いしうらまさゆき の『愛すべき音楽よ』(ブログ〜CD&レコードレビュー)

2018-07-06 Penny Marshall / Cindy Williams / Laverne & Shirley Sing

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[] Penny Marshall / Cindy Williams / Laverne & Shirley Sing ( Atlantic / 1976 ) 12:02

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1976〜83年に放映されたアメリカの人気コメディ・シリーズ「ラバーン&シャーリー」の主人公がリリースした盤。女優のペニー・マーシャル、シンディ・ウィリアムスがガールズ・デュオになり切って、アメリカでいう所の青春の60年代ポップスを歌っている。取り上げているのは”Da Do Ron Ron”、”All I Have To Do Is Love”、”Chapel Of Love”、”Sixteen Reasons”、”Graduation Day”、”I’m Walkin’”といった定番ばかり。結構パンチのある見事な歌唱で惚れ惚れしてしまう。何より重要なのは全編でドラムスを叩くハル・ブレイン!殆ど完コピのような往年のサウンドなのだけれど、このつんのめるドラムスがないと、やっぱりダメです。


オリジナルでは「ラバーン&シャーリー」にも出演していたコメディアンでミュージシャンでもあるマイケル・マッキン(レフト・バンクのメンバーだったこともある)作の”Five Years On”が最高。ニューヨーク・ポップスの色香を感じる名曲だと思う。



プロデュースはシドニーシャープとジミー・ハスケル。ちなみにシンディ・ウィリアムスはハドソン・ブラザーズのビル・ハドソンと結婚した。で、ペニー・マーシャルの方は、恋人ローリー・バードを失ったアート・ガーファンクルを80年代に献身的に支えた。結婚するには至らなかったのだけれど。


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2018-07-03 Art Garfunkel / Garfunkel

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[] Art Garfunkel / Garfunkel ( CBS / 1988 ) 16:53

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一番好きな声、と言われたら「アート・ガーファンクル」と答える。これは何十年たっても揺らがない。だから、病気で一時期声を失ったものの、少しずつ復調して、昨年も来日してくれたことを嬉しく思う。思えばアーティがきっかけで出会ったアーティストにジミー・ウェッブ、スティーヴン・ビショップ、ティム・ムーア、ギャラガー&ライル、マイク・バットらがいた。あるいはアーティのアルバムに携わったプレイヤーが参加した作品なら、内容に間違いはない…といった風にレコードを買ってきた。アーティはそれぐらいの目利きだと思う。だって、アメリカで一番のソングライターだと言っても過言ではないポール・サイモンを相棒にしていたくらいなのだから…。


そんなアーティの音源は聴きつくしてきたけれど、最近はカセットやらLPやらで聴き比べに興じている。例えば『Garfunkel』LP。今なら2012年の2枚組自選ベスト『The Singer』に止めを刺すにしても、それまでは日本でもCDで長らく定番だったアーティのベスト盤だ。シングル盤のみのリリースだったティム・ムーア(ダリル・ホールがいたガリヴァーのメンバー)作の”Second Avenue”はここでしか聴けなかった。ちなみにアートのシングル盤にはアルバム未収録(”Is this love?”とか)やヴァージョン違いがあって、CD化はおろか、まとまった形でいまだリリースされていない。”Is this love?”はローリー・バードという伴侶の死から立ち直る辛い時期のリリースだから、思い出したくないのかもしれないけれど。



脱線したけれどこの『Garfunkel』、1988年リリースでLPが少なくなっている時期。一般的にCD全盛の1990年から1993年前後くらいのアナログはリリース数が少ないため、希少化している。だからか、あまり日本の中古屋でも見かけない。そんなわけで、デンマークのレコ屋から取り寄せた。アメリカは送料が高騰していて、レコ1枚で買うと痛い目を見る。Lefty(これは日本でもアナログが出回った)収録の”When A Man Loves A Woman”からスタート。尺八のソロというのが日本では特に賛否両論だったみたいだけれど、60年代文化の残滓ニューエイジ文脈だと尺八はよく使われていたから、違和感は無い。抑制された品のいいサウンドとボーカル。70年代前半から80年代後半までの代表曲の数々は、時代の変化に耐えうるもので、並べても統一感がある。作品は一つの美学の上につくられていたことがよくわかる。これからも一番好きな声、と言われたら「アート・ガーファンクル」と答えるだろう。

2018-07-02 John David Souther / Same

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[] John David Souther / Same ( Elektra / 1972 ) 23:42

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グレン・フライ(ex.イーグルス)追悼、というタイミングでリリースされた3枚組(+DVD)ボックスセット『Above the Clouds』にロングブランチ・ペニーホイッスルグレン・フライJ.D.サウザー)のAmosからの唯一作が丸々収録されていた。

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国内初CD化、と謳っているけれど、韓国ビッグピンクの再発国内盤は出ていたような。内容の方だけれど、”The Heat is on”と”Desperado”が好きです、みたいなベストヒットUSA的なファンの人からすると、ロングブランチの仕上がりは不満みたい。byアマゾン・レビューですが(笑)。ただ、1曲目の印象が悪いだけで、2曲目以降はカントリー・ロックのプロトタイプを含む、重要な楽曲が含まれている。で、言いたかったのは、このリマスタリングの音が良かったということ。アナログを持っている人も聴き比べる価値はあるのかな、と思った。かつてVHSで出ていた1992年のライブ『Strange Weather/Live in Dublin』DVDになって収録されている。

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そんな気分でいたら、J.D.サウザーのファーストのアサイラムレーベル米盤オリジをレコ屋で800円にて発見。上がりますね〜。今まで持っていたオリジはコーティングジャケの英盤。

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こちらですが、写真では区別が付きませんね(笑)。ただJDを英盤で聴く旨みはあまりなかったわけで、とうとうご本尊を、という。で、分厚い音に圧倒される。聴き比べると英盤より音圧は上。グレン・フライとのデュオの延長線上にある本盤、レーベルメイトのネッド・ドヒニーアコギも加わる一方で、米盤だとグレンのデトロイト産のブルージーなエレキが特に強調されているように感じられる。そしてアサイラム創成期、ディレクションがしっかりしているから、仕上がりに普遍性がある。思えば大昔、中学生の頃ですか。所沢レコード屋でこのファーストのコロンビア輸入盤CDがナイス・プライス600円で落ちてまして。『Black Rose』『You’re Only Lonely』と共にかっさらうようにして買った思い出が。当時の自分が気に入った順番はリリース通り『John David Souther』『Black Rose』『You’re Only Lonely』の順だった。それも後々『Home By Dawn』(はじめはジャケットがないCDだけの!、しかもキズ盤をレコファンで買ったような…)を聴いた瞬間、全述の3枚は自己ランク2位以下に転落したという(笑)。その頃にはAORをよく聴くようになっていたんだった。

2018-07-01 Peter Asher & Albert Lee / Live

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[] Peter Asher & Albert Lee / Live ( 2018 ) 15:52

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先日の金曜日、ピーター・アッシャーアルバート・リーの東京コットンクラブ公演、行って参りました。ピーター&ゴードン時代は妹のジェーン・アッシャーポール・マッカートニーと付き合っていた縁でレノンマッカートニーの楽曲提供を受け、”A World Without Love(愛なき世界)”が全米No.1に。後にプロデューサーに転身し、ジェイムス・テイラーリンダ・ロンシュタットを手がけたピーター・アッシャーソニー・ミュージックの副社長までやっていたというだけあって、カリフォルニアの業界人そのものなチェックのド派手なスーツのいでたちで。ポール・ウィリアムスみたいな。一方のアルバート・リーは、ヘッズ、ハンド&フィート時代からの驚異のギター・テクニックを誇り、エリック・クラプトン・バンドでも活躍。エルヴィスはじめロックンロール経由(つまりジェイムス・バートン)でアメリカカントリー・ミュージックインスパイアされ、エミルー・ハリスのバンドをはじめ、本場アメリカに根付いた活動を行っていた。そういう意味でアメリカの音楽界に根を張ったピーターとも接点があったわけだ。


ピーターの相棒ゴードン・ウォーラーは亡くなっていて、チャド&ジェレミーチャドスチュワートと演ったりもしているみたいだけど、なぜあえてアルバートなのかと疑問に思っていた。でも、エヴァリー・ブラザーズから始まったステージやMC(ピーターは話し始めるとエピソードが止まらない!)を聴いていて氷解。アルバートは当然エヴァリーズに産湯を浸かり、ドン・エヴァリーのバンドにも加わり、1983年のエヴァリーズ再編バンドのギタリストにも抜擢された人。そしてピーター&ゴードンはサイモン&ガーファンクル同様、エヴァリーズのハーモニーに影響されてキャリアをスタートさせている。しかも今回のライブで冒頭”Crying In The Rain”を演っていたのがグッと来た。私にとってはアート・ガーファンクル1993年のアルバムでジェイムス・テイラーとデュエットしているヴァージョンを聴いたのが初”Crying In The Rain”。そのジェイムスと、”Crying In The Rain”を作曲したキャロル・キングを引き合わせ、キャロルに”You’ve Got A Friend”のジェイムスキャロル競作の承諾をもらったのもピーターだった…ということで全てが繋がった感じ。



二人とも70を超えていて、声が出ていたとは言い難いけれど、リラックスしたアコギ弾き語りは素晴らしかった。しかもファースト・ステージだったからか、自由席だけど2列目。リビングルームでくつろぎながら弾き語りを聴いているような。しかもアルバートはかなり控えめで、ギターを弾きまくらない。もっと弾いて欲しかったけれど(笑)。二人ともジミー・ウェッブをレスペクトしていて、アルバートは近作で演っている”Highwayman”をピアノ弾き語り披露。ジミー魂が乗り移ったような素晴らしいヴァージョンだった。”Lady Godiva”や”I Go to Pieces” を聴くとやはりホンモノだな、と。エドサリヴァン・ショーの映像で観て以来一番好きな”I Don't Want To See You Again”は予想通り演らなかった。

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会場でピーターが自主盤の販売をしていて驚いた。市場には出ていないかも、と思って買ったけれど、2016年の二人のライブ音源『Peter Asher & Albert Lee / Live』アルバートフェイスブックから購入可能であるようだ。あとピーター&ゴードンのベストと『Produced by Peter Asher』というそれぞれ2枚組があって、後者を入手。後者はこんなの販売して権利的に大丈夫なのか?と思ってしまったけれど、peterashermusic.comが編集した2枚組44曲・2500円。1968年のポール・ジョーンズに始まり、ジェイムス・テイラーリンダ・ロンシュタットアンドリュー・ゴールドシェールJ.D.サウザーリンゴ・スタービリー・ジョエルジュリア・フォーダムモリッシー、ディキシー・チックス、近年ではスティーヴ・マーティン&エディ・ブリケル、エド・シーラン、フォール・アウト・ボーイまでを収録。プロデューサーとしてのキャリアを一望できるプロモ盤といった趣だった。

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終わった後は思い入れのあるレコードにサインをもらう。アルバートは「えらい保存状態がいいね〜」なーんて。

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2018-06-21 神崎みゆき / ファースト・アルバム

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[] 神崎みゆき / ファースト・アルバム(KING / 1973) 22:04

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ちょっと中性的なお名前ですが、70年代前半に2枚のアルバムを残している男性シンガー・ソングライター。特にこのファーストは、「加藤ヒロシとそのグループ」がバッキングを務めたニュー・ロック隠れ名盤。牧歌的なフォーキーも、バッキング如何によってはここまでロックできる、という好サンプル。加藤ヒロシといえば加賀テツヤがボーカルを務めたGSザ・リンド&リンダースギタリスト。個人的にはザ・フォーク・クルセダーズの「戦争は知らない」(寺山修司作詞)の作曲者として印象深い(坂本スミ子が初演だったと思いますが)。で、「加藤ヒロシとそのグループ」に参加しているのが近田春夫その人。ハルヲフォンを率いる俊英が縦横無尽でバンドを盛り上げている。そして加藤ヒロシのエレキの音が何ともエグい。冒頭の「ゆう子のグライダー」からゴキゲン過ぎる演奏。神崎みゆきの歌声は忌野清志郎とケメを足して2で割ったようで。「放課後」とか「花束をもって歩こう」なんてカッコよすぎるだろ、とツッコミたくなる。岡田冨美子が作詞し、加藤ヒロシが曲を書いた「おばあちゃんお元気ですか」も収録。こちらは人懐っこいメロディが最高!

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2018-06-18 国吉良一 / 風の通り道

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[] 国吉良一 / 風の通り道(CBSソニー / 1976) 23:25

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国吉良一といえば日本の名セッション・キーボーディスト。長谷川きよしのバックからキャリアをスタートさせ、坂本龍一伊藤銀次土屋昌巳(EX.一風堂)、吉田建、上原“ユカリ”裕、斉藤ノブなどこれまた名ミュージシャンを輩出した りりィ のバイバイセッションバンドに参加。個人的には長渕剛中島みゆきのアルバムでのプレイが印象深い。そんな彼が70年代半ばにCBSソニーからシンガー・ソングライターとして2枚アルバムをリリースしていることはあまり知られていない。今手元にある2枚はどちらも白プロモ盤。そこから推測するに、あまり売れなかったのでは。しかしこの2枚目は『風の通り道』はなかなかよい。吉田建、上原“ユカリ”裕、斉藤ノブというバイバイセッションバンドの面子に加え、洪栄龍(EX.乱魔堂)がギターで参加。後にバックスバニーCBSにやってくる金子マリや亀淵ユカ(EX.リッキー&960ポンド)というソウルフルなコーラス陣も加わる。”神田川”の喜多条忠谷村新司の歌詞提供があるあたりフォーキーな展開を予想するが、喜多条作詩の”真珠いろの月”は南佳孝の”スローなブギにしてくれ”や大滝詠一の70年代諸作を思わせるオールディーズな3連バラードで。”海の見える喫茶店”はボッサ、”地図を広げて”はサンバ風ファンキー・ロック。R&Bマナーのタイトル曲もゴキゲン。楽曲や歌声よりもスリリングな演奏に図抜けた印象が残ってしまうのは、やはりプレイヤーのソロというべきか。

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ちなみに前年1975年リリースファースト国吉良一はドラムス原田裕臣吉田建土屋昌巳斉藤ノブ、村岡建という布陣に元・六文銭ギタリスト原茂が加わり、同じく元・六文銭の及川恒平が詩を提供。よりフォーク寄りのサウンドながら、堅実な演奏が耳に残る。よしだたくろう岡林信康五輪真弓、猫、ウィークエンド、ふきのとう友部正人がいた時代のCBSソニー、期待の新人だった。

2018-06-17 Tennessee Ernie Ford / Ol’ Rockin’ Ern

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[] Tennessee Ernie Ford / Ol' Rockin' Ern (Capitol / 1957) 23:32

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あまり明るい気分にもなれない昨今。ディストピアみたいな社会の雰囲気が何だかよくないから。とはいえ雰囲気が良かったことなんて以前にあったかな、と考えてみると特段思いつかない。レコードを聴いている瞬間は少なくとも幸せだけど。

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そう、今日はダニー・コーチマーの新作CDを買ったときに封入されていたイベントの参加券があったので、少しの間を縫って駆けつけた。ダニー・クーチ、リー・スクラー、ラス・カンケル、スティーブ・ポステル、ワディ・ワクテルという神レベルの伝説のミュージシャンが車から降りて勢揃い。いやはや圧巻。リー・スクラーが圧倒的に感じの良い人だと思った。色んなミュージシャンから好かれる理由もわかった。握手する手も力強くて。ボックス・タイプのCDジャケットよりは…と思い、ポストカードの写真にサインをもらった。20日ZEPP東京のチケットはまだあるみたい。

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帰りに渋谷レコファンで見つけたのがテネシー・アーニー・フォードのLP『Ol' Rockin' Ern。550円。最高ですね。オールド・ロッキン・アーニーというタイトルだけれど、ロッキン・カントリーの代表曲を再演した1957年のアルバム。パイプを咥えたジャケもヒップなんだけれど、音も最高にヒップだった。テネシーといえばマール・トラヴィスの「16トン」をヒットさせていることでも知られているけれど、ロックン・ロールヒルビリーカントリーR&Bのあいのこだということがよくわかる。カントリー色はあまりなくて、むしろブルーズジャイブブギウギの世界。近年の細野さんの世界といいますか。難しいことを言っていると疲れるので最後は屈託のない音楽に戻っていくものなのかもしれない。


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2018-06-07 Bread / Same

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[] Bread / Same (Elektra / 1969) 18:14

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やっとこさ手に入れたブレッドのファーストのLP。そこまで熱心に探していたわけではないけれど、手ごろな価格で…と思いつつ10年以上。ブレッドのオリジナル・アルバムは1976年の再結成盤まで計6枚。USオリジナルLPだとセカンド以降は中古屋に行けば1000円前後くらいで沢山落ちている。しかしファーストはかなり数が少ないと思う(正直滅多に見かけたことがない)。ブレイク前だし、カットされたシングルもそこまで売れていなかったからだと思う。そんなわけで、イギリスの中古屋から購入。ジャケットにコーヒー染みがあるとかでレコ自体は200円くらい。送料込みで2000円ちょっとなら許せるでしょう。昨日届いたけれど、UKオリジナル・プレスで盤はピカピカだった。そして音は激良し。特にベースをはじめ各音の粒立ちがよい。CDは長らく愛聴してきたけれど、LPでのエレキの音のエグさは別物。原音に近い爆音レコでした。歌詞カードはA4一回り小さいサイズ。

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バンドとしてのデビュー前からソングライターやプレイヤー、歌手としてキャリアがあったデヴィッド・ゲイツに加え、黒っぽいロック・マインドをもったジェイムス・グリフィン、デヴィッドがプロデュースしていたプレジャー・フェア(モータウンから白人SSWとしてソロ・アルバムを出しているスティーヴン・コーンも在籍)のロブ・ロイヤーのトリオ。ドラムスはサンクス・クレジットがあるから、ジム・ゴードンかな。ロブの後釜に入るのは”明日に架ける橋”でピアノを弾いたLAのスタジオ・ミュージシャン、レッキング・クルーのラリー・ネクテルだった。大好きになる60年代ポップスがみんなレッキング・クルーの仕業だったと知ったときは驚いた。だから、そんな60年代ポップスの裏方が作ったブレッドを嫌いになるはずがなかった。

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”Dismal Day”や”London Bridge”のポップさと言ったら…”It Don’t Matter To Me”はデヴィッド中心に作り上げられる、後のバンドの世界につながる。後の”Make It With You”あたりになると黒人ミュージシャンのカバーも数多く残されている。そうしたデヴィッドの音楽的センスや幅広さには目を見張るものがある。さらにジェイムスのギターのカッティングでグイグイ引っ張っていく”Any Way You Want Me”もいい。地味に見えて”Don’t Shut Me Out”なんてのもビートルズ的なポップとロックの按配がちょうどよくて。60年代最後の年という時代を反映して、結構プログレッシブでロックな展開も。何より、互いの立ち位置を入れ替えても弾き、歌うことができるというマルチ・ミュージシャンっぷりに惚れ惚れしてしまう。ジェイムスがブレッドの代表曲を歌っているアルバム(2001年にオランダでリリースされたJAMES GRIFFIN SINGS THE BREAD HITS)があるんだけれど、デヴィッド曲も全く同じ声域・同じフィーリングで歌えていたのには驚いた。さらに90年代のライブでは、本家ラリー・ネクテルのピアノサイモン&ガーファンクルの”明日に架ける橋”をジェイムスが完璧に熱唱したりもしている(ジェイムス作でカーペンターズも取り上げた”For All We Know”とメドレーで)。これは1997年のライブを収めたブート『Live In Las Vegas』で聴くことができる。

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2018-06-06 松倉如子と渋谷毅

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[] 松倉如子渋谷毅(Self-001 / 2018) 00:36


シュガーベイブベーシスト、といいますか、ゴダールなどの映画の訳詩でも知られた寺尾次郎さんがお亡くなりになったとのこと。62歳、まだお若いのに…。佐野元春のデビュー前のバンドでベースを弾いていたこともあったようで、佐野さんの追悼メッセージもあった。娘さんはシンガー・ソングライター寺尾紗穂。この人の文章や思想にも惹かれるものがある。そういえば私がホームページを作っている、吉祥寺井の頭公園ブルーズマンBroom Duster KAN宛に以前寺尾紗穂さんからメールを頂いたこともあった。

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毎週通っている三鷹レコード屋さん、パレードにて。先日店長さんから聴いてみて下さい、と渡されたCD「松倉如子渋谷毅」。松倉如子さん(https://ameblo.jp/yukiko-m/)に関しては、はちみつぱい渡辺勝さんとのデュオ作など、気にはなっていたのに、まだ聴けずにいたのだった。そしてジャズピアニストの大御所・渋谷毅さん、参加作や作編曲作品は色々聴いたことがあるけれど(坂本九見上げてごらん夜の星を」や由紀さおり「夜明けのスキャット」の編曲も!)、正直、ご自身名義の作品をじっくり聴いたことはなかった。本作は今年出た6曲入の新作。松倉作の「うた うたう」を除き、「あまだれピチカート」など渋谷の童謡作品(今までNHKおかあさんといっしょ」「みんなのうた」に楽曲提供してきた)が収録されている。

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楽しみにして早速聴いてみたけれど……素晴らしいですね。松倉さんの唯一無二の個性的な歌声に、シンプルに、禅的に削ぎ落とした、悟りの境地のような渋谷さんのピアノが寄り添う。こういうピアノは、意図して弾けるものではない。アケタの店でレコーディングされたそうだけれど、生ピアノとライブ感のあるクリアな歌声が部屋中にしっとりと響き渡る。何とも心を打つんですね。山川啓介の詩との相性もとてもよい。そして、驚いたのは渋谷さんが歌っている曲もあったこと。ただ、歌うというよりも、松倉さんの唄に合わせて自然に声が出たかのような、作為のない「うた」。音楽はこんな風に湧き出てくるものなのかもしれない。

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パレードの店長さんに感想を伝えに行くと、今度は浅川マキ渋谷さんのデュオ・アルバム『ちょっと長い関係のブルースを何気なくかけてくれて、これがまた、素晴らしい仕上がりだった。マキさんは石川県出身で、私の母が通った高校の先輩にあたる。2010年にマキさんが亡くなった日も、渋谷さんとの演奏が予定されていたそうだ。このアルバムでの渋谷さんのプレイは、やはり歌伴に徹した、飾らない奥ゆかしいもので、何だか高田渡みたいだな、と思えた。そんな感想をすぐに伝えると、高田渡が2010年に北海道で体調を崩して亡くなったのも、渋谷さんとの共演ライブの直後だったのだという。それを聞いて、言葉を失ってしまった。こんな感情は言葉にはできないのだと思う。高田渡が住んでいた三鷹の町のレコード屋さん、渋谷さんのピアノとの素敵な出会いがあった。

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P.S. 昨年発売された、高田渡2005年の東京ラストライブを収めたDVD『まるでいつもの夜みたいに』もとても良かった。三鷹の自宅を出て、ギター片手に歩きながらインタビューされるシーンから始まって。何だかまだ生きているような錯覚をおこしてしまう。まるでいつもの夜みたいに……。

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2018-05-22 Danny Kortchmar and Immediate Family / Honey Don’t Leave LA

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[] Danny Kortchmar and Immediate Family / Honey Don’t Leave LA (Vivid / 2018) 21:05

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なかなか気候のいい季節になり、窓を開けていても外気とひとつになれるようで過ごしやすい。とはいえ秋田の雨、川の増水のニュースもあり、心配になる。そういえばターンテーブルには先日のレコード・ストア・デイ2018で手に入れた、永井博デザインのマットが載っている。ときどきターンテーブル・マットを入れ替えると気分転換になる。永遠の夏、って感じがとても良いし、太陽がじりじり来るけれどカラッとしたアメリカの夏の気候が肌に感じられるようだ。

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さて、ダニー・クーチの新作自演盤、当然のことながら購入。ウェスト・コースト・ロックの要、ジェイムス・テイラージャクソン・ブラウンキャロル・キングのバックを務めたギタリスト。本作にもジェイムス、ジャクソンに加えデヴィッド・クロスビー、マイケル・マクドナルドが奥ゆかしく参加。日本盤をリリースしたVIVID SOUNDが力を入れているようで、招聘ライブやサイン会もあるとのこと。昨年だったか、渋谷タワレコ松任谷正隆さんのイベントがあったときに、お店にダニー本人がいた、ということなんかも思い出す。こんなリリース・パーティ気分のときにはケチをつけず、お布施を納めて(笑)、お祭りとして楽しむのがよさそうだ。音楽の世界を延命させるためにも。それにしても6月に予定されているライブの方、日本のキャロル・キング五輪真弓キャロル・キング&ザ・セクション参加の初期作は特に感動的!)や小坂忠の参加はわかるとして、奥田民生(かつて共演していたんだけれども)なども参加するとのこと。実は好きでした、という人も後を絶たず、ミュージシャンズ・ミュージシャンの雰囲気もある。

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昨年の来日以来気になっていて、盤ができる前からYouTubeなどで現バンドのライブの音は聴いていた。メンバーに振ったボーカルがちょっと弱いかな、などと思っていたけれど、CDの音は問題ナシ!かなり良かった!何と言っても「せーの」で録ったというライブ感が素晴らしい。音楽の世界はもう後戻りできないところまで来ちゃっているんだけれど、音楽はそもそもこうだったよね、という感じ。百戦錬磨のザ・セクションからラス・カンケルとリーランド・スクラーが参加。リーは病のマイク・ポーカロに代わりTOTOのメンバーもやっていた。クレイグ・ドージの代わりにキーボードはジム・コックスが。他に名手ワディ・ワクテルとスティーブ・ポステルという、まあ万全のオールスター仕様ですね。冒頭セルフカバーされている”All She Wants To do Is Dance”はイーグルスドン・ヘンリーのソロ作より。その曲に代表されるようにダニー・クーチのプレイは今のご時勢、激シブな極めてブルージーなもので、60年代にデビューしたキング・ビーズから一貫している。同じくドン・ヘンリーものでは”New York Minute”みたいな日本人好みのメロウなバラードもあるけれど、それにしても結構硬派だし。

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残念ながらデビューできなかったバンド、フライング・マシーン(ジェイムスが”Fire And Rain”でその失意を歌っていた)を組んでいたジェイムス・テイラーが取り上げた”Machine Gun Kelly”のような代表作もジェイムス参加で収録。ジャクソン自身が参加した”Somebody’s Baby ”も、青臭いオリジナルの甘酸っぱさが聴こえてくるようで、粋なつくりだと思う。そういえば、DVDも出たキャロル・キング2017年最新作TAPESTRY: LIVE IN HYDE PARKにもダニーは客演。これはキャロルのメロディのよさもあり、冒頭から涙が止まらなかったという。最近涙腺が緩んでます。

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それにしても、名盤探検隊な時代に「ジョー・ママ!」「ザ・シティ!」「クーチ!」と叫んでレコードを掘っていたぼくと同世代の人達は今どこで何をしているんだろう。何となく、ライブには結局白髪のオールド・ファンが集まるような予感も。ワカリマセンが。

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デヴィッド・フォスターらと組んだグッドニュースにアティテューズ。本作のタイトル曲「Honey Don’t Leave LA 」はアティテューズ盤にも収録されており、ジェイムス・テイラー1979年のヒット作JTで取り上げた。ダニーの1980年のソロアルバム『Innuendo』西海岸ハードロックにつながる世界も(Bon Joviのプロデュースもやっていた)。

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2018-05-21 西城秀樹 / エキサイティング秀樹−ちぎれた愛/情熱の嵐

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[] 西城秀樹 / エキサイティング秀樹−ちぎれた愛/情熱の嵐(Victor /1973) 21:55

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西城秀樹が亡くなったというニュースには本当に驚いた。脳梗塞後遺症でリハビリが続いているという話は聞いていたけれど。身をよじり元気に熱唱している姿しか思い浮かばない。70年代最後の年に生まれた自分としては、はじめはバーモントカレーのCMのお兄さん、という印象。もちろん「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」(オリジナルのヴィレッジ・ピープルゲイピープル向けバンドでした)や、ちびまる子ちゃんのエンディング・テーマもあった。高校生くらいの時に観たコンサートで「ギャランドゥ」を歌っているのを聴いて感動したことも。もんたよしのり作。初めて買った洋楽CDがビリー・ジョエルストレンジャーだったから、感動して当然だったような。タイトル曲と結構似ている(笑)。


西城秀樹は歌謡界にあって、無類のロック少年だったようだ。新御三家では野口五郎もギターを弾くし、洋楽志向が強かったけれど、西城秀樹の方がもっと根源的にソウルがあったような気がする。何しろ出身は広島広島大阪福岡といったあたりは日本でもブルーズやロックの土壌があったわけだけれど、矢沢&ジョニーのキャロル同様、出自に由来するブルーズリアリティをもって歌うことができたのだろう。


しかしなぜ売ってしまったのか、と今自分を責めているけれど…昨年の引越しの際、西城秀樹レコードを多く手放してしまった。今のままのレコ量を維持するためにも致し方なく歌謡曲系を減らしたんだった…芳野藤丸が参加した、洋楽ロックのカバーを含むライブ盤なんかも結構好きだったんだけれど。

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ということで、残されたものから3枚目の『エキサイティング秀樹−ちぎれた愛/情熱の嵐』を。コレ、今聴くとGS〜ニュー・ロックの延長のようなぶっとい音。これは素直にアナログで聴きたくなる。馬飼野康二&俊一の作・編曲を中心に、鈴木邦彦、井上忠夫かまやつひろし、それに森田公一といった作曲陣が名を連ねる。中古で買ったとき、当時のサインも挟まっていた。こういう類はご本人が買いたのか、マネージャーが書いたのか、わかりませんが(笑)。

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あとは「ブルースカイブルー」や「ブーメラン ストリート」、あとはオフコースのカバー「眠れぬ夜」なんかももちろん収録した1981年の2枚組ベスト盤HIDEKI PRESENTS 30SONGS FROM BEST HIT CHART』、同1981年のオリジナル・アルバムポップン ガール・ヒデキ』が残っている。後者は大滝詠一松本隆鈴木茂というはっぴいえんどコンビが一同に介した「スポーツ・ガール」「ロンサム・シティー」が収録されているので手元に残した。どちらかといえば「ロンサム・シティー」の方がいい仕上がりかな。まだまだヒデキはレコードの中で生きている。

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2018-05-19 Lost Gonzo Band / Signs Of Life

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[] Lost Gonzo Band / Signs Of Life (Capitol / 1978) 11:48

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サンタフェで銃の乱射事件があったとのこと。本当にうんざりする。気付けば日本でも世界でもうんざりする事件が毎日のようにおこっている。世界はあまり良い方向にいっていないのかも。どこを見回してもリーダーの人相が悪くなってきているでしょう。経済合理性は人間をずるっこい顔つきにする。そう思って鏡で自分の顔も確かめてみる。ところでサンタフェときいてニューメキシコ州サンタフェだとばかり思っていた。日本では宮沢りえが写真集を撮ったというイメージだけれど、個人的にはネイティブ・アメリカンの居住区があることもあって、昔たずねたことがある。でもニューメキシコではなくテキサス州サンタフェだった。テキサスアメリカでいえば保守的な中西部にあり、銃所有を支持する人達が多くいるのではなかったか。とはいえ音楽的にいえばアメリカでも、突出して豊饒な風土

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最近何十枚か爆買いしてしまった中に、ロスト・ゴンゾ・バンドのセカンドがあった。スタンダード化している”ミスターボージャングルズ”をつくったジェリー・ジェフ・ウォーカーのバックを務めたテキサスオールスター・バンド、というイメージ。ファーストはもっていたけれど、そこまで愛聴していたわけでもなかったから、全く期待していなかった。しかし針を落としてみてビックリ!!むちゃくちゃポップで爽やかな西海岸香りまで漂うカントリー・ロック作品だった。よく考えてみればキャピトル移籍作だし、1978年というAOR全盛期に差し掛かる時代性を考えてみればわかる。音だけでいうと個人的に愛してやまないクリス・ヒルマンハーブ・ペダースンのデザート・ローズ・バンドととても良く似た感触。ポップ・ソウルっぽいビートやちょいトロピカルな感じの曲もありつつ。メンバーのゲイリー・P・ナンやロバート・リヴィングストンなどが持ち寄った楽曲はどれも素晴らしい。ゲイリー・P・ナンはソロ・アルバムもとても良い。今も続くテキサスの人気TV番組オースティン・シティ・リミッツのテーマ曲として2004年まで親しまれた”ロンドンホームシックブルース”も手がけており、それがこのロスト・ゴンゾ・バンドの『Signs Of Life』には入っている。

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2018-05-07 ラジオの日々

markrock2018-05-07

[] ラジオの日々 09:49

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先日取り上げた山田秀俊さんのアルバム『HOW DO YOU DO?』だけれど、レビューを読んでくださった方からCDの注文が届き始めているとスタッフの方からお便りをいただいた。ご本人も喜んで下さっているとのこと、なんとも嬉しい。そうなると、松田聖子大滝詠一のレコーディングで弾いている名フレーズも飛び出すというライブにも是非ともお邪魔したくなってきた。さて、嬉しいといえばワタクシ、今さらながら鈴木茂ファンクラブに入ったのだけれど、なんとご本人からメッセージへの返信とサイン入りハガキが届くというサプライズが!はっぴいえんど鈴木茂 大先生のハガキなんて末代までの家宝決定ですよね。音楽は喜びに充ちている。

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さて、最近は音楽関係ではないタイトな〆切の辛い原稿書きもあって、悶々と過ごしていたのだけれど、レコードを裏返すのも面倒になり、ふとラジオが欲しい!と思い立った。インターネットでいつでもどこでも聞けるradicoでいいじゃない、と思うかもしれないけれど、それではダメなんですね。ポッドキャストYouTubeでも面白いプログラムがあるんだけれど、もっとシンプルな箱型のトランジスタラジオをですね、今さら欲しいと思いまして。YouTubeとかもオーディオで鳴らすと、圧縮データであるせいか、何時間も聴いていると流石に耳が痛くなってくる。実はオーディオラジオチューナーの調子が悪いので、最近はラジオを聴いていなかったし、中学生の頃から愛用していた携帯ラジオは実家に置いてきたままになっていた。

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ということで、古いラジオをネットで探していたら、ビビッとくるデザインを発見。SonyICF-9740というやつ。完全に昭和30年代の家電の雰囲気だけれど、1981年発売(私が2歳の頃)のモデルとのこと。それでもかなりのロングセラーで、台湾メイドで2000年代まで現行品だったらしい。中古で取り寄せてみたけれど、おそらく80年代産。おそるおそるコンセントに差し込むと、電源はついたものの、「ラウドネス」機能は死んでいる。もしや受信も…と不安になったものの、AMもFMもバッチリ!!だったので安心した。ワイドFMも対応している周波数は一部聴ける。音はさすがにまろやかで温かい。耳疲れしない、いわゆるラジオらしい音だった。日本でいえば1925年以来ですか、変わらず存在しているメディアは偉大だと思う。ちなみに、FMトランスミッターでわざわざオーディオの音を飛ばして、ラジオで聴いている人もいるみたい。結構マニアックだけれど、こもったようなぬくもりのあるラジオの音がいいのかも。帰宅して腰掛けると、プチっとダイヤルをひねっている毎日だ。

2018-05-06 miya takehiro / アウトドア日和

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[] miya takehiro / アウトドア日和(LIFE CARAVAN MUSIC / 2018) 00:52

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ゴールデン・ウィークもアッと言う間に終わりまして。予想していたより天候も良く、太陽の下で過ごした方も多いのではないかと思う。そんなタイミングにバッチリの新譜が4月25日にリリースされた。芽瑠璃堂さんでリリースインフォも出ていたmiya takehiro(http://miyatakehiro.com/)の新譜、その名も『アウトドア日和』!!ジャケットからしてもう最高ですよね。この連休中、どれだけリピーしたことか。ヴァイオリンケルティックな彩りを添えたその名も”アウトドア最高”とか、レゲエ・ビートな”休日サーフィン”だとか…雨が降ってもヤリが降っても、自宅にいたってアウトドアを楽しみますよワタシは。トニカク気持ちいい〜粒の立った7曲27分、スムースに流れていくようで歌詞やサウンドが1曲ごとに引っかかってくるんだな、これが。

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「8年やったバンドをやめて 一人で各地を歌いまわる

かっこつけるならソロアーティスト 襟を正せば 個人事業主

「最近CD買ってないなーとか 言いながらYouTubeで聴きあさってる

テレビで聞いて好きになった曲 それは繰り返し聞いたからでしょ

だったら俺があなたの目の前に 何度でも歌いにいくよ」(”シンガーソングトラベラー”)

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ソロ・アルバムとしては2016年リリースの『COMMUNICATE by the Musichttp://d.hatena.ne.jp/markrock/20160411)に続く3枚目となる本作。ウクレレ片手に年間100本のライブで全国を飛び回り、様々なフェス、日テレズームインサタデー」、J-WAVEFMヨコハマへの出演などで観客を沸かしてきたmiya takehiro。満を持しての本作で主人公の脇を固めるのは、ベース伊賀航(ex.細野晴臣星野源曽我部恵一)、ギター齋藤純一(ex.ALIAKE)、サックス加藤雄一郎(ex.NATSUMEN、L.E.D.、サニーデイ・サービス矢沢永吉)、ドラムス脇山広介(ex.tobaccojuiceウカスカジー(桜井和寿&GAKU MC))、コーラスやまはき玲というお馴染みのメンバー。安心できるメンバーを前に、ウクレレピアノでのびのびプレイしているのが印象的だ。その楽曲は”シンガーソングトラベラー”よろしく、miya takehiroの旅する・アウトドアなライフスタイルからナチュラルに生み出されたものとわかる。そんなに堅苦しいものじゃないけれど“思想”みたいなモノが透けて見えるのもいい。

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浦和レッズ」OFFICIAL TV のBGMを担当し、ときに球を追いかける現役フットボウラーでもあるmiya takehiroならではの”GOAL”はハッピーなホーンセクションに導かれる人生の応援歌。冒頭から幸先いいスタートを切る。”トモステラス”にはEテレ「シャキーン!」出演の双子のラッパー上鈴木兄弟のP.O.P(ピーオーピー)をフィーチャー。ウチも「シャキーン!」を毎朝観てるので普通に嬉しい(笑)。この世代感にグッと来ちゃうんだけれど、世代感といえばセルフプロデュースの本作中唯一ヨースケ@HOMEが手がけた”昭和生まれ平成育ちの君へ”にはいい意味で打ちのめされてしまった。平成も終わろうとする中で、団塊前後のチルドレン世代(=ファミコン世代)である(あえて言おう)「僕ら」の歌がやっと生まれたという感動…ライブで新曲として初めて聴いたとき、今年1月ダウンロードで先行リリースされたとき、CDで聴いているいま…その興奮や印象は、変わらない。言葉で説明するより、まず実際の歌詞やメッセージに触れてほしいと思うけれど、サウンドに関してだけいうと、二人が幾度も共演しレスペクトするGAKU-MC(ex.EAST END)の文脈フリーソウルな90年代ヒップホップ意匠を汲んでいるように思えた。オフコース”Yes-No”をサンプリングしたかのようなアウトロには泣けた。

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GW中にはご当地タワーレコード浦和店でインストアライブが行なわれ、乃木坂46小田和正オフコース!)に混じってチャート4位にランクインした。CDを届ける「場」があるのは、作り手にとっても、聴き手にとっても素敵なことだと思う。リリースツアーの予定も着々組まれているようで、5月13日には東京渋谷セルリアンタワーJZ Bratにて、レコーディングのメンバーを引き連れた豪華なワンマンライブが予定されている。透明感のある生歌とウクレレはもちろん、”シンガーソングトラベラー”でのシャーリー・バッシー版"Spinning Wheel"を思わせるファンキーなギターなども聴けるのではないかと。“オーシャンゼリゼ”で大団円を迎えている画が、もうすぐそこまで見えてきた!

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miya takehiro オフィシャルサイト

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2018-04-20 山田秀俊(HIDETOSHI YAMADA)/ HOW DO YOU DO?

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[] 山田秀俊(HIDETOSHI YAMADA)/ HOW DO YOU DO? (YMD-0001 / 2016 ) 01:48

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ナイアガラーならチェックしているであろう、大滝詠一『ロング・バケイション』のクレジット。

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キーボードを担当する一人はそう、山田”笑い上戸”秀俊…というわけで(誤字あり!)。そのピアニスト・ソングライター・アレンジャーの山田秀俊が2016年自主レーベルより、65歳にして初のソロ・アルバムをリリースしていた(通販開始は昨2017年)。今聴き終わったところだけれど、ただただ唸ってしまう。シティ・ポップ評価のムードに完璧にマッチした、AOR気分満載、英語詩によるスムース&メロウな傑作だと断言したい。リゾート気分なジャケットも、本日4月21日開催のレコード・ストア・デイ・ジャパンのオフィシャル・ガイド・ブック(永井博デザイン)と並べてみたい感じ。

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山田秀俊は同郷大分県南こうせつから、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった かぐや姫 のバックに誘われたことが音楽活動の本格的なスタートであったようだ。その後EAST解散後の吉川忠英のバンド、吉川忠英&ホームメイド(徳武弘文も在籍)に加わり、五輪真弓吉田拓郎ビリー・バンバン原田真二をはじめ数多くのアーティストのサポートを務めている。以後セッション・ミュージシャンとして参加したアーティストは松田聖子中森明菜小泉今日子中山美穂、さらに長渕剛浜田省吾中西圭三さだまさし杉山清貴からSing Like TalkingMisiaEXILEKinki Kids、NEWSに至るまで…つまり70年代前半に一大市場が完成したフォーク、ニューミュージックから80年代のポップス、アイドル、90年代のJ-POPまで…日本の戦後ポピュラー音楽史の歩みとともにあった、と言っても過言ではない歴戦のミュージシャンなのである。

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そんな彼がライブハウスを回り、自ら弾き語りで歌うようになった…というのは、パーキンソン病を経験し(一時演奏不能にまでなったという)、音楽人生の後半で自らやり残したことがあったと考えたからなのかもしれない。しかしその活動は、肥大化した音楽シーンがある意味、適正な市場となった今の時代の気分にフィットしているように思えてならない。ちなみにワタクシ、たまたま山田秀俊さんのHPhttps://hidetoshi-yamada.jimdo.com/)に辿り着き、本盤を試聴してとにかくビックリ!してしまい…すぐさまメールをお送りし、注文させていただいた次第。M-1〜M-5は「静寂」「葛藤」「別れ」「嘘」「回想」とタイトルがついたインスト。これがまたリリカルかつエモーショナルで、とっても良い。シンガー・ソングライターが歌っているようなピアノ、とでも言いますか…そしてM-6”Rediscover”からM-14まで英語詩による歌モノが始まるのだけれど、時にジャジーで良質なAORの粋を尽くしたクオリティの高い楽曲、何よりそのクリスタル・ヴォイスに聴き惚れてしまった。”Lost In You”での多重コーラスやファルセットも素晴らしい。どうしても個人的なイメージだけれど、大滝詠一『ロング・バケイション』のエヴァーグリーンな魅力と重ね合わせてしまう。ビル・カントスやランディ・グッドラムなんかが好きな方もハマると思います。ミディアム・バラードM-10”In My Dreams”の間奏では名手・大久保明のギターも凄まじかった。スティーブ・ルカサーやジェイ・グレイドンを思わせる存在感のあるプレイ…そしてラストのM-15”まどろみ”は再びインストで、しっとりと作品を締めくくっている。意図してのことと思うが、曲と曲の継ぎ目を無くしてあり、桃源郷のような場所に連れて行かれたまま、最後まで帰してもらえないような。こんな音楽が好きだ。これからもずっと、素敵な音楽を作り続けて欲しいと切に願っている。

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