリーレンツァウアー:トライアルのあとでなかなか思い通りにはいかないなと感じていた。でも(個人戦より)一歩前進できた。同じグループでは2本とも最長記録を出せたことが自信になった。
コフラー:2本とも良いジャンプができた。2本目はやや踏み切りが遅れたけどね。
モルゲンシュテルン:とても試合を楽しめた。トライアルで良いジャンプが出来ていたので本番も難しくはなかった。今はとても嬉しい。僕らはベストを尽くすことができた。そして風に作用されなかったのが良かった。
インナウアー・ノルディック部長は胸をなでおろした。4つ目の種目でようやくメダル獲得となったからだ。「とてもほっとしている。そして嬉しい。」この日のジャンプ団体のフィンランド、複合団体のオーストリアのように風によりチャンスを失った例もある。
1) Austria(Loitzl, Schlirenzauer, Kofler, Morgenstern

五輪団体金メダルのオーストリアチームはこの世界選手権で4位に終わった。団体でのメダルを逃したのは99年の地元ラムサウでの世界選手権以来となる。「もちろんメダルを獲得できなかったことは残念だ。しかしジャンプでは非常にレベルの高い試合だったし、クロカンでも全力を尽くした。」とディース氏。
ジャンプで4位と出遅れた形になった。ノルウェーに対してリードを得ていたかった。「4位スタートは久しぶりだった。」とビーラー。
もっともジャンプで厳しい場面だったのはゴットバルトの1本目だ。強い向かい風で2度ほど戻された。「僕の前のハゼネイは同じ状況でスタートしたのに」とゴットバルト。
クロカンでも思い通りには行かなかった。第一走者のビーラーがノルウェーのクレメツッェンに対し22秒詰めた。しかしその後のクライナー、シュテヒャーでノルウェーを引き離すことは出来なかった。「何とかしようと出来ることは全て試した。でも引き離せなかった。」とシュテヒャー。
「このような展開では僕には難しい。」直線ゴールにもつれたもののゴットバルトはモアンを差すことは出来なかった。「最後のスプリントでわずかな可能性に賭けたかったけど、モアンの法が上だった。」
ビーラーも他の3選手同様がっかりしている様子だ。「ジャンプであと10-15秒稼げれば充分だった。でもこれで(出場できなかった)グルーバーと手持ちのメダルの数が同じになる。そういう意味ではフェアかな。」と冗談をこぼした。
4)Austria (Bieler, Kreiner, Stecher, Gottwald)

五輪での活躍から期待された複合勢だが、世界選手権最初の種目・個人スプリントではメダルなしに終わった。オーストリア勢の最高位はゴットバルトの5位。優勝はフィンランドのハンヌ・マンニネン。初のビック・タイトルだ。
ゴットバルトは前半のジャンプで10位といい位置につけた。しかしメダルまで22.6秒足りなかった。クロカンでの成績が7位と振るわず5位に終わった。世界選手権・五輪で13個のメダルを獲得しているゴットバルトにとっては「普通ではない結果」に終わった。
ディースヘッドコーチは結果に不満を持っていないようだ。「今日の結果はコーチとしては満足だし、結果はまずまずだ。ただメダルを獲得できなかったので満足してはいけない。」
団体のメンバーはスプリントと同じ4選手で行く予定だ。クライナーが前半ジャンプで4位、総合でも9位と健闘したからだ。
シュテヒャーはジャンプの公式トレーニングでは飛べていたものの本番では上手くいかなかった。(15位)「とても残念だ。ジャンプの調子が良かったからね。」低スピードに悩まされた。ビーラーは風の状況が悪い中、飛ばされたようだ。「世界選手権でこうなって(風に恵まれない)残念だよ。でも前からこういったことも有りうるって分かっていたけどね。」ただ団体戦に関しては「良い試合ができると思うよ。」
マンニネンにとってはやっと掴んだタイトルだ。「ずっとずっと夢でもあり目標だった。この為にとても努力してきた。今はとても良い気分だ。 今日朝起きた時にもう分かってきた。今日は僕の日だってね。」
5)GOttwald 9)Kreiner 11)Stecher 15)Bieler

  • 「目標は初めての個人戦メダル」

「自分にプレッシャーを与えなければいけない。ケアレス・ミスを犯さない為にね」とモルゲンシュテルン。「残念ながら病気のおかげで(帯状疱疹)上手く準備が出来なかった。でもベストを尽くしたい。目標は表彰台さ。4位も25位も同じさ。興味がない。」と20歳のモルゲンシュテルン。「でも病気と(夏の)怪我のおかげでプレッシャーも少ないんだ。失うものがないからね。多分このことがアドバンテージだと思っている。」
モルゲンシュテルンは五輪での個人金メダル、五輪・世界選手権での団体金メダル。唯一獲得していないのが世界選手権の個人メダルだ。夏にサッカー中に怪我をし、先月は帯状疱疹に悩んだ。ただ「先月不運だったけど、そろそろ運が向いてくるころだ。」とモルゲンシュテルン。
モルゲンシュテルンの応援に両親、兄妹、友人、そして恋人のクリスティーナが駆けつけている。



ラージ個人戦はモルゲンシュテルン、シュリーレンツァウアー、コフラー、コッホの4選手が出場することが決定した。ただ団体戦には個人戦不出場のロイツルの起用が決まっている。個人戦出場4選手中誰が控えにまわるかは結果をみてからだ。
個人戦でのコッホの起用にインナウアー氏は「マルティンは向かい風を上手く利用できる選手だ。この大倉山にあっている。彼は20位かもしれないしメダル争いに加わるかもしれない。」
個人戦ではコッホのような選手が有利だ。ただ団体戦はわけが違う。より安定した選手が必要とされる。安定性という理由でロイツルの起用が早くも決定された。「ロイツルはとても安定した選手だ。どんなコンディションでもきっちりとベル。」とインナウアー氏。ロイツルは既に3個の団体金メダルを獲得している。
「マリシュ、キュッテル、アマン、アホネンあたりが優勝争いに絡むだろう。オーストリア勢ではモルゲンシュテルンとコフラーだ。」とインナウアー氏。シュリーレンツァウアーは大倉山独特の風に悩んでいるようだ。
ラージ個人戦出場選手
Thomas Morgenstern, Andreas Kofler, Gregor Schlierenzauer, Martin Koch

  • 世界選手権出場権と二人目の息子―ロイツル

2月10日夕刻に二人目の息子ニコラスがロイツルと妻のマリカの間に誕生した。そして世界選手権の代表にも選ばれた。「調子も上がってきた。世界選手権が良いタイミングで開催される。」とロイツル。
ロイツルは世界選手権で既に金3つ銅1つを獲得している。これはヘルバルト(金3つ銅3つ)に次ぐオーストリアでの記録だ。ただ個人でのメダル獲得はまだない。「そのためにはもっともっと調子を上げなければいけない。昨年より多くのメダル候補がいるからね。」

  • 世界選手権代表選手

Wolfgang Loitzl, Thomas Morgenstern, Gregor Schlierenzauer, Mario Innauer, Andreas Kofler, Marchin Koch,

「(ロイツルの選出について)ここ数試合で調子が上がってきている。彼は特にノーマルで期待できる。(パウリとインナウアーの争いについて)ほんの鼻の先分だけマリオの方がリードしていた。とくにこのドイツシリーズでね。(モルゲンシュテルンとコッホに関して)彼らは完全に回復して日本へ向かうはずだ。決定は正しいと思っているし、とても強いチームだ。シュリーレンツァウアー、モルゲンシュテルン、コッフラーと3選手が今シーズン表彰台に上がっている。(出場選手については)メダルを取れる選手を出場させる」

  • 世界選手権出場選手

モルゲンシュテルン、シュリーレンツァウアーに続きコフラーの世界選手権出場が内定した。残り枠についてポイントナー氏は「コッホ(現在帯状疱疹で帰国治療中)ももちろん候補だ。他の選手もクリーゲンタール、ヴィーリンゲンの結果による。もちろん若いインナウアーにもチャンスはある。」
6日に行われた予選。オーストリアは全選手が予選通過した。アルトゥール・パウリが138mを飛びマリシュに続き2位通過を果たした。
出場選手Arthur Pauli ,Gregor Schlierenzauer ,Andreas Kofler, Martin Höllwarth ,Wolfgang Loitzl, Andreas Widhölzl , Mario Innauer, Bastian Kaltenböck

モルゲンシュテルンとコッホが帯状疱疹オーストリアへ急遽帰国した。「土曜の夜に決定した。何より彼らの健康が大切だ。リスクを犯す必要はない。」とポイントナー氏。彼らのためにヘリコプターが用意された。「オーストリアへ戻った後、専門家による診断を受ける。おそらく何かのバクテリアだろう。」今のところ症状はコッホよりモルゲンシュテルンの方がひどいようだ。
モルゲンシュテルンは2週間ほど休暇が必要と思われている。彼の世界選手権出場は決定している。コッホはまだ代表候補だ。「彼の健康状態をみて決めたい。」とポイントナー氏。

  • 虫の大量発生?!

土曜のマス・スタート。ビーラーはトップ・マンニネンから4分32秒遅れの40位。何が起こったのか?まず第一に板の選択の失敗だろう。この日は吹雪の中前半クロカンが行われた。(後半のジャンプは翌日に順延)それだけではない。ビーラー・シュテヒャーの二人が泊まる部屋に虫が大量発生し、深夜1時過ぎに部屋を変えなければいけない事態が発生した。たまたま空き部屋が合った為、引越しが出来たが彼らの睡眠が妨げられたことはいうまでもない。