/ Rock Swings ( Verve UCCU-1006 / 2005 )
この盤、昨年からの愛聴盤。シナトラの後を継いだ正当派エンターテイナー、ポール・アンカの新作は相当やらかしてくれている。ゴージャスな王道ビッグバンドジャズの音に乗せて、ロックの名曲を歌う、というアイデアならさほどびっくりしないのだが、ここでは80年代〜90年代ロックの名曲をセレクト!しかもまさか!のアレンジで収録しているのだ。とにかく目が点になったのはニルヴァーナのM-9”Smells Like A Teen Spirit”ですかね。”Hello Hello Hello…. ”をスウィンギーに歌いこなしてるんですから、もうホントオドロキ。しかも中途半端な音ではなく、正統派なアプローチなのが好感触。シンセとか皆無ですし。資本主義は「差から儲けを生む」システムなわけだが、これだけのギャップを生んでるとなると、購買意欲を十分にそそります。あとは比較的新しいとこではボン・ジョビM-1”It’s My Life”なんかもいい。そうそう、ヴァン・ヘイレンのM-8”Jump”も笑っちゃうくらいの好カバー。同じくロックフィールドではサバイバーのM-3”Eye Of The Tiger”、オアシスM-5”Wonderwall”なんかがあり、ポップス寄りの曲ではライオネル・リッチーM-10”Hello”、マイケル・ジャクソンM-13”The Way You Make Me Feel”、クラプトンM-14”Tears In Heaven”なども聴かせてくれる。ただし、ポップス寄りの後者に意外性はないかも。他にもペット・ショップ・ボーイズやビリー・アイドル、REMなどを選曲している。
ポール・アンカは今年で65歳ということで、最近挑戦作をリリースしたポール・サイモンなんかと同世代。全く衰えしらずな歌声だから、これからもこうした意欲作に期待。日本で言うとちょっと年配にはなるが、加山雄三辺りにひと踏ん張りしてもらいたい今日この頃。