『動物農場』ジョージ・オーウェル(著)高畠文夫(訳)★★★★☆

動物農場 (角川文庫)

動物農場 (角川文庫)

実際に読んだ本の表紙デザインはこれとは異なります


上の子が借りてきて読んでいた。どうも卒業した高校の先生の推薦図書の一冊のようだ。読んでみてなかなかよかったようで、やたらと説明をしたがり、おれに「読む?読む?」と読んでほしそうにするので、読んでみることにした。
うーん、なるほどねえ。たしかに、青少年諸君にとっては新鮮でおもしろいかもな。おれにとっては、まあ、おもしろくないことはないけど、「はい、わかってます」って感じで… 新鮮さはない。
当然、ソ連を題材にして書かれているんだろうけど、今の目で見ると、それはもう北朝鮮そのもの。いまの北朝鮮を見て書いたのか?それとも北朝鮮がこの本を読んでそれをそのまま演じているのか?っていうくらい。
そういう独裁的全体主義的権力構造は、いつでもどこでも同じような道をたどるのだろう。それが、開高健の「24金の率直―オーウェル瞥見―」という解説のようなものによれば

コミュニズムであれ、ナチズムであれ、民族主義であれ、さては宗教革命であれ、いっさいの革命、または理想、または信仰のたどる命運の、その本質(203ページ)

であり、
訳者のやたらと長い解説によれば、

なにも特定の時期の特定の国の政権のそれではなくて、右であれ左であれ「権力機構」というものが具体的に働く場合に、必然的にとらざるをえない普遍的なパターン〜(254ぺーじ)

であり

〜「権力」というものの普遍的な本質とその必然的な法則(255ページ)

なのだから。