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Massa’s Eye

2017-09-01 LEL2017 Vol.2 エディンバラへ そして向かい風と睡魔と雨とともに

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[]LEL2017 Vol.2 エディンバラへ そして向かい風と睡魔と雨とともに復路へ  LEL2017 Vol.2 エディンバラへ そして向かい風と睡魔と雨とともに復路へ のブックマークコメント

バーナードキャッスルには朝4時前に到着。この時間が一番だるくて眠い。

軽く食事をして少しだけ目を閉じる。まだカフェテリアスペースもほとんど誰もいない。5人ほどしかいないので貸し切り、ベンチにだらりと座り5分ほどだけ眠る。というか食べながらどんどん食欲よりも睡魔が支配していくのがわかる。5分の睡眠、これだけでも気持ちは違う。そうしているうちにレストランのメニューが朝食に切り替わる。同じカフェテリアで両方食べられるのは気持ちが新鮮だ。個人的には朝食メニューの方が美味しい。というか好きだ。きっと走ってなかったら美味しいと言えるものではなさそうだ・・・

夜明け前、バーナートキャッスルからブランプトンに向けて出発。ここからは今大会中最も高いところへと昇る峠が待ちかまえている。

標高約600m。これだけを聞くとたいしたことはないだろう。自分もそう思っていた。しかし実際に走ってみると、このイングランド独特の勾配、平均勾配は緩いのにスピードが出ないことにいら立ちというか冷静さを保つのが難しい。

周りの景色だけを見ていると、まるで1,000m超級の峠を越えているかのような感覚。登っているときのギヤが油断していると39T x23T、26Tあたりがメインになってくる。

平均勾配5%なのだから21Tでも軽いのだが・・・これは決して疲労だけではないはずだ。


一定勾配で登っていくことが少なく、フワフワと登っては緩み、きつくなっては緩み、を繰り返す。きついところが場所によるが平均斜度よりきついところは2~3%はきつい。そして時折10%を超えているような区間もある。ヨーロッパ大陸の峠とも違う独特の登り。そういえば以前、走ったことはないがテレビで見たリーズクラッシックというレースで、ヨーロッパ大陸ではスイスイと上っていたクライマーが思いのほか苦戦した走りをしていたのを思い出す。

やや追い風かな?という感触で、登りだけどそれほど悪くないな?という感触で走り出したにもかかわらず、30分も上ると苦戦。入口でパスしたA組の人に頂上付近でパスされる。

低い雲がすごい勢いで流れている。まるで地の果てに向かっているかのような錯覚に陥る。

長い下り。オールストンの町まで直線的に下っていく。オールストンの町の中は石畳があり急勾配なので路面が濡れていると非常に危険だ。事前に危険個所があるのは聞いていたが、ここだったのか・・・はっきり言って覚えてられないし。

町の中がさらに急勾配で少し構えた瞬間に石畳なのに気づく。

前ブレーキで一気に減速し、「止まる」というのではなく「回避する」「安全に通過する」スピードにコントロール。あくまでも安全走行が基本だが安全は止まることだけじゃないと思う。

この区間20%ぐらいあるので復路も大変そうだ。


ブランプトンまでは景色はすこぶるいいのだが、疲れているのか景色が目から入ってこない。残り20kmほどで後ろから2人、結構いいペースで後ろにつくとちぎりにかかったかさらにペースアップ。

きっつぅ〜〜〜!!

なんで500km過ぎてロードレースペースやねん・・・

逆に言うと、多くのライダーはファーストランで休憩を多めにとって回復している、と解釈していいのではないだろうか。これはPBPとは違う走り方のスタイルだ。まぁ先頭グループ(あるのか定かではないが)はまた違う走り方かもしれないが。

ブランプトンにはスタートしてから25時間半で到着。ざっくりと3〜5時間予想よりも遅い。それだけ自分の考えが甘かったとも言えるし、想像していたよりもLELのコースプロフィールは厳しいともいえる。一つはっきりと言えるのはPBPよりも一筋縄でいかない。

往路で途中一緒に走ったオランダ人がぽつりと言った言葉

PBPはプロのレースに例えるならプロコンチのレース、しかしLELはツールドフランス。その難しさは桁が違う」

と何気なくはなった言葉が、エディンバラに進むにつれてどんどんと深みのある、重さを増して頭を支配している。

最初は冗談か、大袈裟な例えだろうと思っていたが、進むにつれ的を射ているなと思いだした。

高速道路わきを進み、単調でつまらないうちにモファットへ。気が付いたらいつの間にかスコットランドに入っていた。

イギリスと一言でいうが正式名称は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国

イングランドウェールズスコットランド北アイルランド連合国家で、最近独立をめぐっての国民投票で記憶に新しい「あの」スコットランドを走っているのである。

ここからはひとつ峠が待ち構えている。これを越えるとエディンバラも感じることができるのだろうか。

ふと冷静になると、やはりここはスコットランドなのだろう、今までの景色と少し違って見える。

アップダウンでエディンバラはあの尾根線を越えたところあたりか?などと考えているうちに雨・・・ここまで何回雨に降られて、何回レインケープを着て、何回脱いだのだろうか・・・

16時22分、スタートしてから34時間弱ようやく折り返し地点だ。


あれ?まだ矢野くんは到着していないのか。ひとまずは食事。ここからはPCは短いスパンであるのだが、日が暮れるまでの間はなるべく走って遠くまで行きたい。そのためにしっかりと食事するように。しかし時間は短縮してスタートしたい。そんな複雑な心境で食事していると矢野くん到着。途中渋滞に巻き込まれたようだ。

本当ならエディンバラ城はじめ少し町を走りたい気持ちもあるが、自分のスタイルとしては主催者の定めたルートがある以上はそれを外れるということは極力したくない。

エディンバラで仮眠してからスタートしたいという当初の目論見だったが予定以上に到着が遅れた。そしてまだ睡魔が体を包んでいない。これはこの2つ先のPCであるエスクデュールミュアまで一気に進んでゆっくりと休みたい。

ほとんど往路復路と同じだが、このエディンバラ〜ブランプトンの区間は別ルート。そのためエスクデュールミュアの仮眠所の毛布は誰も使っていない可能性が高いから香ばしくないはずだ(笑)

往路の人たちが散々寝ていたマットと毛布は、可能なら避けたいところだ。

折り返してオープンな場所ではまともに向かい風を食らう。

今までは味方だった風は、エディンバラからは牙をむいてくる「敵」となる。

5%ほどの峠でも強烈な向かい風で時速10キロも程遠い。ここは我慢。遅いからと言って考えても停まっても仕方ない。ペダルを漕いで進むしかない。

谷間を風が吹き抜ける。とにかく漕ぐ。ひたすら漕ぐ。漕ぐ以外の動作も考えもいらない。


ブランプトンに到着すると矢野君がいた。

どうやら先ほどの、エスクデュールミュアではサポートは禁止されているとのことだった。そのためブランプトンまで先回りするということの伝言もできずそのまま通過したらしい。

ここまで睡眠は約10分。実際カフェテリアで足を投げ出して放心状態が長く、寝たとは言えないが脳波的には睡眠だろ!って状態がある。走っている間ですら怪しい時間が増えている。ここブランプトンで朝4時まで寝ることにする。

走り出すときには一番寒い時間帯。そして疲れもピーク状態なので暖かい状態をキープしないと危険だ。ここで初めて「冬用ですか!」なウェアに着替える。

暖かいシャワーで体をリフレッシュ。本当なら一糸まとわぬ状態でリラックスしたいところだが、膝や筋肉に刺激がないと痛みが出そうな不安があり、タイツとメリノウールを着用して係の人にマットへと案内される。

やはりさっきのPCで寝たかった。先客たちの作り出した香ばしさが、間違っても毛布に顔を当てて寝ようとは思えない。ちょっときついなぁ・・・と思っているうちに爆睡、4時の起床にはなんと今回はボランティアをされている古久保さんに起こしていただくというサプライズだった。

そこから朝食、そして走り出す。ブランプトンには往路と復路で本当に長く滞在した。今回のイギリスへ入ってからロンドン滞在の次となる滞在時間だ。

往路で苦しんだ峠へと向かう。真っ暗な中では自分は何もできない、生かされている、まるでお釈迦様の手のひらで走り回っているような定めのようなものすら感じる。

峠を前に夜が明けだす。この瞬間は世界中どこでも素晴らしい。その中でも今回のLELは、まるで地の果てのような場所で見ているような錯覚というか感覚が常についてきている。かなり北の方の場所だから余計にそう感じるのだろうか。

そんな贅沢でもあり、お釈迦様の手のひらで、いつでも自分は握りつぶされてしまう定めの中でしか生きていないという世界から、太陽が上がり始めるとそんな感覚からも解放されていくような気持になっていく。

相変わらず雲は低い。日本に住んでいるとまずこのシチュエーションがほとんどない。だからこそまるで地の果てにいるような錯覚になるのだが。低い雲との狭間を走り抜ける。自分のちっぽけさと同時に、しかしそのちっぽけな自分でも地球で何かを全力でやっているということを実感する。これはロードレースをしていた頃の自分にはなかった感覚だ。そもそもロードレースでは命の危機をそうそう感じるようなことはなかった。例え落車をしても・・・


峠ではまだ往路を進む人たちがいっぱいいる。ざっくりと400?近く後ろを走っている人たち。

う〜ん・・・オレだったら精神的にきついなぁ。そんな時うつむき気味に上ってくるサイクリスト、坂東さんだ。

今回坂東さんにはエントリーの件からいろいろと相談に乗ってもらいお世話になった。イギリス入国してから一度もお会いしていなかったが、何となく峠を上っているときに「なんだか坂東さんに会いそうだな」そんな気持ちがすごく強くて、それもあって下りはあまりがむしゃらにならず、すれ違う人を励ます意味で手を挙げて挨拶したり、ベルを鳴らしたり・・・坂東さんの無事がわかったら急にホッとしたのか睡魔が・・・

そんな時に後ろから一人に抜かれる。どうもイタリア人。一気に突き抜けていく感じじゃないので少し感覚を開けてついていくと前でミスコース。結局一緒に走ることになる。

PCに到着するとまずは食事。そして矢野くんに預けているスマホを受け取ってSNSなどに投稿。このあたりはPBPと違う時間の過ごし方だ。

バーナードキャッスルに1日午前9時05分到着、ここまで50時間弱。もう速いのか遅いのかも分からない。わかっているのは体の奥から疲れている、ということだ。

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バーナードキャッスルをスタートすると空は明るくなってきた。

朝が来るのは気持ちがいい。


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ブロンプトンへ向けて峠開始

いやらしい勾配で登り続ける


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とにかく低いところを雲が通過していく。

天気も晴れたり降ったりを繰り返す。

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あちこちにいろいろキレイな景色があったとしても、それを拾えるのか拾えないのかはその時の疲労度にもよるようだ。


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スコットランドで雨が降らないなんてことはない。

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まるでご褒美のような虹が現れる。

虹の一番下の部分に行けば何かあるのかな?

そんなことを考えながら、無理だとわかっていても一番下を目指してしまいたくなるような、きれいな虹だった。


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エクスデュールミュアでは前後を走るメンバーは早々に走り去るが、ここで食事して本来はその後に仮眠予定だった。

矢野君遅いなぁ。もしかして寝落ちして事故でも??

最初は本気でそんなことも考えたが、まずは寝よう。食べ終わると足を投げ出して5分ほど仮眠。


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ブランプトンを夜明け前にスタート。必然的に走っている最中に朝日を浴びる。

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太陽が顔を出す

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ブランプトン〜バーナードキャッスルは防寒対策をおこなった。

起毛のタイツ、綿の入ったベスト。完全に冬装備だ。


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今回数か所キャトルグリッドを通過。オランダでも何回か通ったことはあるけれど、イギリスの場合は下っている最中にもありちょっとエキサイティングだった。


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バーナード城が見えてきた。

ようやく休める・・・

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