いしうらまさゆき の『愛すべき音楽よ』(ブログ〜CD&レコードレビュー)

2013-06-07 Willie Wright

markrock2013-06-07

[] Willie Wright 01:21

/ I’m On My Way( ARGO LP-4024 / 1963 )

三鷹のネオ書房、と聞いてピン来る人はいるだろうか。漫画本を中心にした品揃えの現役の貸本屋だ。

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それがそれが、今日たまたま店の前を通ると、なんと「1冊100円」の貼り紙が。しかも上から消されて「1冊10円」になっている。まさか、と思って店内に入ると、かつて狭い店内にうずたかく積み上げられていた本や雑誌がほとんど無くなっており、空っぽの本棚だけが寂しく立っている。


店主のおじさんに尋ねると、「閉店したんだけどね」とのこと…閉めても店を開けていたのはなぜなんだろう。「若い人は本を読まなくなったし、本は昔よりも安くなったからねぇ」。おじさんの話につられて色々聞いてしまった。なんでもネオ書房、もともと大阪で商いをはじめたらしい。戦後間もない、娯楽の少なかった時代。大阪では話題となり、東京進出、と相成ったようだ。中央線沿線の店舗は親戚の皆々で運営されていたそうだ。そういえば高円寺だかどこかで見たことがあるような…貸本屋の全盛期、東京にはまだ同業が少なかったこともあって、それはそれは大きく賑わったようだ。

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三鷹の人達は優しいから、なんとか続けてこられた」。以後なんと63年間、商売を続けてきたとのこと。店内は開店当時のまま、本棚は当時職人さんが作ったもので、いまもびくともせず頑丈だ。お若く見えるおじさんも実は昭和3年の生まれ、ということは85歳でいらっしゃった!まったくそんな風には見えなくて。志願兵として中学の時分から戦争に行っている。お話によると、今82歳の人がギリギリ兵隊として戦争を知っている世代だという。


新聞屋なら取材お断り、なんてこともおっしゃっておられたので、いち住民としての私がここに書くことも良しと思わないかもわからない。でも、三鷹の大好きな風景の一つが消え去る前に、何か書き残しておきたかった。63年間も商売を続けるなんて、想像もつかないことだけれど、時代の流れとはいえ、一世を風靡したお店を畳むことを感傷的に描かれるのは、我慢できないことなのかもしれない。少なくなった本の中から、五木寛之『青年は荒野をめざす』を買った。10円ではなく、100円だった。

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さて、黒人男性フォーク・シンガーというと…ポピュラーな所ではハリー・ベラフォンテ(かなりクロスオーバーな音楽性ですが)、そしてジャッキー・ワシントンとかリッチー・ヘイヴンス、エリック・ビブの父レオン・ビブ、昨年亡くなったテリー・キャリアーなどがいる。女性だったらオデッタの系譜がある。

ウィリー・ライトのLPは初めて買ったもの。Argoというレーベルは相当フォーク・レーベルとして年季が入っているみたい。フォーク好きのつもりでそこまで注目していなかった。

http://folkcatalogue.wordpress.com/2010/02/07/pre-history-1925-1951/


録音はシカゴ。1963年。シカゴのフォーク・シーンというとちょうど同じ頃デビューしたテリー・キャリアーを思い出す。ウィリーのギター&ボーカルに加え、レイ・テイトのギター・バンジョーハーモニカ、ジャック・チェチニのギター、エルディー・ヤング(ex.ラムゼイ・ルイス・トリオ、ヤング・ホルト・アンリミテッド)のベース。


冒頭はボブ・ギブソンの”Daddy Roll ‘em”でこりゃ強烈だな、と思うけれど、徐々にフォーク・ミュージックの持つブルーズ・フィールが自然に醸し出されてくる。だから、パブリックドメインとしてクレジットされているフォーク・ソングの解釈がどうにも素晴らしい。なんといってもテリー・キャリアーのファーストにも入っている”Cotton Eyed Joe”が白眉でしょう。定番”House Of The Rising Sun”も演ってました。


レア・グルーヴの文脈で掘り起こされた1977年盤も話題になったけれど、本盤の深遠な響には叶わない。

2013-02-10 Pozo Seco

markrock2013-02-10

[] Pozo Seco 11:13

/ Shades of Time ( Columbia(Real Gone Music) / 1968 )


2013年の再発リリースとなったポゾ・セコの1968年盤。既にポゾ・セコ・シンガーズ名義で『Time』『I Can make It With You』という2枚のソフトロック調のフォーク・アルバムをリリースしていた。これは3枚目だが、ポゾ・セコ、と名前が短くなった分、メンバーも縮小。基本はドン・ウィリアムスとテイラー・パイ(スーザン・テイラー)の男女デュオの体裁になっている(数曲はロン・ショウがボーカルに加わる)。この頃こんなヒッピー風情を気取る男女デュオが流行っていたからかな。ディープ・ヴォイスのドン・ウィリアムスは後にカントリー歌手として大きな成功を収めている。10年くらい前にドンのベスト盤をオヴェイションのアコギを弾く写真に惹かれて聴いてみたところ、ジョン・デンヴァーまでとは言わないけれど、カントリー歌手には出せないそこはかとないフォーク・フィールを感じ取ったものだ。後にポゾ・セコのメンバーと知ったときは驚くと共にナットクしてしまったのだった。


いやはや、3枚目『Shades of Time』とても良いですね。ロックの時代に目配せしたいわゆる「フォーク・ロック」作品。ポール・マクニールの”Good Morning Today”に始まり、ディランの”You Ain’t Goin’ Nowhere”(歌い崩したナイスなアレンジにジョン・セバスチャンみたいなハープが加わって…)や”Spanish Harlem Incident”、ビートルズジョン・レノン)の”You’ve Got to Hide Your Love Away”やら、定番”Green, Green Grass of Home”にエヴァリーズの”Bye Bye Love”まで、元のアレンジを知っていると肩すかしを食うスロウなフォーク・ロックのビートで。他にも男女デュオの先輩格イアン・タイソンソニー・ボノ、ローン・マッキンノン、レン・チャンドラーの曲を取り上げている。


さらに、この再発CDには1967〜1969年のキャッチーなシングル音源11曲が追加収録されていて、そちらも楽しめた。売れる気まんまんなウェス・ファレルのポップな”Excuse Me, Dear Martha”とか、シングル欲しくなっちゃった位。いや〜、ドンはほんと良いバリトンですよ。澄んだテイラー・パイの歌声が美しかった”Morning Dew”(ティム・ローズがレコーディングしたボニー・ドブソン曲)やカントリー/ケイジャンな気分のダグ・カーショウ作”Louisiana Man”がなんとも水を得た魚のようで。あとスーザン・テイラー自作の”Creole Woman”も耳に残るブルージーなリフを持ったカントリー・ロックの佳作だった。この頃(1969年)のシングルのプロデューサーはよく見るとタミー・ワイネットを手がけたカントリーの大物プロデューサー、ビリー・シェリル!ドンもソングライティングをこの頃手がけるようになったようだ。ただ、クライヴ・デイヴィスがプロモーションに力を入れてくれなかったようで、もちろん4枚目のアルバムも出ず、コロンビアを去ることになったとか。1970年に小レーベルCertronから4枚目、最後のアルバムをリリースして解散している。

2013-01-28 Bob Gibson

markrock2013-01-28

[] Bob Gibson 23:20

/ Yes I See ( Elektra / 1961 )


今日見つけたボブ・ギブソン『Yes I See』を。この人の名前を知ったのは、愛聴していたサイモン&ガーファンクルのファーストに収録されていた”You Can Tell The World”のオリジナルというハナシを聴いたとき。ボブ・ギブソン&ハミルトン・キャンプというコンビは確かに、サイモン&ガーファンクルを唸らせたであろう、好フォーク・デュオなのであった。


1970年にはキャピトルから、ロジャー・マッギン、クリス・ヒルマン、デヴィッド・クロスビーなどバーズ勢にママパパのデニー・ドーハティ、サイラス・ファーラー、バーニ・リードン、スパンキー・マクファーランド、リック・ロバーツなんかが参加した『Bob Gibson』をリリースしていて、ロック世代のミュージシャンから尊敬を集めていたことが良くわかる。ちなみにその盤、ボブが初めて経験したマルチ・トラック・レコーディングだったらしい(その辺もフォーク・ミュージシャンの彼らしい)。

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モダンジャズみたいな雰囲気のジャケットのデビュー盤『Offbeat Folk Songs』は1956年にリヴァーサイドからリリースされている。1931年生まれということだから、25歳でデビューしたということだ。1956年と言えば、エルヴィス・プレスリーのデビューLPがリリースされた年。ロックンロールが生まれた時代から、フォークは既に完成された音楽だった。

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さて本題の『Yes I See』、本当に良くできている。ボブ自身もフェイヴァリットに挙げているらしいけれど。何と言っても”You Can Tell The World”が入っているのが嬉しい。気張って歌うボブの感じをポール・サイモンは真似ていたんだろうな、って微笑ましく思えてしまう。ハミルトン・キャンプとのデュオで歌っていたヴァージョン、つまりポール・サイモンやロジャー・マッギンが聴いていたはずのヴァージョンは、探しているけれどなぜか全盛期の音源では残っていないみたいだ。1986年に出た『Gibson & Camp...Revisited』というライブ・アルバムでは再演しているのでその音源から推し量ることはできる。

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とはいえやっぱり全盛期の雰囲気は1961年の名ライブ盤『Gibson & Camp at the Gate of Horn』で味わうべきだろう。サイモン&ガーファンクルのファーストの雰囲気はここから来ているのだ、と知ることができる。

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2011-04-17 Ramblin’Jack Elliott

markrock2011-04-17

[] Ramblin’Jack Elliott 23:41

/ South Coast ( Red House / 1995 )


逃げ出したくなる気持ちは分かるけれど、どうしてこんなに実情がうまく伝わらないのだろう。来日公演をとりやめる外タレが相次いでいて。もちろん、国内でもコンサートホールの都合でツアーの見直しを迫られているミュージシャンは沢山いる。でもそれとは理由は違うだろう。何しろ外国のニュースじゃあ、日本全体が全部フクシマになったような騒ぎでありまして。


風評被害にも心が痛むばかりだ。自分も同じ立場になることを感じざるを得ない。


そんなわけで、ランブリン・ジャック・エリオットも日本に来なかった。致し方ないと思いつつも失望したファンが多かったのではないかな。近所の中古屋に大量のランブリン・ジャック・エリオットのCDが売られていた。今このタイミングだから、ファンの気持ちも良くわかる。


さて、そんなわけで1995年の弾き語りアルバム『South Coast』を聴いているけれど、コレは秀逸ですな。初めてのグラミーを獲り、再評価に入った作(ベスト・トラディショナル・フォーク・アルバム)ということになるけれど、ライナーのガイ・クラーク、ジャクスン・ブラウン、ジョーン・バエズ、イアン・タイスン、グレッグ・ブラウン、ジェリー・ジェフ・ウォーカー、ドク・ワトスン、ピーター・ローワン、アーティ・トラウム、ジョン・ウェズリー・ハーディングといった人達のコメントを読むにつけ、偉大さに改めて驚かされる。ディランはジャックを越えていったけれど、フォーク、ブルーズといった音楽のトラディショナルな佇まいを守りきったということではよりジェニュインな存在に思える。


64歳の時のギター・ピッキングや歌声は流石に現在よりも力強くて、ディランの90年代の弾き語り2作よりも勢いがある。ウディの”Pastures of Plenty”、”I Ain’t Got No Home”、”Talkin’ Dut Bowl”に、かつての相棒デロール・アダムスの”Rake and Ramblin’ Boy”、ティム・ハーディンへの想いでも語った”If I Were A Carpenter”、ジェシ・フラーの”San Francisco Bay Blues”まで、代表曲を織り交ぜつつ、歌い込む。アコギや歌声もキレイに録られているから、スピーカーを大きくして浸りたい最高の仕上がりだ。


在りし日のグリニッジ・ビレッジに行きたいと夢に見たフォーク・ファンは多いことだろう。晶文社からかつて出た『フォーク・シティ』(ロブ・ウォリヴァー著・1990年)は151人のアーティストへのインタビューであの時代を生き生きと蘇らせてくれる。近年のフォーク・コミューンの所在をウッドストックの町に求めた著者による、これまたジョン・セバスチャンやジョン・ヘラルドを含めたインタビューで構成された『小さな町の小さなライブハウスから』(片山明著・万象堂・2006年)も面白いので一読をお薦めしたい。

ゆうゆう 2011/04/21 21:48 ご無沙汰しています!コンサートの見直し、がっかりですね。
先日、震災後初めてコンサートを観ました。村治佳織さん@武蔵野市民文化会館
音楽が心の栄養になるって、改めて強く感じました。本当に感動しました!
こんな時だからこそ、素晴らしい音楽をたくさん聴きたいですね。

markrockmarkrock 2011/04/22 00:11 >ゆうさん

こちらこそご無沙汰です!武蔵野市民文化会館でライブがあったのね〜今回の震災が、9.11と同じかそれ以上の衝撃を、表現活動に与えているように感じます。今だからこそ音楽にできることがあるように思えます。ちなみに、ポール・サイモンの新作、良かったです!

カッパカッパ 2011/05/16 23:07 中間テストが不安です

poltronepoltrone 2011/05/17 21:58 先生、お疲れ様です。今日の昼、メチャクチャうけましたですww今度は皆の前で披露してくださるとうれしいです!

markrockmarkrock 2011/05/26 01:01 いやはや、機会があれば是非!

2C402C40 2011/06/03 21:27 テナジー64と05-FX買いますた。

2C402C40 2011/06/03 22:48 度々すみまそん・・・。
合唱祭負けた・・・。
今年実行委員やったけど、来年、もし、またやったら委員長になることを決意した!(気が変わるかも・・・。)来年こそはB組になって金賞をとる!

markrockmarkrock 2011/06/04 16:57 お疲れ様でした。皆が一生懸命に歌い、ベストを尽くした姿に打たれました。テナジーは最強ですよ。

2A3? 2A3?  2011/06/05 15:03 2C40は残念だったな。
先生頑張ってましたよ!

2011-01-29 Martin Simpson

markrock2011-01-29

[]  Martin Simpson 17:25

/ Prodigal son ( Topic / 2007 )


英国フォークの名門レーベル、トピックからのリリース。マーティン・シンプソン2007年の最高傑作。彼は1953年生まれ。1976年にソロデビューを果たし、スティーライ・スパンのサポートで名をあげた。それから幾星霜。2008年にBBCラジオ2フォーク・アウォードを受賞し、やっとのことでギタリストとしてのみならずシンガー・ソングライターとしての才能も公に認められるところとなったわけだ。


それにしても美しい音色のアクースティック・ギター。ヴォリュームを上げて、スピーカーに耳を澄ますと、それだけで別世界に連れていかれてしまう。曲ごとのチューニング(オープン系が多い)も明記されていて、ギター弾きなら注目だろう。トラッド風味ながら、レッドベターの”Duncan & Brady”のような伝承バラッド、そして、ファーストアルバムの再録でもあるランディ・ニューマンの”Louisiana 1927”(カトリーナ被災が念頭にあったのだろう。バック・ボーカルはジャクソン・ブラウン!)が入っていたりと、アメリカーナ風味も魅力。


ケイト・ラスビーがうっすらとバック・ボーカルを添える自伝的な”Never Any Good”が白眉

2010-11-04 Tom Rush

markrock2010-11-04

[]  Tom Rush 23:05

/ Got A Mind To Ramble ( Prestige 7536 / 1963 )



見つけたとき、ちょっと小躍りしてしまった。どんな音楽を聴いていても、いつもアメリカン・フォークは心の中にある。トム・ラッシュがプレスティッジから出したセカンドアルバムだ。同時代にデビューしたボブ・ディランのようにオリジナル曲では個性を発揮できなかったけれど、ジャクスン・ブラウンやジェイムス・テイラー、さらにデヴィッド・ウィッフェンやマレイ・マックロランの曲をいち早く取り上げて、誰よりもシンガー・ソングライターらしく生まれ変わった70年代初頭コロンビアでの諸盤は評価できる。


さて、でも本盤のルーツに根ざした味わいはまた格別だ。使われている楽器はトムのアクースティック・ギターとフリッツ・リッチモンド!のウォッシュタブ・ベースだけ。”Duncan&Brady”(デイヴ・ヴァン・ロンクから教わったとのこと)、”Diamond Joe”(ランブリン・ジャック・エリオットの得意曲)と言ったトラディショナルを中心に、マール・トラヴィスのカントリー・スタンダード”Nine Pound Hammer”やジェシ・フラーの”San Francisco Bay Blues”なんていう有名所も押さえつつ。さらに、ボストン−ケンブリッジのフォーク・シーンから出た人らしく、ジェフ・マルダーのインスト”Mole’s Moan”(Moleはマルダーの愛称)やエリック・フォン・シュミットの”Big Fat Woman”も収めている。


あまりトムにブルーズのイメージはなかったけれど、ブルーズ・リヴァイヴァルの波をモロに受けているだけに、なかなかディープな歌いっぷりのものもあり、驚かされもした。


それにしてもプレスティッジはジャケが最高!デイヴ・ヴァン・ロンクの『Inside』なんてのも是非ともLPで持っていて欲しい1枚だ。

2010-10-08 Peter, Paul and Mary with Symphony Orchestra

markrock2010-10-08

[] Peter, Paul and Mary with Symphony Orchestra 22:22

/ The Prague Sessions ( Warner / 2010 )


今年マリー・トラヴァースが亡くなったけれど。ピーター・ポール&マリー(実際の発音から言ったらメアリーですが、通例に倣ってこう呼ぼう)というと、公民権運動を支えたフォーク・グループとして、さらに世界のフォーク・アンサンブルのお手本として、各国で愛されてきた人だ。日本では特に人気があって、アマチュア時代にPP&Mタイプのフォーク・グループを結成していた大物も多い。


さて、これはメアリーさんの追悼盤としてリリースされたモノ。近作ではイマイチだったジャケの風格を最後の最後で取り戻してくれたのはとても嬉しい。プラハ・セッションと名づけられているけれどチェコ・ナショナル・シンフォニー・オーケストラと共演したライブ音源(気にならないレベルの拍手入り)、以前のライブ音源にオーケストラを被せたものからなる。フォーク・ソングとオーケストラってのは意外と合うもので、豪華でありながら、華美な印象は全くなく、その気高く品のある美しいメロディを際だたせてくれる。


“Leaving on A Jetplane”や”Puff ,The Magic Dragon ”、”Where Have All The Flowers Gone”、”Blowin’ In The Wind”、”This Land Is Your Land”と言った、そらで歌えてしまう代表曲の数々を収録。アート・ガーファンクル&マイア・シャープとトリオを組んでいたバディ・マンドロックが書いた近年の代表曲”The Kid”(そのトリオのレコーディングもある)や、マイア・シャープの父ランディ・シャープがソングライティングに加わった”Some Walls”はとても良い曲。


メアリーの晩年はかなり声が低くなってしまって、元々アルト・ヴォイス気味ではあったけれど、女声を聞き分けるのは難しいほどだけれど、暖かみのあるフォーク・ソングを聴いていると、思わずギターを持って歌いたくなってしまうような、心地よさがある。


昔狂ったように聴いたPP&Mだけれど、近年はピーターのソロを聴いたり、ノエル・ストゥーキーの”Song For Megumi”(拉致被害者の横田めぐみさん支援楽曲で、バンドにはエディ・モトウなんて懐かしい名前も見える。)を買ったくらいだった。改めて心が清々しくなって、まるで中学生の頃に戻ったようだ。憧れと希望と、不安が入り交じってハーモニーに融けていく。

2010-07-17 The Johnstons

markrock2010-07-17

[] The Johnstons 02:41

/ Same ( Mercury 0598 / 1972 )


In the morning

When You’ve left me,

I will sing a song

About the day you found me…


大好きな曲”The wind in my hands”の一節だ。アドリーン・ジョンストンの伸びやかな歌声が突き刺さる。


ジョンストンズ、ジャケットに映るアドリーンの肩を抱いているのは若かりしポール・ブレイディだ。アイルランドを代表するシンガー・ソング・ライターである彼のキャリアを総括する内容のDVD『Songbook』(2002)を観ていたら、久々に聴きたくなってきた。


トラッドを改作した”Border Child”のような作品もあるが、ほとんどはポールが作曲し、クリス・マックラウドが詩を書いたオリジナルだ。フォークを基調としながらもとてもポップなメロディが詰まった名盤だ。


”Looking out December windows is keeping me right”と歌われる“12月の窓”はポールが詩も曲を書いたものだ。その詩的な表現と佇まいはトラッドを飛び越えた内省的なものと感じる。荘厳な”Bread and Wine”、エレピがグルーヴィーな”You Ought To Know ”、2人のきれいなハモりが聴ける”Won’t You Come With Me?”も気に入っている。


元々ファミリー・グループだったジョンストンズはポールの加入でポップ・フォーク色を強め、ささやかながらも成功を収める。アメリカでは、後に””Luck Of The Draw”を書き送ることになるボニー・レイットと共演したこともあった。解散後ポールがソロ・デビューを果たした一方、アドリーンは1981年、35歳の若さで不慮の死を遂げている。

2009-12-20 Ramblin’ Jack Elliott

markrock2009-12-20

[] Ramblin’ Jack Elliott 22:57

/ A Stranger Here ( Epitaph / 2009 )


ランブリン・ジャック・エリオットの新作が国内盤で出るなんて。全くビックリしてしまう。前作『I Stand Alone』(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20070207)は日本盤は出なかった。本作はリーマン・ショックが世界恐慌の再来と騒がれたアメリカのこのタイミングで30年代のブルーズをカバーした盤。初期ディランのアイドルだった彼も既に78歳。生ける伝説というに相応しい人物。1995年にグラミーを獲って以来、新たなピークを迎えた感もある。


それで、本作のプロデューサーはジョー・ヘンリー。ベテランを土臭く復活させるのに長けた人。、ディランと被るゲストとしてロス・ロボスのデヴィッド・ヒダルゴが参加していたり、ヴァン・ダイク・パークスの名前を見つけられたりと、弾き語り一辺倒ではない。


例のブルーズ・ムーヴィーのタイトルにもなったM-4“Soul Of A Man”(ブラインド・ウィリー・ジョンスン)、人間のソウルは何かと問い続けるエリオットのブルーズ・フィールに圧倒される。ミシシッピ・ジョン・ハートのM-5”Richland Woman Blues”はいつものエリオット節。そしてアルバム・タイトルに詩の一節が使われたM-7”New Stranger Blues”は私がHPを作らせて貰っているブルーズメン、Broom Duster KANもレコーディングしている大好きな曲。居場所が見つからない、ってのは人間が持ち続けざるを得ない感覚なのかもなと思う。


さて、プロデューサーのジョーはエリオットがウディ・ガスリーを歌った名盤『Ramblin Elliott Sings The Songs of Woody Guthrie』に早いうちに触れて衝撃を受けたらしい。


フォークものも最近改めて聴きなおそうと思っていて、今年手に入れた英トピック・レコードの7枚組ボックス『Three Score & Ten』やブロードサイド誌掲載楽曲の名編集盤『The Best of Broadside 1962-1988』辺りを取り出している。

2009-11-08 Dave Van Ronk

markrock2009-11-08

[] Dave Van Ronk 14:31

/ Songs For Ageing Children ( Cadet CA 50044 / 1973 )


デイヴ・ヴァン・ロンク。粋なフォークシンガー。酔いどれた高田渡なんかと被るイメージがあって。ディランが居た時代のグリニッジヴィレッジの空気を保ち続けた人。2002年に惜しくも亡くなってしまったけれど。


さて、コレはリリースがまばらになりかけた70年代初期の作。プロデュースはジェリー・ジェフ・ウォーカーらを手がけているマイケル・ブロフスキー。


ミッチ・グリーンヒルかな?と思うギターが聴けるトラディショナルA-1”Duncan & Brady”、ハワイアンM-3”My Little Grass Shack”、トラッド風の沁みる好曲B-6”Last Call”、ロックンロールB-1”Work With Me Annie”と相変わらず彩り豊かな音。黒人フォーク歌手のレン・チャンドラー作でカレン・ダルトンやフレディ・ニールも演っているA-2”Green Rocky Road”や、最高に味わい深いランディ・ニューマンのB-4”Sail Away”(ゴスペルタッチにダミ声で迫る)、ミシシッピ・ジョン・ハートの代表曲B-5”Candy Man”を収めていたりと聴き所は多いのだが、印象的なのはジョニ・ミッチェル。1曲はデイヴの作るその名もA-5”Song For Joni”。さらに、ジョニの『Blue』に収められてたB-2”River”の弾き語りが最高で。後にジェイムス・テイラーらがカバーしたり、最近も海外ドラマに使われたていたりと、支持が厚い名曲。歌の圧倒的な存在感に飲み込まれてしまう。


デイヴは”Urge For Going”、”Both Sides Now”、”Chelsea Morning”などもかつてカバーしていて、同じフォーク畑出身でありながら異彩を放っていたジョニがお気に入りだった模様。

2009-09-18 Peter, Paul & Mary

markrock2009-09-18

[] Peter, Paul & Mary 10:55

/ In These Times ( Rhino / 2003 )


またまたの訃報。ピーター・ポール&マリーの紅一点、マリー・トラヴァースが亡くなりました。なんだか衝撃が大きくて。PPM、周りがビーイング・小室系のメガヒットに現を抜かしていた中学生のアノ頃、聴きまくっていたなあと。“レモン・トゥリー”“パフ”“風に吹かれて”“花はどこへ行った”“虹と共に消えた恋”“天使のハンマー”…それがココまで入れ込む事になったフォーク・ソングへの入り口だったことは言うまでもないし。


今日はPPMのオリジナルアルバムとしては最後になった『In These Times』を聴いている。再結成してからも、ソロとしてもいい盤を沢山残しているPPMだけれど、この作はボックス・セットの発売に併せて原点に帰った佳作。ギター、バンジョー、マンドリンと言ったフォーキー・アンサンブルに彩られた3人のハーモニー。マリーの声は大分低くなってピーター、ポールと区別が付かない程だけれど。ウッディ・ガスリーやピート・シーガーの曲、トラディショナルも交えて歌う。ビル・ステインズやランディ・シャープの曲もあって。


ご冥福をお祈りします。

2009-08-18 Bud Dashiell

markrock2009-08-18

[] Bud Dashiell 11:50

/ I Think It’s Gonna Rain Today ( Warner WS1731 / 1968 )


どうでもいいですが、終戦記念日にNYでウッドストックが再び開かれたようで。94年(25周年)と99年(30周年)にもありましたが。1969年から数えて40周年に当たる今年、40周年記念盤のリリースなどが相次ぎ、各種音楽雑誌で特集が組まれたりしていたけれど、ウッドストック2009、蓋を開けてみたら40万人の参加者だった69年と比べて参加者「1万5000人」ってのは酷すぎやしませんでしょうか。テン・イヤーズ・アフターやジェファーソン・エアプレイン、キャンド・ヒート、ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー、カントリー・ジョー・マクドナルドらが出たみたいだけれど、今年の中津川フォークジャンボリー同様、懐古趣味に陥ったイベントに未来はありません。日本からはスーパーフライが参加とか言って歴史に泥を塗るのはコレ限りにしていただきたい。


さて、気を取り直して本日のレビューを。コレはバド・ダシェルの盤。ジミー・ヒラードのプロデュース。


クラシックギターとウッドベースだけという静謐とした音作りの中、重々しい嗄れ声を聴かせるタイトル曲A-1” I Think It’s Gonna Rain Today”がヤハリ白眉。ご存知の通りランディ・ニューマンの名曲で、多くのカバーが存在するが、中でも早い時期のカバーだった。バドのボーカルは、割とランディのボーカルに近しいものを感じる。A-2”Et Maintenant (What Now My Love)”はフランス語で歌われるシャンソン。どうもバドはフランス生まれらしい。B-3”Au Revoir”も同様フランス語。ペギー・リーの代表曲A-3”Black Coffee”を聴いても感じられたが、こうしたスタンダードな楽曲を枯れたフォーク・サウンドで聴かせるのが彼の持ち味なのか。


バド・ダシェルは“バド&トラヴィス”“バド・ダシェル&ザ・カインズメン”でフォーク盤を多くリリースしてきた人。当時下火になってきていたモダン・フォーク・グループがその全盛期に好んで取り上げたゴードン・ライトフットのB-4”Early Morning Rain”をココでバドが取り上げているのもその残滓。


ジャック・ブレル-ロッド・マッケンのB-1”Seasons in the Sun”も好選曲。サンバタッチで。さらに、ジェシ・コリン・ヤングのB-2”Lullaby”なんかも取り上げていて、コレがまた悪くない。


当時の新進のソングライター作品からホーギー・カーマイケルのB-5”Baltimore Oriole”まで幅広く取り上げた本作。当時のレーベルメイトだったボー・ブランメルズやハーパース・ビザールらと比しても、到底時代を変える一枚にはならなかったわけだけれど、今の耳で聴けば、SSW時代への橋渡しとして、独自の存在感を示しているようにも思えるのだ。

2009-07-20 The Mitchell Trio

markrock2009-07-20

[] The Mitchell Trio 10:52

/ Alive ( Reprise RS6258 / 1967 )


モダン・フォークでは忘れられないグループ、チャド・ミッチェル・トリオ。ディランの”Blowin’ In The Wind”を初めてレコーディングしていたり、バーズのロジャー・マッギン(ジム・マッギン)がバーズ以前に客演していたりと60年代のフォーク・ロックを形作る面々との繋がりも興味深いし、”Take Me Home, Country Roads”など70年代にソロで一世を風靡するジョン・デンヴァーがメジャーデビューを飾ったのもこのトリオだった。もっとも、本盤のリリース時点でリーダーのチャド・ミッチェルは脱退し、オリジナル・メンバーはマイク・コブラックのみという状況ではあったけれど。チャドの脱退でグループ名もミッチェル・トリオに相成りまして。


さて、ライブ盤の体裁の本作。冒頭のA-1”Introduction and What This Country Really Needs Is Another Movie Star”ではニグロ!ニグロ!なんて連呼するものだからドキッとさせられる。1968年の大統領選に初めて出馬したムーヴィー・スター、そうロナルド・レーガンのことを歌っているのだろう。レーガンと言えば、公民権法に反対したほどの保守主義者。叩くには最適。プロテスト・フォークの伝統ナリ。


ビートルズのスロウなカバーB-1”She Loves You”もなかなか興味深いのだけれど、やっぱりジョンのオリジナルでしょう。中でもPP&MがヒットさせたA-2”Leaving, On A Jet Plane”の初出バージョンは必聴!ジョン自身もソロになってレコーディングする名曲。ジョンは「“カントリー”ロード」のイメージからカントリー歌手という位置付けだけれども、個人的にはカントリーと言うより清廉で瑞々しいフォーク畑の人という印象がある。


ところで、ミッチェル・トリオ。最後にはオリジナル・メンバーも居なくなってしまったが、ジョンと共にマイケル・ジョンソンがメンバーとなったのが興味深い。マイケル・ジョンソンと言えば、『There is a Breeze』『Ain’t Dis Da Life』『The Michael Johnson Album』などの好盤で知られる歌手。この人も、ジョンに遅れる形ではあったが”Bluer Than Blue”(Randy Goodrum作)など、70年代後半のポップカントリー・フィールドで大成功を収める。カントリー界にいながらにして、マイケルもジョンも、さほどコブシを回さないクセの無い発声。二人がフォーキーだった理由がミッチェル・トリオを聴けば判る。


最後に、John Demverが1966年に250枚制作した幻の自主盤『Sings』について。コレは存在を知らない人も多いかもしれないが、ご丁寧に音源をアップしてくれているサイトがあって。ビートルズエヴァリー、フィル・オクスなんかのカバーを収録。ビートルズをフォーキーに演るってのはRCAでのソロ・デビュー後の定番なんだけど、その萌芽がすでにここに。注目はジョン作の”Babe I Hato To Go”。後に”Leaving, On A Jet Plane”に改題される。

http://jdshigherground.homestead.com/1966JohnDenverSingsAlbum.html

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