いしうらまさゆき の『愛すべき音楽よ』(ブログ〜CD&レコードレビュー)

2017-11-27 Pastors / Same

markrock2017-11-27

[] Pastors / Same ( Alithia / 1973 ) 18:12



ソフトロックの有名盤とは言い難いけれど、かなり洗練された完成度の高い盤。楽曲、アレンジ、歌唱が揃えばこのクオリティになるけれど、それに加えてLPの音が音圧高めで熱い音なのがなおよい。

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この3人組の男性ボーカル・トリオ、パスターズだけれど、ジャケ記載のライナーを読むと、トニー・パスター(イタロ系アメリカ人のサックス奏者・ノベルティ歌手)の息子達であるようだ。ニュージャージーのマイナーなソウルレーベルAlithia Recordsからのリリース。Alithiaは調べてみると、私も好きな囚人ソウル・グループのエスコーツとか、バーバラ・ジーン・イングリッシュとか、その辺りのレコードをリリースしていた。



で、そこに白人2世トリオじゃあ分が悪いかと思いきや、黒っぽいノドをもったシンガーもおり、ソウルレーベルからのリリースというのもうなずけたり。ただ、基本的には流麗なアレンジによるソフト・ロック作。1973年というソフトロックにしてはちょっと遅いリリースも、カルト化した理由かな。しかしキャット・スティーブンス(今年9月に新作『The Laughing Appleをリリースした!)の”Wild World”をボッサにしたりと、ルー・トビーのアレンジが素晴らしい。他にもポール・ヴァンス作、トーケンズが演っている”She Let’s Her Hair Down”、ランバート・ポッターの2曲、極めつけはポール・ウィリアムズロジャー・ニコルズ黄金コンビでモンキーズも演った”Someday Man”の最高のヴァージョンを収録。あとはアメリカ(ジェリー・ベックリー)の”I Need You”とムーディー・ブルースの” Isn't Life Strange”、ニルソン(ピート・ハム&トム・エヴァンス)の”Without You”をメドレーで繋げるというウルトラCも!

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2017-11-26 A Tribute To Dan Folgelberg

markrock2017-11-26

[] A Tribute To Dan Folgelberg(Full Moon / 2017 ) 12:37


気付けば今年もあと2ヶ月を切りまして…何とも早い。11月はじめは私がパーソナリティを務める明月堂書店プレゼンツ、極北ラジオ石浦昌之の哲学するタネ」第2回の放送がありました。弾き語りコーナーなど音楽も満載の哲学トーク45分、今後の放送・アーカイブもチェックして頂ければ幸いです!

アーカイブ放送

https://www.farnorthnetwork.com/ishiura

テキスト

https://note.mu/markfolky/n/ne8ebae541e46

(第3回は12月8日(金)24:00配信開始です!)

さて、またしても久々の更新で。引越しとかですね、色々バタバタしてまして。ただ、レコ買いの方は相変わらずで。普段行かない町の中古屋に出張して色々物色したりとか、ネットとか。一昨日は東京近郊の複数の中古屋で私の過去のアルバムの幾つかが売られているのを見て萎えたり。売っちゃダメですよ(笑)。

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さて、本日アマゾンから到着したのは米イリノイの英雄、ダン・フォーゲルバーグトリビュート作。コレ、前立腺がんによる早すぎるダンの死から、リリースまでには相当紆余曲折があったみたい(詳しくは→https://www.danfogelberg.com/thetributestories.htmlを参照)。ダンジョージ・ハリソンファンで、その2003年のトリビュート・コンサートを気に入っていたらしい。その後、自らの病気が発覚し、2007年に56歳の若さで惜しまれながら逝去。彼のトリビュートをジョージにならって執り行おう…というのは自然な流れだったようだ。画家でミュージシャンの妻ジャン・フォーゲルバーグ(ジャン・メイヤー名義でテンプテーションズの”Power”を書いている)がダンの片腕でもあったノーバート・パットナム、アービング・エイゾフらの協力を得て、ゆかりのミュージシャンとの交渉に東奔西走、やっとのことでトリビュート・コンサートの実現&トリビュート盤の完成と相成ったらしい。



気が付けば凄まじい参加陣。ここ10年ぐらいのトリビュート系アルバムでも指折りの出来ではないかな。だって、グレン・フライ死後では初めてとなるイーグルス名義(ダンのオリジナルのプロデュースを務めていたジョー・ウォルシュ主導)による新録(録音自体は2015年)”Part Of the Plan”(オリジナルはグレアム・ナッシュのコーラスが気持ちよかった!)、ボズ・スキャッグスの”Hard To Say”(ベースは元TOTOデヴィッド・ハンゲイト)、エイミー・グラント&ヴィンス・ギルによる世紀の名曲”Longer”(クリス・ボッティも加わって)、ガース・ブルックス&トリーシャ・イヤウッドの”Phoenix”(ガースはダンのボーカルに似せていて、愛を感じる)、他にもジミー・バフェットマック・マクナリーのプロデュース)、ニッティ・グリッティ・ダート・バンドwithリッチー・フューレイ!、ケイシー・ジェイムスバーゲン・ホワイトとジム・フォトグロがコーラス参加)、ザック・ブラウンだとか、もう間違いない作りです。トレイン(Train)なんかが参加しているのもいい。”Drift Away”などで知られるドビー・グレイ(デニー・ヘンソンの息子でプロデューサーのジョシュ・ヘンソンの縁で参加)の”Don’t Lose Heart”なんてのも何気なく聴いてたら落涙してまいました…参ってしまいます。ウェスト・コースト系のカントリー・ロックなんかがお好きな方には鉄板の布陣でしょう。

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あとは同じくがんで急逝したドナ・サマーが歌う”Nether Lands”はダン・フォーゲルバーグ自身の繊細なピアノを生かし、オーケストレーションを加えたという絶唱テイク。ドナ自身がカバーを希望したらしく、高めのキーをもろともせずに歌い上げたという。素晴らしかった。

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そしてそして、個人的に「待ってました!」となったのはダン・フォーゲルバーグのバックバンド、フールズ・ゴールド(ダンのバックバンド時代のライブ映像はYouTubeにも落ちています)の再結成レコーディング。デニー・ハンソンとトム・ケリーの二人が一同に会したわけですよ。そしてフールズ・ゴールドのファースト収録でダン作の”Old Tennessee”を再演するという粋な演出で。トム・ケリーはご存知の通り、後にマドンナの”Like A Virgin”やシンディ・ローパーの”True Colors”、ハートの”Alone”やバングルスの"Eternal Flame"なんかをビリー・スタインバーグと共に書いて、ヒット・ソングライターの仲間入りをした人。TOTOの初期ツアーにギター&ボーカルとして参加したりと、そのハイトーン・ボイスがAORファンにも人気があるのだけれど、近年は音楽業界に疲れたのか完全リタイア・悠々自適生活をしていると聞いていた。個人的はトム・ケリーのデモなんかを集めているくらい、彼のボーカルのファンなので、ニュー・レコーディングを聴けるのが夢のよう。

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ちなみにデニー・ハンセン&トム・ケリーフールズ・ゴールド結成以前に組んでいたバンドでレコードになっているのはエレクトラからゲイリー・アッシャーのプロデュースで出したザ・ギルド(The Guild)というバンドの1972年のシングル(A面はキャロル・キング&トニ・スターン、B面はマーリーン・グリーン&ウェイン・パーキンスの曲)。このレコーディングにトムが参加しているかは微妙なのだけれど、ゲイリー・アッシャーとの縁は続いていたようで、1984年にゲイリーのプロジェクト、セレスティウムのボーカルとしてトムが抜擢されたこともあった(アルバムSanctuaryを残している)。

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で、ザ・ギルドのメンバーだったこともあるのが、あまり語られないけれど、後にドゥービー・ブラザーズに入ることになるマイケル・マクドナルドだった(マイケルとデニー・ハンセンは幼馴染みの関係)。マイケルがボーカルを務めた時代のThe Guildの音源はネットで探せばすぐ出てくるけれど、むっちゃ黒っぽい(ちなみにトム参加時代は、そのハイトーンを生かしたビーチ・ボーイズ・メドレーなんかを演っていて、それも本家に迫るクオリティ!)。

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そのマイケル・マクドナルドもこのダントリビュート作で”Better Change”を歌っている。コレ、ちょっと前のレコーディングのようだけれど、高音のシャウトが、最近出た新作(これまた高内容ではあったけれど)よりも、正直力の入った歌唱でありまして。一言で言って、素晴らしかった。

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それにしても圧倒されたのは、ダン・フォーゲルバーグのソングライティングの巧みさ。繊細な歌詞、胸を打つシンプルな様で転調を駆使した練られたメロディと。本家のダンレコードも取り出しつつ、改めて彼の音楽に浸ろうか…。

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2017-11-02 うみつき / グレープフルーツ

markrock2017-11-02

[] うみつき / グレープフルーツ(2017) 10:31

僕の4枚のアルバムジャケットを作ってくれたダニエル・クオン君(noi kwon−「ノイ・クオン」と名前を変えているけれど…)、今回はデュオ「うみつき」名義で日本語による楽曲をリリース。故・遠藤賢司に捧げた「グレープフルーツ」は初期松本隆を思わせる出色の仕上がり!購入がアルバム発売に繋がるとのこと。

https://umitsuki.bandcamp.com/track/-

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2017-10-22 Colours / Same

markrock2017-10-22

[] Colours / Same(Dot Records / 1968) 16:18

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さて、今日は60年代後半の超良質なサイケデリック・ポップの名盤を。大好きなColoursのファースト『Colours』。Coloursはデレク&ザ・ドミノスのカール・レイドルがいた…と語られることが多いのだけれど、その中心はゲイリー・モンゴメリー&ジャック・ダルトンというソングライター・コンビ。タートルズの”Makin' My Mind Up”なんかを作ったコンビですよ。ダルトン・ボーイズ名義でモータウンでキャッチーなシングルも出している。



で、アルバムを聞いていくと、ポール・マッカートニーブライアン・ウィルソンといったら言い過ぎかもしれないけれど、実に器用なソングライティング。ソフトロックとして十分聴けるコーラス。ストリングスやホーンも入って。サージェントな、ビートレスク・サウンドなんだけれど、マネとかじゃなくて筋が良いんですよね。

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プロデュースはダニエル(ダニー)・ムーア!(&リチャード・デルヴィー)と聞いて思い出すのは、ダニエルの弟マシューによるバンド・The Moon。このThe Moonも兄ダニエル・ムーアのプロダクションで。ビーチ・ボーイズに途中加入していたギタリストのデヴィッド・マークスも在籍。マシュー・ムーアはビーチ・ボーイズカリブーレコードからソロを出していた。で、このThe Moonの1969年セカンドにもサンクス・クレジットから想像するに、Coloursのゲイリー・モンゴメリー&ジャック・ダルトンが参加している模様。そしてジム・ケルトナーの名前も!マシュー・ムーアのテイストによるせいかThe Moonの方がスワンピーではあるけれど、Coloursと同時代産・親戚筋のポップ・サウンドだと感じられる。でも、それもそのはず。Coloursの1969年セカンド『Atmosphere』にはデヴィッド・マークスが参加していたのだった。

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ちなみにソフトロックのリイシューで有名なNOW SOUNDSより2008年にColoursのファースト&セカンドボーナストラック含め28曲入でCD化されている(『Love Heals :The Complete Recordings』)。リマスタリングされた音は結構良かった。

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2017-10-20 仲井戸麗市 / 雨あがりの夜空に

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[] 仲井戸麗市 / 雨あがりの夜空に(Mastard Records / 2017) 23:54


先日告知いたしました、不肖私がパーソナリティを務める明月堂書店プレゼンツ、極北ラジオの新番組「石浦昌之の哲学するタネ」ですが、リアルタイムで300人を超える方にお聞き頂くことができました。お便りも沢山頂き、本当にありがたい限りです…弾き語りコーナーも交えつつ、哲学のイントロダクションから始めたところです。私が今まで拘ってきたフォーク・ミュージックと哲学はカナリ親和性が高いと思うのですが、いかがでしたでしょうか?!アーカイブ+テキストは下記のリンクからも確認できます。

http://meigetu.net/?p=6311

(第2回は11月10日(金)24:00配信開始です!)

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さて、本日は仲井戸麗市・チャボさんのセルフカバー・45回転シングル盤「雨あがりの夜空に」を!HMVレコード・ショップが関わったシングル盤だけれど、私は芽瑠璃堂さんで予約して購入。オリジナルのジャケット・デザインを流用。うーん、感無量といいますか、最大限のキヨシローレスペクトを感じる、ライブ感溢れる、それでいてオリジナルに忠実なカバー。チャボさんはライブで聴く以上にキヨシローの歌い回しを結構再現している箇所もあり、泣けてくる。無限リピートしてます。結構何度も針を落とすのは大変だけど、それがまた久々で、いい。そういえば今年6月、キヨシローと交流のあったワタナベイビー小宮山雄飛のホフ・ディランもチャボさんをゲストに加えて「雨あがり〜」をレコーディングし、45回転シングル盤でリリースしていた。それもとても良かったけれど、マサカの真打登場という感じで。

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ディレクターの求めで直した歌詞「ジンライムのようなお月様」(「お月サマー!!」と絶叫するチャボさん最高…)とオリジナルの歌詞「早く来いよと俺達を呼んでる」…どちらも歌われているのも感慨深い。私が生まれた数か月後、1980年1月のリリースですから、37年ぶりのカバーということになる。このシングル盤はチャボさん67歳(もうそんな御歳に!)の誕生日を祝した10月の野音ライブで早速売られたようだ。

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「雨あがり〜」は古井戸にケリをつける解散ライブを承諾したチャボさんが、RCサクセションでブレイクするキッカケにもなった曲。モット・ザ・フープルなんて今さら持ち出すべくも無く、もはや日本のロック・クラシックですよね。1980年というのがフォークとロックの分水嶺。フォークのチャボさんがロックのビートを得ることができた、というのは、今にして思えばなんてことないのかもしれないけれど、革命的なことだった。私は1979年生まれだから、まだフォークの域を出られないのかも(笑)。「下ネタ」などと野暮なことを言う人がいるけれど、ブルーズの性的隠喩伝統をちゃんと咀嚼できていた日本のロックは多いようで少なかったことを思い出してみる必要があります。今回も鉄壁のチャボ・バンドのメンバー+梅津和時&片山広明という付け入る隙のない布陣。ちょっともたったようなキースばりのストローク・リフにバンドがついて来るスリリングさといったら…ゴキゲンすぎるロック・サウンド!B面はインストカラオケ)なんですが、コーラスにチャボさんの声も聞こえますし、セーノのライブ感があるようで、緻密に録られているのかな(当たり前か)。Dr.Kyonのロールするピアノもいいです。

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忌野清志郎というと、チャボのかつての相棒・古井戸加奈崎芳太郎との対バンライブの打ち上げで握手してもらった…というのが今思えば私の信じられない思い出。あの時は清志郎さんも加奈崎さんも、隣同士でずっと談笑していた。1995年、竹中直人主演の映画『119』サントラも彼ら二人で作ったのだった。何だか色んなことを思い出しつつ、「雨あがり〜」を聴いている。

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2017-10-10 Stills & Collins

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[] Stills & Collins『Everybody Knows』 (Wildflower Records / 2017) 21:30

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とうとう出ました。スティーヴン・スティルスとかつての恋人「青い眼のジュディ」ことジュディ・コリンズとの共演盤、Stills & Collinsの『Everybody Knows』https://www.stephenstillsjudycollins.com/)。驚くほど素晴らしい出来でした。初期スティルスを思わせるフォーキーでシックスティーズな音が詰まっている。近年は歳のせいか粗さも目立ったスティルスだけれど、グラミーへのノミネートなど円熟の極みを迎えているジュディの滑らかな美声とミックスされて、悪いわけが無い。



私はPledge Musicで購入。このPledge Music(https://www.pledgemusic.com/)、いわゆるクラウドファウンディング手法で、発売前から購入希望者を募り、数が集まったら配送するというスタイル。アメリカイギリスなんかではLPはともかくCDはほとんど売れませんから、サイン入やグッズ、ダウンロード・コードをバンドルする形でフィジカルなブツを売るんですね。Pledge Musicはここのところベテランだとマイケル・マクドナルド、マーク・コーン、ボブ・ディランクリス・クリストファーソン、チープ・トリック、日本のエックス・ジャパン、ルシンダ・ウィリアムスシャナイア・トウェインブラック・サバスヤードバーズ…なんかが参入。ヤードバーズなんかはステージでの共演権、ホーム・コンサート権なんかも売っている。15万以上しますが…

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私は送料のこともあるのでLPはやめてサイン入CDにしたけれど(ちなみに通常版はアマゾンなどでも普通に買えます)、余りに完成度が高かったので、LPにすればよかったな、と激しく後悔。楽曲は新曲で構成されているわけではなく、二人にちなんだ旧曲やフォーク・クラシックで構成。別々のキャリアを歩んだ二人が急に共演しよう、と言いましてもムズカシイでしょうから、これがやりやすかったんだと思う。1曲目がトラベリング・ウィルベリーズの”Handle With Care”だったのが、何だかトム・ペティトリビュートのようで、タイムリーに聴こえてしまって。この1曲はミーハーにスティルスが演りたかったんだろうな。どうせならウィルベリーズに入れて欲しかった、くらい当時思ってたんじゃないかと。想像だけれど。

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他にはCSN時代からの楽曲でマナサスでレコーディングされた”So Begins The Task”(スティルスとジュディの別れの歌…)、レナード・コーエンの”Everybody Knows”、ティム・ハーディンの”Reason To Believe“、スティルスがライブで取り上げていたボブ・ディランの”Girl From The North Country”、そしてスティルスが参加した1968年のジュディ・コリンズのアルバム(このアルバムのプロデューサー、故デビッド・アンダーレに本盤は捧げられている)のタイトル曲でもあったサンディデニーの”Who Knows Where The Time Goes”。そのコリンズの『Who Knows Where The Time Goes』にもレナード・コーエンやディランが取り上げられていたことからすると、共演第2弾、という位置づけなのかな。さらに、ジュディのオリジナル新曲”River Of Gold”も見事な出来だった。

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そして、グッときたのはスティルスの未発表デモ集『Just Roll Tape: April 26th 1968』に入っていた”Judy”。なんだかバッファローとCSNの狭間の、あの時代のスティルスに戻ったようで。さらにはバッファロースプリングフィールド時代の”Questions”まで演っちゃうんだから。CSN&Yでは”Carry On”とメドレーで料理されていました。

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ジャケの雰囲気は”Who Knows Where The Time Goes”に引きずられてかブリティッシュ・トラッド風でもあり。全曲視聴はコリンズのsoundcloudにて可能!スティルスが唄とエレキだけでアコギはなしだったのがちょっと残念だったけれど、近年の傾向を見る限り致し方なし。2人のツアーもあるようなので、観て見たいなぁ。なんとCSNのステージでは高音がキツイためオミットされている"Suite: Judy Blue Eyes(青い眼のジュディ)"も二人で演っているみたい。

https://soundcloud.com/judy-collins-music/sets/everybody-knows-stills-collins



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https://www.farnorthnetwork.com/ishiura

2017-10-07 極北ラジオ第2弾 石浦昌之の「哲学するタネ」

markrock2017-10-07

[] 極北ラジオ第2弾 石浦昌之の「哲学するタネ」 11:53

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告知です。明月堂書店が運営するツイキャスを使ったインターネットラジオ、極北ラジオhttp://twitcasting.tv/farnorthnetwork)で新番組・わたくし石浦昌之の「哲学するタネ」がスタートします。ツイキャスアプリダウンロードすれば聞けます。



石浦昌之の「哲学するタネ」

https://www.farnorthnetwork.com/ishiura

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初回は今週末、10月13日(金)24時、日本初の出版社が運営するインターネット深夜放送というのが売りですので、時間をお間違えなきよう…初回はイントロダクションで45分の放送です。「哲学する」ための必要最小限の基本知識を「タネ」と呼びまして、混迷の時代にあって、答えのない問いに答えを求め続けるためのタネ蒔きをしようじゃないか、というのが、この番組のコンセプト。とはいえ哲学一色ではなく、毎回弾き語りコーナーも交えつつ、アルバムからの楽曲もフルサイズでお届けするなど音楽も満載の予定です。ちなみに極北ラジオ第1弾は近畿大学講師の社会学者・竹村洋介さんの「夜をぶっ飛ばせ!」。先週はポストパンクの特集でした。



放送後にはアーカイブ音源とテキストを公開する予定です。何卒よろしくお願いいたします!

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2017-10-04 George Deffet / No Guts…No Glory!

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[] George Deffet / No Guts…No Glory! (GRR Music GRR-LP-2005 / 1978) 00:58

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昨日グレン・キャンベルのことを書いた後、棚を見ていたら見つかった盤。すっかり存在を忘れていた。グレン(歌手)、ジミー・ウェッブ(作曲家)とアル・デ・ローリー(編曲家)というのが、いわば坂本九における六・八・九コンビ(永六輔中村八大)みたいなものだった。この盤はレッキングクルーピアニストだった、そのアル・デ・ローリーのプロデュース盤。70年代後半といえばレッキングクルー組も世代交代で流石に落ち目だったわけだけれど、メロウなディスコAORに挑んだ本盤はオハイオのローカル・レーベル産ながら、腐ってもアル・デ・ローリー!優れた仕上がりで。レコーディングはカリフォルニアスペクトラム・スタジオ、そしてカリフォルニアバーバンクワーナー・スタジオが使われており、ミックスではあのゴールド・スター・スタジオも使われている。



そもそもリリースのGRRミュージック、このジョージ・デフェの盤しかリリースしていない模様。ローカル歌手(あるいは俳優かも)のジョージ・デフェにとってコレが唯一のアルバムで、そこからは3枚シングルが切られている。アル・デ・ロリーとジョージ・デフェの共作”European Nights(Nothin’ Fits Me Like You,Babe)”は洗練されたごきげんなディスコ・サウンド。ジョージは軽みのあるホワイト・ソウルを聴かせてくれる。イーヴィ・ザンズの”Love Makin’ Love To You”も良い時期のシカゴ(ロバート・ラムもの)を聴いているような気分にさせてくれて。この曲はイーヴィの1975年『Estate Of Mind』(デニス・ランバート&ブライアン・ポッターのプロデュース)に収録されていた。

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ビリー・ジョエルの”New York State Of Mind”やラスカルズの”Girl Like You”のカバーもあって、後者は思ったよりも溌剌とした若々しさがあった。このジョージさん、ジャケ写を見る限りでは若造りをしているけれど、当時でもソコソコ御歳を召していらっしゃるような。そしてそう、私が引っかかったのはグレン・キャンベルの座付き作家と言ってもよいジミー・ウェッブの”Where The Universes Are”がB面最後に収録されていること。ジミーの1977年のソロ『El Mirage』のB面1曲目を飾っていた壮大なバラード。『El Mirage』の方は、流石のウェッブもソロで売れたい気持ちが逸り、ビートルズアメリカを手がけたジョージ・マーティンにプロデュースを依頼。だから、ここにアル・デ・ローリーの本気を見るんですよね。オレならこんな風にアレンジできるよ…って。何と言っても弦のアレンジだけで往年のグレン・キャンベルの"Wichita Lineman"や"By The Time I Get To Phoenix"を彷彿とさせてくれるんですから。

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参加セッションメンではジミー・ウェッブのソロにも参加していたフレッド・タケットの名前も。アルバム・タイトルはNo Guts…No Glory! だなんて、ちょっと脳天気でお茶目な感じもするけれど。

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2017-10-03 追悼トム・ペティ

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[] 追悼トム・ペティ 00:24

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トム・ペティが亡くなったとの報。にわかに信じ難くて。だまされた人も多かったウィリーネルソン死亡説みたいに、デマであってくれればいいのにと思った。ただでさえウォルター・ベッカーやグレン・キャンベルとか、大好きなミュージシャンの訃報が相次ぐ中で。今月67歳の誕生日を迎える間もなくペティまでもが亡くなくなってしまったなんて…まだ若かったのに。矢野顕子さんのこんなツイートを読んで、本当だったと確信した。


「先ほどツイートしたTom Pettyが亡くなったの報。私がツイートした時点で確実なソースからではなかったので消しましたが、今さっきハートブレイカーズでドラマーを長いことやっていたスティーヴフェロウニから、トム亡くなったよ、と。。。」



矢野顕子1976年のファースト『Japanese Girlあがた森魚『日本少年』に呼応したものだと聞いていたけれど、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズセカンド・シングル”American Girl”が念頭にあったのかな、なんて一瞬思って調べてみたけれど、レコーディングされたのは矢野顕子のアルバムの方が4ヶ月くらい早かった。でも同年のデビュー、同期なのでした。

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トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのデビュー盤はシェルターレーベルデニー・コーデルのプロデュースだから、王道スワンプ・ロックの末席に位置していたことになる。そりゃあ新世代のアメリカン・ロックの牽引役になったわけだ。とはいえ当然ブリティッシュ・インベイジョンも通っていて、サンダークラップ・ニューマンの”Something in the Air”のカバーもハマっていた。だから、トラベリング・ウィルベリーズジョージ・ハリスンと共演できたのは嬉しかったろうな、と思う。ウィルベリーズや、ザ・バンドを超える程の迫力だったハートブレイカーズとの共演ツアーではボブ・ディラン傀儡に思えるくらいで、フォーク・ロックのスタイルを継承する立ち位置も伝わった。ディランといえば、正統ディラン・フォロワーザ・バーズのロジャー・マッギン自身がペティの”American Girl”をカバーしているんですよね。先輩が後輩にお手本を見せているような奇跡の交歓だと思えたり。1991年『Into The Great Wide Open』ではロジャーがコーラスでゲスト参加していたり。バーズといえば今年出たばかりのクリス・ヒルマンの新作『Bidin’ My Time』トム・ペティがプロデュースしていたのも記憶に新しかったのに。

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個人的には2015年のアルバムに入れた”なんでこんな目にあわなくちゃならないんだ”という曲が「ジェフ・リンがプロデュースしたトム・ペティトリビュート」だったのでした。伝わらないマニアックさですみません。リアルタイムでいうと1994年のアメリカーナの先駆のようなソロ大名盤『Wildflowers』、そしてウィルベリーズの続編の趣の1989年の『Full Moon Fever』は特によく聴きました。しゃくりあげるような粘っこい味なボーカルとシンプルだけれど巧みなソングライティングが何と言っても魅力で。『Full Moon Fever』では”Free Fallin’”と”I Won’t Back Down”ですよね。”I Won’t Back Down”は9.11テロの追悼ライブで歌われ、「オレは打ち負かされない」…ってフレーズがなんか愛国的に聴こえてちょっと物騒に思えたのを思い出す。2014年イギリスSSWサム・スミスが”Stay With Me”を世界的な特大ヒットにしたけれど、明らかに”I Won’t Back Down”のサビと同じメロディでした。

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あとは2009年に出た4枚組のハートブレイカーズ時代の48曲入『The Live Anthology』が音も良く、愛聴しました。前身マッドクラッチ時代の音源も含む6枚組ボックス『Playback』も好編集盤で必聴だと思う。『Hard Promises』の1曲目”The Waiting”なんかも初めて聴いたときの感動は忘れられない。リンダ・ロンシュタットのカバーもとても良かった。

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うーん、5人のうち右から3人がもうこの世にいないだなんて…

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http://www.tompetty.com/

2017-09-13 The Jimmy Wisner Sound featuring Love Theme from “Romeo and Jul

markrock2017-09-13

[] The Jimmy Wisner Sound featuring Love Theme from “Romeo and Juliet”(Columbia CS9837 / 1969) 00:56


しばらくブログもご無沙汰でした。一度遠のくとダメですね。レコへの情熱は消えない日々なんですが(笑)。この夏後半はレコ整理作業に格闘しまして。100円ショップで木材を買ってきてラックを作ったり、恒例だけれどイマイチ効果が目に見えない処分も多少は。壁一面360度収納からはみ出た60箱以上のレコをいかに収納するか、という不可避の作業に直面し、マコトに救いがたいヴァイナル・ジャンキーになってしまったことを痛感した次第です。



でもジャンキーといえば、めくるめくネットの記事、とりわけSNSやそこからリンクされるニュースサイトを誘われるがままに読んでいると、本当にアタマがクラクラしてくる。でも気が付くと1時間ぐらい経っていたりして、完全に時間泥棒。クラクラする理由の1つは情報過多だということ。そしてもう1つは情報過多なように見えて、実はごく限られたツマラヌ情報しか掴まされていないということ。我々は欲望を刺激され、情報を追いかけまわし、カネを落とすジャンキーにさせられているのかも。ネットニュースはほぼ釣り記事ばかりだし。これこそが東浩紀が2001年に予見した“動物化するポストモダン”なんでしょうか。「動物化」とは「欠乏―満足」という欲求欲望は欠乏が満たされても消えません)の回路――「冷静な判断力に基づく知的な鑑賞者(意識的な人間)とも、フェティッシュに耽溺する性的な主体(無意識的な人間)とも異なり、もっと単純かつ即物的に、薬物依存者の行動原理に近い」…と、かの本にはありました。



音楽に関する情報も、ネットを彷徨っているばかりではココのところ不発。新譜もつまらないアマゾンのレビューなんぞを読んでいるだけで逆に聴く気が失せてしまったり。さらには、こんなことを言ったら怒られるけれど、雑誌の記事も一様につまらなくなってきたのはなぜだろう。最近のギターマガジンなんかは何気に頑張っていたりもするけれど。かつてのネット不在の時代にあっては、情報の希少性が雑誌の価値を支えていたから?でもそんな時、昔の音楽雑誌や本を読むと、良い書き手の熱のある文章に出会えるんですよね。あるいはネット創生期の個人ホームページ遺跡みたいなやつを見つけて読むと、ファンジンの熱さがあったりして。つまりネット上の雑多な記事というのは、YouTubeで素人の下手くそなカバーを聞かされているようなものなのだと思う。表現が万人に平等に開かれた分、全体的なクオリティは上がっているようで、平均すると下がっているということかもしれない。

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そんなことをゴチャゴチャ考えていると、ますますブログからは遠のいていくという(笑)。さて、今日のBGMは名アレンジャー、ジミー・ワイズナーの「The Jimmy Wisner Sound」名義での1969年のソフトロック作。この時点でのアレンジャーとしてのミリオンセラーはレン・バリーの”1-2-3”、トミー・ジェイムス&ザ・ションデルスの”I Think We’re Alone Now”にカウシルズの”The Rain,the Park and Other Things”。ソフトロックだとアンダース&ポンシアのトレイドウィンズやイノセンス、そしてスパンキー&アワ・ギャングなんかも手がけていた。こういうイージー・リスニング風味の盤はインストが多いけれど、こちらは時代を反映してボーカル入りの楽曲もある。特にジミー・ウェッブの”Didn’t We”がリチャード・ハリスのヴァージョンを下敷きにした素晴らしい仕上がり。本分のジャズのテイストも含ませつつ、ゴージャスなサウンドメイキングで。フォーラッズの"No, Not Much"のソフトロック版もとろけるような仕上がりで。S&Gの”Mrs.Robinson”は楽曲のR&Bっぽさを取り出した激ヒップなアレンジで料理されており、なんだか小西康陽モノみたいに聴こえる。S&Gといえば同じコロンビアのリリースで、S&Gのプロデューサーだったロイ・ハリー(ロイ・ヘイリー)がエンジニアの一人を務めている。2eyes 360 SOUNDのオリジナル盤だけど、コレはむしろセカンド・プレス以降は存在しないんじゃないかな(売れていないはずだから)。これがミレニウムBeginだったらいいのにな、と思ったりもするけれど。

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2017-07-31 フォーエバー・ケメ(佐藤公彦)

markrock2017-07-31

[] フォーエバー・ケメ(佐藤公彦00:59


フォーク歌手のケメこと佐藤公彦さんが65歳で亡くなったとの報。ヤフーのトップニュースで知ることになるとは…。6月のことだったそうですが、ご遺族を慮って公表はこのタイミングだったとのこと。結構ショックでした。

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個人的にはよしだたくろう吉田拓郎)と並ぶエレックレコードアイドルという印象。まさにフォーク全盛期の人ですよね。同じくエレック所属だった古井戸加奈崎芳太郎さんから以前聞いたことがある。地方巡業であるところの「唄の市」で野次られたケメさん、ナヨっとした女性的な印象の方だけれど、結構怒ると凄くて、泣いて大暴れしたらしく、後ろから羽交い絞めにしてステージ袖に連れ帰った…というびっくりのエピソード



ところで僕のファースト・ミニ・アルバム『蒼い蜜柑』はケメさんがいたピピ&コットの金谷あつしさんのプロデュースだった(同じくエレックの竜とかおるの佐藤龍一さんにアレンジしてもらったりと、愛しのエレックに送るオマージュ盤、のイメージだったのです)。レコーディングの時に金谷さんからケメさんの近況を伺った。その時の話だと、テレビに出るのも金谷さんが一緒じゃないとダメ、という感じらしかった。ニッポン放送の番組・あおい君と佐藤クンで一世を風靡し、フォーク歌手のほとんどがそうだったけれど、1980年代に入って不遇の時代を過ごし、ケメさんのレコードは2009年まで32年も出なかった。泉谷さんとかチャボさんとかチャーといったエレック勢とは対照的に。天国と地獄という感じだったのではないだろうか。2000年代にはMyspaceという音楽サイトで繋がっていたのだけれど(https://myspace.com/satokimihiko)、結局お会いできずじまいだったのは悔やまれてならない。

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でも、ライブは観ました。2009年に九段会館でやった唄の市。見かけはおじいちゃんになってしまった印象だったけれど”さみだれ 五月よ くるがよい…”と「通りゃんせ」を歌うその声が、驚くほどに変わらなくて、とても不思議な感じがしたのだった。ケメさんは永遠のアマチュアリズムを持ち続けていたのかもしれない。普通の人なら年を重ねれば失われてしまうイノセンスがそこにはあって。終演後の会場で音楽評論家長谷川博一さんにお会いしたのだけれど、同じ様なことをおっしゃっていたのも印象に残っている。

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好きなアルバムを一枚、と言われると1972年のファースト『ケメ?=午後のふれあい』かな。当時フォーク・ファンは面食らっただろう、目くるめくソフトロック・アレンジによる「ぼくがここに居るからさ」に始まり、アルフィー坂崎氏がオーディションで歌ったという「メリーゴーランド」、古井戸っぽいフォーキーな「生活」もある(「僕の生活は よろこびの朝ごはんと 悩みの晩ごはん」という歌詞が好きだった)。もちろんヒットした「通りゃんせ」も。

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佐渡山豊生田敬太郎がゲストで加わった1973年『オンステージ第1集』、シングルヒットした「バイオリンのおけいこ」収録の4枚目『時が示すもの Keme VOL.4』、豪華セッションマンが参加し大塚まさじと歌う「やさしくうたって」も入った1975年遠乗りの果てに』なんかもよく聴いた。セカンド『Keme VOL.2 明日天気になあれ』も好きだったんだけど、レコードがどこかへ行ってしまって出て来ない。こういう時に限って、ね。

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2009年には32年ぶりのオリジナル・アルバム『ひとりからふたりへ』がリリースされ往年のファン歓喜させた(レビューは→http://d.hatena.ne.jp/markrock/20090707)、2010年にはピピ&チョコットwithまじ名義で、ピピ&コットのデビュー・シングルのタイトル(「捨ててはいけないよ 大切なものを」)を思わせるミニ・アルバム『捨ててはいないよ 大切なものを』をリリース。まさにケメさんのイノセンスを言い当てたタイトルだったと思う。その後自主制作盤も次々にリリースし、もうひと花…と期待していただけに、とても、とても、残念に思う。機会があれば、いつかケメさんの曲を歌ってみたいと思う。


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ハムハム 2017/08/07 21:59 はじまして。

佐藤公彦は不当に評価が低いですよね!

多作家であり、多岐に渡るジャンルを軽々とモノにし、フックの利いた飽きの来ない楽曲、
「その時代には聴けたけど、現代の耳では恥ずかしくて聴けない」などということはなく
普遍的な魅力があると思います。

1nd、2nd収録のハイテンション・ソフトロック路線とかは今聴いても痛快で興奮させられます。
最初は果たして聴けるかな?と食わず嫌いだった抒情フォーク路線や「通りゃんせ」シリーズさえ
よく聴くと、味わい深いです。
はっきり言って、天才だと思うんですが・・・。

URC勢を発端とした所謂フォーク・ブームと呼ばれる現象は
実は日本の「シンガーソングライター・ルネッサンス」だったのだとすると
佐藤公彦や斉藤哲夫はその中でも日本における「ポップ職人」の先駆けだと考えます。

今回の訃報に関しても、メディアも「通りゃんせ」とか
アイドル的人気があったとか、その程度の紹介止まり。
(単に記者が詳しくない〜興味がないという事でしょうけど)

昔、聴いてたと思しき人たちのコメントも、せいぜい
「昔、バイオリン〜メリーゴーランド〜通りゃんせ、聴いてた」とか
その程度の感想・・・あとはラジオ番組の思い出とか。

洋楽を通過したうえで、日本語ロック〜フォークを発見した耳にも聴きごたえのある、
レベルの高い仕事をしてると思うんですが、
なかなか(大々的な)再評価の火が点かないのがもどかしい。


もっと若者に影響力のある大物〜若手ミュージシャンとかが、佐藤公彦を発見して、
リスナーにアナウンスしてくれればいいのですが。
多作家であり、多岐に渡るジャンルを手がけている点が、紹介する際に
焦点が当てにくいのかもしれません。
まずソフトロック的(GAROや銀河鉄道のメンバーとも交流があったわけですし)な
切り口の紹介が、若いリスナーの耳を掴みやすいのではないかと睨んでます。

あとは、やはりフィリップ・レコード時代の作品のCD化が望まれます。
(このレコード会社は倒産したとかで、権利関係とかややこしいのかも知れませんが)
フィリップ・レコード時代の作品は、ひそかにブームの(?)シティーポップ的な曲や
スカみたいな曲もあり、かなり脂の乗ったポップな曲が揃っていると思います。
これから佐藤公彦を知ろうと言う人たちには、フィリップ・レコード時代の作品は
うってつけじゃないでしょうか。
こう書くと、嫌な言い方ですが、今回の残念な出来事が、再評価やフィッリプ・レコードCD化への
動きに繋がればと思うのですが・・・。

取り留めない長文を連ねまして、失礼しました。



レア音源がアップされてました

流星にのって
今日この頃(アコギ・バージョン)
浜なす恋歌(マンドリン・バージョン)
ねえ メロディ(アコギ・バージョン)
https://www.youtube.com/watch?v=HjJc4DRa9vs

流星にのって
悪夢
A氏への手紙
ねえ メロディ(アコギ・バージョン)
https://www.youtube.com/watch?v=Sp-a9lKVDG0

流星にのって
本当になっちゃったよ(?)
https://www.youtube.com/watch?v=QgusS2Zx0X4

ルピナ66の歌〜ケメ
https://www.youtube.com/watch?v=ge6YkS3RFsI

markrockmarkrock 2017/08/16 00:14 ハムさん


書き込みありがとうございます!気付くのが遅れてすみませんでした。。私もケメさんの評価が定まらないのをもどかしく思っていました。かなりの数のアルバムをリリースし、音楽性も多彩で、独自の世界観をもっていたと思います。ソフトロック的な楽曲は、当時アルバムを聴いて最も衝撃を受けた部分です。そのポップ感覚は斉藤哲夫やガロ、銀河鉄道…その辺りと並べても遜色ないと思います。ただ彼らと同様、余りにも早すぎたといいますか、同時代的に正当に評価されることはなかったんですよね…。


貴重音源のリンクありがとうございます!ラジオ音源でしょうか?聴いていると、若い頃のケメさんのはつらつとしたエネルギーや想像力を感じます。生で聴くことはできなくなってしまった、その伸びやかな歌声…もう、最高です。。


フィリップス時代は私も大好きです。この辺りも含めてコンピレーションがせめて2000年代に出ていれば、まだ評価は違ったのかもしれません。とはいえ、今後も新たな視点で注目されることはあり得ると思います。私も細々とですが、このブログなどで取り上げていきたいと思っております!

2017-07-29 松任谷正隆『夜の旅人』トークショー

markrock2017-07-29

[] 松任谷正隆『夜の旅人』トークショー 12:41


またまた更新がしばらく空いてしまった。それにしても今年はレコがカナリ増えている年。コレクターの人ならわかると思いますが、やばいな〜と思う感じの時ってありますでしょ。やりすぎてるな〜という。80年代もののオリジナル盤の買い直しを始めたのが主な理由。音が良いものもあったので、発見はおいおい紹介していくつもりです。



さて、先日は(横浜でのイベントぶりに)渋谷パイドパイパー・ハウスに行き、長門さんにご挨拶。たまたま僕のアルバムのジャケット・デザインを担当してくれているSSWダニエル・クオン君の話になったら、ダニエル君と長門さんはその日にメールでずっとやりとりしていたらしく…そういう有り得ない偶然が面白い。で、ユーミンの夫でもあるマンタこと松任谷正隆さんのトークショーが来週あるからもしよければ…と教えてもらったので、足を運んでみたというわけ。

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山下達郎大貫妙子村松邦男らが在籍していたシュガー・ベイブのマネージャーとして、旧パイドパイパー・ハウスでレコードを紹介する店長として、古くからの付き合いだという長門さんが相手だったからこそ、松任谷正隆さんの普段聞けないような70年代の貴重なお話が中心となった1時間あまり。お客さんも沢山。なんと大滝詠一さんが生きていたら69(ロック!)歳の誕生日の日だったのですね(布谷文夫さんのお話も出ましたが)。キャラメル・ママ時代、小坂忠さんのフォージョーハーフ時代のエピソードが楽しかった。能古島で行なわれたウッドストックの様な野外イベント、ピアノが無くてエレクトーンしかなかった、とか、夜とっても臭う”あるもの”の上で寝てしまい泣きながらシャツを洗った…とか凄まじいエピソードも。はっぴいえんどは免許取りたての長門さん運転自動車で遅れて到着したとか、そんな話を昨日のことのように。

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ユーミンの詩・ジャケットイラスト、松任谷正隆の唄・作編曲による1977年の唯一のソロアルバム『夜の旅人』、以前はご本人、再発を望んでいなかったそう。でも大貫さんと数日前のライブで「荒涼」など2曲を演ったとのことで、やっと客観的に受け入れられる作品になったのかも。なんと待望のソロ新作(2作目)のプリプロも始まっていて、2曲は素材が出来上がっているとのことだから、こちらも楽しみ。



僕は『夜の旅人』を90年代のCD再発で初めて買って、2015年長門さんが手がけた再発(ご本人はバーニー・グランドマンのリマスターを希望したけれど、予算面で叶わなかったとのこと、しかし素晴らしい音!)も今回手に入れた。「日本のニック・デカロ」というのは結構当たっている位置づけだと思うけれど、当時ニックは本人の意識になかったみたい。自分みたいな音楽オタクになってしまうと、分析的に聞くのがクセになっているから、「何々の影響で…」などと言いたがるのだけれど、たいがいミュージシャンに話を聞くと、結構感覚的に他人の音楽を吸収しているからか、他人からの影響は意識上になかったりする。あとはどうしても同じ方向を向いてしまう時代的共振というものもあるだろうし。ただ、フルムーン伊藤銀次さんから教えてもらったとか)やオハイオ・ノックス(カラミティ・ジェーンをかけていた)などは音楽的ルーツを明言しつつ曲をかけていたのが興味深かった。『夜の旅人』を聴いていると、1曲目はグレン・キャンベル/ジミー・ウェッブのウィチタ・ラインマンのアウトロ風だったりと、当時の洋楽受容の様相がわかる。それしてもユーミンの大衆性を支えた絶妙なバランス感覚はすごい。正隆さんは吉田拓郎とかもやっていたわけですから。日本人のツボみたいなものを心得つつも、洗練された音楽を演っていたのだと思う。

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そう、影響といえば来日中の元セクションのギタリスト、ダニー・コーチマーがふらっとサプライズ登場して。はじめ、店内をうろちょろしているお爺さんがいて、誰かいな、と思っていたんですが、まさか。正隆さんはジョー・ママが好きだったそう(アティテューズは知らないと言っていた)。そういえば出たばかりのキャロル・キングの新作『つづれおり:ライヴ・アット・ハイド・パークにもダニーが参加している。

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店内には正隆さんのCDの隣にMonchicon! 清水祐也くん監修の『Folk Roots, New Routes フォークのルーツへ、新しいルートで』シンコー・ミュージックムック)がディスプレイされていた。私もレビューを書かせてもらったムック。本書に収録されているインタビュー中に書かれた細野晴臣&デヴェンドラ・バンハートのサインも!とにかく素敵な空間、理想のレコ屋です。

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2017-07-03 Steve Addiss・Bill Crofut / Such Interesting People(Verve / 19

markrock2017-07-03

[] Steve Addiss・Bill Crofut / Such Interesting People(Verve / 1963) 00:48

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一時期サイモン&ガーファンクル(S&G)ブレイク後に雨後の筍のように登場した男性デュオばかりを集めていた。段ボール何箱分かくらい「何とか&何とか」っていうレコードがあるんですが、アディス&クロウフット(Addiss And Crofut)ってのもその一つ。1968年コロンビアからリリースされたジョン・ハモンド・プロデュースの『Eastern Ferris Wheel』っていう盤(コロンビアからは前年にもう1枚出ている)が素晴らしい出来で。未だかつて語っていた人は誰もいないけれど(笑)。メンバーのスティーヴ(ン)・アディスは70年代には音楽活動をリタイアし、日本画俳画・禅画)研究家として大学教授になった。現在アメリカで専門書を多数出版しているみたい(http://www.stephenaddiss.com/)。自分でも日本画を描いているみたいだけれど、アメリカではホンモノだと思われているんでしょうけれど、ちょっと稚拙に見えるような気も。

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さて、この『Eastern Ferris Wheel』もジャケからして60年代ヒッピーの東洋趣味全開。アコギ、バンジョーに加えてタブラや琴も入って無国籍フォークと化しているんだけれど、”Flowers Fall Away(Sakura,Sakura)”のタイトルで「さくらさくら」をフォーク風にアレンジしているのが「赤い鳥」的アプローチで、良い。他にも日本の子守唄(「坊や良い子だねんねしな」と日本語で歌う)や中国インドネシア民謡をアレンジして歌っている。最後ブラジルまで行ってしまうと、もう「非西洋」という括りでしかなくなってしまうのはオリエンタリズム産物ではあるのだけれど。しかしオーケストレーションを交えた”He is There”なんてのは目くるめくオモチャ箱ソフト・ロックだったり、当時レーベル・メイトということになるデイブ・ブルーベックカルテットと共演した”Forty Days”もフォークの枠を超えたプログレッシブな仕上がりで。バンジョーやフレンチホルンを演奏するクロウフットは1990年代にデイブ・ブルーベックの息子クリス・ブルーベックと作品をリリースしている。

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このアディス&クロウフット、実は芸歴は古くて、日の目が当たったのはS&Gよりも先だった。スティーブ(ン)・アディス&ビル・クロウフットという名前で1962年のフォークウェイズ盤でデビューしている。1935年ニューヨークで生まれたアディスはS&Gよりもさらに上の世代ジョン・ケージとは同じ学び舎で作曲を学んだ友人だったんだとか。そう、そもそもこの人達のことを思い出したのは、先日1963年のVerve盤『Such Interesting People』を中古レコ屋で入手したから。結構良質のモダン・フォークだった。後にCTICreed Taylor Issue)で知られることになるクリード・テイラーのプロデュース。しかも今まで噂には聞いていたけれど、コレクターだったという故「長門裕之」所蔵盤だった(裏ジャケにスタンプがありました)。桑田佳佑がデビュー時に瓜二つだと騒がれた石原慎太郎原作太陽の季節はじめ、お馴染みのあのお方ですね。

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桑田とは湘南コネクション。弟・津川雅彦拉致問題云々で石原と同類になったのも文化史的に興味深いんですが。まあそれはいいとして、1ドル360円時代にリアルタイムでこんなマニアックなフォークのレコードを手に入れていた、ということにも驚きを感じつつ。

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2017-06-25 Livingston Taylor / Safe Home(Chesky / 2017)

markrock2017-06-25

[] Livingston Taylor / Safe Home(Chesky / 2017) 19:06

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今年の3月リリースでしたか。買おう買おうと思いつつ、気付けば6月も終わりになって。2000年代に入ってからの作品はWhistling Dog MusicとCheskyからリリースされているけれど、今回はジャズのCheskyから。1993年『Good Friends1997年InkもCheskyからのリリースで、どちらもカバー中心のライブ感ある作りだったけれど、今回もその路線。ジャケが割と低予算風で粗い感じってのも共通している(笑)。あれ、と思ったのは2015年の録音だったこと。リヴのアコギ、シェリー・バーグのピアノ、デイヴ・フリンクのベース、そしてパーカッションにあのバシリ・ジョンソンが入っているんですね。そして今作は一押しの女性シンガー・ソングライターのチェルシー・ベリーのお披露目盤的な意味合いがあるみたい。ホームページhttp://www.chelseaberry.com/)を覗くとクリス・スミザーもその才能を賞賛している。優しい歌声でリヴの個性とぶつかり合うことはない。音楽生活50周年記念盤にあってリヴの音を若返らせくれた。

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1991年『Our Turn To Dance』に入っていた”I Must Be Doing Something Right”のセルフカバーが冒頭に配置されていて、その他チェルシーにヴォーカルを委ねた”Louie Is Blowing the World Away”(ルイ・アームストロングに捧げた曲)や”Answer My Prayer”(キャロル・ベイヤー・セイガーとの共作で2009年の『Last Alaska Moon』収録曲)、”Shouldn’t Have Fallen for You”を除く10曲がお得意のカバーで。ほっこりするのはやはりチェルシー・ベリーとデュエットする”Penny Lane”。ケニー・ランキンのヴァージョンなども想像しつつ聴いたけれど、しっかりリヴ色を出している。オズの魔法使いのメドレー”Merry Old Land of OZ/Over The Rainbow”では後半、リヴ3枚目のアルバムのタイトル曲だった”Over The Rainbow”をチェルシーに任せていて。改めて思うけれど、ミュージカルもののドリーミーなタッチが兄ジェイムスとはまた違ったリヴの個性なのかなと。中でも『ピーター・パン』の”Never Never Land”は凄く良かった。『アニーよ銃をとれ』の”Anything You Can Do”のリヴ&チェルシーの掛け合いも○。そしてラストの”Bye Bye Love”と”Try To Remember”はフォーキーなリヴが大好きなファンの期待を裏切らない。エヴァリーズの”Bye Bye Love”はデイヴィ・グレアムの”Anji”のサビのギターフレーズをアレンジしたイントロがくっ付いているなど、ブルージーに展開していて。”Try To Remember”はフォーク世代にとってはブラフォーということになるけれど、リヴはスロウなピアノでしっとりと。

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しかしさすがのリヴもお爺ちゃんになったなあと思ったり。まだ66歳ではあるんですが(1950年生まれ、ちょうど私の父と同い年なんですね…)、この『Safe Home』のジャケットを見ていると、「じゃあ行って来るね」「気をつけて帰って来てね(Safe Home)」…という何気ないやり取りの中に「あと何回プレイできるのかなぁ…」という寂しさみたいなものが感じられなくもないような…

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今までのリヴ・テイラーのレビューはこちらを(http://d.hatena.ne.jp/markrock/searchdiary?word=livingston%20taylor)。

2017-06-23 Shaun Harris / Same(Capitol / 1973)

markrock2017-06-23

[] Shaun Harris / Same(Capitol / 1973) 11:16

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フリート・フォクシーズの新作を聴いていたら、なんだか無性に聴きたくなってきたのがハーツ&フラワーズの1968年のキャピトル盤『Of Horses, Kids, and Forgotten Women』(ラリー・マレイ、デイヴ・ドーソン、そしてバーニー・リードン!)とショーン・ハリス1973年のキャピトル盤『Shaun Harris』。どちらもキャピトル産・カリフォルニアン・ポップの伝統ともいえるコーラスが印象的なカントリー・ロック盤。

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ただ一筋縄ではいかないのはショーン・ハリス盤。ショーンはウェスト・コースト・ポップ・アートエクスペリメンタル・バンドのベーシストだった人。ウェスト・コースト・ポップ・アートエクスペリメンタル・バンドは60年代後半、サイケデリック・ロック全盛期に結成され、ショーン&ダニーのハリス兄弟と共にオズモンズ、ショーン・キャシディ、レイフ・ギャレットといったティーン・ポップのプロデュースで後に当てまくるマイケル・ロイドが在籍していた。ロイドはCCMの名プロデューサー、クリス・クリスチャンとコットン・ロイド・クリスチャンを組んでもいた(これも最高!)。個人的にはマイケル・ロイドと名のつくレコードはマイク・カーブ、トニー・ロメオ、ダニー・ジェンセンといった辺りと共にクレジット買いで相当集めたけれど。

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このショーン・ハリスの唯一盤もショーンと共にマイケル・ロイドがプロデュースを手がけ、バックはハル・ブレイン、ジム・ゴードンキャロル・ケイ、ジョーオズボーン、ディーン・パークス、ラリー・ネクテル、マイケル・オマーティアン…というレッキング・クルーの面々。一聴してビーチ・ボーイズ・ライクなコーラスが映える”Love Has Gone Away”には本家ブルース・ジョンストンが参加していて。その他の曲も全編ハリス兄弟による多重コーラスを駆使しつつ、イーグルス・ミーツ・ビーチ・ボーイズカントリー・ソフト・ポップを聴かせてくれる。A面ラストの”Canadian Ships”という曲、幻想的・サイケなムード、物悲しいメロディに分厚いコーラスと弦が被せられて…そう、フリート・フォクシーズを聴いていて頭をよぎったのはこの音なのだった。

ちなみにショーンの父はアメリカン・クラシック作曲家ロイ・ハリス、母はカナダピアニスト作曲家のジョハンナ・ハリス。本盤を彩るオーケストレーションはそうした素養を感じさせてくれもする。


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