いしうらまさゆき の『愛すべき音楽よ』(ブログ〜CD&レコードレビュー)

2018-04-14 堺正章 / サウンド・ナウ!

markrock2018-04-14

[] 堺正章 / サウンド・ナウ!(Columbia / 1972) 11:37

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もはや司会者マチャアキ、という印象しかないかもしれないけれど、元スパイダース、コメディアン堺駿二の息子…と色々枕詞は出てくる。個人的にはボーカリストとしての堺正章に魅力を感じている。高校生の時に観たNHKの公録で代表曲”街の灯り”を歌ってくれて。グッときましたね。もちろんGSオタクでしたんで、スパイダース関連は一通り聴きまくって、ムッシュの次は堺さんのソロを集め出した。

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『恋人時代 堺正章フォーク・アルバム』『ひとりぼっちのマチャアキは70年代前半という時代を反映して、日本のフォークのカバーも入っているけれど、堂々と歌い上げる堺さんのシンガーとしての色を活かし、今聴いても実にスタンダードな仕上がり。そして最高傑作とされるのが筒美京平書き下ろし『サウンド・ナウ!』。リアルタイムでは間違いなく売れなかったと思うけれど(LPの数は少ない)、これが90年代以降のフリー・ソウルソフト・ロック再評価のムーブメントの中で掘り返されて。「モータウン・サウンドと歌謡曲の結合」とLPの解説にもあるけれど、具体的にはモータウンプロデューサー・チームだったホランド=ドジャー= ホランド設立したホットワックスからデビューした女性版ジャクソン・ファイヴ、ハニー・コーンを直接のサウンドの下敷きにしている。”運がよければいいことあるさ”は”The Day I Found Myself”だったり。キラーは”ベイビー、勇気をだして”かな。コレを初めて聴いたときはビビりました。ハニー・コーンの"WANT ADs"もちょっと入っている。

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で、この『サウンド・ナウ!』LPは20代の頃にやっとのことで手に入れたものだったけれど…ちょうどその頃私は斜陽になる前のテレビ業界、とある制作会社に勤めておりまして。手がけていた番組のひとつに堺さん司会の、確か『発掘!あるある大事典』があった。で、放送作家のタマゴをやっていた友人にこのレコード聴かせたら、「堺さんってカッコイイじゃん!」ってなりまして。その友人にLPを渡したら、「(番組の)収録のあとサインもらってきたよ〜」となって、そのままLPは友人の持ち物になってしまったのでした。そんな因縁の(?!)LPを最近たまたま見つけて、再び買ってみた。やっぱりいいよね。

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ちなみにAOR時代のキザな雰囲気満載の『二十三夜』というベストセレクション佐藤隆が手がけたタイトル曲に加え、芳野藤丸楽曲、そして大滝詠一”空飛ぶくじら”のレアなカバー(難波弘之[ex.山下達郎]編曲)も収録。

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”さらば恋人”の現代版のようなナイアガラ・サウンド風味の”忘れもの”(2008年のシングル)を収録した『時の忘れもの』や、クレイジーケンバンドと共演したマキシシングル『そんなこと言わないで』2011年)も佳作だった。

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まあちゃんまあちゃん 2018/04/15 12:22 サウンドナウ、叔母さんが中1の頃、発売して、当時は人気絶頂で、歌も皆さんが勝手に言うほど売れなくは無かったわよ‼アルバム サウンドナウも其なりに売れましたよ‼私はアラヒフ世代です。

markrockmarkrock 2018/04/15 13:44 > まあちゃんさん
わ!早速の書き込みありがとうございます。サウンド・ナウ売れなかったなんて書いてしまい、すみません(笑)現在中古レコード市場ではかなり見つからない盤になっています(CDは再発されて手に入りますが)。内容はとにかくいいですよね〜

2018-04-12 音楽のある風景「レコード小景」

markrock2018-04-12

[] 音楽のある風景「レコード小景」 20:20

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明月堂書店・極北ブログ、極北リレーエッセイに寄稿しました。

音楽のある風景「レコード小景」石浦昌之(極北リレーエッセイ) – 月刊極北

http://meigetu.net/?p=6811

2018-04-07 The Roosters / Collection 1980-1984

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[] The Roosters / Collection 1980-1984(Columbia / 1985) 09:59

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いや〜狂ってるぐらい良いですねぇ。ルースターズのベスト。スカ・パンクな”ロージー”を初めて聴いたときは度肝を抜かれた。スカパラミッシェル・ガン・エレファントチバユウスケを加えた演ったヴァージョンがあったけれど、音楽とはこうして後進に影響を及ぼしていくのだという素晴らしい一例。1979年結成、福岡らしいブルーズをルーツにもつソリッドなロックンロール・バンドですよ。めんたいロック。”恋をしようよ”とか、最高ですよね。オリジナルメンバーは大江慎也花田裕之井上富雄池畑潤二井上富雄は現在、佐野元春のThe Hobo King Bandのメンバーでもある(今度の5月に自由の岸辺』という新録盤が出る)。パンクニューウェイブの流れも汲んでいるけれど、時代の経年変化に耐える初期の楽曲に魅力があるような。もっといえばファーストに尽きる。母体バンドの名前は「人間クラブ」っていうんですね。昨今巷で話題の「台風クラブ」みたいな、字面だけみると、そんな雰囲気にも思えたり。大江慎也精神疾患で脱退、その後相当紆余曲折を経たようだけれど、歳を取ろうがおかまいなしで現在もプレイしているのが兎にも角にも素晴らしい。

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ちなみに購入した『Collection 1980-1984LP。本当にボロボロ。レゲエとかロックンロールは大抵持ち主の扱いが雑で美盤が少ない(笑)しかも元の持ち主がボールペンでレーベルに「Caution! バンがそっています」なんて書いている。

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いくら800円でもそりゃないよ、と思いつつ確かめると、本当に反っている。でもトレースできたので問題ナシ。以前どこかで買った1981年3枚目の『Insane』の裏ジャケにはメンバーのサインがあったけれど、このアルバムが録音された時のオリジナル・メンバーは花田裕之しかおらず、下山淳とか安藤広一灘友正幸柞山一彦はどんな気分でサインしたんだろう。

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そういえば灘友のバンドORTHODOXの『SIMPLE』 (1987)は凄く良くできたアルバム。エルヴィスの”好きにならずにいられない”とか、おそらくビートルズ版を下敷きにした”ロックンロール・ミュージック”、ニック・ロウ〜ロックパイルの”ハート”、デイル・ホーキンスの"スージーQ"、それに和モノではベンチャーズ歌謡”京都の恋”や外道の"悪魔のベイビイ"なんかを料理したカバーモノのガレージ・アルバム。タイトル通りこういうシンプルなロックンロールは好みだ。シーナ&ザ・ロケッツの奈良敏博じゃがたらEbby、The RydersのOHNOなどが参加している。

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2018-04-06 Encyclopedia of Folk Song 1964-1977

markrock2018-04-06

[] Encyclopedia of Folk Song フォーク大百科 1964-1977(日本コロムビア / 1978) 11:32

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久々に「なんじゃこりゃ!」となったのが、日本コロムビアレーベルBlow Upから1978年にリリースされたLP6枚組のコンピレーション『Encyclopedia of Folk Song フォーク大百科 1964-1977』。よくあるフォークの寄せ集め盤かと思いきや、東芝EMISONYじゃあり得ない亜流感が堪らない。小坂忠成田賢とか、大滝詠一の”サイダー”が’73から’77まで入っているとか、そんな部分に惹かれて手にとって見たところ、聴いたこともないヴァージョンの嵐…日本のフォークは大方集めきったと思っていたのだけれど、完全な盲点だった。つまり、レコード会社の枠を超えて、モダンフォークからGSニューミュージックまでの日本のポピュラー音楽を歴史を、コピーから自演という流れでアーカイブするためには、数多のレコード会社の楽曲を自前でレコーディングし直す必要があったということ。監修・構成は三橋一夫さんということで、流石ですね。

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例えばAORファン垂涎、信田一男&松下誠ミルキー・ウェイによる”心の旅”(チューリップ)、”22才の別れ”(風)とか、井上鑑夫人でおられる やまがたすみこ による”この広い野原いっぱい”(森山良子)”あの日にかえりたい”(荒井由実)などなど、元イーストのギタリストSSW吉川忠英による”白い一日”(井上陽水小椋佳)、岩渕まことの”春うらら”(田山雅充)、桐ヶ谷俊博の”雨やどり”(さだまさし)、庄野真代の”どうぞこのまま”(丸山圭子)、ダ・カーポの”精霊流し”、高橋忠史の”わかって下さい”(因幡晃)や”「いちご白書」をもう一度”(バンバン)…結構レアですよね。さらにはアニソンも歌っているマイナーSSW川津恒一による”心もよう”(井上陽水)に”東京”(マイペース)、ステージ101出身・藤島新の”シクラメンのかほり”(布施明小椋佳)に”旅の宿”(よしだたくろう)、オールナイトニッポンパーソナリティだった及川伸一の”港のヨーコ ヨコハマ ヨコスカ”(ダウンタウン・ブギウギ・バンド)、セッションシンガー新倉芳美の”アザミ嬢のララバイ”(中島みゆき)、全く無名の六角幸正の”我が良き友よ”(かまやつひろし)までいきますと、「なんじゃこりゃ!」になるわけで。ちなみにそうしたヴァージョンの編曲陣はというと、まずは泉谷しげるのバックバンドだったラストショウの徳武弘文。その腕利き"Dr.K"に加えて、ジプシーブラッドの中村弘明。ちなみに中村さんが2009年にお亡くなりになったこと、私のブログを読んでくれた方からの書き込みで知りました(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20070605)。あとは、元ザ・リガニーズ〜シュリークスのギタリストで、TVレポーターに転身した所太郎とか。



その他にも谷村新司堀内孝雄の先輩にあたる佐竹俊郎やソロアルバムがCD化された岡山勇吉が在籍したウッディー・ウーの”今はもう誰も”(アリス版のオリジナル)とか、”若者たち”で知られる、黒澤明の息子・黒澤久雄ザ・ブロード・サイド・フォーの前身「ザ・ブロード・サイド・スリー」による1965年日本の創世期のモダンフォーク盤『フォーク・ソング・ベスト・ヒット』から4曲を選んでいたり、シャデラックスがやたらと入っていたり(笑)。紙ジャケCD化もされたけれどウッド・ペッカー版の”戦争を知らない子供たち”や”あの素晴らしい愛をもう一度”も収録。とにかく今から考えるとマニアックなツボを刺激してくるボックス。流石にこんな箱がCD化されることは今後ないような。

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明月堂書店presents 極北ラジオ 

【第6回】石浦昌之の哲学するタネ 近代とはなにか? 福沢諭吉(1)2018年4月5日収録分

●本編:近代とはなにか? 福沢諭吉(1)

弾き語りコーナー:ボブ・ディラン「Don’t Think Twice It’s All Right(くよくよするなよ)」

●ショートトピック:格安アコースティックギターの買い方いろいろ

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2018-04-05 EIICHI OHTAKI Song Book III 大瀧詠一作品集Vol.3「夢で逢えたら」

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[] EIICHI OHTAKI Song Book III 大瀧詠一作品集Vol.3「夢で逢えたら」(Sony Music / 2018) 22:58

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松本隆さんのツイッターで、大滝詠一の墓前に手を合わせる写真を見つけて。墓石にもNiagaraとあるのを初めて知ったけれど、何となく胸がざわついた。まだ受け入れられないものがあるのかな。さて、ナイアガラファンなら待望の本年3月21日はソングブックの第3弾『EIICHI OHTAKI Song Book III 大瀧詠一作品集Vol.3「夢で逢えたら」』がリリース。レコード会社の枠を取り払った86ヴァージョンもの「夢で逢えたら」4枚組、の方は予約しそびれてまだ買っていないけれど、「ソニーミュージックグループ自社一貫生産アナログレコード復活第1弾」を謳ったアナログの方が届いていた。積んどいて聴くのは今日になっちゃったけれど。あ、シリア・ポールは2枚組通常版を買いました。

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で、アナログ「夢で逢えたら」は33回転で全5ヴァージョン、大滝詠一ラッツ&スターシリア・ポール(’87MIX←1番好きな吉田保ミックス採用はポイント高かった!)、そして新録で放牧中のいきものがかり吉岡聖恵吉田美奈子の(夢で逢えたら2018)を。吉田美奈子新録は実兄・吉田保ミックスで。マキシシングルみたいな感じかな。定価2300円ですから、プレスの値段を抑えるためにもコレぐらいのサイズになったのだろう。ハガキサイズの歌詞カードが封入されているのみで、徹底的にコストカットを図っているけれど、音やジャケの質感は良かった(とはいえアナログらしさ、を探せるかと言われる新録も混じっているので難しい)。ラッツのヴァージョンはリアルタイムでマキシシングルとベストを買ったけれど、典型的な90年代R&Bの音で、最近そっち系のアナログを集めていることもあって、個人的にはそれをアナログで聴けたというタイムリーさが嬉しい。

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ちなみになぜ「いきものがかり」吉岡さんが選ばれたのか、と考えたけれど、歌の「上手さ」が群を抜いているという事実は当然として、松田聖子に通ずるスタンダードなアイドル性と素直な歌声ながら音色に宿る歌謡性が大滝好みだったような気もする。あるいは単純に本盤がオーヴァー50のオモチャにならないよう、若い世代の取り込みを最大公約数的に狙った人選なのかもしれない。オケは大滝シリア版のカラオケなのかな。ただその歌唱は初聴ではパンチやタイム感が強すぎて(それが吉岡さんの特徴なのだけれど)、ゆらぎとか、たゆたいとか、そんな感じのウォール・オブ・サウンドにフィットするかどうかは微妙な気もした。しかし聴き慣れると、何とも良かったのだけれど。しかしそう考えると、ソウルと言うよりジャズ・シンガー然とした吉田美奈子のさりげなく崩した2018新録歌唱に圧倒的に軍配が上がった。まあちょっとズルい勝負だけれど。大滝自身が歌詞を手がけた珍しい直球ラブ・ソング、柳家三亀松パロディだという台詞は、取りようによってはコミカルにも聴こえてきて、そんな照れが彼らしい。でも自分自身年を重ねるに従い、単純なようで結構スゴイ歌詞だと思うようになった。つかめそうでつかめない誰かを求める、永遠のラブ・ソング。この自演ヴァージョンを自身の葬儀で流すことをあらかじめ想定していたとするならば、大滝詠一という人は不世出のロマンチストだったことになる。

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さて、ナイアガラ関係で最近落穂拾いをしたのが、太田裕美1981年のシングル『恋のハーフムーン/ブルー・ベイビー・ブルー』というアルバム未収録のシングル盤。アルバム1枚分の金を投じたという豪華なストリングス入りのレコーディング。ストリングス・アレンジはA面が松任谷正隆でB面が荒川康男。楽曲は両面とも松本隆大瀧詠一書き下ろし。A面"恋のハーフムーン"はSongbook1収録曲だったので聴き込んでいたけれど、今まで盲点だったのはB面"ブルー・ベイビー・ブルー"の方。ナイアガラ・サウンドの寄せ集め感は確かにあって、あの曲のココとココを…という感じではあるんだけれど、全くもって悪くない。新鮮だったなぁ。

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2018-04-03 間宮貴子 / LOVE TRIP

markrock2018-04-03

[] 間宮貴子 / LOVE TRIP(Universal / 1982[2018]) 00:35

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芽瑠璃堂さんのHPでもトピックになっていたけれど、ジャパニーズ・フィーメール・シティポップの最高峰(お値段も!)、間宮貴子1982年の唯一盤『LOVE TRIP』LPセカンドプレス再発!ディスクユニオンに続けとばかりに、HMVレコードショップが色々仕掛けてきて面白い。シティ・ポップとか、80年代アイドルとか、何だかんだロック至上主義的なユニオンではしばらく前まではコケにされていた盤に狙いを定めた感じ。元々は2012年にタワレコでCD再発されていたもの。これにはLight Mellowをブランド化させたライターの金澤寿和さんが関わっておられたはず。そういえば金澤さん、直接は全く面識はないのだけれど、10年ほど前に、個人的に大ファンだったAORデュオBoy Meets Girlのメンバー、シャノン・ルビカムとメールでやり取りをする機会があって、新作の日本発売をするために誰かとコンタクトを取れないか…という話になり、金澤さんにご相談のメールをお送りしたのだった。その話はうまくいかなかったのだけれど、見ず知らずの私からのメールに、それはそれは熱いメールを送り返してくれたのを覚えている。ホンモノのミュージック・ラバーなのだと大感動した。

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さて、本題の間宮貴子盤。その人自身は全くナゾだらけのポップ・シンガーなのだけれど(Paoのメンバーだったみたい)、日本的こぶし(=歌手としての個性)の薄い軽みのある歌、ブラック・ミュージックを根底にもつ弾むようなリズム・セクション、かといって汗を感じない涼しげなメロディ、現実離れした歌詞の「ここではないどこか」感…昨今注目されているシティ・ポップの全てがそこにはある。しかも駄曲皆無というのがあり得ないですよね。トータル的に満足できるシティ・ポップ作品は少なく(個人的にはその他、山下達郎『For You』、国分友里恵『Relief 72 hours』の2枚が理想系)、だからこそコンピが持て囃されるわけで。演奏陣は尋常ではないですよ。山下達郎の全盛期を支えた椎名和夫難波弘之、そしてチョッパーも聴こえる鳴瀬喜博、上原ユカリ、さらに井上鑑、永井充夫、松木恒秀、向井滋春、コーラスで東北新幹線山川恵津子と鳴海寛)…というシティ・ポップ純度の高い完璧さ。オリジナル盤は目にしたことがないけれど、元はキティ原盤で、その流れで来生えつこ作詩、元モップス星勝の作編曲の楽曲も。サウンドプロデュースはサックス奏者の沢井原兒。エクゼクティブ・プロデューサーキティ創設者のひとり、多賀英典井上陽水氷の世界』の海外録音なんかをしきった人。

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ところでレココレ誌今年の3・4月号で松永良平さんが実にタイムリーなシティ・ポップ特集記事を組んでいた。某通販サイトのレビューなどでは、なぜ今シティ・ポップというような声もあったけれど、そんな読者ばかりではこの雑誌の未来は暗いと思えてしまう。今までではファズやGS、ニュー・ロックが日本のポピュラー音楽では海外の音楽ファンの注目を集めていたけれど、これが今、時代が一回りしてシティ・ポップが熱を帯びているという現実。ここ半年ぐらいですけど、東京のレコ屋ではスーツケース片手に爆買いしてる人がホントにいますからね。しかも細野さん止まりではなく、大滝、達郎、ユーミンにまで行ってしまうという。といいますか、松原みきから間宮貴子にも行ってしまうという。興味を無限に広げられるYouTubeもありますし。インドネシアシティ・ポップ・バンド、イックバルの来日も記憶に新しく。(主に英米の)洋楽に近づくこと、あるいは黒人音楽のオーセンティシティに近づくことが、ホンモノの証だった時代は終わり、間宮貴子でいえば三浦徳子の「チャイニーズ・レストラン」とか「モーニング・フライト」なんていうジャパニーズ・イングリッシュが面白く受け取られる時代になったということだろう。もちろん肝心の演奏の完成度が担保されていることは評価される最低限の条件だろうけれど。昨今ではレコーディングもデジタルかつ安価になりすぎてしまい、ある種アナログな手法で緻密かつカネを潤沢に投入して音楽を作っていた時代へのノスタルジーや憧れもあるのではないだろうか。

2018-04-01 林隆三 / ピアノ・マン

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[] 林隆三 / ピアノ・マン(ハミングバード / 1985) 22:52

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日本アカデミー賞主演男優賞、第1回受賞だったのは俳優の林隆三。彼のレコードというのは意識していなかったけれど、極上のジャジーAORだった。これがファーストで自身単独名義では唯一作。俳優として数々の映画や舞台、大河ドラマなどでもお馴染みだったけれど、高校時代からシャンソンを好み、ピアノの腕前も一級だったのだという。アルバムには「昔愛したお前に、最初のつらい恋を。つぶやくように林隆三が弾く。」なんてキザなコピーがあるけれど、クレジットを見る限り、レコーディングでは弾いていない模様。でもこのアルバム、サウンド・プロデュースを務め、2曲除いて楽曲を書き下ろしているのがルパン三世のテーマ音楽を手がけたことで知られるジャズピアニスト大野雄二作詩矢沢永吉「時間よ止まれ」などで知られる山川啓介書き下ろし。この人の詩は美学があって良い。2014年にお亡くなりになったのは、まさにライブハウスでの演奏直後。その最期までもがピアノ・マンだったことになる。

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2018-03-30 網倉一也 / Listen To My Love Songs

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[] 網倉一也 / Listen To My Love Songs (フィリップス / 1978) 00:52

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歌謡フォークとAORの絶妙なブレンド感覚は、アメリカならカントリー歌手が演ったプリAORみたいな。網倉一也のファースト『Listen To My Love Songs。アルバムにも収録されているシングル「Good-Bye横須賀/レモン・プリンセス」のシングル盤を先日手に入れて(”レモン・プリンセス”には梅垣達志がコーラス参加)、なかなか良い!となりまして。そこでアルバムの方も早速入手した次第。

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なんとなくアルバム・ジャケットの方に既視感があり、しばし考える。プロフィールにある好きなアーティスト「ボブ・ジェイムス」「イーグルス」「ジェイムステイラー」「ポール・サイモン」で全てを理解!ジェイムスとポールが参加したアート・ガーファンクルの"(What A)Wonderful World"収録の『Watermark』ですね。同年のリリース。並べるとちょっとシンメトリックで。

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冒頭のタイトル曲”リッスン・トゥー・マイ・ラブ・ソング”はピコこと樋口康雄編曲でタイム・ファイヴはコーラスで参加した美麗な1曲、LPも良音だった。村上ポンタ秀一、岡沢章、芳野藤丸松原正樹佐藤準らが参加したトラックと、ラストショーの面々(島村英二、河合徹三、徳武弘文、村上律、松田幸一)が参加したトラックを使い分けて、アメリカンな色を後者に負わせている。共通して参加しているのは器用な吉川忠英今井裕後藤次利というサディスティックスの面々も。石川鷹彦先生参加の2曲だけフォーク、というのもわかりやすい。とはいえ全体を通して、現在で言うところのシティ・ポップ直球良盤。シンガーとしても口当たりソフトで、SSWっぽいナイーブさがあるのも良いが、達者なメロディ・センスを特に買われたようで、アイドルへの楽曲提供がメインに。近年では井の頭公園の歌姫、あさみちゆきをはじめ、歌謡フィールドで数多くの楽曲を手がけている。郷ひろみの"マイレディー"や"How manyいい顔"も印象的。セカンド『SCENE』シティ・ポップ再評価で昨年CD再発。2011年には久々の自演盤『振り向けば〜mydear〜そして明日も』をリリースしている。

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http://www.kazuya-amikura.com/

2018-03-27 Mike Love / Unleash The Love

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[] Mike Love / Unleash The Love (BMG / 2017) 11:04

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もう春!であって夏ではないけれど、ビーチ・ボーイズマイク・ラブのソロ・アルバムが昨年リリースされた。注文したのは昨年だったけれど、LPの入荷が遅れたのか、届いたのは先月くらいだったような。ゲイトフォールドのLP2枚組でダウンロードカードはなかった。ジャケットの片隅に「ビーチ・ボーイズの共同設立者であり作詩家」という注意書きがあって、流石に説明不要ではなくなったのかな、と。失礼ながら、もはや場合によっては介護が必要な77歳、立派な後期高齢者ですからね…

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アマゾンのレビューがひどかったので買うのをやめている人もいるだろうから言っておくと、結構良い。ビーチ・ボーイズ気分満載、2012年の『That's Why God Made the Radio』http://d.hatena.ne.jp/markrock/20130629)に入っていてもおかしくないような曲もあり、フレッシュでかなり気持ち良い音(“Daybreak Over The Ocean”は実際『That's Why God Made the Radio』に入っている)。ただ、マイク&ブルースビーチ・ボーイズオールディーズ営業ライブにおける、ある種の足りない感を経験した人がそう言いたくなる気持ちは、痛いほどわかる(笑)でも、77歳ですし、新譜が1981年の『LOOKING BACK WITH LOVE』以来、36年ぶり!にリリースされたこと自体を喜びたい。それに、レコーディングではボーカルがそつなく統制されているせいか、ライブよりもむしろ良いかも。



「Now」and「Then」という仕様になっていて、「Now」の新曲群は基本過去に録り貯めたものの寄せ集めだけれど、トータル的な違和感は全く無い。ジョン・ステイモスをフィーチャーした”Getcha Back”の再演、エイドリアン・ベイカーの完璧な多重コーラスを加えた”Cool Head, Warm Heart”がやはり良かった。ソロアルバムのタイトルになるという話があった、シャレのような”Make Love Not War”もしっかり収録。コーラスには、ブライアン・ウィルソン・バンドから乗り換えたジェフリー・フォスケットに、息子クリスチャン・ラブ、ブルース・ジョンストン、そしてブロッサムズやウォーターズの名前が。インド行に影響を与えたジョージ・ハリスンに捧ぐ”Pisces Brothers”では「ハレ・クリシュナ」というリフレインも。



そして「Then」の再演パートはマイクのビーチ・ボーイズのライブを観に行っている感じ。これが自宅のオーディオで聴けるわけだから、まぁ悪いわけがないですよね。”California Girls”、プロモ映像が早くから出ていた”Do It Again”、”I Get Around”、”Help Me Rhonda”、娘のアンバ・ラブがリードを取る”Warmth Of The Sun”、ライブで興奮した”Brian’s Back”(ジェフリーはカールが乗り移ったよう!)、”Darlin’”、”Wouldn’t It Be Nice”、”Good Vibrations”、”Fun Fun Fun”…みたいな。オリジナルではリードを取っていなかった曲があるのもまたいい。”Wild Honey”にはマイクのバンドでドラムスを叩いていたカウシルズのジョン・カウシルが参加。そしてほぼ全編、プロデュース&アレンジは懐かしい名前だけれどマイケル・ロイド!自身でもギターやベースを弾いている。アルバムタイトルの『Unleash The Love』はマイクの名前に引っ掛けて「愛を解放する」という意味。ノー天気に見えるマイクだけれど、ジャケにはキング牧師やピースマークをコラージュして、愛を解き放ち、平和の鳥を羽ばたかせる…60年代ヒッピーイズムの精神性を今も体現しているのだと思う。しかしそうした理想よりも現実、利他よりも自利を取り、カネ儲け以外は思想スッカラカンという現代だと、そんなマイク・ラブも鳥を逃がしているおじいちゃんにしか見えないかもしれないけれど。

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2018-03-20 初めて行く小平のレコード屋

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[] 初めて行く小平レコード11:31

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レコ屋も大体回遊コースが決まってくるものだけれど、東京小平市鷹の台にある中古レコード屋ビュグラー(bugler)(http://bugler-tone.com/)を初訪問。60〜70年代SSWしばりみたいな、噂通りの凄いお店だった。ちなみに生まれてから20歳くらいまで、小平近辺に住んでいたものだから、そんなレコ屋が小平に新しく出来たことが信じられなくて。そういえば小平駅前の小さな商店街の片隅にかつて中古レコード屋があった。国分寺の老舗珍屋の支店だったかな?どうしても思い出せない。今思えばレコードカセットテープ、CDの結構な在庫があった。ぼくはちょうどレコード・プレイヤーを手に入れたばかりの初心者の頃で、S&Gのグレイテスト・ヒッツの日本盤という今となってはどこでも手に入るようなものを1200円くらいで買った記憶がある。それでも、レコードは高いもので半額でも安い!という感覚があったから、喜び勇んで持ち帰って、ミセス・ロビンソンの音の良さに感動した。そう、そのお店で海援隊のシングルを買い、当時ぼくがよく出ていた四谷コタンというライブハウスに海援隊の中牟田さんが出演した際、サインを貰ったんだった。

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色々思い出すけれど、本題はビュグラー(bugler)でした。バーズ(ラリー・マレイ)の曲名、というだけで大体想像がつきますでしょうか。レジ下にはラリー・マレイの大名盤『SWEET COUNTRY SUITE』ディスプレイされている。さらに小尾隆さんの委託販売コーナーがあり、もうお店の色の全てが理解できた、という感じで(笑)60〜70年代のシンガー・ソングライター、フォーク・ロック、そしてトラッドという辺りがメインで(ソウルジャズクラシックもちょこっと)、ある種のセレクト・ショップの趣き。CDもあったけれど、LPを全て眺めているだけで、ついつい時間を忘れてしまった。

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何より嬉しかったのは、友人のモンチコン清水祐也くんに教えてもらったロングダンサー(Longdancer)の日本盤ファーストがあったこと!感動でした。ユーリズミックスデイヴ・スチュワートが在籍していた、イアン・マシューズサンディ・ロバートソン・プロデュースの4人組、1973年のファースト。エルトン・ジョンロケットレーベルで、当時はナイジェル・オルスンの弟ケイ・オルスンがいるのが売りだったみたい。でもCSNのようなコーラスで、ビージーズのようなポップさもあり、何よりアコギの音の煌びやかさが、今までで聴いた数多の盤でも1、2を争うレベルだと思う。日本のGAROみたいな叙情性はイギリス的で。駄曲皆無だし、ラザラスのフールズ・パラダイスと同じくらい好きな感覚。セカンドも入手せねばです。しかしデイヴ・スチュワート、かつて高校生くらいの頃に初めて観に行ったボブ・ディラン来日公演で前座やったことがありまして。確か弾き語りジョン・レノンのワーキング・クラス・ヒーローを演ったんだけれど、観客が「カモン・ディラーン!」とか騒ぎ始めて、デイヴはかなりムッとしていたのを覚えている。正直ぼくもユーリズミックスとデイヴの弾き語りがどうにも結びつかなかったんだけれど、ロングダンサーを聴いて腑に落ちました。

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さて、それ以外はビュグラー(bugler)訪問記念に買うしかない!と思ったフランキー・アームストロングの超名作『Lovely On The Water』、マイク・ディージーの『Letter To My Head』、大好きなゴーゴニ・マーティン&テイラーセカンド、意外な所でマリ・ウィルソンのこれまた大名作『Showpeople』を。そして、正直SSWの類は殆ど買い尽くしたと思っていたけれど、初めてお目にかかったバリー・メルトンの『Bright Sun Is Shining』カントリージョー&ザ・フィッシュ〜ダイナソーズのギタリストカントリージョーと同じくヴァンガードからのリリース。目を引いたのが、計6曲におけるダニー・ハザウェイフィル・アップチャーチの客演。ダニー・オキーフとか、そういう例もあるんですが。素敵なトートバッグもいただいて!

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2018-03-07 DEJA VU / Song For Everyone

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[] DEJA VU / Song For Everyone (Capitol / 1976) 23:40


前回ジミー・イエナーを取り上げて思い出したのだけれど、最近DEJA VUというカナダのバンドのキャピトルにおける唯一作を入手したのだった。エグゼクティブ・プロデュースがジミー・イエナー。このバンド名を聴いて直感的にCSN&Yを思い浮かべてしまった。1981年に”Marrakesh Express”を単発シングルでリリースしているところからすると、まさにそのフォロワーだったのかもしれない。

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ただ、一瞬目を引いたのはそんなことではなく、アルバム冒頭でビーチ・ボーイズの”Sail On Sailor”をカバーしていたこと。近年のライブでもブロンディチャップリンが熱唱しているけれど。ブライアンとレイ・ケネディの共作でありました。DEJA VUのヴァージョンがこれまたむちゃくちゃスワンピーで完成度高い音。CSN&Y仕込のカリフォルニア・ハーモニー・ポップの伝統も受け継ぎつつ。これ1曲で買いだと思いました。そんなことを思いつつ聴き進めると、次なる”If He Loves You”はウォール・オブ・サウンドのテイストの入ったこれまた完璧なパワー・ポップで。これはエグゼクティブプロデューサーに名を連ねるジミー・イエナーが手がけたラズベリーズと重なるイメージ。アルバムの最後にはそのラズベリーズ”Don’t Want To Say Goodbye”の直球カバーも入っていた。そして、チャートインの記録のある”Be Happy”はまさにハッピーで多幸感溢れるディスコAORじゃないですか!ヤバいですね、コレ。

https://youtu.be/L95CLkfvpDg

なんだかBig Pinkがいずれリイシューするような盤だなと。そして、”Yes I Do(I Love You)”のAメロはグレアム・ナッシュそのもののようでいて、Bメロ以降のポップ・ソウルな展開はCSNを凌ぐ出来でありまして。メロウなソウルも歌えちゃうところが、このバンドの凄い所かも。

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本作の実質のプロデュースはカナダジャズ・ロック・バンドLighthouseの創設者にして、ドラマーのスキップ・プロコップ。アダム・ミッチェルとThe Paupersというバンドを60年代後半にやっていた人。ネッド・ドヒニーの”Get It Up For Love”を含む、DÉJÀ VUのキャピトルからの2枚目にして最終作に出会える日はいつか来るだろうか?

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2018-03-06 The Chambers Brothers / Unbonded

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[] The Chambers Brothers / Unbonded ( Avco /1973 ) 17:21

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チェンバース・ブラザーズというと1968年のヒット、”Time Has Come Today”のイメージ。サイケデリック・エラの空気を吸って、白人音楽であるロックと黒人音楽であるソウルミクスチャーして。プロデュースはデヴィッド・ルービンソン。その時代、コロンビアから何作か出しているけれど、今の日本ではあまり人気がないのかな。オリジナル米盤、マトリクス初期でもたいてい1000円しないという印象。

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その理由を考えてみると…当時の白人マーケットをターゲットにしていたグループだから、売れたものの、うるさ型のソウルファンはそこまで熱心に追いかけなかったのではないだろうか。そして白人ロックのファンは普段あまりソウルを聴かないから、宙ぶらりんになって。でも、この2枚組に入っているフィルモア・ライブ『Live at Bill Graham's Fillmore Eastなんて、ジミヘンみたいでなかなか熱い。

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とはいえ後年Avcoでアルバムを出していたことは、これを見つけるまで知らなかった。1973年『Unbonded』。Avcoといえばスタイリスティックスでしょうか。甘ったるい白人向けのフィリー・ソウル。そちらも大好きだけれど、チェンバース・ブラザーズの方がガッツがある感じ。しかし選曲がえげつない。シュープリームスの”Reflections”やインプレッションズの”Gypsy Woman”はいいとして、ザ・バンドの”The Weight”、ビーチ・ボーイズの”Good Vibrations”、さらにはラヴィン・スプーンフルの”Do You Believe In Magic”まで演っている。しかも割と、オリジナルに忠実に。元々白人リスナーを意識してカバーの多いグループではあったけれど、ここまでやらせたたのは一体誰か、と思えばプロデュースはジミー・イエナー。やってくれますね。エリック・カルメンラズベリーズやスリー・ドッグ・ナイト、そしてグランドファンクベイ・シティ・ローラーズにも関わった彼でした。

2018-02-25 なぎらけんいち / 春歌

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[] なぎらけんいち / 春歌 (kaleidoscope / 1974) 01:06

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先日、私のブログのコメント欄をふと見てみたら、なんと、なぎら健壱さんご本人らしき方から書き込みが。2010年に書いたライブ評と、元・歌のおにいさん、坂田修さんとのフォークマン・ブラザーズを取り上げたページだった(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20101201)。「ライブ来て下さい」とあったから、行かないわけにはいかないでしょう!ということで、スケジュールを調べてみると、となり町・吉祥寺マンダラ2で定例ライブがあるじゃありませんか!早速予約しまして。私の大切な音楽パートナー・馬下さんとも偶然タイミングが合いまして、一緒に行って参りましたよ。いつまでもあると思うな式で、行ける時にライブは行かなきゃいけませんね…

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泣く子とオリンピックにゃ勝てぬ、じゃないけれど、いつもに比べるとお客さんは少なめだったのかな。それでも花粉症(とは一生認めない、とおっしゃってましたが)をものともせず、ゴキゲンなホンキー・トンク・下町カントリーを聴かせてくれました。毎月フラッと行きたくなる居心地の良い空間で。歌の合間の喋りはもう落語の名人芸ですね。馬下さんは「すべらない話」に出た方が良いと言っていたけれど、そんな感じで。先日お亡くなりになった大杉漣さんのことにも触れていて、もちろんその名の由来になった高田渡のご子息・高田漣さんの、一般人には到底知りえぬエピソードもあった。

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バンドのオウンリスクはとても良い。アメリカカントリーイギリスならパブロック)ならではの、よそゆきの部分のない気さくなサウンドにほっこり。カントリー、フォーク、ロック、ウェスタン・スウィング、演歌ロカビリーをごった煮で料理する。それにしてもペダルスチールは桃源郷ですね。ホソノさんのバンドとかと、辿り着いている場所は実は一緒なのかもしれない。『この夜に…』からの曲が多かったけれど、個人的にはライブで聴いたことがなかったので、嬉しかった。さらに、40周年アルバムにして最高傑作『夜風に乾杯』http://d.hatena.ne.jp/markrock/20121201)からの曲に加え、初期の「舟が出る」とか、「トラック・ドライビング・マン」、そして「あの娘にヘッドロック」も盛り上がりまして。「四月十日の詩」はここ数年の鼻歌第1位なので、今度は聴いてみたい。

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なぎら健壱としての濃ゆいタレント性に覆い隠されているけれど、正統派フォーク・シンガーとして、民衆に歌い継がれてきた楽曲を、愛情篭めて歌い継いできたその姿勢には敬意を表したい。近年だと演歌師のレパートリーなどを取り上げた『裏技』も名作だった。

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そんなこんなで、終演後にブログの件を確認すると、やはり書き込みはご本人で。私のアルバムもお渡ししつつ、編曲をやってくれた元・竜とかおるの佐藤龍一さんのお話をしたら、まだ現役で頑張っておられることを驚いてもいた(かつての「龍」さんのイメージが強くて、結びつかなかったみたい)。なぎらさんともども、元エレックでしたよね。そして、最近CD化された春歌も持参して。

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コレは発禁盤だとか怪盤だとか、色々言われてますが、はちみつぱいや洪栄龍のスラッピージョーをバックに、全国から採集した春歌を歌った、フォークウェイズ並のお仕事。持参したこのLPジャケットを見つけると、前に座っていた方から、「これ、高いですよね〜ディスクユニオンとかで凄い値段付いてますよ!」と話しかけられて。その口調にレコード・クレイジーとして何となく同じ匂いを感じたんですが、ライダー俳優の半田健人さんでした。これまた後でちょっと調べてみると、ライブでなぎらさんの「葛飾にバッタを見た」を歌っておられるとのこと。超イケメン・ライダー俳優・半田さん、最高すぎますね!

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2018-02-09 Clover / Same

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[] Clover / Same (Fantasy/ 1970) 08:56

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ドゥービーズのジョン・マクフィー、そしてヒューイ・ルイスやアレックス・コールが在籍したクローヴァーのファースト。長いこと2in1のCDで聴いていたから、オリジナルを買うというアタマがなかったけれど、久々に行った渋谷レコファンで1000円もしなかったので捕獲。改めて70年前後のファンタジーの硬いヴァイナルを手にすると、良い感じですね。同じレーベルCCRフォロワーと言われるのもわかる土臭いサウンド。サイケの残り香は比較的薄い(長尺ソロを含む”Wade In The Water”はあるけれど、これでもドゥービーっぽくさえ聴こえる)。しかしCCRとも違うのはジョン・マクフィーのギターが上手すぎること。カントリー・タッチのトゥワンギーなギターのリックは天才的なセンスだと思う。同じくドゥービーズに入ったアルティメット・スピナッチのジェフ・スカンクバクスターなんかとも同じで、際立っているギターの演奏力。大音量でついつい聴いてしまった。ガツンと来ます。



この時点ではヒューイ・ルイスはまだメンバーではない。ちなみに後に同じくヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのメンバーとなるショーンホッパーなんかをメンバーにしたクローヴァーは、エルヴィス・コステロのファーストのバックバンドを務めるんですよね。不世出のドラマー、TOTOジェフ・ポーカロがメンバーだった時期もあるみたい。

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2018-02-05 及川恒平 / Live in Jean Jean(ライブ・イン・ジャンジャン)

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[] 及川恒平 / Live in Jean Jean(ライブ・イン・ジャンジャン)(polydor / 1976) 21:54



気付いたらブログのアクセスが100万を超えていた。私の人生で興味を失うことなく続けられているのは音楽を聴くことだけ。そんなこんなで始めたブログだけれど、思いのほか色んな音楽ファンの方に目にして頂いているようで、一時はやめようと思ったりもしたけれど(音楽を言葉にすること、そして思わぬ方向へ進みつつある時代への無力感?)、それでも続けて来てよかったな、と思う。沢山の出会いもあったし。そもそもインターネット時代が到来し、誰も紹介していないようなマニアックなSSWレコードについて語りたい、という気持ちで始めたのだった。Googleというよりも当時はもっとポピュラーだったYahoo!で検索して誰ひとり日本で取り上げていないレコードのレビューを初めて書いてやろうという。ミュージック・ジャーナリズムで無視されてきた隠れ名盤や、英語の文脈を無視して祭り上げられている海外ミュージシャンの再評価みたいな。最近は大分趣旨が変わってきているんですが。次第に英米SSW好きの方々ともブログで繋がり始めて、そうした方々がブログ取り上げていたレコード韓国BigPinkがCD化しはじめたという思わぬ動きもあって(笑)。日本のミュージック・クレイジーのブログが海外で熱心に読まれていたわけですよ。ミュージシャン、業界人、ライターとは全く違った所から新しい音楽の世界を広げられたのがインターネットの力だと痛感したのだった。それもこれも愛すべき音楽あってのことなんですが。引き続き、よろしくお願いいたします。

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さて、本日の一枚。六文銭といえばフォーク界の長老・小室等とともに、及川恒平を忘れてはいけない。彼の詩人・ボーカリストとしての才能はグループに欠かせなかったと思う。で、これは1976年の今は亡き渋谷ジァンジァンでのライブ盤。サウンド指向のアルバムの完成度はファースト『忘れたお話』やセカンド『名前のない君の部屋』の出来を引き合いによく語られるけれど、このライブ盤は一番取り上げられない盤かも。

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とはいえほぼ新曲で、ライブとは思えない完成度。レコーディング代を浮かせるためなのかわからないが、ある種一発録りレコーディングのような仕上がり。バックを務めるのはシング・アウト〜ブラウンライス〜ジム・ロック・シンガーズの惣領泰則。MGMと契約してポール・マッカートニーから曲も書いてもらったブラウンライスですよ。演奏は結構プログレッシブな要素もあって、驚かされる。井上鑑も何気なく参加しているし。つぶやくような及川のフォーキーなボーカルも、演奏に触発されて、次第に熱を帯びてくる。



細野晴臣”恋は桃色”のカバーもある。同時代的にフォーク歌手がしっかりこの曲に反応していたのは興味深い。ディラン兇皀バーしていたし。とはいえこれはこのライブレコーディング用の単発カバーであるせいか、基本弾き語りトラックなのが一寸惜しい気もする。惣領泰則アレンジでも味わってみたかった。