いしうらまさゆき の『愛すべき音楽よ』(ブログ〜CD&レコードレビュー)

2017-01-09 俄 / 俄芝居

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[] 俄 / 俄芝居(Philips / 1975 ) 19:08

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フィリップスというと1970年代初頭、世界標準のロックやボーカルものを出していたレコード会社。日本のフォーク・ロックの隠れ名盤と思えるのが1975年に唯一のアルバムを残している俄(にわか)。アルバムタイトルが『俄芝居』っていうのがまた古風というか、和風というか。素人演ずる俄芝居とは、つまり茶番のこと。70年代の日本回帰、ディスカバー・ジャパン的なフォーク時代の感性は面白いなと思う。自由への長い旅、とかいいつつ農村回帰というのもあった。東京吉祥寺でいえば「ぐゎらん堂」とかね。国分寺吉祥寺高円寺っていえば、三寺といって70年代東京で若者のたまり場があった文化の発信地。でも今思うと、寺という歴史を感じさせる町に(高円寺しかリアルな寺はないけれど)文化が育ったことにも古風な感性が見てとれたり。普遍理念の実現を目指す理想主義左翼がニッポン大好き右翼対立する、というとっくに死滅しているはずのイデオロギー図式。いまだそれが日本では機能している感じが、ウェブ上のかなり少数民族(の割に存在感が大きい…これは奥ゆかしい日本人に与えた平等性が逆に特殊を際立たせることに由来する)に見受けられるけれど、左というイメージのある70年代フォークは、今にしてみるとニッポン大好きですよね。浴衣の君はススキのかんざし、とか言ってますし。でもこれ、アメリカでも同様で、イージーライダーに描かれていたような保守的な田舎で受け入れられない若者(明らかに左のイメージ)がカントリーカントリー・ロックとして蘇らせ、再びそれが伝統となってゆきアメリカーナ音楽(今にしてみると右のイメージ)を形成していったという。理性で自然や社会を操作するという近代的発想の根っこが一緒だから、右も左も辿り着く場所は結構似ているということだろう。



話が逸れすぎました。70年代日本の音楽シーンは、ロックの反体制的気風が過渡期を経て、青春懐古を消費するニューミュージックへと変節する時代。俄はまさにその過渡期のリリースだから注目されなかったのだと思う。しかし、このアクースティック・ロックは新鮮すぎる。アコギのカッティングとコーラス、リード・ギター…明らかにCSN&Yを通したガロフォロワーという趣きなんだけれど、歌謡曲的要素に流れすぎなかったバランスが隠れ名盤として語り継がれている理由かも。ガロでいえばファーストの雰囲気。楽曲の完成度はとても高く、聴いていて気持ちがよい。「雨のマロニエ通り/ハイウェイ・バス」「コスモス/学校なんて大嫌い」の2枚のシングルを切っているけれど、「雨のマロニエ通り」辺りはガロっぽい歌謡臭がする仕上がり。でも、アコギの音がとても綺麗で、魂を売っていない感じ。メンバーは大枝泰彰、中島ひでき、宮川良明の3人で、大枝と中島が楽曲を手がけている。なんと中島は青山陽一さんの従兄であるとのこと(http://yoichiaoyama.jugem.jp/?eid=49#comments)。プロデュースは大野克夫で、ジプシー・ブラッド〜井上堯之バンドの速水清司やPYG井上堯之バンド原田裕臣といったニュー・ロックのゆかりのミュージシャンがバックを務めているため、同時代のフォークとは一線を画している。デモテープの録音には山下達郎伊藤銀次松任谷正隆が加わったという話もあるけれど、そんなデモがあれば聴いてみたいものだ。お医者さんになっちゃったという大枝泰彰を除いた再結成も演っていたらしいけれど、今はどうしているのだろうか。ちなみにCD化されていないのも評価を遅らせていると思うけれど、タイトル曲の歌詞にある「気狂い時計」辺りが理由かも。よしだたくろう『今はまだ人生を語らず』も、「つんぼさじき」が理由で再CD化されないし。この辺りは自主規制の名の下に行われた言葉狩りと言えなくもない。でこぼこをなだらかにしてしまう、これもまた近代的発想。


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2016-12-23 ザ・コンプリート・ココナツ・バンク

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[] ザ・コンプリート・ココナツ・バンク(BZCS1148 / 2016) 11:17

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ベルウッドからのリリースというのが、また戻ってきた感じで。アルバムを残せなかった「ごまのはえ」の発展系、ココナツ・バンクとしては初のフルアルバム『ザ・コンプリート・ココナツ・バンクがリリースされた。伊藤銀次(12月24日がお誕生日ということで、おめでとうございます!)45周年に併せて…ということで。今回の布陣は伊藤銀次、上原ユカリ裕というオリジナル・メンバーに、佐野元春とも関わりの深い元ルースターズ井上富雄、そしてはっぴいえんどチルドレンなママレイド・ラグ田中拡邦。2003年作の音源では久保田光太郎がギターを務めていた。ゲストには杉真理佐野元春いまみちともたか鈴木雄大リクオDr.KyOn…とゆかりの面々が。初めにリリースインフォをチラ見した時は、タイトル的に2003年に新星堂レーベル、オーマガトキからリリースされたミニアルバム『ココナツ・バンクの拡大版+アウトテイクかな、と勝手に思っていたんだけれど、13年前と全く違和感の無い新録が7曲含まれていて。トライアングルVol.1の”日射病”や、ごまのはえ時代の楽曲(”お早う眠り猫君””春待ち顔 人待顔”)もある。この集大成的な構成はまさに「コンプリート」に相応しい。

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それにしても『ベルウッド・シングルスとか、春一番音源、『ライブ・はっぴいえんど『SHOW BOAT 素晴しき船出』、さらには布谷文夫と共演した『ホーボーズ・コンサート』だとか、ごまのはえ&ココナツ・バンクのライブ音源・シングル盤を勝手に編集してアルバムを作ってた人とか、いますよね。私もそのクチでして、そうなってくると完全に感慨深いものがあって。2003年のミニアルバム『ココナツ・バンクの時も感動したけれど、バラエティに富んだ今作の方がトータルのクオリティが勝っている。やはり大滝さんの死が大きかったような。あの後、杉真理,伊藤銀次佐野元春トライアングルを演ったり、佐野元春を加えての、まさかのはっぴいえんど再編ステージもありましたし。あの時のはいからはくちは本当に凄かった。

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ということで、全体を通して聴いてみると、伊藤銀次プロデューサー的視点(今作のプロデューサーではないけれど)が機能しているのかな、と思う。泥臭すぎず、良い意味で洗練されすぎず(ロック・サウンドの音の分離がいい)、しっかり歌モノにもなっていて、とてもバランスが良い。ギターは歌と同じで感情過多な楽器だと思っているけれど、こんなにうまいギターを最近のバンドでは殆ど聴けなくなってしまったから、気持ち良いくらいに指板を滑っていくソロに新鮮味もあって。そして、”じんじんじん”とか、懐かしいメロディも最高でした。ニューオーリンズものは、こんなご時勢で演奏できる人じたい、そもそも余りいないんじゃないかな。エンジニアのクレジットに目を移すと、ニュー・レコーディングは我らが!安部徹さんが半分の楽曲を手がけていて。チューリップから杉真理村田和人、須藤薫…まで王道のポップ・サウンドを手がけてきた方ならではの、懐かしくも新しい音作りに敬服してしまう。

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ところで、伊藤銀次の80年代の諸作ももちろん大好きだけれど、やっぱり”風になれるなら”が好き、っていう人は多いと思う。新作を機に改めて全作品を通して聴いてみたけれど、洗練されつつも生バンドのビートが腰に来る”風になれるなら”が収録されたファースト・ソロ『Deadly Drive』の音は代表作でありつつ実はキャリアでもちょっと異質で、AORな時代の波も捉えつつ、日本のシティ・ポップの源流になっていったことが良くわかった(今作の”流星ラプソディ”はその延長線上のようで)。そうそう、あと今作の新録は、近年の弾き語りツアー音源シリーズ(『I Stand Alone』)にも感じられた優しい声の魅力が伝わる盤になっていることもうれしかった。バラードなんかも、グッとココロをわしづかまれる感じで。あとは今後のファンの期待と妄想ということでいうと、”君は天然色”とかナイアガラゆかりの楽曲の再演集とか、”DOWN TOWN”を含む提供曲の自演集…とか、聴いてみたいですよね。あくまで期待と妄想です。

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ちなみに個人的なリアルタイムの伊藤銀次仕事は、1993年LOVE PARADEと1995年のウルフルズ『バンザイ』。これらは永遠のマスターピースだと思っている。『バンザイ』には”福生ストラット”のアダプテーション、”大阪ストラット”があった。ブレイク前のウルフルズはむっちゃいなたい風貌でそれこそ春一番に出ていたのを観たのが最初だけれど(記憶が正しければ伊藤銀次自身も混じってギターを弾いていた)、大滝さんも指摘したとおり、90年代のごまのはえだったのかもしれないな、と思う。今作『ザ・コンプリート・ココナツ・バンクにはザ・バンドを下敷きにしたという曲があったけれど、”バンザイ〜好きでよかった〜”はウルフルズにおける”The Weight”だと捉えている。1976年の春一番では、ごまのはえ・アゲイン名義で”The Weight”を演っていた。

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伊藤銀次 / ゴールデン☆ベスト〜40th Anniversary Edition〜( Sony /2012 )はファーストと同じ構図のジャケで。レビューはこちら↓

http://d.hatena.ne.jp/markrock/20121227

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2016-03-25 大滝詠一 / Debut Again

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[] 大滝詠一 10:03

/ Debut Again( Sony / 2016 )

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デビュー・アゲン、日本語タイトルが『レッツ・オンド・アゲン』同様「アゲン」表記になっているのがまた何とも。しかしジャケは初めて見ましたが、こうした80年代当時の写真が残っているというのも、なんだか計り知れないものを感じたり。観葉植物があるオフィスにタイプライターとちょんまげ、っていう和洋折衷感も80年代という時代感覚が表れていて面白いと思う。細野さんに比べてドメスティックなのもまた、戦後日本文化の両面を表しているようで面白い。だからこそ大滝さんの楽曲の方が国民歌謡になれた、という。歌い回しにこぶしの感覚もあるし。

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さて、そんな大瀧詠一による国民歌謡、大滝詠一ソングブックってな体裁のセルフカバー盤。届いてから毎日何気なく聴いている。悪いわけがないです。



前のブログの記事に「関係者の思いが篭められた作品なのかな」なんて書いたけれど、それももちろんあるとは思うけれど、側近スタッフすら知らなかった自身歌唱音源が自宅スタジオで発見された、という経緯がちょっと気になったりもした。実際、人間は死んだら墓場には何にも持って行けないわけだけれど、こうした秘蔵音源を大滝さんは墓場まで持って行こうとしてたかもしれないし(笑)。なんか墓場を漁って出てきた音源のようにも思えて。たぶん勝手に棚を漁ろうものなら、大滝さんむっちゃ怒りそうだしね…とか何とか妄想しながら聴いているけれど、まあ、悪いわけがないんですね。



不思議なのは、冒頭”熱き心に”からして歌い回しが違う部分があること。仮歌とも違うヴァージョンが含まれていたということなので、自身ヴァージョンは微妙に節回しを変えていたか、あるいはレコーディングで歌わせたヴァージョンで歌い手が自分なりに歌ったものをそのままイキにしたってことなのかもしれない。レコーディングは生ものだし。とはいえ”熱き心に”は、小林旭ですから、適当に仮歌聴いて、自分なりの節回しで歌って、大滝さんもアキラさんならいいかな、ってことでそれはそれでナットクして、ねじ伏せちゃったんじゃないかな、とも思ったり。一方、ラッツ&スター、鈴木雅之は流石、師匠・大滝のデモを丁寧になぞっていたんだな、と思った。先日のNHK『SONGS』も感動的だったけれえど、素晴らしいボーカリストだ。



ロンバケ、イーチ・タイムと並べて聴けるレコーディングの質、という意味では”熱き心に”、”怪盗ルビイ”、”Tシャツに口紅”、”星空のサーカス”が良かった。ボーカルの潤いやノリの面で言っても。1983年の西武球場公演用のオケだという”探偵物語”、”すこしだけ やさしく”、1981年のヘッドフォン・コンサートのライブ音源”風立ちぬ”(当時のラジオ音源のナレーションを聴き慣れすぎて、それがないと逆に変な感じがした)はボーカルがちょっとオケに埋もれていてそれこそライブっぽい感じ。”うれしい予感”のデモは90年代音源ということで、初回限定盤のボーナス・トラックとか、2枚の単発シングルと並べて聴いてみても面白そうだなと思ったり。それにしても言うまでもなく、歌が上手い!もっと言うと、はっぴいえんど時代よりも明らかに上手くなっている。90年代にはいると、ブランクや年齢のこともあり、ボーカルの艶みたいなものは消えてしまうんだけど(あるいはエコー感のせいか70年代に逆戻りした感じ?)、80年代はやっぱり凄かった。



Disc2の90年代のリハビリ・セッション、エルヴィスのカバーだとか、私の天竺(My Blue Heaven)とか、ロックン・ロールのルーツを辿る「ポップス伝」の仕事などとも重なり合うもの。ユーロビートだとか打ち込みモノが一世を風靡していた時代に、もう一度本生のビートを蘇らせようとしたわけで。でも、90年代にアラン・ジャクソンがカバーした”Tall Tall Trees”を取り上げた「Tall Tall Trees〜Nothing Can Stop Me」(ロジャー・ミラー、ジョージ・ジャクソンのカバー)を聴いていると、60年代のロッカーが、カントリーのフィールドで再起していた80年代後半から90年代という、あの時代の雰囲気を思い出した。大滝も、クリス・ヒルマンも、ジミー・グリフィンも…ロック世代の感性を共有していたのではなかろうか。あと、ドリーミーなイメージで括られるアメリカン・ポップスの中にあるカントリー・ミュージックがもつ甘さ(個人的にはこの辺りは、近年ルーツ探究をやり続けてやっと分かってきたところではあるけれど)、こんな部分をもう一度追求してみようと思ったのではないかな。そんなリハビリ、ルーツ参照が結果的には「幸せな結末」(はっぴいえんど)として結実した、と。



全曲にミュージシャンのクレジットがなかったのが残念だけれど(ご本人がいないと分からないのかも)、ロックンロール・オーケストラの指揮者としての勇姿をこの目に刻んでおきたい。しかし中学生の時に初めて聴いたロンバケ(まさか大滝さんの風貌があんな感じだとは思わなかったけれど)、色んな想像力をかき立てくれた。ジャケットと歌詞と、サウンドと声と。その声は音の壁の前に溶けてしまいそうで。学校から帰って、窓の外を見ながら、ちょっと不安で物憂げな気持ちを抱えつつ聴いて…そんな心性に今もすぐにフラッシュバックできる。

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2015-05-03 *[日本のフォーク・ロック] 高田漣 / コーヒーブルース〜高田渡を歌

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[] 高田漣 / コーヒーブルース〜高田渡を歌う〜( KING RECORDS / 2015 ) 09:43

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高田渡の息子、高田漣による高田渡カバー集。高田渡のベスト盤『イキテル・ソング〜オールタイム・ベスト〜』、そしてデビュー前の日記『マイ・フレンド〜高田渡青春日記 1966−1969』に合わせてリリースしようという新生ベルウッド・レコードからの提案だったようだけれど、ファンにとっては待ってました、とでもいうような企画ではないかな。晩年の高田渡のステージでは息子との息のあった共演が楽しめた。実はなかなかないことだったんじゃないかな。その時に比べると、円熟したソロ活動に高橋幸宏、原田知世、高野寛らとのpupaや細野晴臣のバンドなど活動の幅を広げ、日本を代表するマルチ弦楽器奏者に成長した印象だけれど、もう一度父親の音楽と向き合うというのも感慨深いものがあったのではないだろうか。

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高田渡の古巣ベルウッドからのリリース。装丁もいいですね。ベルウッド三部作を思い出してしまう。ちょうど私が中学生の時に所沢のレコード屋で『ごあいさつ』を購入。まだ3枚くらいしかCDを持ってない時代ですから、どれだけ聴いたことか(実は買った瞬間は理解を超えていて、ちょっと後悔したんです、だから悔しくて何回も聴いて…)、今ではどの曲もギターで弾けてしまう。最近になってLPで『ごあいさつ』を買い直したら、はっぴいえんどとの共演曲の鈴木茂のギターがエグくてびっくり。今の再発盤はリマスターされているのかな?少なくとも初めて買ったCDの『ごあいさつ』とは全然違う音だった。

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それから三鷹に引っ越しをして、学校から帰ると老舗の焼鳥屋いせやの立ち飲みの一角で自転車に寄っかかって高田渡が寝ている、という現状を目の当たりにして。それはそれで衝撃を受けたものです。漣氏もライナーで葬式での「高田渡を神格化しないで欲しい。酔って昼頃にろれつの回らないまま意味不明な電話をかけてくる、そんな高田渡であった事を忘れないで下さい。」という言葉を引用しているけれど…ご家族は大変だったと思います。



まあそうは言え、漣氏が音楽で父の音楽と向き合っていることにじんと来るものがある。シンプルながらもモダンな味付けで趣向を凝らした多彩なアレンジの15曲。漣氏の声はどんな声なんだろう、と思ったけれど、とても木訥としていて、穏やかで、とても良い。飲んだくれの声ではないけれど、そんな誠実さが彼らしいような。大好きな”仕事さがし”が1曲目なのも嬉しいし、アナログテープに録音するというマニアックなレコーディング手法も良い。やっぱりフォークはクリックなんか使っちゃいけませんね。生のヒューマン・ビートで録らないと。細野晴臣のバンドの伊賀航と伊藤大地と共演した”自転車に乗って”も最高で。はっぴいえんど の曲を細野さんと現在演っている彼らと、かつての はっぴいえんど と高田渡の共演曲を演る。これほどオリジナルに敬意を表したカバーはないんじゃないかな。”ろっかばいまいべいびい”に感化されたというイントロの”ホントはみんな”も収録。”コーヒーブルース”には京都イノダに初めて行った時の感激を思い出す。高田渡の残した楽器がこうしてまた奏でられていることにも深い感動を覚える。



吉祥寺の街も高田渡が亡くなってから、だいぶん変わりました。いせやをはじめ。古いオーナーの中には、渡さんがいる限りは守り続けようとしていた吉祥寺があったと聞いている。そんな吉祥寺も今はない。なぜか心のざわつく休日だけれど、やっとしっくり来る音楽に出会えました。

URC、五つの赤い風船とのスプリット盤。

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棚を見てたらこんなのありました。CMソングで話題になり、なんかイイ味を出し始めた頃の『渡』。永遠に…

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2014-12-17 マーク from GARO / 時の魔法

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[] マーク from GARO / 時の魔法(Epic / 2013 ) 20:35


CS&N来年3月来日決定!なんて嬉しいニュースも入ってきている中で、ガロのマークこと堀内護さんの死…まだ結構落ち込んでいる。65歳…まだまだ若かった。ジョニー大倉氏に引き続いて。CS&Nの来日、マークさんならどんな風に受け止めたんだろうか、なんてことも想像しつつ。マークさんは昨年、奇跡のカムバック新作『時の魔法』をエピック・ソニーよりリリース。マークさん自身によるプロモーションも行われていたし、それを援護するかのように、ガロ直系弟子のアルフィーと竹内まりやがラジオのスタジオライブで”時の魔法”を歌う、なんて一幕もあったり。今年に入ると、元古井戸の加奈崎芳太郎さんと加奈崎さんの弟子として知られるサンタラの面々と共に、「ガロ井戸」名義で渋谷BYGでライブを行い、その後ツアーも予定されていたのだが、このタイミングでマークさんの体調不良の報が入り…急遽マーク不在で決行されることになったのだった。そして先日の訃報…余りに突然のことでとてもじゃないけれど受け止めきれない。



ライブ活動を再開した際、伝説の人だった生のマークさんと初めて会えたときの感動は忘れられない。子どものような年齢の私をとても優しく迎えてくれたのを覚えている。ガロはトミーの自死という衝撃的な結末を迎え、ボーカルさんとの確執なども噂されていた。70年代の日本のフォーク・シーンを良くも悪くも象徴するグループだっただけに、大勢のファンが付いていた。それゆえ、自分の世界にミュージシャンを閉じ込めようとする独善的なファンの中傷なども色々あったのではないかと推測する。でもそんなしがらみから距離を置いて、彼の演奏や文章に耳を傾けてみると、CSNやウェストコースト・ロック、アメリカン・ポップスが大好きで、純粋にその音楽に向き合ってきた姿が浮かんでくるのだった。CSNを基調とした音作りに日本独特の湿り気や歌謡性を付け加えたのがガロにおけるマーク楽曲だった、としばしば評されてきたけれど、遺作『時の魔法』に収められた”虹色のラベンダー”や”アビーロードの青い空”におけるみずみずしいポップセンスはどうだろう。彼の幅広い音楽性が開花した傑作だった。これからも語り継ぐに値する音楽だと思っている。


以下は『時の魔法』のレビューを再掲します(2013年10月19日記)。

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ガロのマークさん、まさかの新作リリース!リリース前からFacebookや公式HP(http://markpage.web.fc2.com/)でも着々と制作速報がアップされていて、いやが上にも期待は高まった。個人的にはジョン・レノンがニュー・アルバムをリリース、ぐらいの意味を帯びている(ふざけてません)。CSN&Yの新譜、とかよりも期待は上だったな。しかもエピック・ソニーというメジャーから久々のリリース。”学生街の喫茶店”で紅白出場してから40周年とはいえ、突然のことで。団塊の世代の業界の裏方はリタイアした人も多い訳だし、ソフトロック界隈で再評価されたことが大きかったのか?その世代にガロに触れた業界人も多いはずだから…とか言ってたら、どうも仕掛け人のエクゼクティブ・プロデューサーでライターの富澤一誠氏がソニーの若手と繋いだんだとか。初回特典がビックリマン風シールってのも同世代の昭和の匂いを感じました。



ガロと言えば1971年にデビューしたCS&Nスタイルのフォーク・トリオ。マークこと堀内護、トミーこと日高富明、ボーカルこと大野真澄の3人組だった。デビュー前の堀内と日高は松崎しげるとミルクというコーラス・グループを組んでいた(ミルクのシングル発売の際にはもうメンバーは居ない)。そして、再結成も近年話題になったヘアーの日本版ミュージカルに大野と堀内が参加していたのだった。堀内は堀内麻九(マーク)名義でサントラに参加している。ガロのコピーをしていたアルフィーはその後輩格にあたる。グループサウンズっぽいメロディを3声でハモるっていうロック歌謡スタイルは完全に引き継がれている。高見沢俊彦の初期の楽曲スタイルにいちばん近い(たぶん参考にした)のがマークさんなんじゃないかな。



さてさて、学生時代だった90年代後半にはCD化も実現し、ますまずガロ命ってな感じだった私ですが、全アルバムを聴きまくったあげく、マークの近作でなんとか発見できたのがグッド・フレンズ名義の『ウッドストックの夏』(1994)やギタリスト杉山栽一がピート・ブラウン(”クリーム”に詩を提供した詩人で自身のバンドも率いてましたね)と共演した『So Am I』への参加だった。特に前者は”ウッドストックの夏”という非の打ち所のないロマンティックな歌謡フォークを提供していて、今どこで何をしているんだろう、と思いつつ優しいマークさんの歌声に健在を知ったのでありました。



その後、マークさん活動再開、の報を聞きつけ、2009年に五反田のロッキーというライブハウスに行き、初生ガロ体験。それはそれは感動しましたよ…(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20090118)んで、しばらくしてから、とある有名ギタリストとツアーを回る話になったけれど、声などのコンディションが優れず流れた、なんて話も聞いていて。心配していたんですが、そんな中での今作でしょう!本当に嬉しくて嬉しくて。しかも内容が良い。マークさんのポップ・センスが大爆発している大充実作だと太鼓判を押したいところだ。



このマークさんの復帰作に参加陣も豪華に応えていて。小原礼、鈴木茂、高橋幸宏、ちょっと意外だった鈴木雅之、ブレッド&バター(やっとCS&Nなギター・リフに生まれかわった”学生街の喫茶店”で聴ける、幸矢氏の変わらぬハイトーンによる”時は流れた”に驚嘆…)、”ロッキー”で近年も共演していた加橋かつみ(タイガースもとうとう結集ですね…)…若手ではサンタラの砂田和俊、あっぷるぱい、ホソノさんのバックで知られる高田漣、伊藤大地&伊賀航という。後者の(比較的)若手陣は70年代的なものを受け継ぐヒトビトをとりあえず揃えてみました、みたいな制作者の安易さも感じたけれど、うまくハマっている。個人的には高田漣アレンジの”ロマンス”が秀逸でした。個性的なリズム展開のしょっぱなから原曲のアレンジに引き戻す、という離れ業。オリジナルの完コピっぽいトラックと比べると、ミュージシャンとしての力量は突出していると感じられた。



さらに、”ギターの上手かった あいつもいない”と歌われていた故・日高富明の悔しさをいちばん判っていたはずのマークさんだからだろう、Guess Whoってなクレジットにトミーらしいギターが聞こえてきたり、”ロマンス”の最後のリフレインに確執が噂されていたボーカルこと大野真澄氏らしき声が聴こえたり…ムッシュことかまやつひろしのバックを演っていた時代もあったガロの代表曲”四つ葉のクローバー”ではガロ後期の傑作”吟遊詩人”のフレーズが織り込まれていたり、ニクイ仕上がり。実はあの世も交えたガロの再結成作なんじゃないか、と思えてくる。



マークさんの新曲が素晴らしいことも、今後のソロ作を期待させてくれる。”虹色のラベンダー”や”アビーロードの青い空”に聴けるエヴァーグリーンなポップ・センスは天性のものとしか思えない。既にデモ音源を聴いたことがあった”Stranger In The City”と”Pale Lonely Night”はかなりアレンジが変わっていて驚いた。特にパワー・ポップ風だった後者がバラードになっていたり。



見事なジャケット・デザインも含めてコレは事件です!こうなってくると、マークやトミー(レインボーの前座を務めたというママドゥ含む)のソロ作のCD復刻にも期待したい。今後、Buzzの東郷昌和、ブレッド&バター岩沢二弓によるトリオLOVE US ALL(ラバーソウル)による活動も始まるようだし、ライブもぜひチェックして欲しい!

(2013年10月19日記)

↓リリース関連特設ページ

http://markfromgaro.web.fc2.com/

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2014-07-20 Nora (ノラ) 石田斎さんインタビュー!!

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[] Nora (ノラ) 石田斎さんインタビュー!! 01:31


ウェルカム・バック、Nora(ノラ)!!矢沢永吉とのコラボレーションや”六本木心中””モニカ”をはじめとしたロック歌謡のソングライティング・チームNOBODYの一員として知られる相沢行夫が在籍した伝説のバンドだ。


3月にレビューを取り上げさせて頂いた(http://www.clinck.co.jp/merurido/_friends/00023/msg_dtl.php?ky=00023-1394295014)この70年代屈指のビートルズ直系バンドの唯一作。ナント解散40周年の今年、ウルトラ・ヴァイヴよりめでたくCD化された!しかも、1973年のオリジナル・アルバム『NORA VOL.機全12曲に加え、1973年のシングルからアルバム未収録の”忘れかけた愛の言葉”、1974年のアルバム未収録シングル”レンガ路 / 夢が始まる時”の2曲を含む15曲のコンプリート・エディションとでも言うべき仕様。同時代のキャロルやチューリップ、バッドボーイズにもない何かがそこにはある。私も早速買って参りました!

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アルバムの素晴らしさは言うに及ばず、個人的にはまだ持っていなかったシングル”忘れかけた愛の言葉”(杉浦芳博・詩曲)を初めて聴けたことに感動!こちらはラズベリーズを思わせる甘酸っぱいパワーポップだった。


…ということで興奮冷めやらぬまま、今回、幸運にも再発のいきさつや当時の状況についてメンバーの石田斎さん(ドラムス、リズムギター)からノラ・メンバーを代表してお話を伺うことができた。

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Nora(ノラ)

石田斎(ドラムス、リズムギター)

相沢行夫(エレキギター、アコースティック・ギター、ヴォーカル)

杉浦芳博(ヴォーカル、アコースティック・ギター)

松田良一(エレキベース、ヴォーカル)

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Q1. CD化に至った経緯をお聞かせ下さい。



日本のロックンロールの熱心且つコアなファンの方がおりまして、そちらの方々がノラ音源のCD化を計画してくれました。特にディストリビュートを引き受けてくれたウルトラ・ヴァイブの前田さんには、大変感謝しているところです。



Q2. バンド結成の経緯をお聞かせ下さい。また、ノラ周辺の音楽シーンの状況も合わせてお聞かせ下さい。



ノラのメンバーは全員神奈川大学出身です。相沢、松田、石田は、大学でバンド活動をしていて軽音楽クラブという部室で良く顔を合わせていました。大学当時松田はロックからソウルまで歌がとてもうまく、相沢はスピード感のあるギターを弾いていて目立っていました。杉浦は、一人でライブハウス等に出演したりしていて、「ニール・ヤングそっくりな声の上手いボーカル」という評判でした。石田はNACKというバンドを結成していて横浜のダンスクラブなどに出演していました。



ひょんなことからこの4人がTBSラジオ「ヤングタウン東京」という番組のレギュラーバンド「ヤングタウンシンガーズ」(注1)のメンバーとなり、その後、ノラとして独立します。



ノラがデビューするころの日本の音楽シーンは、それまで市場を占有していた大手プロダクション所属の歌謡歌手、演歌歌手、バンドなどに加えて、独立系のフォークやフォークロック・アーティスト(吉田拓郎、泉谷しげる等)が台頭してきていました。当時は独立系のエレック・レコードというレコード会社が大成功を収めていたりしました。それから少しして、ロックへ重心を置く独立系バンドとしてキャロル、チューリップ、ノラなどのバンドが出てきたと記憶しています。



(筆者注1) TBSラジオ『ヤングタウン東京専属のレギュラーバンド。男女10人で結成され、相沢、杉浦の他、相沢夫人となる作詞家の竜真知子や浅川マキのバッキングで知られるギタリスト萩原信義が在籍していた。筒美京平作曲のシングル”風船旅行”は『喫茶ロック〜エキスポ アンド ソフトロック編』にも収録されていた。

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Q3. ノラの音楽嗜好、影響を受けたミュージシャンは?



ノラの4人のメンバーは皆、ビートルズにインスパイヤーされており、ノリのいいロック調の楽曲やメロディーラインのきれいな楽曲作りを目指していました。当時ノラが演奏していたビートルズ楽曲は、ドライブマイカー、カンサスシティ、ベイビーズインブラックなどがあります。



その他メンバーが好きだったアーティストは、クロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤングなどです。ヤングタウンシンガーズ当時、ウッドストックやキャリーオンなどをカバーしていました。



Q4. バンド活動時の印象に残っているエピソードをお聞かせ下さい。



ノラのファーストアルバムをレコーディングしているときに、グラムロックのTレックスの前座バンドを募集していて、日本の著名なバンド幾つかが応募したようです。その中から、まだレコードデビューしていないノラのデモを聞いたマーク・ボランが、「このバンドがいい」とセレクトしてくれたそうです。



ノラとしては小さなライブハウスに一度出た程度の経験しかない中、いきなり武道館ライブということで、興奮したのを覚えています。本番当日はすごく緊張しましたが、開き直るしかないと思ってステージに立った結果、演奏中はものすごく気持ちが良かったことを鮮明に覚えています。



Q5. ノラはビートルズとは切っても切り離せないバンドだと思いますが、ノラにとってビートルズとは?



ビートルズというバンドの特徴の一つに、「ポップロックアイドルからアーティストへ変身していく様のすごさ」が挙げられると思います。もちろんデビュー当時から変身への潜在性はあったと思われますが、アルバム発売ごとに音楽性、ファッション、思想、ライフスタイルを変革し続けられた彼らの才能は特出ものだと思います。



その時代をリアルタイムで生きてきた人たちはノラに限らず、言葉では言い表せないほど色々な面でインパクトがあったのだと思います。



Q6. 今振り返ってみて、「Nora」とは?



ノラ解散後、相沢はNOBODYでアーティストと作家として活躍し(注2)、松田も沢山の楽曲を他のアーティストへ提供しています(注3)。杉浦も最近また音楽創作活動を再開しているようです(注4)。石田も音楽活動に興味はあり、どの領域で何をするかを検討中の様子です(注5)。そういう意味では、バンド・ノラのメンバーは今も昔も互いにリスペクトし合えるとても面白い仲間だとおもいます。



(筆者注2) NOBODY(相沢行夫、木原敏雄)名義で1982年から1994年までに13枚のスタジオアルバムをリリースしている。1985年のミニアルバムでは吉川晃司提供曲のセルフカバー(MONICA(モニカ)、SWEET BABY SLEEP(サヨナラは八月のララバイ))が収録されている。


(筆者注3) 松田良名義で高橋真梨子”遥かな人へ””そっと…Lovin'you”、アン・ルイス”美人薄命”の他にも中村雅俊、郷ひろみ、 稲垣潤一、柏原芳恵、中森明菜、岩崎宏美、ピンク・レディー、石川ひとみ…と幅広い楽曲提供を行っている。


(筆者注4) 1976年にはポリドールよりルパンで有名な大野雄二編曲のソロアルバム『杉浦よしひろ 街』をリリース。他にもとんぼちゃんや絵夢への楽曲提供、すぎうらよしひろ名義でマッハバロン主題歌などのアニソン録音も残している。


(筆者注5) ノラ結成前のバンド、ビロージュのシングルには石田斎詩曲の楽曲”お前の目を見るだけで”があった。



Q7.解散後のノラ・メンバーとの交流は?



これまでも1年に1度くらい、ノラの事務所社長だった桂田さんを交えて飲み会を開いていました。復刻盤CDがでることになった今年は、これまで以上にいろいろな交流をしています。



Q8. 現代の音楽シーンや、音楽を目指す若いミュージシャンに何か一言あればお聞かせ下さい。



音楽とは人が肌で感じるものだと思っています。基本的に言葉の壁も人種の壁もありません。ですので、若い世代には是非世界のアーティストを目指して頑張って欲しいですね。


(以上インタビュー)



いかがでしたでしょうか? T・レックスのマーク・ボランのチョイスで武道館の足を踏んだエピソードなんて、本当に夢みたいなお話!心が躍ります。また、当時ノラで演奏していたビートルズ楽曲のセレクトも、ノラのサウンドを紐解く手がかりになる興味深いものでした。石田さん、貴重なお話をありがとうございました!!



今後は松田良一さんのライブでノラ・メンバーとのコラボレーションも予定されているとのことで、是非足を運んでみたいものです。そしていつの日か、『Nora Vol.2』が出る日を心待ちにしつつ…

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2014-06-29 復活クリエイション! CREATION / Resurrection(IVY / 2014 )

markrock2014-06-29

[] 復活クリエイション! 18:12

CREATION / Resurrection(IVY / 2014 )


先日はラッパーのEARVINさん(http://urft2.exblog.jp/)&女性ボーカリストの雨宮詩織さん(http://ameblo.jp/rinbell-0114/)とのレコーディングで。馬下義伸さんと私の二人でアレンジと演奏を担当しているプロジェクト。私の3枚目のアルバムに参加して貰ったご縁でEARVINさんから依頼されたもの。見目麗しき雨宮さんはナント、お笑い芸人でいらっしゃって!センチなウィスパー・ヴォイスからは全く想像付かなかったな。ワタナベエンターテインメント所属のコンビを解散後、いまは「ジョセイクラス」というコンビをやっていらっしゃる。通称・雨宮シオリ犬さんというらしいですが、犬アレルギーだとか、まあツッコミ所満載な感じですが!今度はお笑いの方も見てみたいもの。音源の完成が楽しみです!

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クリエイションといえば、ブルース・クリエイション時代から故・大滝詠一とも師匠−弟子ってな関係にあったギタリスト竹田和夫、一世一代の名バンドだ。ブルース・クリエイション時代のボーカリスト布谷文夫は最近伊藤銀次監修のコンピ『布谷文夫コレクション』が出たみたいだけれど、大滝プロデュース『悲しき夏バテ』や怪作”ナイアガラ音頭”で知られている。後継バンドであるクリエイションはというと当時の大物中の大物、クリームのプロデューサーだったフェリックス・パパラルディがアルバム・プロデュースを手がけ、メンバーの一人として共演するなど、英語詩でクリーム直系のブルーズ・ロック・サウンドを世界に問うたのだった。しかしアルバム/シングル・セールスの点で言うと、カーナビーツのアイ高野をボーカルに迎えた歌謡ロック”ロンリー・ハート”が勝ったというのはあくまで日本のロック情況でありまして。とはいえ”ロンリー・ハート”は良い曲ですが!

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竹田和夫はとにかく往年のギター小僧達にはウケの良い人で。私の大先輩に当たる50代のギター弾きの方からかつて色々お話を聞いたことがあった。インストの代表曲”Spinning Toe Hold”にしても、竹田さんがプロレス好きで、他の曲名も含めて、プロレスの技の名前なんだよ〜とか、そんなこともその時初めて聞いた。ロックとプロレスの関係の深さは、かつて音楽ジャーナリストの長谷川博一さんから直接教わったことだけれど(佐野元春さんともしばしば対談されている長谷川さんは『三沢光晴外伝』も書いている!)、これだけでも一冊本が書けるかもしれないですな。社会のハングリー精神が薄れ、斜陽化している現状も含めて近しいものがある。そうそう、あとギター弾きの方からは、竹田さんとどこかの職場で出会ったなんてお話もあった。この辺はプライベートすぎるので詳細はやめておきますが、オーラが有りすぎてとてもじゃないけど近づけなかった、なんて。確かに私も近年ライブに行って、近くに行ったとき、コワイ位のオーラを感じたなあ。

(以前行った竹田和夫ライブの模様は↓)

http://d.hatena.ne.jp/markrock/20101124

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さて、そして今年なんとそのクリエイションの新作(新録+新曲)ですよ。『Rresurrection』(復活)というタイトルも仰々しくて凄く良い!代表曲の再演も申し分ナシ。メンバーは竹田とドラマーの樋口昌之(全盛期のメンバー)、80年代のメンバーだったベースのヒロ小川とキーボードのミック三国(今作ではアレンジの核になっている)だ。竹田の近年のソロ・ライブでも、ジャズ志向に留まらず、ベーシストの迫力もあってか、ロック感が戻ってきているように思えていたけれど、バリバリエレキを弾いているのが嬉しい。音は結構作り込まれていて、キーボードも入りキレイ目な音作りになっているけれど、ロックな感覚は相当維持されており好感が持てた。”ロンリー・ハート”は故・アイ高野を思わせるボーカルをゲストの宮田和弥(JUN SKY WALKERS(S)が完コピしていて。これもある種のレスペクトだな、と思ったり。初回限定盤に付属するDVDの方はインタビューではメンバーが口下手でらっしゃって(笑)、失礼ながら音を聴いた方がバンドの充実度が良くわかった。音の方が雄弁です。5月のSHOGUNとの共演ライブ(http://www.oricon.co.jp/music/musicstreet/1113/)とか行けませんでしたが、ライブも観てみたいもの!

2014-05-21 いしうらまさゆき / 語りえぬものについては咆哮しなければならない

markrock2014-05-21

[] いしうらまさゆき / 語りえぬものについては咆哮しなければならない(MASH RECORDS [VIVID SOUND] / 2014 ) 16:57



私いしうらまさゆきの3枚目のアルバム、手前味噌ながらリリース情報が発表できる運びとなりました! MASH RECORDSより2014年7月20日発売。VIVID SOUNDを通して全国流通いたします。タイトルは『語りえぬものについては咆哮しなければならない』。長いタイトルですみません。ウィトゲンシュタインから取ったタイトルは今の日本についての私の気持ちです。全14曲、前半のトピカルなフォークものに加え、ロックン・ロール、シュガー・ベイブやロジャニコ・オマージュなソフト・ロックまで、大好きな60〜70年代をこれでもかと詰め込んだアルバムです。大滝詠一さんが亡くなったことが、アルバム制作の直接のきっかけになったこともあり、その大瀧イズムを受け継ぐべく、ポップスの王道を歩いてみました。ラッパーEARVIN (EX.ウリフターズ)との異色共演も2曲収録。こちらも最高の仕上がりになりました!

YouTube全曲試聴↓


プロデュース・ミックス・アレンジは1st、2ndでも阿吽の呼吸で楽曲制作を進めてきた馬下義伸が担当。アートワークも引き続き個性派シンガー・ソングライターのダニエル・クオンが手がけ、アルバムでは”セリフ”でも参加してもらっています。

芽瑠璃堂さんでは購入特典として、6曲入りの限定ボーナス・ディスクも無料でお付けします。こちらには本編未収録4曲の新曲+前作『愛すべき音楽よ』からのリミックスを2曲収録しております。予約もすでに受付中ですので、是非試聴とともに、チェックしていただければ嬉しいです!!よろしくお願いいたします。

■購入方法

芽瑠璃堂

http://www.clinck.co.jp/merurido/dtl.php?ky=MASH002

【芽瑠璃堂特典】

6曲入CD-R

アルバム未収録の新曲と2ndのリミックスを収めた全6曲の特典盤!!

1. 深い河を見つめて

2. あぁ晴れたなぁ

3. 夢の手帖

4. 迷子

5. 言葉(remix)

6. Like A Bluebird(remix)


ディスクユニオン

新宿店、吉祥寺店などなど…実店舗にも在庫あります。通販も可能です。

http://diskunion.net/jp/ct/detail/1006309578

珍屋

国分寺、立川の全店舗で在庫あります。レビューも書いて頂いています!

http://blog.livedoor.jp/mezurashiya/archives/52043064.html

Amazon(通販)

http://www.amazon.co.jp/dp/B00K7BCRIU/ref=cm_sw_r_tw_dp_tWfFtb0N4RJJP

Tower Records Online

http://tower.jp/item/3594160/語りえぬものについては咆哮しなければならない

HMV Online

http://www.hmv.co.jp/product/detail/5797833

楽天ブックス(通販)

http://books.rakuten.co.jp/rb/12779049/

TSUTAYA(通販)

http://www.tsutaya.co.jp/works/20536784.html


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「武蔵野フォークの吟遊詩人」 3作目となる待望のフルアルバム!!

いしうらまさゆき

『語りえぬものについては咆哮しなければならない』

1. 無(ゼロ)の季節

2. お早う

3. しょうがない (feat.EARVIN)

4. ワラベウタ warabe-uta    

5. 愚作です          

6. 憧れが泣いている

7. 日本(ニッポン)の繁栄

8. Children’s Song

9. あの日のスナフキンに…

10. 愛すべき音楽よ

11. ほそいエントツ (feat.EARVIN)

12. 路上 On The Road(3.20.1995)

13. 永遠のリズム

14. 魔法のとびら(bonus track)

2014年7月20日発売  

MASH RECORDS MASH-002

Distributed by VIVID SOUND

定価2160円(tax.incl)

                   

Produced by 馬下義伸

All Songs Written by いしうらまさゆき

Arranged by いしうらまさゆき & 馬下義伸

Mixed and Mastered by 馬下義伸

Designed & Illustrated by Daniel Kwon


■ 武蔵野フォークの吟遊詩人 いしうらまさゆき の3作目となる待望のフルアルバムが到着!!

戦後ニッポンの歩みをユーモラスに、時にシリアスに辿りつつ、現代社会とギター片手に対決した本作、ラッパーEARVIN(EX.ウリフターズ)とのフォーク×ラップの異色共演を2曲収録するなど、多彩なゲスト陣も魅力の文句ナシの最高傑作!!オーセンティックなフォークからR&R、ソフト・ロックまでポップスの王道を行く美味しいソングライティングももはや円熟の領域!! アートワークは1、2作目同様、個性派シンガー・ソングライターのダニエル・クオンが手がけている。(Produced by 馬下義伸 / Artwork by Daniel Kwon)

■ いしうらまさゆき プロフィール

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シンガー・ソングライター。1999年にソニーミュージックエンタテインメントのコミックソング・オーディションに合格。ソロ活動13年目となる2011年にエレック・レコードのスタッフを迎えた70年代フォークのオマージュ盤『蒼い蜜柑』(元ピピ&コットの金谷あつしプロデュース)をKAZEレーベルよりリリース。2012年には馬下義伸がプロデュースを手がけた宅録パワーポップ・アルバム『愛すべき音楽よ』をMASH RECORDSよりリリース。文学的な歌詞の世界と、ウェルメイドな楽曲群が数々の音楽誌で高い評価を得た。レコード・コレクター、音楽ライターとしても知られ「芽瑠璃堂マガジン”愛すべき音楽よ”」(http://www.clinck.co.jp/merurido/_friends/00023/)も好評連載中!

2014-05-09 RC SUCCESSION / COVERS

markrock2014-05-09

[]RC SUCCESSION / COVERS(Kitty / 1990) 09:43


今さらながら、忌野清志郎の命日に合わせてNHKで放映された「ラストデイズ 忌野清志郎×太田光」を観まして。凄く良かったですね。(詳細は→ココにまとめられています http://japan.techinsight.jp/2014/05/kiyosiro-ohtahikari-lastdays20140502.html)トップの不用意発言で揺れる国営放送も捨てたもんじゃないな、というか、TVギョーカイにあってかなり優秀なスタッフばかりなんだな、と思いました。TV、私も10年ぐらい前に民放の制作に携わってましたが、色んな意味で凄い世界でしたから…とてもじゃないけど、深夜帯かつ相当の気骨がなきゃ、こんな番組は作れない…

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確かに最近、終息させようとやっきになっている原発問題が出てくるたび「キヨシローならどういうかな」っていうこんな声を、一人二人じゃなく聞いていて。



でも、あの問題作『カバーズ』みたいな直球な政治的メッセージは野暮、みたいな前提が、爆笑問題太田さんの口からも出ていたけれど、個人的にはそんな野暮だと思ったことはなかった。全くもって個人的かもしれないし、太田さんが番組で言ったところの「悪影響」かもしれないけれど…当時我が家には『カバーズ』があって(カセットテープでした。『ザ・タイマーズ』もあったんで、それはちょっと悪影響だったかな…)、それを小学生の時分から聴いて育った。でも、そこに含まれる反原発のメッセージだとか、原発の親玉が経営する東芝EMIの圧力による発売中止騒動だとか、そんなことは全くもって知らなかった。でも不思議なんだけど、当時一番好きだった曲が「サマータイム・ブルース」でして。過激というよりは、実にユーモラスだなあ、と思った。「原子力発電所がまだ増える」って小学校でもマネして歌っていたし。近所の公営プールのBGMで流れた時なんか、プールから急いで上がり、スピーカーの下まで言って耳をそばだてたりして…いやー、懐かしい!ザ・フーもエディ・コクランも知らずにRCのサマータイム・ブルースを聴いていた…



いわゆる”戦争を知らない子供たち”であった戦後ニッポンの”若者たち”(団塊前後)は輸入英米文化の日本的定着にしのぎを削ったわけだけれど(いかに「ホンモノ」となりうるか…)、後塵を拝した私にとっての60年代ポップスの入り口が大滝詠一『ロング・バケイション』であり、60年代ロックの入り口がRC『カバーズ』だったという事実。メッセージ抜きにしても。『カバーズ』をレコード屋で買い求めて来た私の親も、ビートルズ、ストーンズ、モンキーズ、ヴェンチャーズ、バリー・マクガイア、ジョニー・リヴァースなんかがど真ん中の世代ですから、単に懐メロとして聴いていたんじゃないかとも思う。そうそう、『カバーズ』『ザ・タイマーズ』は後に古井戸の加奈崎芳太郎さんとの人生を変える衝撃的な出会いの伏線にもなっていたのだった!(古井戸のギタリストだったチャボさんは、古井戸脱退後RCに加入し、RCはブレイクする…)2002年長野の加奈崎・忌野の対バン・ライブでは加奈崎さんのご縁で打ち上げに潜入し、清志郎さんとどさくさに紛れて握手する、なんてこともありました…はぁ、なんてミーハーなんだ…



イアン・デューリーのバックバンドだったブロックヘッズとのレコーディングでメッセージ性に目覚めた、みたいなくだりが番組にあったけれど、確かにその時の清志郎は影響を受けたんだろうけれど、そんなことよりも、もともと60年代的なるもの〜カウンター・カルチャーを背負った世代だったんだろうと思う。私の親にあたる世代と同様。内省の70年代前半には売れなかっただけで。チャボさんだって、ドノヴァン・レイチの麗市だからね。愛しあってるかい、もオーティス・レディングのモンタレーのステージ・トークの翻訳だったし、”雨上がりの夜空に”もモット・ザ・フープルのあの曲にブルーズの伝統である隠喩を織り交ぜたロックの王道だった。あんまり世代論はやりたくないけれど。戦後の若者文化、メディアの影響力で形成された大衆文化はどうしても世代で語れてしまう部分がある。私の親もノンポリだけれど、学生運動で東大の入試がなかったり、そんな世情を目の当たりにした世代だし。あさま山荘事件やケネディ暗殺、三島由紀夫の割腹自殺、そんな話を小さい頃よく親から聞かされていた。別に際だった思想はなかったと思うんだけれど…それはたぶん、私が今後オウム事件とかを子どもに語り継いでいくようなものかもしれない。



だから、60年代という時代の雰囲気を浴びた忌野清志郎が、近代や戦後のひずみが噴出していた1990年代前後の日本/セカイで、その社会を正直に歌おうとしたことは”ロックという思想”からするとそんなに唐突で不自然なことでもないし、それを不自然としたのは、なんで音楽で申し分ない地位を確立したのに、そんな危ないことをするんだ、というギョーカイの頂点にあぐらをかいた者の感覚だったんじゃないかと思う。喩えるならエコノミック・アニマルと化したニッポン人の、ね。すみません。いやいや、違うよ、という人はいると思うけれど…私個人の直感でしかないんです。だから、『カバーズ』のメッセージを野暮だとした、現代社会の中枢となっている1990年代前半の1人の若者の感性は、いまちょうど私が関心を持っている、60年代的なるものの功罪や、その良かった面すら風化していっている過程と関係しているのだろう。



でも最後に太田さんが「表現者は心を研ぎ澄まして少年のままでいるべき、でもそれは苦しい」みたいなことを言っていたのはとても共感できたな。いずれにしても発売後26年も経って、いまだに人の心を動かしているアルバムなんだから、世に問うた意味は十分過ぎるくらいにあったのだろうと思う。

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2014-05-05 Natural Records / Assembly

markrock2014-05-05

[] Natural Records / Assembly ( NRMC 000-1 / 2014 ) 11:03

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まさかコレが最後のアルバムになるなんて(http://www.mona-records.com/shop/item/natural_recordsassembly.php)…ギタリスト加藤ケンタ脱退・無期限活動休止という衝撃をまだ消化しきれずにいるけれど。先日念願の4thアルバム(ミニアルバムから数えて)を入手。むちゃくちゃ作り込まれたそのアルバムの音を聴くにつけ、もったいない!なんて気持ちにもなってしまった。本作がバンド8年の歴史のエンドロールに流れている、なんて思いたくないというか。



Natural Recordsは4人のメンバーが固定してからというもの、都内の大型ライブハウスをどんどん埋めていく動員力を誇り、数々のフェスにも参加。地方でのライブも重ねて、8年の活動で4枚のアルバムをリリース。とにかく各人の卓越した演奏力を叩き付けた圧倒的なライブ・パフォーマンスでファンを魅了してきたバンドだ。一方でレコーディングに関していえば、毎回このバンド・アンサンブルをいかにして音盤に刻み込むのか、という難しさに直面してきたバンドでもあった。しかし前作のタイトル『Going Up』が予告した通り、さらに一歩上を目指した本作『Assembly』では2人のプロデューサー(曽我淳一、坂本竜太)が3曲でメンバー(宮 武弘、加藤ケンタ、千田大介、越智祐介)を生演奏の限界点にまで連れて行った。まさにファンをも巻き込んだ集合体(Assembly)でしか為し得ない、大充実の濃縮全7曲!バンドのリーダーであり、ピアノ・ボーカル担当の宮 武弘の楽曲だけでなく、メンバーの共作(”空=オアシス”、”EARTH BEAT”)が収められているのも注目したい所。

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冒頭“自由への逃亡”、”POP&DEEP”にまず打ちのめされてしまう。一昔前ならココがシングルカット・両A面でしょう。ポップで完成された踊れるロック・サウンドに予定調和を崩すような歌詞が滑り込む。「世界は痛くて気持ちいい」「言い訳ばかりが口の中を 埋め尽くして死んでしまいそうだった」「誰かのせいにしてしまう気持ちを 毎日毎日殺していくのです」…そしてそして、スガシカオ・バンドのミュージカル・ディレクターを務める坂本竜太プロデュースの”空=オアシス”はディスコとエレクトロ・ポップを繋ぐようなダンス・ビートが懐かしくも新しくて。バンドの新境地ともいえる1曲に仕上がった。



さらに後半、宮のハイトーンが映える”ウソとホント”やライブでの演奏も印象的な”綺麗事”では宮の社会に対するホンネが吐露される。「進学コースの階段はエンドレス 登り続けても 止められない放射能」「「いいね!」って言ってるだけじゃ この船は沈んじゃうんだよ ゆっくり傾いているって 気づいた」…もう説明は要らないでしょう。



そう考えると、”奇跡”に歌われる従来の社会への猜疑心(「おすすめのランキングにも 大人の事情が見え隠れ」「ウソっぽい言葉はもう聞きたくない」)も、最後は我々の1人ひとりの人間らしい感性に委ねられていく…(「磨かれてきたのは 選び取るチカラ」「放っていく衝動が むかっていくその方向に 分かっている人たちが 集まってくるこの奇跡」)ラストの”EARTH BEAT”にあった「切り捨てるよりも 抱きしめる 出会えた数だけ」、なんてフレーズを聴いていると、経済至上主義な昨今の社会へのオルタナティブを模索している30代の実感とピッタリ重なり合って、グッと来てしまう。



そんなナチュラルな宮の感性は2012年に発売されたソロアルバム『Life』http://d.hatena.ne.jp/markrock/20121010)でも十分に味わえる。今後はピアノ、ウクレレを携えた宮のソロ・ツアーにも期待したい所。来る5月11日には下北沢SEED SHIPでバースデイ・ワンマンが開かれる(http://seed-ship.com/schedule.php)。ピアノはもちろん、ウクレレ一本でグルーブを作り出し、伸びやかな歌声を聴かせるソロ・ステージには是非足を運んでもらいたい。

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さらに各メンバーのソロ活動も紹介しておこう。ベースの千田大介はこれまでにも羊毛とおはな、ヨースケ@HOME、K、青谷明日香、国分勇、HaLeBaLe、クブクリンなどのサポートを続けている。ドラムスの越智祐介も感傷ベクトル、じんプラットホーム、クブクリン、ロクセンチ、青谷明日香のサポートを。ギターの加藤ケンタは弾き語りのほか、ジャンクフジヤマのPV「To The Sky」にも登場するなど活躍している。今後の活動にもますます期待したい!



・Natural Records Official Web Site

http://naturalrecords.net/

・『Assembly』全曲試聴

http://www.youtube.com/watch?v=lDYa-wUixjY&feature=youtu.be

1.自由への逃亡

2.POP&DEEP

3.空=オアシス

4.ウソとホント

5.綺麗事

6.奇跡

7.EARTH BEAT

2014-03-28 大滝詠一

markrock2014-03-28

[] 大滝詠一 19:28

/ EACH TIME(イーチ・タイム) 30th Anniversary Edition( SONY/NIAGARA / 2014 )


やっと暖かくなってきました。クーラーも暖房もないレコード部屋でいつも聴いているものだから、この時期になるとターンテーブルは回り続けて。とか言っていたら昨日タンテのベルトが緩んで止まっちゃって。10年以上使っているから、ゴムもそりゃ劣化するんですね。調べるとちゃんと替えが売っていた。DJユースなんで当分メーカーは消えないな、と踏んで買ったVestaxやるな、という感じです。



最近は制作・レコ買い・制作・レコ買いの繰り返し。3枚目のアルバムも9割方は完成した所。芽瑠璃堂さんとも関わりの深いインディー・レーベルさんのディストリビューションで今回は出そうかと思っている。夏までにリリースできれば良いのだけれど。そう、あとはアレンジの嬉しい依頼もあって。こういう作業は本当に楽しい。自分のために作るのと、相手を思って作るのとは全然違う。まだまだ作業途中ですが、AORっぽいものとか、自分の音楽にはないものが出来そうな予感もしている。


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さて、偲ぶ会が営まれた3月21日が過ぎて行きました…もちろん今回は買いました! 『イーチ・タイム』。一体何枚持ってるんだ、と身近な人に説明するのは難しい。最低6枚はあったりするわけで。



大滝さんの中でも最後のオリジナル・アルバムである『イーチ・タイム』30周年記念盤のリリースは、一連の再発プロジェクトの最終章でもあり、ホッとするものであったことは間違いないだろう。曲順も最終版。この世の中からいなくなってから、最後の一枚がリリースされるなんて…まるで出来過ぎた天からの贈り物のような、そんな気がしているファンも多いのではないかと思う。



甲乙付け難く、どちらも何千回も聴いたにせよ、個人的には『ロング・バケイション』より『イーチ・タイム』だったという事実。そういうファンの方もいらっしゃるのかな。メロディ・タイプ、リズム・タイプの定石を並べた前者を最高峰とする声の方が多いように思うけれど、ロンバケの方が、いわゆる元ネタに忠実過ぎる作りかな、なんて。そういう意味では熟し切ったメロディ・タイプを集めた『イーチ・タイム』の方が、アメリカン・ポップスやらブリティッシュ・ビートやらを咀嚼したイーチ・オータキ独自のメロディ・ラインが見て取れるような、そんな気がしている。ここまで来ると、なぜかビーチ・ボーイズには聴こえないんですよ。大滝さんにとっては、それが逆に照れくささかったのかもしれないけれど。そして、甘美な想い出を遠く眺めるような距離感がこのアルバムの肝かな。



音圧ドーン、な20周年盤より暖かみのある音なのも良い。マスタリングの流行もあるのだろうけれど、90〜00年頃の音圧上げ合戦みたいなものも終息して、再びアナログに忠実になって来ているのかな。2枚組でカラオケ付きだが、これがまた演奏に耳がいく分新しい発見もあり、とても良い!”1969年のドラッグレース”のギター・ソロとか神ですよね。音楽制作のヒントも沢山隠れている。高校生の頃、お金も無く…借りたこのアルバムをカセットに録ってヘッドフォンで聴いたものでした。でもよーく聴くと、どこかで音が飛んじゃったりして。メタルテープ(死語ですね…)とか色々試したものの、カセットの限界だったかもしれません。この分厚い音がオリジナルのまま、CDで存分に聴ける、なんて幸せなんだ!



関連図書も色々出ている。レココレ誌の特集(3月号 追悼特集 大滝詠一 1969-1979)は久しぶりに力の入ったものでとても良かった。毎回これくらい充実した記事が読みたい。『ケトル』という雑誌も特集号(VOL.17 大瀧詠一が大好き!)を組んでいたけど、小ぎれいな作りというか、ギョーカイ人の軽〜いノリ満載でさほどでもなかったかな。そう思うと70年代の宝島とか、あの熱さと圧倒的な文字量は一体何だったんだろう。海外雑誌やカルチャーの翻訳文化だったゆえの高濃度だったのだろうけれど…。あとは木村ユタカさんのナイアガラに愛をこめて 大瀧詠一ルーツ探訪の旅』。まだ注文中で届いてないけれど、間違いなく良いでしょうね。大滝さんのアルバムは聴けば聴くほど、あれも聴きたい…が止まらなくなるから凄い。ハニーカムズとか、レコードを引っ張り出して聴いてしまうわけですよ。あとレココレ増刊大滝詠一 Talks About Niagara コンプリート・エディション』は旧版以降のインタビューなどを加えた決定版で必読!これとかレココレに載っていたラジオ・プログラムの楽曲リストなんかを読むと、ボブ・ディランのテーマ・タイム・ラジオ・アワーの如く、近年の大滝さんのライフワークだったラジオ番組の活字化をも希望するのみ…大滝さんの場合、文章も落語みたいだったから、ゴー・ゴー・ナイアガラ以来のラジオDJは天職だったのかも。


↓ジャケットは「絵」ですが、こちらは今の「写真」だそうです。ネットで拾ったモノなので、もし問題がある場合は削除しますのでご連絡下さい。

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2014-03-10

markrock2014-03-10

[] すずききよし 00:51

/ すずききよしと歌おう( FRR / 1973)


「(中・印・仏の核実験のことに触れて)…世界中の人々に原爆を作ることをやめてもらいたいと思いますね。でも人間の歴史なんていうモノは愚かなことの繰り返しのようです。人間という種族がまだまだ本当に一人前の生物じゃないのかもしれません…(ライオンが食べるための一頭のシマウマしか殺さないことに触れて)人間は食べもしないのにたくさんの人を殺します…」



チューニングがてらこんなトークを挟んで歌うB-1「この国の歴史を教えてくれ」。久々に脳天を打ち抜かれてしまいました。楽曲はURCのリリース盤でお馴染みのひがしのひとし。補作詞は藤村直樹。歌うはすずききよし。何だか原爆が原発に聞こえてしまって、この国は、40年経とうが50年経とうが、本質は変わっていないのだという思いがしたものだ。



フォークはずっと集め聴き続けているジャンルだ。ブルース・スプリングスティーンがトリビュート作を作ったことで2000年代も話題になったピート・シーガーが今年1月94歳で亡くなったのはショックだったけれど(大往生だとは思いますが…)、日本で思想的にブレない立ち位置でホンモノのホンネのフォークを作り、歌い続けている人は誰だろう、と考えて思い出したのが御歳83才、日本最長寿のシンガー・ソングライター、すずききよし。この人をおいて他にはいないでしょう。関西フォーク・シーンの中で高石ともや や岡林信康」が歌った、出稼ぎ労働者をテーマにした”俺らの空は鉄板だ”や”お父帰れや”(個人的には赤い鳥のヴァージョンで初めて聴いた)のオリジネイターとして知られている人。私もこの2曲で興味を持ったのが出会いだったような気がする。

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ただ、レコードに出会うまでは時間がかかった。近年中古レコード屋さんを回っていて、やっと『明日への道 すずききよし 愛と自由の讃歌』(1977)(後期ベルウッドからのリリース。某有名生粋のフォーク評論家への招待状が入っていた。もうご高齢だと思うので、処分されたのかしら?)と『戦争は許さない すずききよし 平和と自由をうたう』(1981)の2枚を手に入れた。大切にして、よく聴いている。

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先日3枚目で手に入れた大阪労音例会の実況録音盤『すずききよしと歌おう』は1973年のリリース。彼のファースト・アルバムに当たるようだ。満州事変の年(1931年)に生まれ、戦時を体験し、引き揚げ後は教員、金属労働者、広告代理店、音楽プロダクション、放送作家…と職を転々とし、うたごえ運動にも参加、その後あのレン・チャンドラー(リッチー・ヘイヴンスらと同様の黒人フォーク・シンガーのひとり。最近1967年にコロンビアからリリースされた『To Be A Man』を聴いて感動しました…)の勧めで自演フォーク・シンガーになったのだという。もっと詳しくその辺りのいきさつを聞いてみたいものだ。

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しかしそうなると、デビューが42歳ですよ!コレには衝撃を受けました。伝えたいメッセージがなかったら、自身の音楽活動に打ち込む年齢ではないだろう。「究極の正義とはひもじいものに食べ物を与えることである」と語った戦中派のやなせたかしがアンパンマンをヒットさせた時すでに50代だったことなども思い出してしまう。



淡々と歌われるA-1”お若い方よお聞きなさい”の歌詞をちょっと引用しよう。



「あれから29年 再び悪い資本家や官僚や政治家たちは

小選挙区制をしいて 憲法を改悪し

ふたたび徴兵制で君たち若ものを戦地に送りだし

その尊とい血と肉体で自分たちは大もうけを企んでいますよ

…今みなさん じっと耳をすましてごらんなさい 

どこからかあのいまわしい靴音が聞えてくる 

軍国主義という名の恐ろしい足音が 

すぐそこまで来ていますよ」



戦争で何も傷つかず失わず、得をした人もいれば、損をした人もいる。少なくとも巨大資本に守られなかった多くの貧乏人が割を食ったことは間違いない。いやはや、繰り返しになるけれど、この国は、40年経とうが50年経とうが、本質は変わっていないのだという思いがしたものだ。



すずききよしHP

http://sakura.bb-west.ne.jp/spr/cam-frr/

2014-03-08 NORA

markrock2014-03-08

[] NORA 01:10

/ ノラ VOL.機 AARDVARK AV-3004 / 1973 )


自分の3枚目のCD制作もいぜんとして続いていて。自分以外のミュージシャンに参加して貰うレコーディングがまだもうちょっと残っている。なかなか世に出るまでホッとできないもの…でも今回のレコーディングに参加してくれたラッパーさんの新ユニットの楽曲提供を依頼されたり!と、嬉しい出来事もあって。ロジャー・ニコルズの気分で暇を見つけてはソフト・ロックなデモを作ったりしている。


今回はディストリビューターさんを探したり、CDの届け方を色々模索しつつ。少しでも多くの方に聴いて貰えたら、と思うのはミュージシャンなら当然のことなんだけれど、音楽を取り巻く状況が厳しくなってきていることを肌で感じてもいる。発売前後3ヶ月が勝負ですよ、そこで頑張って営業をかけましょう、とかって話を聞くと、まあ確かに判るけれど、正直そんな使い捨ての商品にされてしまうことに辟易してしまう。リスナーとしての我々も「はい次、次…」って感じでそれに慣れっこになっているのかもしれないけれど。前作のタイトル曲”愛すべき音楽よ”(芽瑠璃堂マガジンのタイトルにもなりました)はまさにそんなことを歌った曲だったのでした(http://www.youtube.com/watch?v=WolGqQrbu_8)。


資本主義社会に生きるからには、金儲けが全てなのは判っているけれど、そういう匂いを肌で感じてしまうとすぐに逃げ出したくなってしまう。思えば20代で7つ職場を変えたのもそれかな。現代社会(いや、近代以降の社会か)で「効率が悪い」とされていることにも意味があると信じているから。思えば右も左もありますが、社会主義だって資本主義だってつまりは効率至上主義。別に要領悪いのが好きだとかそーゆー趣味はないけれど、やりすぎだとなるとワタクシ個人の脱走本能が働いてしまう。人間であって機械じゃないからね。


そうそう、今日近田春夫の『考えるヒット2』(2001)の巻末の生前の阿久悠との対談をたまたま読んでいたら


「僕が一つ思うのは、最終的には音楽はタダになるんじゃないかということ。」


とあって、近田さん13年前に凄いな、慧眼だな、と。


そう思うとイマドキ、タダか場合によってはマイナスにさえなる、にも関わらず音楽をやる、というこの非効率にはもしかすると意味があるのかもですね…全てのしぶといミュージシャンに幸あらんことを!!

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さてさて、そんな話はさておき。最近感動したバンドのレコードを。1973年発売のノラのLP『NORA VOL.機。ずっと探していたけれど、見つかるときはひょいっと見つかるものです。コレ、相当ハイレベルな初期ビートルズ直系バンド。チューリップやビートルズのコピー・バンドのバッドボーイズ(元オフコースの清水仁在籍。どうでもいいですが、最近フルメンバーで再結成したタイガース森本太郎のバンド、スーパースターにもベーシストとして参加してました!)と並び称されてもおかしくない音。日本の場合、ハンブルク時代、1960〜1962年の皮ジャン・ビートルズを模したキャロルが1972年デビューだったように、この頃は10年遅れてこんなに本格的な音が作られるようになっていた。


そう、このバンドはキャロル矢沢永吉のソロ作品”ウイスキーコーク”や”アイ・ラヴ・ユー、OK”などで作詞を担当していた相沢行夫(ギター、ヴォーカル)が在籍していたバンド。相沢はキャロル解散後、ソロ初期の矢沢のバックバンドを木原敏雄(キャロル結成前の矢沢と「YAMATO」というバンドを組んでいた)らと務め、その後相沢と木原は1981年にNOBODY(http://www.nobody.co.jp/index.html)でデビュー。アン・ルイスの”六本木心中”” あゝ無情”や吉川晃司の”モニカ””サヨナラは八月のララバイ”といったロック歌謡のソングライター・チームとしてもチャートを賑わしたのであった。

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その他のノラのメンバーはというと、石田斉(リズムギター)、杉浦芳博(ヴォーカル、アコギ)、松田良一(ベース、ヴォーカル)。ドラムスにはサポートの加藤直久が。他には深町純やジョニー(ジョン)山崎らがレコーディングに参加。山本コータローは当時は相当高価だったであろうリッケンバッカーを「貸した」ということでクレジットされているのが面白い。彼は既に一儲けしていたんでしょう。その上、リッケンを弾くようなキャラでもなかった気がするし。


大きく分けると12曲中、相沢楽曲4曲、杉浦楽曲5曲、松田楽曲3曲の割合。メンバーの多くにソングライティングの才があった。ここに石田曲はないけれど、ノラ解散後のビロージュというバンド(杉浦がソロになったためだろう。石田、相沢、松田に斉藤実夫というメンバーが加わった4人組)のシングルには石田楽曲が収められていた。


特にA-1”あの娘に首ったけ”(相沢詩曲)とA-2“アン”が良すぎる!思った以上に音が良くて。ギターとかエグすぎる位に生々しい音。一聴するとキャロル”ルイジアンナ”と被る雰囲気で、明らかに”I Saw Her Standing There”みたいな初期ビートルズが下敷きになっているんだけれど、そこに甘いメロが入る感じがキャロルよりもポップで、後の相沢楽曲の心得たツボを感じてしまう。A-2は田口淑子作詞で相沢の曲。田口淑子は同時代”春だったね”だとか、よしだたくろうの詩も書いてましたね。松田楽曲もA-3”今日から君は”やA-4”二人の唄”とかも甘酸っぱすぎて最高。日本語の載せ方も実にムダがない。大体元ネタは浮かぶんだけど、それをこんな風にそれっぽく演っちゃうってやり方も、現代の方がウケがいいかも。あっぷるぱい、がシュガーベイブっぽい曲を演奏しちゃったみたいに。


エキゾチックなB-1“デゾ・エレロ”やB-4”静かに”にしても、杉浦楽曲にはフォーク歌謡っぽさがあったから、後にそっちの方向で引っ張られてソロになったんじゃないかな。ロックを貫いた相沢は80年代になって売れる、つまり時代が追いついた、と。ノラはその後2枚目のアルバムは出ず1974年解散。シングルのみの楽曲に”忘れかけた愛の言葉” “レンガ路/夢が始まる時”がある。

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ちなみに杉浦芳博はソロで『杉浦よしひろ機ヽ后(1976)をポリドールからリリース。ルパンで有名な大野雄二が全編の編曲を手がけ、石川鷹彦、松木恒秀、岡沢章、村上(ポンタ)秀一らが参加。フォルクローレ風の”白い街”が強烈な印象だけれど、ノラ時代のロック感覚を維持した爽やかなポップ・ロックが展開されている。他にもとんぼちゃんや絵夢に曲を書いたり、すぎうらよしひろ名義で『マッハバロン』主題歌(阿久悠・井上忠夫コンビ)といったアニソン録音も残している。


一方、松田良一は松田良名義で作曲家として活躍。彼の名前、かつてJ-POPのクレジット・マニアだった私は高橋真梨子の”遙かな人へ”の作曲家として頭の片隅にあった。1994年リレハンメル・オリンピックの主題歌としてヒットしました…ってもう20年前ですか!

2014-02-14 岡沢章

markrock2014-02-14

[] 岡沢章 10:13

/ ギリシャについて書かれた本( Columbia / 1973 )

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関東は再び雪ですね。東京の大動脈である中央線も止まってしまっていて。そんなこんなでレコードを聴くぐらいしかありません。


コレは凄い!と思わず唸ってしまった再発盤を。セッション・ベーシストとして著名な岡沢章のソウルフルな喉をフィーチャーしたヴォーカル名作『ギリシャについて書かれた本+3』。和モノもついにこんな所まで来たか、という。正直レコ屋を巡っていてこの盤の現物に出会ったことがない。それだけ当時は抹殺されてしまった盤なのだろうけれど、今の耳で聴くとその先見性に驚かされる。タイトルも面白いですね。「ギリシャについて書かれた本」って。ギリシャ神話なのかなんなのか良く判らない。流石はタイトル曲作詞及川恒平のセンスです。バッキングは岡沢自身が参加していた稲垣次郎とソウル・メディアということで、今回の「Dig Deep Columbia」なる再発ラインナップの中にも稲垣次郎関連盤が含まれていた。


さて岡沢章だけれど、ジャズ、フォーク、ソウルを股にかけ、弟の岡沢茂ともども日本を代表するセッション・ベーシストとして知られている人。山下達郎、吉田美奈子、さだまさし、長渕剛、吉田拓郎(『LIVE’73』は名演!!)…ミュージシャンのクレジットを確認するのが趣味、なんていう人にとっては至る所で目にするプレイヤーだと思う。そのキャリアの出発点はというと、ニュー・ロックの定評高いバンド、THE M(エム)に遡るのだった。このエムはつくづく凄いメンバーのバンドだった。後にイエローを結成し、泉谷しげるのサポートをした時期もあった垂水良道・孝道兄弟を中心に、岡沢章や浅野孝巳(チャコとヘルス・エンジェル〜ゴダイゴ)、さらには外道を結成する加納秀人も3ヶ月間在籍していたという。残された音源を聴いてみると、生の洋楽をいかに再現できるか、が重要だった時代に、頭抜けた力量を持っていたことが一発で判る。近年再結成もありました。


さて、でも何より本盤のオドロキは岡沢章自身のソウルフルな声。男・和田アキ子か!という位の。実は以前、吉田美奈子の追っかけをしていた方から、凄く歌の上手いベーシストがいる!という話を聴いていて、ライブDVDを見せてもらったら岡沢だった、ということがあった。あの吉田を前にして怖じ気づくことなく、堂々たるボーカルを披露しているその姿が只者とは思えなかったけれど、歌モノでも十二分に勝負できる人だったと言うことだ。


さて本作、神田川な時代とは思えない音。時代を反映した四畳半フォークっぽい曲も1曲くらいあったけれど(”比叡おろし”な松岡正剛−小室等コンビの”ひとつの言葉”は ど・フォークかと思いきや、前田憲男のアレンジの妙でプロコル・ハルムみたい)、コシのあるファンキーなベースと、サム・ムーアかマーヴィン・ゲイか!という位の黒いボーカルが載るだけで、全く別世界へ。オリジナルでは六文銭の及川恒平の詩に前田憲男が作曲・編曲を手がけた”朝の都会には乾いた花がよく似合う”が実に素晴らしく、和ソウルとして再評価されるのも頷ける世界。上田正樹のサウス以前のソロデビュー作でシングル・オンリーの”金色の太陽が燃える朝に”(詩はあの故やなせたかし)なんかもそんな同時代の隠れたソウル歌謡だった。安井かずみ・森田公一コンビの”影”ってのも、なかなか。森田公一は”あの鐘を鳴らすのはあなた”にせよ、フィリーなどソウル・フィールを日本歌謡に持ち込んだ功績アリ。あとはクニ河内や、アレンジャーとして有名になる愚の瀬尾一三の楽曲があったり、”What's Going On”、”Alone Again (Naturally)”なんていうカバーも。前者を当時こんなニュアンスで歌えた歌手はいなかったのでは?後者のギルバート・オサリバンとソウル、ってのもなかなか。ジャズでエスター・フィリップスのカバーが1972年にありましたが。


あとはボーナスが素晴らしく、ソウル・メディアと共演したソウル・ディーヴァ、サミーと共演したアルバム『Let It Be』からの“遙かなる影〜ウォーク・オン・バイ〜恋の面影”(バカラック・メドレー)、”ユア・ソング”(エルトン・ジョン)これぞニュー・ソウルなキャロル・キングの“スマック・ウォーター・ジャック”の3曲が。


調べていたら、現在アメリカ在住のサミーさんの新録がYouTubeにアップされていました。ハンパないですね!

Sayonara Bye Bye by Sammy

http://www.youtube.com/watch?v=ban-lRRMorw

2014-02-08 泉谷しげる

markrock2014-02-08

[] 泉谷しげる 17:59

/ 昭和の歌よ、ありがとう( 喝采 /2013 )


久々の更新です。いやはや、自分自身の作品作りに掛かりっきりになっていました。プロデューサーの尽力により、2人3脚、16曲のレコーディングが終了。イマドキこんな音楽やってる人はいないだろう、と思いつつの原点回帰のフォーク作品になりそうです。フォークと言いつつ、中には敬愛するラッパーさんと共演する曲があったり、スパイラル・ステアケースか!というソフト・ロックも交えつつ、結構バラエティに富んだ作品になったのではないかと思う。とはいえ、まだまだ終わっていないレコーディングもあるし、ジャケット含めリリースまでは課題山積。今後も命を削って頑張ります。

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さて、やっと聴けた泉谷しげるの昭和歌謡カバー盤。ジャケ写は太陽の塔 by岡本太郎。泉谷、お前もか的な一枚ではあったけれど。もともと歌唱力で勝負していた人ではないし、近年声量の面では流石に苦しくもなってきているし、どうかな、と思ったのだけれど、そこは流石。びっくりびっくり、毎曲共演する女性歌手の力量を際だたせた無難な作りになっていた。曲によっては正直泉谷さんいるのかな?ぐらいの参加度の曲もあったけれど、クオリティは結構高い。つまりはキーの問題でしょう。泉谷さんの声域だと、女性キーに合わせると一オクターブ下げる他ない、という。よって泉谷の遠吠えはほぼ聴かれず(帯に「美女は歌い、野獣は吠える。」ってあったけれど…)。それでも、泉谷さんが後ろにいる、と思うだけでナニヤラ存在感があるわけなんですな。ミスで泉谷が照れるテイクをあえて採用した曲とかもあって、これは人徳というほかないでしょう。


とりわけ冒頭の”黒の舟唄”(野坂昭如〜長谷川きよし)の大竹しのぶと”涙のかわくまで”(西田佐知子)のカルメン・マキは圧倒的。泉谷にタイマン張れるなんてのはこの二人の女性ならでは。クミコの”ざんげの値打ちもない”(北原ミレイ)も結構良かったかな。コレ、どう歌うのかな?と思った”生きてるって言ってみろ”(友川かずき)はスロー・ヴァージョンになっていた。激しいヴァージョンを聴いてみたかったような。共演は中村中だし。あと夏木マリとの”胸が痛い”(憂歌団)の泉谷ボーカルが、かつて泉谷の”春夏秋冬”をカバーしたSION風だったのも意識したのかどうかわからないけれど、面白かった。森高千里との共演”悲しくてやりきれない”は初期泉谷のプロデューサー加藤和彦への追悼の意味合いもあるのだろうか。ビートたけし作詞の”夜につまずき”(八代亜紀と)も懐かしいエイト・ビートで悪くなかった。ビートたけしの『おれに歌わせろ』収録曲ですね。お笑い芸人と言えば明石家さんまのシングルもかつて結構売れました。


しかし紅白のパフォーマンスは賛否ありました。何言ってんだ、みたいな。まあでもリハでブチ切れたとか、全部ある種ネタですよね。でも最近、年齢のせいなのか、「怒ってるけど実は良い人」キャラが崩れて「実は本当にコワイ人なんじゃないの」っていう部分が出てきちゃっている気もするかな。まあ、私が中学生の時ギターを持つ直接のキッカケになった人だし(九段会館でのライブを観て、惚れ込んだんです。弦が切れたギターをかきむしる姿、中学生にゃあ刺激的だった…)、それをキッカケにして、人生を変えたバンド「古井戸」にも出会えたわけだから、あんまり悪くは言いたくないんですが…。


最後に、レコード会社の「喝采」って、ちあきなおみ かよ!って感じで気になったのだが、調べてみると及川光博所属マザーエンタープライズの関連会社とのこと。2012年の自主盤に代表曲”春夏秋冬”のニューヴァージョン2014を含む2曲のボーナス・トラックを含めた『突然炎のように!』も今年1月に同レーベルからリリースされている。こっちはのっけから叫んでいて、このカバー盤が消化不良だった方はぜひこちらを!2008年の『すべて時代のせいにして』もそうだったけれど、近作も聴き応えがある。

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1. 黒の舟唄(大竹しのぶ×泉谷しげる)

2. 涙のかわくまで(カルメン・マキ×泉谷しげる)

3. ヨイトマケの唄(泉谷しげる×佐々木秀実)

4. 花〜すべての人の心に花を〜(手嶌葵×泉谷しげる)

5. ざんげの値打ちもない(クミコ×泉谷しげる)

6. 生きてるって言ってみろ(中村 中×泉谷しげる)

7. 悲しくてやりきれない(森高千里×泉谷しげる)

8. 胸が痛い(夏木マリ×泉谷しげる)

9. 夜につまずき(八代亜紀×泉谷しげる)

10. 見上げてごらん夜の星を(夏川りみ×泉谷しげる)