/ Suspending Disbelief ( Elektra / 1993 )
昨日、渋谷のカボットというワインバーにライブを見に行った。以前このブログでも取り上げたDaniel Kwonと渚十吾のジョイントということで。
Daniel Kwonはヤマハの古いピックガードの外れたアコギFG-110を抱えての登場。デモCDで聴けるのと同様の濃密で繊細な歌声に惹き付けられる。そしてそして、そのギターテクニックに唖然としてしまった!ただただ素晴らしい!ラグタイムタッチのスムースなそのフィンガーピッキングはギター一本で既に音楽として成立している。渚氏がMark Henleyを引き合いに出していたことに私も同意した。ミネソタはミネアポリスのSSWを生で聴いているかのような錯覚に陥ってしまう。ナイーブな人柄もなんとも魅力的だった。終演後に色々話を聴いたけれど、Emitt RhodesやTony Kosinecに心酔しているとのこと。太ってしまったEmittや新興宗教にぞっこんのTonyの近況も聴いたけれど…それには少々のショックもあった。そうそう、Art GarfunkelやColin Blunstoneという、私が長年愛聴してきたシンガーを同じく沢山知り、愛していることにもとても感動した。この広い世の中で、こんな素晴らしい事ってあるんだろうか。
そのTony Kosinecのライナー・ノーツを手がけていたのが渚十吾!その’60〜’70フレイヴァーの詩的な文体には惹き付けられた人も多いはず。私自身、ライナーで目にするばかりで音を聴くのは実は初めてだった。女性Vo&リコーダーの2人を交えて訥々と歌い出す姿は正にお伽の森のSSWといった雰囲気、とっても良い気分にさせられた。
終演後に渚さんとはJimmy WebbやDave Logginsの話で盛り上がった。Jimmyではどのアルバムが好きですか、という質問でお互いに挙がったのが、1993年の『Suspending Disbelief』。”Postcard from Paris”の詩情や”Elvis and Me”、そしてBrian WilsonのコーラスでLinda Ronstadtが歌った”Adios”に胸躍らせたという渚さんの想い。リアルタイムで手にすることが出来たこのCD、必死に英語の歌詩カードを訳そうと頑張ったティーンエイジャーの私自身の記憶がそこに重なった瞬間は、マジカルというほかなかった!
さらに、大好きなDave Logginsのレコードを今週もかけようと思っていたなんて。本当にこの世の中に、同じようにレコードやシンガーソングライターを愛してやまない先輩がいるってことに、そして聴いたときは違えどそこに同じ感動が生まれているってことに、今更ながらじーんとしてしまったのだ。
6月後半にリリースされるJimmy Webbの新作が本当に待ち遠しい。