ラグビーと「自由と規律」池田潔著

高校ラグビー全国大会は伏見工(京都)が5大会ぶり4度目の優勝を果たしました。
毎年この季節になると高校に入学してラグビー部にオズオズと入部した頃のことを思い出します。
小学校、中学校の頃 やたら本を読む少年だった私は どうもこのままだと
青白き文学青年になってしまうのではないかと内心恐れておりました。(笑)
それでスポーツをやろうと考えました。
運動神経(運動センス)が全く無いことは自覚していました。
そこで部員が少なくレギュラーになれる可能性の最も高い運動部を探したところ
ラグビー部が最適だとわかりました。
何しろ先発メンバーが15名です。
これなら何とか試合に出られそうです。(笑)

ラグビーをやろうとした理由はもう一つあります。
丁度その頃 読んだ 池田潔著「自由と規律」(岩波新書
に影響されたこともあります。
池田潔さんは 池田成彬(戦争前の三井財閥の指導者)の息子で
小泉信三のお弟子さんという恵まれた環境で育った人です。
池田潔は 英国に留学し、リーススクールというパブリックスクールを経て
ケンブリッジ大学を卒業し 慶応大学の教授になった人ですが
その留学体験のなかで、「指導者にいずれなる学生はどのように教育されるのか」
ということを書いていました。
この本の中で 私は「ノーブレス オブリージ」「NOBLESS' OBLIGE」という言葉を覚えました。
「特権を得ている人間には 義務が伴う」ということです。

イギリスのパブリックスクール出身、ケンブリッジ大学卒ということは
階級社会である英国では特権階級です。
第一次世界大戦が始まって英国が参戦することになった時
ケンブリッジ オックスフォードの学生は大量にヨーロッパの最前線に志願して出陣しました。
「特権を得ている人間だから 国が必要としている時 第一番に危険な場に行く義務がある。」
ということです。
第一次世界大戦塹壕戦で有名です。
学生出身の兵士は小さい部隊の隊長になります。
突撃命令が上のほうから来ます。当然ビビリます。
恐怖心を振り払う為に彼はラグビーのボールを敵陣に向かって蹴り上げてラグビーの試合のように
敵陣に向かって突撃したというのです。
第一次世界大戦における ケンブリッジ オックスフォード両大学の学生の
戦死率は平均を大きく上回りました。
特権を得ている者が義務を果たしたのです。
ケンブリッジ オックスフォードの対抗ラグビー試合は有名です。
高校生の私は こんなエピソードを読んで
「ノーブレス オブリージ」と 「ラグビー」の2つが胸にキザミ込まれました。

自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)

自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)