いしうらまさゆき の『愛すべき音楽よ』(ブログ〜CD&レコードレビュー)

2018-10-21 Del Shannon / This Is My Bag

markrock2018-10-21

[] Del Shannon / This Is My Bag ( Liberty / 1966 ) 17:57

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あれ?こんなのあったっけ?といって感じのデル・シャノンの盤。1961年の”Runaway”以降、飛ぶ鳥を落とす勢いで”Hats Off To Larry”諸々をヒットさせていったものの、ビートルズモンキーズ以降のポップシーンの中ではちょっと先輩だったわけで、2歳下のロイ・オービソンなどと同様、埋没していく。で、1966年にリバティーよりリリースされた『This Is My Bag』、スナッフ・ギャレットのプロデュースで若者達を掴もうと、シンガーに徹して同時代のヒット曲を取り上げている。その歌声には後のロック世代にも印象を残すインパクトや泣きがあって、個性的だし、とても上手い。”Kicks”、”Lightnin’ Strikes”、”When You Walk In The Room”…結構いいぞ、という。B面の”Everybody Loves A Clown”でそうか、と気付くのだけれど、ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズのプロダクションで演っているというわけ。アレンジャーニック・デカロレオン・ラッセル。演奏はレッキング・クルーでしょう。ロイ・オービソンの”Oh, Pretty Woman”は完コピのようなアレンジで、ロイそのもののように歌う。これにはビックリ。後々デル・シャノンはイギリスのミュージシャンに慕われていたこともあり、ジョージ・ハリスン、ジェフ・リン、そしてボブ・ディラントム・ペティからなるトラベリング・ウィルベリーズに亡くなったロイ・オービソンの後釜として加入することになる("Runaway"の再演をレコーディングするも、デルの自殺でアルバム『Vol.2』のリリースは幻となる)。その理由が今にしてやっと、理解できた。

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2018-10-20 鈴木慶一/ダニエル・クオン「Aerial Garden Sessions vol.2」

markrock2018-10-20

[] 鈴木慶一ダニエル・クオン「Aerial Garden Sessions vol.2」 20:54

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10月18日の鈴木慶一さんのイベント「Aerial Garden Sessions」。vol.2のゲストは奇才SSWダニエル・クオン(http://mikiki.tokyo.jp/articles/-/9241)!ダニエルくんはレコード仲間でもあり、アルバムのジャケット・デザインでもお世話になっている。てなわけで、下北沢の風知空知に潜入。会場は入りきれないくらいのお客さんで賑わっていた。前半はダニエル、休憩を挟んで後半は慶一さんのステージ、40分ずつと聞いていたけれど、それぞれ1時間くらいだったかな。そして最後の二人のセッションを含め、3時間近くに及ぶ充実したステージになった。

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ダニエル・クオンのライブは久々に見たけれど、弦を全く張り替えていないというギルドアコギを抱えての巧みなフィンガー・ピッキングによるインストに始まり、ファースト・アルバムからの"A Tiger's Meal"や2015年の名作『ノーツ』からの"Judy"が飛び出すというグレイテスト・ヒッツ的選曲。ここのところエクスペリメンタルインストに興味が移っているようだったけれど、ちゃんと代表曲を網羅し、初めて聴くであろうオーディエンスをも魅了していた。慶一さんが悲しげな、と確か形容していたそのボーカルはライブでも印象的だった。そしてカルトSSWのようなサングラスを纏い、シャイなつぶやきシローのごときMCもユーモアのあるものだったし、”Judy”で「助けて!」と客席にシングアウトを求めるシーンでは、それに応じるオーディエンスの温かさが印象的だった(さらに突然ビートルズの"Fool On The Hill"を奇妙なメロディで歌い出したのは意表をついていた)。後半はピアノにチェンジし、長尺のエクスペリメンタルな音の洪水を作り出す。ラストまで、緊張感のあるステージだったと思う。


そして慶一さんパートはご本人が新曲の反応を試す、なんておっしゃっていたけれど、新曲、映画の挿入歌(アウトテイクまで!)も含めて、ギター、打ち込みのシーケンサーエフェクターを交えて、個性的でマジカルなサウンドを作り出していた。個人的にはソロで聴いてみると、ムーンライダースとはまた違い、シンガー・ソングライター的な噛みしめるような語り口が印象に残った(”Backstage Pass”は素晴らしかった!)。そしてやはり特徴的な声の抑揚が耳を離れなくて。『マニア・マニエラ』収録の” 花咲く乙女よ穴を掘れ”はオーディエンスとシング・ア・ロング!そして、最大級の賛辞とともに「ダニエル・クオン!」と声がかかり、二人のステージへと雪崩れ込む。20分にも及ぶインプロヴァイゼーションの応酬は、たまたまステージ近くで見ることができたからわかるけれど、互いの出方を伺いながら、音を繰り出す緊張感のあるもので。そしておもむろにダニエルが再びアコギに持ち替え、慶一さんはギターからピアノに変わって"Blackbird"を演るという。ただただ、しびれましたねぇ。先ほどの"Fool On The Hill"といい、ダニエルのポール愛も感じられて。


アンコールは「慶一さんはなぜこの曲を選んだんですか?」なんていうダニエルの質問とともにダニー・ウィッテンの"I don't Wanna Talk About It"を、日本語ではなく英語詩で歌ったのも良かった。この曲とか"It's Not The Spotlight"なんかは70年代の日本のミュージック・シーンにおいては、特別な意味合いをもっていた。


終演後の打ち上げでロニー・レインのTシャツを着た慶一さんやダニエル君、慶一さんのスタッフの方々と色々話をさせて頂いたのだけれど、慶一さんの優しい笑顔でほのぼのとした気持ちになった。また慶一さんは、素晴らしいスタッフの方々に支えられているのだと気が付いた。慶一さんには音楽の始まりはピアノではなくギターだったこと、ヴェンチャーズやアストロノウツに感化されたことを伺った。あがた森魚さんとの出会いについて聞いてみたところ、お母様の職場にあがたさんがおられたんだとか。そんな偶然(必然?)ってあるものなんでしょうか。個人的には慶一さんの歌いまわしやメロディに時々あがたさんがシンクロするような気がしていた。一番似せたくないんだけど…なんて笑っておっしゃっておられましたが。あとは私の住んでいる東京三鷹についてのマニアックなエピソードも。なんでも、吉祥寺いせやの主だった高田渡さんは生前「都立三鷹高校サッカー部は俺が作った」と豪語していたんだとか。でも、その場で慶一さんが携帯で調べてみたところ、出身校は都立市ヶ谷商業の定時制…いやはや噂通り、渡さんの虚実入り混じった感じが何とも。兎にも角にも、素晴らしいライブと素敵な時間で幸せな気持ちになれた。

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そう、会場ではダニエル・クオンの新作CD-R『Lites Out』の販売も。”Lites Out”、”Little Koalas”、”Eskimo Kisses”、”If You Feel,You Heal”の4曲を収録。元・森は生きているの増村和彦のドラムスも加わった音。ポップでとても良かった!

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2018-10-15 Boz Scaggs / Out Of The Blues

markrock2018-10-15

[] Boz Scaggs / Out Of The Blues ( Concord / 2018 ) 09:41

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ボズ・スキャッグスの新譜。期待通りのスタイリッシュなブルーズ。近作は毎度買ってますが、ハズレなし。というかミュージシャンとしての老年期にさしかかって、ここまで円熟した色気のある音を作れているのは凄い。ブルーズの底力かな。いまだにAORのボズを求めるファンも日本には多いようだけれど、あれは時流に乗った流行モノの部分もあったし、本質的な個性は変わっていないようにも見える。よく考えてみると、1994年『Some Change』なんてのも、シルクディグリーズ命みたいなAORファンには「渋すぎる」とか言われていたことも思い出されるけれど、今聴けば古びない音だったなと思ったり。


で、今作の演じ手はジム・ケルトナー、リッキー・ファター、ウィリー・ウィークス、ジム・コックス、レイ・パーカーJrドイル・ブラムホール2世、チャーリー・セクストン、そこにホーン・セクションも入る…これでわかりますでしょう? Tボーン・バーネットが作りそうな空間系の大人(もはや老人?!)ロックの色もあるし、クラプトンやディランを思わせる部分もあるわけで。チャーリー・セクストンのギター・リフが特徴的な”I’ve Just To Got To Know”なんてディランの近作かと思いましたですよ。ジミー・リード、ボビー・ブランド、マジック・サムなんかのブルーズ・ナンバーに混じって、ボズとはそれなりに長い縁のあるジャック”アップルジャック”ワルロスの書いたオリジナルが3曲、そしてニール・ヤングの”On The Beach”も収録。今までは考えたこともなかったけれど、ボズとニールには声色にちょっと似た部分があると気付く。

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前作からは輸入LPで買っている。送られてくる時点で盤がちょっと歪んでいたけれど、もはや気にはならない。デジタルダウンロード・カードに加えて、2曲入45回転シングルが付いてきた。ちゃんとジャケットもあって素晴らしい。こっちはシャノン・フォレスト、元TOTOデヴィッド・ハンゲイト、ボズ、ダン・ダグモア、リック・ヴィトーという布陣で”I Ain’t Got You”と”Jump”を。誠に一粒で二度美味しい。

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2018-10-14 Art Garfunkel / Up Til’ Now

markrock2018-10-14

[] Art Garfunkel / Up Til’ Now ( Columbia / 1993 ) 21:39

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個人的にはリアルタイムで手に入れた初めてのアート・ガーファンクルのアルバムだった1993年『Up Til’ Now』。一般的に流通しているのはCDだけれど、世界的にはカセット(欧米では2000年代までしぶとく残っていた)と、LPヨーロッパブラジルなど)も出ていた。ここ1年くらいのマイブームで、CD時代のアナログを掘りまくっているのだけれど、これはプレス数が圧倒的に少なく探索が難航。まず日本ではほぼ出回っていなかったので、今から10年前なら探せただろうけれど、現在は無理。そしてアメリカではCDとカセットだったので、これまたほぼ中古市場にはない。ということで、オランダ・プレスの盤をギリシアの中古レコード屋から取り寄せた。ヨーロッパでも、こう言っては失礼だが経済発展がスローモーだった国にアナログ再生機が残っていて、(DJブームとは無関係に) 90年代もアナログ需要があったのだと考えられる。

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速聴いてみると、正直コレに関してはCDとそう変わらなかったけれど、改めてまろやかで成熟した音だと思った。インナースリーヴのシンプルなアート直筆のトラック・リストは1981年の『Scissors Cut』を思わせる。新録で目立つのはジェイムス・テイラーとのデュエット”Crying In The Rain”、そして同じプロダクション(ジェイムスとドン・グロルニック制作)でのスタンダード”It’s All In The Game”。この2曲がA面とB面のそれぞれ1曲目に配置されていた。こうした点はアナログで聴いて初めて気が付く。”Crying In The Rain”はサイモン&ガーファンクルが多大なる影響を受けた兄弟デュオエヴァリー・ブラザーズの楽曲で、ジェイムスとは只ならぬ縁があるご存知キャロル・キングの楽曲。これをアートジェイムスでやるというのも良い。ちょっと神経質なほどの都会のリベラルなインテリといった風情はポール・サイモンともども共通するものがあるし、だからこそ、S&Gの関係が悪い時期に3人で”(What A) Wonderful World”を演れたのだろう。

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そして変則的なベスト盤のような形態ながら、アートにとって大切なソングライターであるジミー・ウェッブ作品(”All I Know”と”All My Love’s Laughter”は1989年の録音、故ジェフ・エメリックもプロデュースに加わっていたクリスマス・アルバムからの”The Decree”にとどめはニッキー・ホプキンスとライブ録音した”Skywriter”!)やスティーヴン・ビショップ作の発音源化となる1980年のテレビ主題歌”One Less Holiday”も。そしてもちろんポール・サイモンとの”The Sound Of Silence”はドラムスをオーバーダビングする前のアコースティック・ヴァージョンで。この辺はアートの好みに加えて、当時のアンプラグド・ブームにもフィットしていたように思う。そしてS&G解散についてのポールとのやりとりを収めた”The Breakup”は、当時日本で受け入れられず、相当評判が悪かったのを覚えているけれど、こういうアメリカン・ジョークがわからないと彼(ら)の音楽もまたわからなくなってしまうと思ったり。”The Breakup”は当時強烈なインパクトがあったポール・サイモンの3枚組ボックス・セット『1964/1993』にも収録されていた。アートのボックスはついぞ作られなかったから、今思えば、ノスタルジーサーキットを回っていたアートと当時のポールは格差があった気もする。しかし、ある意味で言えば、ティーンエイジャーの頃に胸ときめかせたドゥ・ワップからフォーク、スタンダードまで、時代を超えた古びない音作りをしてきたことに驚かされる。何より美しいアートのボーカルを生かすには、こうしたスタンダードなバックトラックが必要になるのだろう。ダイアー・ストレイツの”Why Worry”(これももう1つの新録)がオリジナルであるかのようにぴったりフィットするのは、楽曲の目利きアートならではだ。

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ちなみにジャケットに映る赤ちゃんは恋人ローリー・バードの自死を経て、愛する妻キムとの間にアートが授かった男の子、ジェイムス・ガーファクル。後に若き日のアートそっくりの天使のような姿となり、アートの公演では"The 59th Street Bridge Song ( Feelin' Groovy)"をデュエットしていたのが懐かしい。

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現在もアートの公演に時折同行するのだけれど、いかついスキンヘッドになっていて驚いた。

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2018-10-12 Steve Marriott / Marriott

markrock2018-10-12

[] Steve Marriott / Marriott ( A&M / 1976 ) 00:43

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今聴いているのはスティーヴ・マリオットのソロ『Marriott』。スティーヴ・マリオットは1991年に44歳という若さで不慮の事故で亡くなった。もうちょっと長く生きていれば、キャリアを総括する名作を再び生み出せたのにな、といまだに思う。最近はハンブル・パイなんかも、地味にアメリカ盤オリジをLPで集めていたりする。

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スモール・フェイセス〜ハンブル・パイと活躍したイギリスの才人なれど、器用の対極にあるようなイメージもある。だがしかし本作は豪華ゲストが大挙参加し、ソロとして唯一の最高傑作と言ってもいいだろう。しかもブリティッシュ・サイドとアメリカン・サイドでA・B面を分け、後者ではアメリカン・ソウルへの愛情を露わにしている。ブリティッシュ・サイドではハンブル・パイのグレッグ・リドレー、Tレックスミッキー・フィン、そしてキング・クリムゾンのイアン・ウォーレスが参加。ロバート・プラントも憧れたというメタリックなシャウトも好調で、ハードなロック・サウンドを聴かせてくれる。ボビー・ウォマックでお馴染みの”Lookin’ For A Love”をハード・ロック化しているのも英国的解釈で面白い。”Wam Bam Thank You Ma'am”はスモール・フェイシズの再演。”Help Me Through The Day”はレオン・ラッセル作品でフレディ・キングが初演。


で、どっちが好きか?っていうと当然好みはB面のアメリカン・サイド。ブリティッシュ・ロック一辺倒な人ってリアルタイム世代に結構いて、そういう人は大抵ハード・ロックに行っちゃうんだけど、こういうのは受け入れられないみたい。でも、むっちゃファンキーだし、尖ってた時代のデヴィッド・フォスターキーボードと弦・ホーンのアレンジをやっているし。ギターはレッキング・クルーのベン・ベネイ。ドラムスはマイク・ベアード。レッド・ローズのペダルスティールに名手デヴィッド・スピノザのギターソロも入ったり。清志郎MGズをバックにがなる、みたいな「力み」が最高。黒人音楽への憧憬と、承継と。

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ジャケにはなぜかドラムスのイアン・ウォーレスのサインが!クリムゾン関係で来日していたから、その頃に誰かがもらったのかな。

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2018-10-10 Paul McCartney / Egypt Station

markrock2018-10-10

[] Paul McCartney / Egypt Station (Capitol / 2018) 21:08

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先行シングルの一瞬ちょっとダサイ感じの”Come On To Me”辺りの先行シングルをとってきて、「才能が流石に枯渇した」だとか、「前作『NEW』に比べて地味」だとか、好き勝手言っているヒトビトも多いポール・マッカートニーの新作『Egypt Station』。たぶんそう言うお方はYouTubeや試聴止まりでまともに聴いてないんだろうな、とここは言い切ってしまおう。第一誰だと思ってるんですかね。斎藤さんだぞ、っていう感じなわけじゃないですか(笑)。


冗談はそれくらいにして…76歳にして、フレッシュで、良く出来たポップ・アルバムだと思う。しかも16曲、ボーナス入りのデラックス版だと18曲。枯渇したミュージシャンはこんなに曲書けませんので(日本やらブラジルやら、ツアー中に書いた曲も!)。しかも、にわかに一瞬ダサい感は否めなかった”Come On To Me”も、こうしてLPで大音量で聴いておりますと、ヘフナーがブリブリ言っておりまして、ビートルズ直系のポップ・ロックと認識。さらにはマッスル・ショールズ・ホーンズの賑やかしからエレクトリックシタールまでが入ってくるという遊びゴコロ満載なアレンジで、無茶苦茶良いではありませぬか。スタンダードなバラードの”I Don’t Know”もビートルズの新曲だと見まごうばかりだし、”Happy With You”のようなアコギの3フィンガーによる小品もホワイト・アルバム的であったりもして。”Who Cares”はもはや伝統芸能的なロック。サビはウイングスをちょっと思い出したり。ポールのお父さんの口癖を歌にした”Do It Now”は、父との想い出を振り返るようなノスタルジックな仕上がりだと感じた。

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パレスチナ問題を念頭に置いた”People Want Peace”の良くも悪くもひねりのないまっ直ぐなメッセージもポールらしい。ジョンと対照的に素直な人なのだと思う。組曲的な”Despite Repeated Warnings”は環境問題についてのニュースの警句をタネに、過ちを繰り返す愚かな人間に"Yes We Can Do It Now"と呼びかける。これはどう考えても力作。”イチバン”の連呼が強烈な”Back in Brazil”はポールの(いや西洋人の)エキゾティシズムがないまぜになっていると思ったけれど、サウンドは思いのほか若々しい。そして一番今っぽい音に仕上がったのがワンリパブリックのライアン・テダーと共演した”Fuh You”。ただ、これをアルバムのリード・トラックとして初めから押さなかったのは、ポール感が薄いからかも。売れる音ながら、ポールじゃなくても出来る音だったという。でもこういう曲が1曲入っているのも重要。ちなみにこの曲以外、基本的に全編のプロデュースを務めるのはグレッグ・カースティン。この人、リトル・フィートの故ローウェル・ジョージの娘、イナラ・ジョージとザ・バード&・ザ・ビーを組んでいた人。ザ・バード&・ザ・ビーは当時アルバム買ってよく聴いてました。気付けばアデル、ピンク、シア(Sia)なんかのプロデューサーとして有名になっている。

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それにしてもデラックス版のLPはちょい高(輸入盤でも4500円くらい)で、2曲少ない2枚組通常盤が輸入盤で3500円くらい。後者を買ったのは正直完全なミス。いいんです、いずれCDで買い直しますから。ちなみにLPの音は良く、プレスもしっかりしていた。当たり前だけれど、デカイ音で、それなりなスピーカーでドカンと聴かなきゃこうした音楽は意味ないですね。YouTubeでチマチマ聴いてちゃダメですわ。ポールの書いた明るいジャケもなかなかよい。ジョージ・ハリスン『ゴーン・トロッポ』的にも思えたり。エジプト・ステーション、というタイトルはちょっと唐突だったけれど、エキゾチックな感じや未知のウキウキ感とつながるイメージだったのかな。もちろん来日『Freshen Up』公演、金欠になっても行かざるを得ません!

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2018-10-09 Roger Nichols Treasury / Extra Tracks ( Victor / 2018 )

markrock2018-10-09

[] Roger Nichols Treasury / Extra Tracks ( Victor / 2018 ) 00:34


久々の更新。相変わらずのレコ買いまくりなのに、それについて書く気が起こらない日々で。ある種の無力感。嘘ばかりがまかり通る腐りきった世の中に絶望して…と言ったらカッコ良すぎるけれど(笑)最近出した本のことで色々頭が一杯だった、というのもある。そうそう、まだ具体案は未定なので詳細は控えざるを得ないけれど、私の音楽人生で最大の影響を受けたミュージシャンとの書籍企画の構想がやおら首をもたげて来てもいる。

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さて、今日入手したのはロジャー・ニコルズの発掘音源モノの第2弾Roger Nichols Treasury / Extra Tracks』。第1弾は2枚組CDとLPと両方買ったものの、まだ紹介していなかった。

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紹介の順番が逆になってしまったのは、今の時代を象徴するようだけれど、正直情報量が多過ぎて、自分の中で消化できなかったという部分。ディランのブートレッグ・シリーズなんかも(今度の『血の轍』アウトテイクは楽しみであるにせよ)、もはや消化不能。愛してやまないバリー・マンの昨年リリースのデモ集プライヴェートトレジャーズ』ですら、消化できなかった。CDを出せる機会はそうないし、出せる時に出すというのもわかる。マニア向けに詰め込めるだけ詰め込んだ音源を聴きたいという欲望もある。でも20年前と比べて、未知の音に対する飢餓感が違って来ている。


そう思うと、プロデューサー濱田高志さんの音楽アーキビストとしての情熱が衰えなかったことは本当に凄いと思う。当初は乗り気でなかったロジャー自身を結局は動かして、今回のリリースに至ったのだから。しかもライナーを読む限り、曲選を濱田さんに任せると言いながら、濱田さんの選曲の半分はオミットされたとか、ロジャーはコダワリがあって、なかなか難しそうな人であるような気もした。業界的にはやっぱり60〜70年代の人、というイメージなのだろうし、80年代以降のキャリアがそこまで順風満帆でなかったのは、そういった部分もあるのかもしれない。ワカリマセンが。ただ今回のCMや未発表インストを中心とするデモ集(新録含む)30曲を通して聴いてみて、かつて『スモール・サークル・オブ・フレンズ』で魅了された音楽の魔法が改めてそこにはあった。流麗で優しいメロディと、そこはかとない気品と。時代が一回りした今だから、渋谷系、って言ってた頃の、音楽を知り尽くしていた人達が、再び熱心なリスナーとして、情熱的でクールな作り手として、カムバックして欲しいと思う。

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2018-09-22 The Checkers / Checkers in 「TAN TAN たぬき」(

markrock2018-09-22

[] The Checkers / Checkers in 「TAN TAN たぬき」(Canyon / 1985) 22:44


アイドル的人気を博していた時代のチェッカーズ映画のサントラ(のはず)。まーなんでしょうね。60年代で言えばスパイダース映画とかそういう類かと。正直熱心に聴いていたわけではないけれど、芹澤廣明ワークスを追いかけているうちに、初期チェッカーズLPがなかなか良いと気が付いた。これはたまたま立ち寄った吉祥寺のレコ屋で本日入手。

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映画のセリフも全面的に入っていたり、DVDYouTubeもない時代のファンはたまらなかったんじゃないだろうか。芹澤廣明音楽監督を務めたサントラは「セリフとオンガクのショーワ60’sサウンド」というコピーが語る通り、前半は「オーキャロル」「悲しき片思い」「ハウンド・ドッグ」「ツイスト・アンド・シャウト」といった風に、60年代前半、ビートルズ前夜のアメリカン・ポップスのカバーが中心。アメリカン・グラフィティ的な。映画にもジョニー大倉尾藤イサオ、鈴木やすし、なんていうロケンロールな顔ぶれが。そしてそこから芹澤の名作「涙のリクエスト」「星屑のステージ」が挟まってくるという。つまり王道モノホンのアメリカン・ポップスに続き、和製アメリカン・ポップスを違和感無く並べようとした意図も見えてくる。そう思うと、芹澤からすればチェッカーズシャナナをプロデュースする感覚だったのかもしれない。そこに収まりきらなかった彼らとの確執は必然とは言え、残念だったけれど。「危険なラブ・モーション」て曲もビートリーでなかなか良い!


帰りに立ち寄った吉祥寺サンロードの素敵な本屋さんブックスルーエ2Fにて。

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「ボリュームはありそうですが、各章はすぐに読める分量で、また内容は話し言葉でやさしくまとめられていて、まさに授業を受けているように読み進められます!」

コメントも頂きありがとうございます!まだの方はぜひお手に取って見てください!



哲学するタネ【東洋思想編】—高校倫理が教える70章』(明月堂書店)

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2018-09-10 杉田二郎 / 旅立つ彼

markrock2018-09-10

[] 杉田二郎 / 旅立つ彼(東芝EMI / 1973) 10:06


日本でもアメリカでもイギリスでも、1973年位までのロック音盤にハズレはない。シューベルツ〜ジローズ杉田二郎の70年代初頭盤も素晴らしい。ソロとしては2枚目にあたる『旅立つ彼(ひと)』は佐々木勉のタイトル曲を除き、作詞・なかにし礼、作編曲・深町純(”ちいさなお前”は深町の詞曲)というトータリティに優れたプログレッシブな盤。何よりボーカリストとしての杉田の魅力を存分に味わえる。当たり前ですが、すごく良い声。

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タイトル曲の”旅立つ彼”はニューロックなアレンジ、そして”真夜中の青春”はブラス・ロックになっていたり。曲間をあえてしぼっているため余韻を与えず、目まぐるしい展開でアルバムが進行する。曲によってはソフトロックのたおやかさもある(ジローズのファーストもそうだったけれど)のはこの時代ならでは。参加陣を見てみると、ドラムスにチト河内、ベースは岡沢章(アキラ)、江藤勲、後藤次利、ギターに高中正義水谷公生、矢島賢、石川鷹彦、そしてエレピ・ピアノオルガンシンセエレクトリックハープシコード、メロトロンなど鍵盤全般は深町純。そしてバックグラウンド・ボーカルにはソウルフルな自演盤もある岡沢章、キン肉マンのテーマでお馴染みの串田アキラ、そして売れるまでは杉田が食わしていたというオフ・コース(小田和正鈴木康博)の二人。"死にたい時もある"で特徴的なオフコースのコーラスを聴ける。

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お陰様で拙著『哲学するタネ【東洋思想編】』、全国のジュンク堂丸善などで取り扱って頂けているようです!

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地元の三鷹啓文堂でも!ありがとうございます!

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2018-09-01 Aretha Franklin / Sings The Great Diva Classics

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[] Aretha Franklin / Sings The Great Diva Classics ( RCA / 2014 ) 09:51

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8月31日のアレサ(アリーサ)・フランクリンの葬儀。スティーヴィー・ワンダーが"make love great again"なんて言っていた。本当にそうだと思う。「アメリカ」などという国家とか、家族だとか、たかだか近代に作られた価値は脆いものだし、素直に信じてはいけないのかもしれない。分断する共和党トランプよりも公民権運動を支えた民主党ケネディ時代のラブ&ピースの感性が60年代ソウルやロックには通底している。

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そんなことで今更ながら…アレサが亡くなったことを思い返して。糸井重里さんのツイッターで危篤の報を聞いたのが初報。ただその日の朝、アレサの2014年『Sings The Great Diva Classics』が急に聴きたくなって、久々に探し出して聴いていたものだから、嫌な予感がした。前にこんなことがあったのはジョン・デンバーかな。高校生の頃、ジョンのCDを初めて買ってきた翌日、飛行機事故で亡くなったのだった。朝、父親に「ジョン・デンバー死んだぞ!」と言われて起こされたのを覚えている。

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で、今日になってやっと落ち着いてアレサを聴く気になれた。好きなレコードは色々あるけれど、『Live At Fillmore West『The Girl’s In Love With You』がどうにも突出している。

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80年代作もよく聴いていたけれど。これらはLP。CDは最近とうとう出すのが面倒になってきて、近作しかすぐ手に取れない状況。『Sings The Great Diva Classics』も10年前ならもっと売れていたかもしれない。クライヴ・デイヴィスが手がけた、ロッド・スチュワートジャズソウルクラシック・カバー集のアレサ版という体。本当にクライヴ・デイヴィスとアレサ自身が共同プロデュースを務め、当時復活したところのベイビーフェイスなんかも参加している。”I Will Survive”なんかを割とコンテンポラリーなアレンジでやっているんだけれど、シャウトしまくるボーカルを聴いていると、まだこの時は元気だったのかな、と。バリバリ、フェイクしながらのアレサ節。ここに入っているグラディス・ナイト&ザ・ピップスでヒットした”Midnight Train To Georgia”のカバーがとても良い。大好きなソングライター、ジム・ウェザリーの曲。とはいえ注目すべきはアデルの”Rolling In The Deep”やアリシア・キーズの”No One”のカバー、なのかもしれないけれど。



それにしてもソウル音楽は過去のものになってしまった。海外でもソウルは90年代以降、風前の灯のようなジャンルになっているし、特に日本のシーンは厳しい。ファンの方にはタイヘン申し訳ないけれど、そういった音楽がルーツの一つになっているはずの、現代日本アカペラ・グループなどに取り立てて琴線が反応したことはない。ただそれは今に始まったことではなく、10代の頃から同時代の音楽に対しては大抵そんな風だった。余計なお世話だと言われそうだけれど、歌を歌いたい理由がそれほど伝わってこないからかもしれない。でもなぜ?恵まれすぎているから?あるいは何事も消費されていく時代のせいだから?それも今に始まったことではないのだけれど…アレサ・フランクリン…黒人として、ひとりの女性として、歌う理由しか見当たらない歌…レイ・チャールズもそうだったけれど。二人が出演したブルース・ブラザーズも強烈だった!大学生の頃、アレサが歌う"Think"のシーンを友達の下宿で観せられて、ソウルに目覚めたんだったか。そういえばアレサの夫役だったマット・マーフィーも6月に88歳で亡くなっていたな…。

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2018-08-25 哲学するタネ【東洋思想編】(石浦昌之 著)9月上旬発売!!

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[] 哲学するタネ【東洋思想編】(石浦昌之 著)9月上旬発売!! 14:23



音楽ブログにて、哲学の本のお知らせは唐突かもしれませんが、9月上旬に初めての単著となる哲学するタネ【東洋思想編】』明月堂書店)を出版する運びとなったので(2017年10月から始めた同名インターネットラジオ番組の書籍化)、お知らせできればと思います。

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とはいえ出版のキッカケは音楽と深い縁がありました。編集から装丁校正や進行管理までの全てを手がけて頂いたマルチな編集者・杉本健太郎さんは、私の大学時代のサークルの先輩にあたります。何を隠そう杉本さんと私は、今は亡き渋谷・ジァンジァンが閉館するまで、元・古井戸加奈崎芳太郎さんのライブの「追っかけ」をやっていたのです。さらに、1960〜70年代文化に耽溺していた90〜00年代の私です。大学時代はロックをはじめとした60年代アメリカのカウンター・カルチャーを研究対象とし、寺山修司といった日本のアングラ文化や漫画雑誌ガロ』(つげ義春白土三平林静一永島慎二佐々木マキ水木しげるから根本敬蛭子能収みうらじゅんしりあがり寿までを輩出した!)に心酔していたのです。



今回のお話を頂いた際、杉本さんに連れられて出版元の明月堂書店のオフィスに足を踏み入れたときは目を疑いました。そこには『ガロ』のバックナンバーが全て揃っていたんです。それもそのはず、社長の末井幸作さん(『素敵なダイナマイトスキャンダル』の末井昭さんとはただならぬ関係にある)は『ガロ』の創業者長井勝一の意志を継ぐ青林工藝舎を立ち上げた方の一人だったのです。しかも末井さんから「赤色エレジー」の林静一さん作の陶器までもを頂戴してしまい…これこそ運命だと思いました。



本の中にも書きましたが、哲学と音楽はよく似ています。どちらも人生にあってもなくても良いものである、などと言いたいのではありません。語りえぬものについて語ろうとしている点、人間性を深く追求している点、世界をより良いものにしようとしている点…世間に流布する一般的定義や解答に疑いを持ち、批判・吟味の上で自分なりの答えをオリジナルに表現するというプロセス…それに触れた人々の前には今までとは全く違う様相の世界が立ち現れ、そこから新たな思索・創作が始まるという相互作用…私が哲学や音楽に惹かれる理由はそんなところにあります。ですから今回哲学の本を作ったことと音楽制作とは、自分にとってほとんど差がありません。



ただ、私が心配しているのは、哲学や芸術を切り捨てんとする、昨今の時代の風潮です。高校レベルで唯一哲学を学べる授業である「倫理」という科目は必修から選択へと格下げされます。これはグローバル企業の要請を受け、政府国立大学文系学部を再編し、哲学文学のような文系学問が風前の灯のような状況になっていることと地続きです。中高では英語の時数などが増える一方で、芸術の時数が徐々に減らされていることは、教育関係者なら周知のことと思います。「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみの漫画家水木しげる太平洋戦争従軍する直前の手記に「芸術が何んだ 哲学が何んだ 今は考へる事すらゆるされない時代だ」とありました。そこには、戦争を前にして人間らしい感性が切り捨てられていく現状に煩悶する水木の姿が生々しく記されています。グローバル経済を勝ち抜く企業「戦士」を国家と多国籍企業が手を組んで育てようと躍起になっている昨今、哲学も芸術も「今は考へる事すらゆるされない時代」なのかもしれません。

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とはいえ、くさっている場合ではありません。哲学する基本知識を「タネ」(つまり”ネタ”)と呼び、高校「倫理」の学習内容を軸として、混迷の時代にあって答えのない問いに答えを求め続ける「タネ蒔き」をしようじゃないか、というのが本書の基本姿勢になっています。全70章の内、第1弾は【東洋思想編】(1〜32章)です。原典引用満載で384頁という特大ボリュームになってしまいましたが、思想・哲学という堅いジャンルながら、ラジオを聴くような読みやすいスタイルで記述するよう心掛けました。「日本」という国の成り立ちとその思想はもちろん、仏教を学びなおしたい、孔子の『論語』を読み直したいといったニーズにもお応えできるかと思います。アマゾン及び全国の書店でも予約注文が始まりました。何卒よろしくお願いいたします。

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明月堂書店[9月の新刊のご案内]哲学するタネ【東洋思想編】(石浦昌之 著)9月上旬発売!!

http://meigetu.net/?p=6974

アマゾン

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【目次】

1章  日本とは

2章  古代日本人の思想

3章  日本文化の特色

4章  日本の風土 日本人の美意識

5章  仏教の受容

6章  平安仏教最澄空海

7章  鎌倉仏教(1)(浄土信仰法然親鸞一遍

8章  鎌倉仏教(2)(栄西

9章  鎌倉仏教(3)(道元日蓮

10章 近世日本の思想(1)(朱子学

11章 近世日本の思想(2)(陽明学、古学派)

12章 近世日本の思想(3)(国学神道

13章 近世日本の思想(4)(民衆思想)

14章 近世日本の思想(5)(蘭学和魂洋才、水戸学

15章 福沢諭吉

16章 中江兆民植木枝盛

17章 キリスト教

18章 近代文学(1)(ロマン主義自然主義

19章 近代文学(2)(森鷗外夏目漱石白樺派宮沢賢治

20章 社会主義

21章 国粋主義

22章 大正期の思想

23章 日本の独創的思想(和辻哲郎西田幾多郎九鬼周造

24章 日本の民俗学柳田国男折口信夫南方熊楠柳宗悦

25章 戦後日本の思想(丸山眞男加藤周一大江健三郎坂口安吾吉本隆明村上春樹

26章 バラモン教

27章 仏教(1)

28章 仏教(2)

29章 中国思想(1)(孔子

30章 中国思想(2)(孟子荀子韓非子墨子、その他の諸子百家

31章 中国思想(3)(朱子王陽明

32章 中国思想(4)(老子荘子

2018-08-23 Albert King / Blues For Elvis

markrock2018-08-23

[] Albert King / Blues For Elvis ( Stax / 1969 ) 19:05

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普通に良音だな〜と感心しているのはブルーズ三大キングのひとり、” Born Under A Bad Sign”で知られるアルバート・キング1970年作でエルヴィス・プレスリートリビュート作。とはいえこのLPはオリジナル(原題『King, Does The King’s Things』)ではなく、1980年『Blues For Elvisのタイトルで再発されたもの。安く落ちていたので捕獲してみた。私はレコーディングを除き、極力ヘッドフォンやイヤフォンで音楽を聴かないのだけれど(なぜかアタマが痛くなる…)、こういうシンプルなやつは近所から苦情が来るくらいの大音量のスピーカーで聴かないとダメだな、と思う。実際いまそんな音に酔いしれているところ。


ドナルド・ダックダンとアル・ジャクソン・JrというブッカーT&ザ・MGズのリズム隊がプロデュースとアレンジを務める。スティーブ・クロッパーがいないぞ、と思うかもしれないけれど、そこはブルーズ三大ギタリストアルバート・キングがいますから(同年にスタックスからリリースされた『Jammed Together』アルバート・キング、スティーブ・クロッパー、ポップ・ステイプルズ名義でこれまた良いアルバム)。”Hound Dog”はエルヴィスというよりオリジナルのビッグ・ママ・ソーントン版を思わせるけれど、”All Shook Up”や”Jailhouse Rock”など、ロックを感じさせる演奏もあるあたり、1967年にスタックスに移籍して白人ロック世代の若者にアピールしたアルバートらしい。”That’s All Right”、”Heartbreak Hotel”、”Don’t Be Cruel”、”Blue Suede Shoes”、そして”Love me Tender”まで…エルヴィスという最も黒っぽかった白人が、それこそビッグ・ママ・ソーントンやアーサー・クルーダップ、オーティス・ブラックウェルやジャッキー・ウィルソンなどの黒人ミュージシャンから学び取ったものを逆の経路で辿っていく感じが面白い。オーティス・レディングの有名フレーズなんかを忍び込ませているアレンジも遊び心がある。時代を超えたハリのある音を聴いていると、エンジニアのうちの一人、テリー・マニングはやはり凄い音を作っているのかな、と思ったり。彼は1970年に名ソロ『Home Sweet Home』を出している。

2018-08-19 Sunrise / Same

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[] Sunrise / Same ( Crunch Records / 1974 ) 17:29

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プロデューサージョー・ヴェネリ(Joe Venneri)に引っかかって買ってみた一枚。1974年、CrunchというNYの知らないレーベル。正直ジノ・ヴァネリのキーボーディストのジョー・ヴァネリだと勘違いしていた。"ヴァネリ"ではなく当のジョー・"ヴェネリ"は「ライオンは寝ている」で知られるトーケンズのギタリストだった人のようだ。Crunchの旗揚げリリースは1973年のダニー&ザ・ジュニアーズの”At The Hop”のセルフ・リメイクの45回転だった模様。で、翌1974年にジョーがデビューさせた5人組がこのサンライズ。聴いてみて驚いた。時代としてはちょっと遅かったのだろうけれど、パワーのあるソフトロック〜MORな演奏と流麗なメロディ、全員で歌うコーラスがとにかく抜群で駄曲皆無。何よりリード・ボーカルのリック・ライデル(1979年にソロを出し、チャイ・ライツのシングルB面を書いている)の歌声がバリー・マニロウをさらに溌剌とさせたようで素晴らしい。”Doesn’t She”なんてのはアート・ガーファンクルの”Second Avenue”のような迫力。”Got To Find The Line”は大人が歌ったジャクソン5みたいな色でブルーアイド・ソウルAOR感覚も先取りしている。ジャズ・ヴォーカリーズのような”Moonlight And Memories”もシャレている。キーボードのロイ・ブレイヴァーマンは後にテレビ・映画音楽の世界で活躍し(http://www.bravermania.com/about.html)、ギターのウォルター・バーはジャズ・シーンで70年代後半から80年代前半にかけてMuseから3枚のリーダー作をリリース(ロイ・ブレイヴァーマンも参加)、そしてドラムスのポール・シュワルツはロサンゼルスのレコーディング・スタジオStudio56のオーナーになったようだ。こういうレコードがCD化されることはないだろう、たぶん。

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2018-08-07 スーパーバイザー・ツカモト・バンド / ひび割れた心には君のかんだ

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[] スーパーバイザー・ツカモト・バンド / ひび割れた心には君のかんだチューインガム( HANGER MAN RECORDS H-74099 / 1979 ) 17:45

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ガール・ポップ・シンガー須藤薫1980年CBSソニーからデビューする前に参加していた、シティ・ポップ系の自主盤(としばしば語られる)。全体的にサウンドのレベルが高く、トラックによってはジャケットからは想像できない驚愕の音。11曲中10曲を手がける主人公はつかもとひろあき。30代になった記念に自主制作した1枚であるようだ。1971年録音!という”白いヨット”、1977年録音のタイトル曲” ひび割れた心には君のかんだチューインガム”、そして”おじいちゃんの麦わら帽子”を除き、録音は1979年。フォーク風味のタイトルが共存しているのは、古い楽曲を含んでいるからか。GS風の”みどり色のマリー”なんてのも混じっていたり。

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そしてクレジットを見てその演奏の完成度に納得。スペクトラムに加入する奥慶一がキーボードを、「谷口雅洋」名義でCBSソニーからデビューする谷口守がベースを。

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そしてギターには小林泉美 & Flying Mimi Band、笹路正徳らとのマライアでも活躍した土方隆行が参加!笹路正徳といえばスピッツをブレイクさせたプロデューサーとしても有名だけれど、土方の方もその繋がりもあってかスピッツ空も飛べるはず」のプロデュースをやっていた。あとは大所帯バンドはにわオールスターズで知られる仙波清彦の名も。やっぱり注目してしまうのは須藤薫がメインボーカルを務める”レイニーデイ ブルース”と、”そっと、海へ”(井上昇の曲)。鈴のようなエヴァーグリーンな歌声。この歌声がもう生では聴けないと思うと…。ボッサ歌謡テイストの”そっと、海へ”が秀逸。

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つかもとひろあきは作詞家として、CBSソニーから1984年にデビューした爆風スランプに”東京アンギラス”、”うわさに、なりたい”を提供。確かめてみると、爆風スランプのアルバム『よい』にもクレジットされていた。あ、手元にある『よい』、落書きのようなサンプラザ中野くんのサインも入っていた。

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その後のつかもとはNHKみんなのうた」の童謡やCMソングを手がけることになる。

2018-08-04 Graham Nash / Over The Years…

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[] Graham Nash / Over The Years… ( Atlantic/Rhino / 2018 ) 10:44

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なぜこのタイミングになったのか、と思ったけれど、グレアム・ナッシュホリーズを脱退した1968年から今年で50年だった!まさに長きに亘る”Over The Years”なキャリアを総括した2枚組ベスト盤。しかし既に2009年、Atlantic/Rhinoから未発表テイク・ミックス・曲を含む3枚組の決定的アンソロジーホリーズ時代含む)が出ていた(『Reflections』)。

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今回の2枚組は、そのアンソロジーからは除かれていた(別で出すつもりだったのだろう)CSN・ソロ初期・クロスビー&ナッシュ時代(1968〜80年)のデモを収めたDisc Two「THE DEMOS」(3曲除く12曲が初出)が目玉になっている。とはいえ、基本的にはホリーズ以降のキャリアを総括するナッシュ曲のベストDisc One「The Songs」を楽しみたい。何といっても曲がキャッチーで良い。CSNで一番初めに好きになったのはナッシュだったりする(そこからスティルスに行き、最後はクロスビーに行った)。ジェリー・ガルシアのペダルスティールが印象的な”I Used To Be A King ”は、オリジナルのグリン・ジョンズ・ミックスでも、『Reflections』収録のナサニエル・カンケルの2002年ミックスでもない、1971年ナッシュとラリー・コックスによる生のままのミックスを採用するという微妙なこだわりも(もう1曲"Better Days"が未発表ミックス)。リタ・クーリッジらのソウルフルなコーラス隊を強調させるミックスのテイクもあって、なにやら今っぽい。音の粒を揃えていて、ラスト2016年(録音は2014年)の”Myself At last”まで通して聴いて全く違和感がない。80年代のシンセ多用のトラックを意識的に取り除いているからかも(本人も余り気に入っていない??)。

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そしてDisc Two「THE DEMOS」はホリーズで拒否された”Marrakesh Express”のロンドンアパートメントでのラフなデモからスタート。このデモの出来にガッカリしている人もいるようだけれど、そもそも一般的にデモには色んな種類がある。自宅のテレコで録ったようなラフな弾き語り(詩も出来ていないような)に始まり、スタジオで録音前に仕上がりを確かめる(あるいは参加ミュージシャンを吟味する)、それなりにカチっとしたデモもある。これは前者。ワタシはむしろこういうのが聴きたかった。かつて聴きまくったCSNの4枚組ボックスが初出の未発表曲”Horses Through A Rainstorm”(テリー・リードとの共作)もロンドンでの弾き語りヴァージョンで。”Teach Your Children”やOur House”もあるけれど、ビートルズアンソロジーというよりはジョン・レノンアンソロジーような仕上がりかと。”Pre-Road Downs”は結構いい(よーく聴くとクリック音が聴こえる)。”個人的に嬉しかったのは、ドラッグでデヴィッド・クロスビーが機能しなかった時代の”Wasted On The Way”のギター弾き語りデモ。ここでは、CSNのオリジナルにも参加しているポコ〜イーグルスティモシー・B・シュミットが参加した、ティモシー、スティルスナッシュの3声ハモが楽しめる。最高!