Massa’s Eye

2017-10-24 LEL2017 Vol.4 そしてゴールへ

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椅子に座っていてもバランスをとりながら寝ている。何度か揺れているのはわかっている。だけど睡眠不足だからかとてつもなく深いところで寝ているという実感はある。

なのにバランスを取っている自分を理解している。深いのか否か・・・何もかもが答えの出せない不思議な立ち位置。

時折目が覚めるのだから深くはないのかもしれないが、睡眠への満足度が異常に高い。

2時間は寝る気満々だったのに、40分ほどで目が覚める。つい3時間ほど前には幻覚というか自分をコントロールできない世界で苦しんでいたとは思えないほど頭が正常動作している。ふと前を見ると矢野君も椅子で爆睡モード。こちらもほとんど寝ずに走っているが、彼もそんなにしっかりと寝られない状態でサポートしてくれている。感謝だ。

多分2〜3時間寝ても、いや8時間寝たとしても体がリフレッシュするとは思えない。このままさっさと走り切って、ホテルでベッドに沈み込んで寝てしまうほうが絶対体にいい。まぁ人それぞれ考え方は違うだろうが、自分はそう思う。

朝食を食べる。空になった充電池がすごい勢いで蓄電しているかのようにどんどんエネルギーが溜まっていく。そうなると長居は無用、ゴールを目指す。


おお!思い切り向かい風だ(笑)撮影チームも途中道路脇にいたが、格好よく走ることもできないほどに風がきつい。まぁペダルを止めなければどんなスピードだろうと必ず前に進んでいく。そんな当たり前のことを、強がりにも自分に言い聞かせていたのもつかの間、オープンになった区間ではまっすぐと前から強烈に風がぶち当たってくる。

時速20キロを越えていればひとまず強がりも言えたが、時速15キロまで低下。それもただの平坦区間だ。強がりなんて出てこない。今は泣き言しか思い浮かばない。

「だめだ、一度止まって深呼吸して落ち着こう」

止まっても仕方ないことは自分でもわかっている。しかし朝になってどこかに行っていたもう一人の自分はやはり存在しているようだ。

交通量は意外に多く、民家の入り口やちょっとしたスペースに寄せて足を着いて休憩。止まったところで何も変わらない。変わるのは唯一「到着時間が遅れる」ぐらいのことだ。

止まっては進み、止まっては進み・・・次のPCセントアイヴスに到着。

ここから先はケンブリッジを経由するのか否かのルートを選択することができる。ここではあえて迂回ルートを走るつもり。これは後半の疲れているときに少しでも街中を走らないほうが安全だ、という判断。実際獲得標高を調べてもそれほど大きくスピードは落ちないだろう、と。

10kmも進まないうちに登りが。

直線的に2kmほどの登り。そのあとにアップダウンでも続くのか。思ったほどではなかったか。そう思たのもつかの間、イメージ的には登っても登っても頂上が見えない。

正確には・・・たぶんそれほど登り勾配はきつくなく、体がフレッシュならそれほどではないはず。しかしこちらは1,300kmを睡眠2時間弱でここまで走り続けていて疲労で平坦すら登りのような感覚だ。そして強烈な向かい風。3%でも登りなら体感的には8%以上の登りに感じる。スピードが一桁から脱しない。

ただ単にコースがきついのか、はたまた体が限界を超えていて感覚がマヒしていてきついのか・・・それとも両方ともなのか・・・15分もペダルを漕ぐと無意識に地面に足を着いて休もうとしている。ふわふわと、意識は進まない魔法の絨毯にでも乗っかっているかのごとく。


飛行機が地面すれすれを飛んでいる。どこかの空港の近くのようだ。

正直言うと別に興味もないのだが、何が自分のツボにはまったのかはわからないがカメラで写真を撮ったり動画を撮影したり。冷静にものを見ている自分が、壊れている自分を分析している。しかし忠告をしたり注意をしたりすることができない。しかし自分で妙にそれを冷静に見ている。

最後のチェックポイント。ここからは残り48km。止まってゆっくりする理由はない。

妙に空腹感はあるので何か食べたいが、しかし何かを食べてゆっくりとする気持ちもない。完全に駄々っ子状態だ。

コーンフレークと牛乳。

イギリスで一番おいしくて期待を裏切らなかったもの。

そこまで言うといいすぎか(笑)しかし安定のおいしさ。何よりも、ブルべの最中に牛乳を飲みたいと思ったのは今回初めてだ。そんな不思議な感覚でコーンフレークを胃の中に入れてゴールを目指す。

雨の降る中、空はどんよりと。そしてさっきよりも気温は明らかに低い。たったの48kmなのに気持ちは乗らない。

まるで同じルートをループしているかのような感覚。同じところをさっきから8の字にぐるぐると、メビウスの輪を走り続けている。体の平衡感覚やら時間軸やら、何もかもが狂っている。確かに道も似ている。ただでさえ似ているのにゴールまでの区間はあえて似たルートを探したでしょ?と思わざるを得ない。

後ろからイギリス人らしき人に追いつかれる。ゼッケンからすると自分より前にスタートしているようだ。どこかでゆっくりと休んだのだろうか。しかし遅いわけではなく、装備からすると「速い」。

フロントバッグにマッドガード。自分は勝手に「英国式」とカテゴリー分けしているが・・・この英国式の英国人サイクリストがスムーズで見ていて格好いい。

今回のLELでは

スピーディに移動し、そして休む

これがキーワード。ラファでも提唱していた「トラベルファー・パックライト」と同じだ。

決して荷物がないわけではない。しかし最小限に、必要なものをきっちりと仕分けしているのだと思う。これがそもそも格好いい。

装備を増やすことは簡単だ。しかしそれは走力ダウン、体力をダウンさせている。こういうロングライドができるバイクの機動力を殺してしまっている。

明らかに自分より年配だが走りがスムーズ、見とれてしまう。俺も年をとったらこんな風にお手本な走りをしたいものだ。

ようやく高速道路の向こうに町が見えてきた。たぶん高速道路ロンドン環状線だろうか。

ラフトンの街に近づいてきた。最後まで、しつこいほどにアップダウンがあり感極まる暇はない。既にスタートした時の思いですら出てこない。ただ、きつい。そして解放されたい。

そんな気持ちをもちゴールへ近づく。

もうすぐ開放もうすぐ開放、まだか?まだか?

そんな気持ちでゴールへ。

ブルべカードに最後のスタンプを押してもらう。

押された瞬間、気が抜けた。あ、無茶苦茶寒いかも・・・

ラスト50?は防寒具もないまま雨に打たれてのゴール。最後だし、と思って集中してレインジャケットを着ずに走り切った。しかし寒いものは寒い。震えが止まらなくなる。スタッフに聞いてシャワーの場所を聞くがいまいちわからない。

矢野くんとシャワーを探しに行くが、ちゃんと聞いている矢野くんですら開かないドアを開けようとしたり・・・伝わっていない(笑)

肌が痛むほどの熱く突き刺さるシャワーを期待していたのに、誰が「人肌」なやんわりシャワー温度にしたんだ!!怒りで思わず温度調節できる何かが壁にあるんじゃないか?と見て回った。が、なかった。

人肌シャワーで汚れを洗い流す。まずは乾いた衣類を身にまといたい。

81時間22分

1,400kmに渡った旅は終わった。

ほぼノンストップで駆け抜け、誰かと触れ合ったりその土地を感じ取ったりという感覚は薄い。しかし振り返ってみると確かに何かに、何かと触れている。それが旅と感じる理由かもしれない。

暮れていく太陽、空けていく闇、この世の果てのようにも感じる分厚い雲に覆われた空・・・

そのすべてはしっかりと記憶に残り、振り返るとすべては記憶に刻まれている。

自分が最初に考えていたタイムはブレークできなかった。しかしそれは一つの動機で、ゴールするということも確かに大きな動機なのだ。

何事も、どんな時も、ゴールへと辿り着く。たとえどんなに厳しくても。

次はどこで何を目指すのか。自分でもわからない。しかし必ず走るだろう。

それは道が続く限り・・・

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眠い しかし寝られない

小一時間で目が開く。気持ちの中で、暗い闇の中に沈んでいくように寝てしまうと二度と目が開かないような気持が覆い、恐怖で寝られない自分がいる。


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ゴールまでは素晴らしい青空。このまま・・・

しかしゴールまでの60kmは雨だった。


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あまりの爆風に心が折れる

ほぼ平坦区間、時速9km/h・・・子供にも抜かれそうだ

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ゴール

スタートしてから81時間22分。

自転車を見ても跨りたいと思わない。


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盟友、矢野君と

サイコーの夕食だった

2017-10-09 LEL2017 Vol.3 もう一人の自分との戦い

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[] LEL2017 Vol.3 もう一人の自分との戦い  LEL2017 Vol.3 もう一人の自分との戦い - Massa’s Eye のブックマークコメント


イギリスの天気は気まぐれだ。

いや、正確にはこちらを見透かされているかのような移り気だ。

レインケープを持たずに走る気満々だとゲリラ豪雨のような雨。レインケープからレインシューズカバー、気持ちまでもすべて雨装備をコンプリートさせると青空が広がる・・・

絶対突然ヘルメット被ったおっさんが「どっきりカメラ」のプラカードをもっておちょくったような態度で飛び出てきてくれるに違いない。そんな起こりもしないことを期待しつつカフェテリアで雨をやり過ごす。

先に出たイタリア人も、走り出す瞬間に大雨で結局戻ってきた。

タイの女性二人、きっと往路なのだが時間的に明らかにあきらめていてどこに向かうのか走り出そうとすると大雨でまた戻ってくる。彼女たちは走っている時間と停まっている時間どっちが長いんだ?なんてネタにしながらも、自分も雨に翻弄されている。


雨そして風に振り回される。

ハンバー橋を通過し、気持ち的に結構いっぱいいっぱい。

夕陽をバックに列車を撮影していると数人のパックがやってきた。さっき抜いたスチュアートさんのパックだ。

彼はポーツマス出身で函館在住とのこと。走り方を見ているとスマート、という言葉はあてはまらないが(笑)前に進みたいという気持ちが非常に強いことを感じる力強さがある。オレはどうなんだろう?自分でわかるほどの睡魔と疲労。

彼らのグループで一緒に会話をしながら夕陽をバックに闇へと進んでいく。

ルースへ到着。

睡眠も短く、結構体的には消耗している。60時間を超えてもなお走り続けているのは、岡山1200kmブルべ以来。しかしあの時はPCで2時間以上寝たり、疲労と睡魔は激しかったが、あちこちで体も頭も休ませることができた。

正直なところ到着時間は中途半端だ。どう中途半端かというと、ここで3時間仮眠したとして走り始めは一番寒い時間帯。もう少し寝るとしたらかなり滞在してしまう。可能ならば仮眠最大3時間だ。理想は2〜3時到着、そうすれば寒いと言えど太陽が出てきて太陽の恩恵を受けることができる。

寒い時間に頑張るのは体にもよくない。当然防寒の必要も出てくる。そうなると装備も入れ替え。そして暖かくなると再び入れ替え・・・

スチュアートさんと目を合わせると彼は進む気満々。もちろん自分も進むことが前提だが、正直気持ちが体を引っ張っていない。何か別の義務感に体が引きずられているだけだ。

滑りだすように、という例えとは程遠い、なんとなくぎこちなくPCを後にして闇に包まれていく。

闇に包まれた瞬間、自分のライトに照らされた世界のみが現実の世界。これはPBPでも思ったのだが、LELの方が集団で走っているわけでもないしなおさら重くまとわりつくような真っ暗な空気をうごめきながら進んでいるような感覚。今見えている世界はスチュアートさんのライトと自分のライトの世界のみ。しかしいずれにしても真っ暗な闇の世界、自分の支配下にある世界に存在している感覚が薄い。

途中何度か取材の車のライトを感じながら走るが、やはり疲労感マックスで睡魔が止まらない。徐々に力強さを感じるスチュアートさんから離れていく。

「ゴメン、眠くて限界だし自分のペースで先に進んで。」

離れては追いつき、そして徐々に離れていき・・・と思うと止まっている。

ん??

あ!!

スチュアートさん立ち止まって用を足してますか・・・(笑)


しばらくすると、幻か??グラベル区間?舗装路の舗装がない。

こんなところ往路で通ったっけ??スチュアートさんも同じことを言い出したので少なくとも幻ではないし往路で通ってないのは確かだ。

長い、ひたすら長い。

そう感じるのは疲れているからだろうか??多分5kmぐらいはあったんじゃないだろうか。

走っているうちにテンションが上がってきたのか睡魔がとんでいった。これ幸い、ペースアップ。

しばらくするとスチュアートさんが

「ダメだ!眠い!もうダメ。バス停見つけて寝る!」

そう言い切ると同時に「どこ行くねん」って勢いでコースから外れていった・・・

え?どこに行くねん、アテがあるのか??

付き合うには気温は低い。エマージェンシーシートでもあれば寝られなくもないが、今回はサドルバッグに忍ばせていない。走るしかない。まぁテンション上がりまくりでしばらくは問題なさそうだ。今のうちに次のPCまで一気に辿り着きたい。


どこまでも単調な道。曲がりくねった道から直線的な、曲がるときは交差点で直角に曲がるだけ・・・そうしているうちに頭が眠りを欲している。半分睡眠モードの頭ではもうコントロールできない体はどんどん出力を下げているようだ。スピードメーターの数字は絶望的なほどに遅い。

いろいろなことを考えたり歌を歌ったり・・・でもダメだ。そして寝られそうな場所もない。

幸い直線で車が来てもわかるような道。だけどそもそも車は全然来ないのだが。

ゆっくりとスピードを落とし足を地に着く。すると少し落ち着く。

嗚呼、眠気覚ましにガムを買ってきておけばよかった。あとは口の中が多少荒れてでも飴を舐めるとか。あまり糖質が多いと、ずっと舐めていると口の中がすごく荒れてくる気がする。

ふと気づくと意味不明なことを自分で考えながら走っている。

PCまで残り30km、あと30kmなんだしUターンしても一緒だろう。Uターンしよう・・・いやいや、Uターンしてはいけない。こんなあたりまえのことがわからなくなる。

何が気になるのかわからない。無性に後ろを向きながら走る。オレはレースで逃げているのか?しばらくすると遠くに見える工場のライト。それは理解している。しかしそれが突然左右にシェイクし始めた。もしかして誰か追いついてきたのか??スチュアートさん??

足を止めてみる。やっぱり工場のライトだった・・・

壊れていく、壊れていく、どこまでも底なしに壊れていく・・・それはわかる。

今自分の中に、壊れてムチャクチャな自分、そして壊れかけているが、理由も何もわからないが、とにかく前に進むことが正義だということだけ知っている自分が混在している。

意味もなく道路に面した家の敷地にノーブレーキで突っ込んで行って

「そうだ!ここはPCだ。PCにしよう!はい、ここPC!!」と敷地内に突入しては壊れて切っていない自分が

「理由はええから進もう。な?進もうや」となだめすかして進もうとする。なぜ敷地に突入したのかもわからないが、進もうとする自分に同調する。これは言ってみれば二人が混在している自分のルール。このルールを保っていれば、とりあえずいいのだということだけ理解している。

何を自分で考えているのかもわからなくなる。整理がつかない。そしてフラフラと走っていて歩道の段差で落車。スピードなんて言えるほどのスピードじゃないが、身体が落車前に準備できていないので痛い。ああ、レッグウォーマーの膝が破けて膝から流血。

その瞬間、目が覚めた。

後悔の念、痛み、興奮?

さっきまで自分の前にうろちょろとしていたもう一人の自分は、いま近くにはいないようだ。今のうちに1kmでもPCに近づくべくペダルをこぐ。アウタートップにして、とにかくゆっくりとでもいい、ペダルを漕ぐ。

自転車は漕がなきゃ進まない。逆に言えば漕げば必ず辿り着く。

漕がないことへの言い訳探し、それが疲れた時にみんなが行きつく答え。しかし理屈はない。漕ぐことしか自転車には理屈はないはずだ。それが今まで数えきれないほどペダルを漕いでここまで進んできたことの結論だ。

PCには予定していたよりも大幅に遅れて到着。そりゃそうだ、途中で道沿いの家に突然突入したり立ち止まったりしながら進んでいたのだから。

撮影でカメラがこちらに向くが、表情を作るとかどう喋ろうとか考える気も起らない。

無造作に食べ物をとっているが、取りたいのかどうかもわからない。今したいことは、寝たい。ただひたすら、どこまでも、果てしなく、すべての衣類を脱ぎ捨てて死ぬほど寝てみたい・・・

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雨が降り出して雨装備にするとあっという間に快晴に。

レインジャケットが乾いて奇麗にたたんでポケットへ収納すると、雨・・・

イギリスの天気は読めない


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晴れているときは、前に進まねば!


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往路と同じくハンバー橋の上で撮影📷


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ハンバー川を撮る。

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とてつもなくきれいな夕焼けタイム開始

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陽が傾いたと思ったところからもまだまだ

緯度が高いところならではの夕焼けだ

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いよいよ2回目のナイトランが始まる


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走り続けていると、意外かもしれないがやりたいことのひとつに歯磨きがある。

これだけで体の熱が抜けていくような気がする

2017-09-01 LEL2017 Vol.2 エディンバラへ そして向かい風と睡魔と雨とともに

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[]LEL2017 Vol.2 エディンバラへ そして向かい風と睡魔と雨とともに復路へ  LEL2017 Vol.2 エディンバラへ そして向かい風と睡魔と雨とともに復路へ  - Massa’s Eye のブックマークコメント

バーナードキャッスルには朝4時前に到着。この時間が一番だるくて眠い。

軽く食事をして少しだけ目を閉じる。まだカフェテリアスペースもほとんど誰もいない。5人ほどしかいないので貸し切り、ベンチにだらりと座り5分ほどだけ眠る。というか食べながらどんどん食欲よりも睡魔が支配していくのがわかる。5分の睡眠、これだけでも気持ちは違う。そうしているうちにレストランのメニューが朝食に切り替わる。同じカフェテリアで両方食べられるのは気持ちが新鮮だ。個人的には朝食メニューの方が美味しい。というか好きだ。きっと走ってなかったら美味しいと言えるものではなさそうだ・・・

夜明け前、バーナートキャッスルからブランプトンに向けて出発。ここからは今大会中最も高いところへと昇る峠が待ちかまえている。

標高約600m。これだけを聞くとたいしたことはないだろう。自分もそう思っていた。しかし実際に走ってみると、このイングランド独特の勾配、平均勾配は緩いのにスピードが出ないことにいら立ちというか冷静さを保つのが難しい。

周りの景色だけを見ていると、まるで1,000m超級の峠を越えているかのような感覚。登っているときのギヤが油断していると39T x23T、26Tあたりがメインになってくる。

平均勾配5%なのだから21Tでも軽いのだが・・・これは決して疲労だけではないはずだ。


一定勾配で登っていくことが少なく、フワフワと登っては緩み、きつくなっては緩み、を繰り返す。きついところが場所によるが平均斜度よりきついところは2~3%はきつい。そして時折10%を超えているような区間もある。ヨーロッパ大陸の峠とも違う独特の登り。そういえば以前、走ったことはないがテレビで見たリーズクラッシックというレースで、ヨーロッパ大陸ではスイスイと上っていたクライマーが思いのほか苦戦した走りをしていたのを思い出す。

やや追い風かな?という感触で、登りだけどそれほど悪くないな?という感触で走り出したにもかかわらず、30分も上ると苦戦。入口でパスしたA組の人に頂上付近でパスされる。

低い雲がすごい勢いで流れている。まるで地の果てに向かっているかのような錯覚に陥る。

長い下り。オールストンの町まで直線的に下っていく。オールストンの町の中は石畳があり急勾配なので路面が濡れていると非常に危険だ。事前に危険個所があるのは聞いていたが、ここだったのか・・・はっきり言って覚えてられないし。

町の中がさらに急勾配で少し構えた瞬間に石畳なのに気づく。

ブレーキで一気に減速し、「止まる」というのではなく「回避する」「安全に通過する」スピードにコントロール。あくまでも安全走行が基本だが安全は止まることだけじゃないと思う。

この区間20%ぐらいあるので復路も大変そうだ。


ブランプトンまでは景色はすこぶるいいのだが、疲れているのか景色が目から入ってこない。残り20kmほどで後ろから2人、結構いいペースで後ろにつくとちぎりにかかったかさらにペースアップ。

きっつぅ〜〜〜!!

なんで500km過ぎてロードレースペースやねん・・・

逆に言うと、多くのライダーはファーストランで休憩を多めにとって回復している、と解釈していいのではないだろうか。これはPBPとは違う走り方のスタイルだ。まぁ先頭グループ(あるのか定かではないが)はまた違う走り方かもしれないが。

ブランプトンにはスタートしてから25時間半で到着。ざっくりと3〜5時間予想よりも遅い。それだけ自分の考えが甘かったとも言えるし、想像していたよりもLELのコースプロフィールは厳しいともいえる。一つはっきりと言えるのはPBPよりも一筋縄でいかない。

往路で途中一緒に走ったオランダ人がぽつりと言った言葉

PBPはプロのレースに例えるならプロコンチのレース、しかしLELはツールドフランス。その難しさは桁が違う」

と何気なくはなった言葉が、エディンバラに進むにつれてどんどんと深みのある、重さを増して頭を支配している。

最初は冗談か、大袈裟な例えだろうと思っていたが、進むにつれ的を射ているなと思いだした。

高速道路わきを進み、単調でつまらないうちにモファットへ。気が付いたらいつの間にかスコットランドに入っていた。

イギリスと一言でいうが正式名称は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」

イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの連合国家で、最近独立をめぐっての国民投票で記憶に新しい「あの」スコットランドを走っているのである。

ここからはひとつ峠が待ち構えている。これを越えるとエディンバラも感じることができるのだろうか。

ふと冷静になると、やはりここはスコットランドなのだろう、今までの景色と少し違って見える。

アップダウンでエディンバラはあの尾根線を越えたところあたりか?などと考えているうちに雨・・・ここまで何回雨に降られて、何回レインケープを着て、何回脱いだのだろうか・・・

16時22分、スタートしてから34時間弱ようやく折り返し地点だ。


あれ?まだ矢野くんは到着していないのか。ひとまずは食事。ここからはPCは短いスパンであるのだが、日が暮れるまでの間はなるべく走って遠くまで行きたい。そのためにしっかりと食事するように。しかし時間は短縮してスタートしたい。そんな複雑な心境で食事していると矢野くん到着。途中渋滞に巻き込まれたようだ。

本当ならエディンバラ城はじめ少し町を走りたい気持ちもあるが、自分のスタイルとしては主催者の定めたルートがある以上はそれを外れるということは極力したくない。

エディンバラで仮眠してからスタートしたいという当初の目論見だったが予定以上に到着が遅れた。そしてまだ睡魔が体を包んでいない。これはこの2つ先のPCであるエスクデュールミュアまで一気に進んでゆっくりと休みたい。

ほとんど往路復路と同じだが、このエディンバラ〜ブランプトンの区間は別ルート。そのためエスクデュールミュアの仮眠所の毛布は誰も使っていない可能性が高いから香ばしくないはずだ(笑)

往路の人たちが散々寝ていたマットと毛布は、可能なら避けたいところだ。

折り返してオープンな場所ではまともに向かい風を食らう。

今までは味方だった風は、エディンバラからは牙をむいてくる「敵」となる。

5%ほどの峠でも強烈な向かい風で時速10キロも程遠い。ここは我慢。遅いからと言って考えても停まっても仕方ない。ペダルを漕いで進むしかない。

谷間を風が吹き抜ける。とにかく漕ぐ。ひたすら漕ぐ。漕ぐ以外の動作も考えもいらない。


ブランプトンに到着すると矢野君がいた。

どうやら先ほどの、エスクデュールミュアではサポートは禁止されているとのことだった。そのためブランプトンまで先回りするということの伝言もできずそのまま通過したらしい。

ここまで睡眠は約10分。実際カフェテリアで足を投げ出して放心状態が長く、寝たとは言えないが脳波的には睡眠だろ!って状態がある。走っている間ですら怪しい時間が増えている。ここブランプトンで朝4時まで寝ることにする。

走り出すときには一番寒い時間帯。そして疲れもピーク状態なので暖かい状態をキープしないと危険だ。ここで初めて「冬用ですか!」なウェアに着替える。

暖かいシャワーで体をリフレッシュ。本当なら一糸まとわぬ状態でリラックスしたいところだが、膝や筋肉に刺激がないと痛みが出そうな不安があり、タイツとメリノウールを着用して係の人にマットへと案内される。

やはりさっきのPCで寝たかった。先客たちの作り出した香ばしさが、間違っても毛布に顔を当てて寝ようとは思えない。ちょっときついなぁ・・・と思っているうちに爆睡、4時の起床にはなんと今回はボランティアをされている古久保さんに起こしていただくというサプライズだった。

そこから朝食、そして走り出す。ブランプトンには往路と復路で本当に長く滞在した。今回のイギリスへ入ってからロンドン滞在の次となる滞在時間だ。

往路で苦しんだ峠へと向かう。真っ暗な中では自分は何もできない、生かされている、まるでお釈迦様の手のひらで走り回っているような定めのようなものすら感じる。

峠を前に夜が明けだす。この瞬間は世界中どこでも素晴らしい。その中でも今回のLELは、まるで地の果てのような場所で見ているような錯覚というか感覚が常についてきている。かなり北の方の場所だから余計にそう感じるのだろうか。

そんな贅沢でもあり、お釈迦様の手のひらで、いつでも自分は握りつぶされてしまう定めの中でしか生きていないという世界から、太陽が上がり始めるとそんな感覚からも解放されていくような気持になっていく。

相変わらず雲は低い。日本に住んでいるとまずこのシチュエーションがほとんどない。だからこそまるで地の果てにいるような錯覚になるのだが。低い雲との狭間を走り抜ける。自分のちっぽけさと同時に、しかしそのちっぽけな自分でも地球で何かを全力でやっているということを実感する。これはロードレースをしていた頃の自分にはなかった感覚だ。そもそもロードレースでは命の危機をそうそう感じるようなことはなかった。例え落車をしても・・・


峠ではまだ往路を進む人たちがいっぱいいる。ざっくりと400?近く後ろを走っている人たち。

う〜ん・・・オレだったら精神的にきついなぁ。そんな時うつむき気味に上ってくるサイクリスト、坂東さんだ。

今回坂東さんにはエントリーの件からいろいろと相談に乗ってもらいお世話になった。イギリス入国してから一度もお会いしていなかったが、何となく峠を上っているときに「なんだか坂東さんに会いそうだな」そんな気持ちがすごく強くて、それもあって下りはあまりがむしゃらにならず、すれ違う人を励ます意味で手を挙げて挨拶したり、ベルを鳴らしたり・・・坂東さんの無事がわかったら急にホッとしたのか睡魔が・・・

そんな時に後ろから一人に抜かれる。どうもイタリア人。一気に突き抜けていく感じじゃないので少し感覚を開けてついていくと前でミスコース。結局一緒に走ることになる。

PCに到着するとまずは食事。そして矢野くんに預けているスマホを受け取ってSNSなどに投稿。このあたりはPBPと違う時間の過ごし方だ。

バーナードキャッスルに1日午前9時05分到着、ここまで50時間弱。もう速いのか遅いのかも分からない。わかっているのは体の奥から疲れている、ということだ。

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バーナードキャッスルをスタートすると空は明るくなってきた。

朝が来るのは気持ちがいい。


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ブロンプトンへ向けて峠開始

いやらしい勾配で登り続ける


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とにかく低いところを雲が通過していく。

天気も晴れたり降ったりを繰り返す。

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あちこちにいろいろキレイな景色があったとしても、それを拾えるのか拾えないのかはその時の疲労度にもよるようだ。


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スコットランドで雨が降らないなんてことはない。

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まるでご褒美のような虹が現れる。

虹の一番下の部分に行けば何かあるのかな?

そんなことを考えながら、無理だとわかっていても一番下を目指してしまいたくなるような、きれいな虹だった。


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エクスデュールミュアでは前後を走るメンバーは早々に走り去るが、ここで食事して本来はその後に仮眠予定だった。

矢野君遅いなぁ。もしかして寝落ちして事故でも??

最初は本気でそんなことも考えたが、まずは寝よう。食べ終わると足を投げ出して5分ほど仮眠。


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ブランプトンを夜明け前にスタート。必然的に走っている最中に朝日を浴びる。

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太陽が顔を出す

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ブランプトン〜バーナードキャッスルは防寒対策をおこなった。

起毛のタイツ、綿の入ったベスト。完全に冬装備だ。


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今回数か所キャトルグリッドを通過。オランダでも何回か通ったことはあるけれど、イギリスの場合は下っている最中にもありちょっとエキサイティングだった。


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バーナード城が見えてきた。

ようやく休める・・・

2017-08-10 LEL2017 Vol.1 いよいよスタート 15kmすぎ、いきなり最大のドラマ

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7月30日夜半。

一体いま何時だろう、バケツをひっくり返したような土砂降りの音に目が覚めた。

まさかこの雨の中、1,400?先を目指して走るのか?それは酷すぎる。スタートまでにまだまだ時間があって欲しい、スタートのときにはやんでいてほしい・・・

そう思い時計に目をやると3時。少しほっとした。7時半のスタートまでにはまだ時間がある。大丈夫だろうきっと・・・もう少しだけ目を閉じて、あと1時間だけ・・・

このいきなりの試練のような土砂降りこそが今回のLELの物語の幕開けだったのかもしれない・・・

4時半には起床。もう雨は上がっていて少しホッとした。

いつも通りの食事。パン、ヨーグルト、グラノーラ、オレンジジュースそしてコーヒー。

1,400?だからと言っていつも以上に食べるわけじゃない。いつも通り。それはまるでルーティンの作業。奇をてらったことをしても、結局奇を超えることはない。見た目以上に保守的ともいわれるが、見た目は一体どんだけ奇をてらっている人だと思われているのか(笑)

6時半には会場到着。事前に受付をしているからきっとスタートする以外は何もないだろう、と。

最初に出場したPBPのときはスタートに来た早いもの順でスタートとのことで、スタート受付地点は第1ウェーブでスタートしたい参加者で右往左往していた。しかし2回目は事前にインターネットで希望スタートウェーブを選択できたので、極端な話スタート1時間前でも間に合う状態。今回もそれに近いと判断(主催者から他のインフォメーションはなかったので)

バイクを組み立てて準備をしていく。5時半から15分おきにスタートしており、最初から順にA,B,C・・・と続き私はHウェーブ。最初の方はきっと小雨か路面のウェット度合いが私より激しかったことだろう。そう考えるとスタートがA組もしくは前じゃなかったことも良かったのかな、と。

各ウェーブ20〜30人程ごと、PBPと比べるとそのローカル感が激しすぎ、ちょっと頭がくらくらとめまいすらするぐらいの違い。この辺りは同じブルべでありながら、レースが発祥のPBPに対してあくまでもツーリングが発祥のLELの違いなのではないかと推測する。


とは言いつつも私のエントリーした100時間カテゴリーは116時間カテゴリーに比べれると、「ファーストラン」が基本であるように思える。

一緒にスタートするメンバーはかなり軽装で、遠くに速やかに遠くへ移動するためには「パックライト・トラベルファー」が基本。ドロップバッグや事前登録でチェックポイントでのサポートも認められているので有効に使わない手はない。

いよいよ7時半。スタートだ。なんて地味なスタート。まぁそれはそれでLELらしくていいのかもしれない。最初の交差点、右折時に直進の車を確認。PBPだったらこの辺りはオートバイの先導で最低でも街を抜けるまではフリーだった。

適度な勾配の丘が続く。思っているよりもずっと難しそうだ。39Tのインナーでスプロケットで調整しながらグループの後ろで様子を見る。

郊外に出てようやくグループも15人ほどでペースが安定してくる。で・・・

もしかしたらここが1,441kmに渡る壮大な旅の、16km地点が最大のドラマだったのかもしれない。

今まで8年間ブルべをしてきて、初めてまともなパンク。

今まではチューブラータイヤで摩耗しきっていて張替えるのに「パンクしてくれたほうが都合がいいや」と使って本当にパンクしたとか、SR600で標高1500mで嵐になり無理やり下ったらスローパンクしたとか・・・仕方ない、いつかはそんな日も来るだろ、と立ち止まってチューブ交換使用して一瞬自分の目を疑った。

今回手組みホイールで来る段取りをしていて急きょ完組ホイールに代えたので、サドルバッグの中のチューブをバルブ長が短いものに変更したままだったことを忘れていた。さて、どうしましょ・・・あるもの、ある知恵で乗り切らなければならない。

しかしどうやっても空気が入っていってくれない。近くの民家に駆け込み空気入れがないか尋ねてみる。これで事なきを得て一件落着水戸黄門よろしくというシナリオのはずだったが、やっぱり印籠も持たないブルべカードではそうは簡単に進まないようだ。

持ってきたのはサッカーボールの空気入れ。その先っちょの針をどないしろというのだ。

仕方なく2気圧ほどの空気圧で先に進む。

1kmほど下ったところは晴れ間の注ぐ温かい家の壁。閃いた!急ブレーキでストップ。

と言っても別に壁で何かとかじゃない。単純に陽に当たったら気持ちよく何かアイデアとか出るんじゃないか?というだけだが・・・

ここで再度空気入れ。

ミニポンプの場合、絶対的に圧力をかけにくい。しかし自転車を壁に当てるなどするだけでも圧力が増す。空気を入れるたびに隙間から漏れていた空気を指で固定して漏れないようにして、あとは壁を利用しつつ1秒でも早く気合いで入れる。漏れるより速いスピードで入れる。もうそれはファーストフードの厨房並みの1秒との戦いだ。

これだけ焦っても急いでも気合いを入れても汗は出ないが冷や汗が出る。下手するとここでリタイヤだ。それは避けたい。まずはあと85?ほど先のPCに行けば矢野くんがいる。そこで空気入れを使えばいい。そこまで行ければいいのだ。

生命力を50年分ぐらい注ぎ込んでなんとか走れるぐらいの空気圧に。

既に2つほどのグループがパスしている。長丁場を考えると後ろを待つか、もしくは単独でも前に進むか・・・

結局前を単独で追いかける。

エネルギーすべてを注がないように注意。あくまでも独走が楽にできるスピード。常に虎視眈々と、したたかに。独走ではなくポイズンライド毒走で。

追い風だし基本的な体力の消耗は少ない。大事なのは「700Km先」までは体力温存でそこからスロットルオープンなのだから。

30分ほどのロスタイムがあったがアベレージ25km/hほどでPC1のセントアイヴスへ到着。ここでは食事を摂らず補給食だけで前を急ぐ。オフィシャルでの滞在時間は1分。実際はトイレに行って空気を入れてしていたので約10分ほどか。空気もちゃんと入ったことで走りも軽くなった。

自分と一緒だったH組や、前のスタートで淡々とマイペースの選手たちをパス。H組の何人かはPCで食事をしている。何人かの選手はついては来るが先頭交代していこうという気配ではないがあまり気にしないようにする。そもそもこちらも先頭交代を要求しないといけないスピードでは走っていない。単独で十分余裕なスピードが基本だ。なるべくハンドルの下を持つ。上ハンドルと下ハンドルでは約4%ほどスピードが違うそうだ。そうだとすればタイムが4%短縮したと考えると50時間走行した時点でハンドルの下を持つだけで2時間速く走れる計算だ。なんだかすごいじゃないか!下を持たない手はない。

PC2もほぼタッチ&ゴー。そしてPC3ラウスで食事休憩。実はLELのPCは食事が充実しているし、エントリーフィーに食事代は含まれている。これは非常に有難いことだ。PBPもPCにセルフサービスのレストランは併設されていたが有料だ。安全に気兼ねなくを考えるとLELのシステムの方が素晴らしい。ここまで単独。そして周りでもゴール時間にこだわってタイムカットしていこうという選手がいないこと考えると、どうやらみんなと同じように座って食事をした方がよさそうだ。長丁場、食事は重要だ。


200Km進んだ時にふと思った。

「今ようやくPBPのスタート地点か・・・」

ちょっと悲しい気持ちがこみあげてきた。タイムも集団で矢のように突き抜けていったPBPと違い、単独で遥か彼方へと進んでいる。

まずは頭の中を整理して、メンタルから崩れていかないようにしなければ。そう思いながらもあまりにも遠すぎて、想像が追い付かないのは事実だ。

吊り橋の長さとして完成当時世界一でもあったハンバー橋で写真を撮影していると、後方からH組でペースを作っていたメンバーが合流。先のPCで食事をさっさと済ませて出たので逆転していたようだ。

軽装の女性がいるなぁ〜と思っていたが、登りだと男性よりも速い。一緒に走っているグループは10人ほどいたが、彼女の牽きで2人ほど脱落した。

そしてしばらくすると単独でレースでもしているかのようなペースで抜かれ、みんな食らいつく。そして3人になり・・・まだ残り1,000?はあるというのに・・・

サースクに到着。ここから「まだ」1,000Kmある。はっきり言うと、うんざりだ。

PC4ポックリントン。ナイトランに向けてウェアの装備を入れ替える。

ビブショーツは何度か雨を浴びたがそれほど湿気を含んでおらず、シャモアクリームを足してやって折り返すあたりまではそのまま行くことにする。

スタートからブルべライトウェイトジャージとメリノメッシュインナーで走ってきたが、ここでブルべジャージとメリノウールインナーにチェンジ。想定気温はここまでは20℃弱と言ったところだったが、ここからは13℃以下。雨だと10℃以下だろう。念のため長指グローブも持参する。

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序盤は何人かのパックで走行。


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この時期のイギリス、というかロンドンは過ごしやすい。日中だとラファ・ブルべライトウェイトジャージにめりのメッシュインナーでちょうどいい。


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一緒に走っていたオランダ人が言った

PBPはプロのレースに例えるならプロコンチのレース、しかしLELはツールドフランス。その難しさは桁が違う」

この時は深く考えなかったが、エディンバラに近づくにつれその言葉は言霊となって常に付きまとった。


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ハンバー橋を渡る

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PCでの食事。だいたいこんな感じ。

前半はご飯もの、後半はパスタを摂取することが多く、終盤はコーンフレーク

身体の疲労が食欲につながり、身体は如何に正直かという人体実験のようだった。


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いよいよナイトランへ

2017-08-03 LEL2017、無事にゴールしました

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[]無事にゴールしました 無事にゴールしました - Massa’s Eye のブックマークコメント


まずは

LEL2017、81時間22分で無事?にゴールしました。

無事かと言うと、正確には落車しました。左ひざを擦過傷。

寝落ち気味?後ろに光る工場のライトが後続に見えて(これは幻覚か・・・)何度か振りむいているうちに縁石に引っかかり。嗚呼、左ブレーキレバーに傷が。

まぁ傷でよかった。一歩間違っていれば走れなくなっていた可能性も秘めていたし。まずはしっかりと寝るということも、このLELでは重要だったと思う。ということを、3回の睡眠、トータル1時間半弱しか寝ていないオレが言うのは変ですが・・・


左足首の筋が炎症を起こしていて痛くて途中からペダリングも集中できず。しかしその分よけいに基本的な(と言っても自分が基本だと思っているだけだけど)ペダリングを意識しました。

柔らかく。なめらかに。

出力解析したら、極端な話どこにも出力がはいっていないような。ただ回しているだけのようなペダリング。前半追い風で後半向かい風になるのはある程度予測していたので温存気味に。

正直爆風で泣きそうなシチュエーションもいっぱいあったけれど、もうそんな過酷な生命線を脅かすようなライドも1回2回じゃなく、もう何回も乗り越えてきたし、今回が今までの中でダントツに危険だ!きつい!とは感じませんでした。そのぐらいはまだ許容範囲って自分のキャパシティの高さに助けられました。もし1回めのPBP以前の自分だったら自転車をぜったいどこかに放棄していたと思うね。


レポートを書くにはちょっと疲れすぎなのでまずはサクッと。

今回もラファジャパンの矢野くんのサポート。そして直前に訪れたラファ本社でも多くのスタッフに激励され、撮影チームも途中同行。矢野くんからSNSを見せてもらい、たくさんの人から激励応援され本当に感謝しています。それが自分にとって追い風になりました。


一人で淡々と走るこのようなロングライドも、実はそんな直接的じゃなくても、そして見えないところで多くの人に支えてもらっている。毎回そう感じます。

普段は深く考えないような出来事も、これだけ考えるには十分?な時間を要して走っていると、まるでサスペンスドラマのトリックを見破るがごとくひらめきに似たような感覚のものが見えることがあったり。


まずはゆっくりと休んで・・・今月はゆっくりモードかな。

ちょっとずつレポート書き綴りたいと思います。


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2017-07-29 そしていよいよ明日スタート

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[]そしていよいよ明日スタート そしていよいよ明日スタート - Massa’s Eye のブックマークコメント

いよいよスタートまであと一日。24時間を切りました。

今日は受付へ。

受付地点までは練習がてら矢野くんと自走で。片道約18kmでした。ええ距離ですね。

スタートゴール地点のラフトンの町に着くとLEL歓迎ムードが!!・・・ない。

どこだ??はっきり言って事前情報なしで行ったらわからないです。

いいのか?PBPに匹敵するLELのスタート地点がこんなことで。

PBPのような受付を想像していたら、あまりの緩さと言うか規模の小ささに驚きました。

これが1,400kmも走る、1,000人以上が出場する大会なのか?と。

それでも要所を抑えたスピーディな受付は、日本のサイクリングイベントでも見習うべきところはあった気がします。


朝10時ごろ前に会場に到着。受付開始は朝10時からだったので会場オープンするまで並びましたが、比較的スムーズに済ませることができました。

国内ブルべでも仲よくしている岩佐くんといろいろと喋り・・・気が付くとかれこれ1,200kmブルべに挑戦6回め。彼とはすべて被っているという不思議な縁。

受付終了後は昼食へ。

こうやってゆったりと何も考えずに次に食べるのはいつだろう。

スタートまであと12時間です。

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受付まで20km弱。矢野くんと自走で受付へ。


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並んでいるけれどPBPと比べたら列も短く、なにか殺伐としていない。


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日本人参加者で昼食へ

みんな無事にゴールして、食事でもしたいね

2017-07-28 イギリス3日め ロンドンへ

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[] イギリス3日め ロンドン  イギリス3日め ロンドンへ - Massa’s Eye のブックマークコメント

ロンドン3日目。朝のうちにお世話になっているラファの本社へ。

すごいです。入り口見たら「15人〜20人の会社かな」という、ロンドン郊外のちょっと雑居倉庫群の裏口みたいな感じでしたが・・・007ネタを引きずりますが・・・

「ここMI6やん!!」

って思うほど、中は別世界。

グラウンドフロアーはカフェスペースと駐輪場。駐輪場もざっくりと50台以上が停められており、最初意味が分からなかったのですが階段を上がると、50人以上がパーテーションされた部署ごとに配置され、正直面喰いました。約200人が本社で仕事をしているそうです。


写真を見せてあげたいのですが、MI6並みに秘密のプロダクツやミーティングが行われており、無事に帰れるかも怪しい状況下で写真なんてとても・・・

週末にイギリスで行われるプロレースの取材に来ていた辻啓くんも同行したけれど、同じく

「写真はヤバそうですね・・・」と、もしミーティングの声などが響かなったらお互いに唾を飲む音が反響して命は落としていたと思われます。

無事に脱出できたのが奇跡です。

世界中のいろいろな情報がモニターに映し出され、それこそ宣伝やプロモーションの優れたラファの飽くなき追及心に改めて驚きました。

こんな俺のような存在でも、何人かの方は「知っているよ!」という言葉をいただき驚きました。さすがMI6、じゃなくてラファ!ただただ驚きでしたね。


スタートまではロンドン中心部よりやや東側、ストラトフォード付近に滞在しています。

まぁ一言で言えば「ちょっと治安的には・・・な下町」でしょうか。夕方の飲茶スタイルレストランやスーパーマーケット、ロンドンっ子の普段の生活を垣間見ました。

今回のお宿はエアーBNBで抑えたとのことで、普通のアパート。荷物は普通に置いてあり・・・要するに主のいない民泊??

ちょっと不思議な感覚です。なんでも世界中でいまエアーBNBが流行っているらしい。ホント最近時代についていけない・・・(-_-;)


夕方には矢野くんとライド。リージェンツパーク周回へ。

もう途中はロンドン市内の渋滞を抜けていく、スリリングなライド。

戻ってからSTRAVAのログをダウンロードしてビックリ。リージェンツパーク周回ランキングは

16150位!

うわっ!過去最低ですやんこんなランキング。どんだけみんなここで周回してるねん!

朝のうちは車の走行を規制しているので、集団でローテーションしているらしく、KOMの時速は

53km/h!!

いやいや、ここで周回してないでツールにいけよツールに。

ちなみに他の公園周回であまりにヒートアップしたタイムアタックに、元タイムトライアル世界チャンピオンのデービッドミラーが本気のタイムアタックで大幅更新。しかしログデータがスピード違反していて、後日罰金を食らったらしい。が、その記録は永遠にトーシローでは破られない永遠のものとなったらしい。


飲茶スタイルって言いつつも、しかし限りなく相席よろしくな居酒屋スタイルの中華レストランで日本の地ビールをのどに流しつつ餃子や焼売などを食べて、そして日は暮れる。

少しずつスタート時間は迫ってきました。

あと2晩でスタートです。

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関西でまずお目にかかれない関西人、辻啓も

「ホンマ関西で会うことないですよぇ〜」オレもそう思うwww

ラファ本社の写真、オレ的にはこれが精いっぱい。

気が付くと背後にはMI6!みたいじゃない笑顔のラファ社員が歩いている。

きっと監視されているに違いない(-_-;)


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前の車の左側に

「Cyclists stay back」

これって「チャリ野郎!後ろについて来い!」

って、ぺーサーしたるで!ってことですかね??