今週の読書
- 作者: 小川三夫
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 1993/12
- メディア: 単行本
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法隆寺宮大工、西岡棟梁の弟子、小川三夫氏の聞き書きである。
高校の修学旅行で法隆寺の五重塔を見て、こんな塔を造ってみたいと思い、西岡棟梁に弟子入りしたという。
職人の教育、徒弟制度の重要さを、今度は弟子入りした立場と弟子をとった立場の両方から伝える。
個性なんてものがなければ、誰にでも同じ方法で教えてやれるけど、人は木と同じでそれぞれ癖があるんだ。それを無視したら駄目になってしまう。癖を生かすように、それを伸ばしてやるのが教える側の務めや。棟梁はこう言っている。「人間は生まれたままの個性を持っている。本当の教育というのは、その個性を伸ばしてやることだ」。(本書抜粋)
いずれやっているうちに、大きな木を前にしても平常心でいられるようになる。大きな木は自然に人を育てるからな。大きなものを扱っていると、人間も大きくなるんだな。不思議なもんだ。(本書抜粋)
棟梁から新聞もテレビも読書もするな。ただ、ただ仕事だけしろといわれ、手が覚えるほどまでに到達していく職人の姿。
考え方も、身についているから本物。
法隆寺、薬師寺、法輪寺−その美しい姿を見に奈良へ行こうと思った。
即物的だなー!
【追記】09年5月
この本がきっかけで、久しぶりに斑鳩の里を訪ねました。
春爛漫の法隆寺で飛鳥建築を感心を持って眺めた次第です。