女性差別?

先週の videnonews.com で、男女雇用機会均等法ができる前は、女子アナ30歳定年制が「当たり前」だった、といったことが話されていたわけだが、これってなんなんだろう、と思ったわけである。

1999年4月1日の改正により、募集・採用、配置・昇進、教育訓練、福利厚生、定年・退職・解雇において、男女差をつけることが禁止された。制定当初、募集・採用、配置・昇進については「努力目標」とするにとどまっていたが、この改正で禁止規定とした。
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 - Wikipedia

驚くべきことに、日本という国は、「1999年」になるまで、男女で上記の引用にある件で

  • 差別をしていい

ということになっていた、というわけである。
(私はこういう意味において、親世代の「専業主婦」感覚について、本気で考えなければならないんじゃないか、と思っている。つまり、自分の親世代の感覚には、こういった「男女雇用差別」を、かなり普通のこととして受け入れていた何かがあったのではないだろうか。)
うーん。
私がこれを聞いたときに思ったのは、いわゆる、日本において、「男女の性的役割分業」にそれなりに理解を示している、いわゆる「保守派」と呼ばれる人たちというのは、どこまで

  • 男女の性差別

を「肯定」しているのだろうか、ということが疑問になったわけである。つまり、

  • 何を考えているのかが分からない

わけである。1999年まで、日本は「女性差別」が、上記の意味で「肯定」されていた。それは、いわば、それ以前までは

  • 当たり前だった

わけである。女性を「差別」することは「当然」だった。それが「自明」だった。この前、小林秀雄について書いたが、だとするなら、文芸批評家や哲学者は、この「日本の自明性」に対して、戦ったのだろうか? 戦ってきたのだろうか? おそらくそんなことはない。そこには、なんらかの日本的「文脈」があって、

  • 日本の保守性を考えるなら、「女性差別」はしょうがない

と言っていたのではないか?
つまり、彼らはそれを「時代の理性」と呼んだわけである。一つの世代論であり時代論として、「ある程度の女性差別はやむをえない」と、彼等は「現状肯定」をしてきた。それが「哲学者の役割」だったわけである。
日本の「保守派」とは、こういった連中である。
例えば、なぜ戦前、日本の家庭は子だくさんだったのかと考えると、当時子供は「農家の労働者」として期待されていたから、というわけである。つまり、なぜ子供を産むのかは、農繁期に、稲刈りをする「労働力」が、実際に需要として必要だったために、それを「生産」していたから、というわけである。
しかし、だとするなら、現代において、少子化は、ある意味、「当たり前」のように聞こえる。なぜなら、ほとんどの人はもう「農家」ではないから。つまり、今の子供のいない人には、そういった「切迫感」がないわけである。
大事なことは、日本の支配階級にとって、「お金持ち優遇」こそが、何よりも重要だ、ということである。どうやって、自分たち「お金持ち」が、実質的な「貴族」として、この日本で、階級的優遇を受けるか、ということになる。
まず、貧乏人の家庭に子供が産まれると、その子供に「税金」を使わなければならなくなるから、お金持ちからどうしても多くの税金をとらなければならなくなる。よって、お金持ちはなんとかして

  • 貧乏人の家庭は子供を産まないようにさせたい

と考えるようになる。つまり、子育ては

  • お金持ちの「贅沢品」

にしたがる。それは、どうやれば実現できるであろう? 一番簡単な方法は、進学が「お金がかかる」ようにすればいい。そうすれば、お金持ちしか、上の学校に進学できなくなる。塾のお金もお金持ちの家しかだせない。必然的に、貧乏人は子供を産まなくなる。なぜなら、自分の子供が進学できないなんて「かわいそう」ではないか。
こういった「お金持ち優遇政策」は、そもそも、自民党の政策と適合的であった。もしも貧乏人の家に多くの子供が産まれれば、彼らは、貧乏人優遇政策を提案してくれている共産党や、その他の野党に投票したであろう。よって、必然的に、自民党は、少子化対策を行わない。お金持ち「だけ」が子供を産めばいい、という政策を続けた。
自民党はお金持ち向けの政党である。実際に、自民党の議員は、二世議員が多い。そんな自民党が、選挙で勝ち続けるためには、日本が「富裕層」しかいなくなればいいわけである。よって、必然的に移民を受けいれない。なぜなら、移民は、そもそも、日本のアイデンティティをもっていないのだから、日本人の価値が分からない外国人が「自分たちの仲間」だと思えない。実際、移民として日本に来たいと思ってくれる人たちは、なんらかの「労働環境の改善」など、それなりに「日本が(今と比べて)住みよい」と思って来る人たちなわけですから、当然、貧乏な人が多い。当然、貧乏人優遇を目指している共産党や、その他の野党に彼らは投票するであろう。
よって、日本の「少子化」問題は解決しない。
つまり、ほとんどの自民党日本の「少子化」対策は、

  • お金持ちの家の子供を、なんとかして多くする

対策にしか、ほとんど興味を示さない、ことが考えられる。なぜなら、そうしないと、自民党という「お金持ち優遇政党」の票が増えるわけではないから。そして、それを「ブルジョア知識人」たちが、なんらかの理屈を並べて、「国民をけむにまこう」としてくる。彼ら「知識人」には、その「役割」がある、というわけであるw