謎解きはディナーのあとで
- 作者: 東川篤哉
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/09/02
- メディア: 単行本
- 購入: 25人 クリック: 2,286回
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失礼ながらお嬢様、この程度の真相がお分かりになられないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか。
「失礼ながらお嬢様、やはりしばらくの間、引っ込んでいてくださいますか」
おおよそ執事の言動とは思えない毒舌ぶり、恭しく敬語を
使いながらも、この執事には主人を敬う気持ちなんてみじ
んもないのです(笑)
才色兼備の女性刑事である主人公宝生麗子は泣く子も黙る
大財閥のひとり娘。そんなセレブな麗子、身分を隠して刑
事をやっているのです。
ここまではよくある設定ですがこの本の美味しい部分は
やっぱり麗子と執事の掛け合いにありますね。行き詰まり
になってしまいそうな難事件に頭を悩ます麗子は捜査中の
案件をこう、ポロッとこの執事に話しちゃうんですね。と
いうかこの時点で守秘義務的にどうよ?とは思いますけ
ど・・・^^;
執事なんて麗子にとっては、執事影山のような口の固そう
な男は話相手として申し分ないわけです、それだけが理由
なので、麗子としては柱に話しかけるがごとく、返事なん
て期待してないわけです。
でまぁ、予想に反し(反するどころか露骨な暴言付きで)
執事はいとも簡単にその「難事件」を解いてしまう。
それも麗子から伝えられた二次情報だけで。
そんな芸当をやってのけドヤ顔どころが紳士に礼儀正しく
「お許しください、お嬢様。わたくし
チャンチャラおかしくて横っ腹が痛うございます」
ときたもんだ。ご主人様の威厳なんてあったものじゃない
ですよ!笑
とまあ、推理以外のところにスパイスが効いている分堅苦
しくなく笑いをそそられる作品になっています。
頭が凝り固まるような、そんなマイナスイメージを払拭し
てくれるという意味で本作は推理小説の入門書と言えるの
ではないでしょうか。
一つ気になった点としては、物語の構成上全ての推理は
"宝生家の屋敷内にいる"影山脳内の推測によってなされて
います。推理と現場との一時的接触が皆無なのです。この
設定によってたしかに執事影山の万能性は強調されます
が、僕としてはやはり「事件は現場で起こっているん
だ!」って叫びたいわけですね〜笑
僕はこの本は中村佑介さん装画という事で衝動買いしてし
まいまして、いわゆるジャケ買いなんですけど、中身を読
まないで買った割には楽しめた作品なんじゃないかな、と
思います。
- 作者: 東川篤哉
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