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2008-08-02(Saturday) iSummit2008始末記

iSummit2008(表バージョン)の話

 iSummit2008に参加してきました。「自由文化と著作権政策」ということで、ブリッジング法制である二階建ての話をしてきたのだけど、そんなことは今日はどうでもよい。ものすごく印象に残っているのは、田村先生の「フェアユースとは、著作権制度の調整を、(政治的)ロビイイングのターゲットとなりやすい行政・政治から、それに比較的耐性がある司法へと移す戦略である」というメッセージ

 2001年からコンテンツ産業政策の現場を見てきた者として、確かに政治的ロビイイングの弊害は増しているという感覚を持っていたので、極めて得心がいくご説明でした。なるほど。

 もちろん、MYUTA事件判決のような、法文の表面だけ撫でて答えを出すような*1裁判官もいるわけで、司法の場に移せば問題が解決するわけではない。また、これは二階建て論の弊害ともいえようが、ロビイイングによって著作権法外に爆弾を仕込むこともできる*2

 しかし、フェアユースを導入すべきではないかという意見には、以前にも増して傾いたところである。

*1:その一方で、「ゲーム映画」だけど「ゲームには頒布権ない」という、頒布権の存在理由に踏み込んで判決を出すような裁判官もいる。まぁ、世の中そんなもんだ。

*2法律の効果は互いに影響しあって一つの仕組みになっているので、けして著作権法にだけフォーカスしてはいけないのだよね。

T.IRIET.IRIE 2008/08/04 11:56 自分のBlogではまだ著作権法の解読を続けており(中断しており)ますので、こちらにコメントさせていただきたく存じます。

フェアユースに関してですが、「基本の法体系が違う」という前提は置くとしても、これは導入してから非常に苦労が絶えないものになるだろうと思われます。
それは他ならぬ提唱者の中山先生がおっしゃっているのですね。
「例えば、アメリカのフェアユースで一番有名な事件はソニーのベータマックス事件ですけれども、あれはソニーが10年かかって勝ち取っているわけです。一審では勝って、二審では負けて、三審では5対4で辛うじて勝っているという、極めて危ないところで勝った事件です。そのためにソニーは10年という歳月と莫大な費用をつぎ込んでいる。こういう決意が企業にあれば、恐らくフェアユースはうまくいくだろうと思います。
あるいはグーグルの検索エンジンビジネスも、フェアユースらしいんですけれども、実は訴訟がいくつも起きています。それに対してグーグルは法廷で勝ち取るという決意のもとに莫大な投資をしています。日本の企業がそういうつもりになれば、恐らくフェアユースはうまくいくだろう。つまり、日本人の訴訟観といいますか、訴訟をどう見るかという、そこにかかってくると思います。単に法的安定性があるとかないとか、あるいは柔軟性があるとかないとか、それだけの問題ではなく非常に大きな問題を含んでいると思います。」(デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会(第1回)議事録より)

著作物の自由な利用を促進するという事だけのために莫大な費用と長年の時間という覚悟を決めなければならないのでしょうか?
また、早急な対応が求められる現在でこのように「定着化」に時間がかかる概念を導入するのが現実的でしょうか?

また、中山先生は日本人の訴訟感というところまで言及されていますが、国民性が変わるという事を期待するようでは「百年河清を待つ」と言わざるをえないのではないでしょうか?

masaysmasays 2008/08/13 06:20  おっしゃること、わかります。

 確かに、フェアユースに関して、僕は田村先生の意見に賛成ではあります。
 ただ、こないだも文化庁の担当官には言ったのですが、立法解決ができる部分はやればいいと。フェアユースと立法解決は両立できるのですから。
 フェアユースが立法解決を否定するとか、或いはフェアユースがあるから立法解決は必要ないというのは間違った理解だと思います。もしそうであるなら、フェアユースの弊害はまた大きいと言わざるを得ないでしょう。
 でも、僕がその担当官にあんなことをはっきり言えるのは、彼が真面目で、やる気があるからです。そうでない人もいっぱいいる。そうでない人は、フェアユースがあろうがなかろうが、立法解決の必要性にみて見ぬふりをします。敢えて言えば、フェアユースはそういう場合に対するラストリゾート的な役割を担う。
 そういう風に僕は理解しています。
 フェアユースに対する過度な期待は、多分、禁物なのでしょう。

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