|
|
||
メールマガジンファウスト第24号に、凸版紺野氏がファウストVol.3でのフォントディレクションについて、太田編集長と対談している。
気になったのはもちろん、西尾維新「零崎軋識の人間ノック」に使用された、モリサワの秀英3号について。
紺野:よろしくお願いします。まず西尾維新さんの『零崎軋識の人間ノック』はいかがでしたか? 太田さんからメールで来たリクエストは、「西尾さんらしい、スピード感あふれる小説です。バットのうなりがヒュンヒュン聞こえてくるような版面を希望いたします……」というものでした。ここから、この版面は男性的、暴力的なイメージでいこうと思いました。使用した秀英という書体は、本当に男らしい書体なんです。最近作られる書体のトレンドはボディ(升目)のなかにきれいに納まったスマートな書体なんですけれど、この秀英という書体はすんなりとボディに納まることがなく、いろんな方向に暴れだしているユニークな書体です。
編集長:まさに釘の生えたバットみたいな書体ですね。インクのブラックもどこか暴力的に乗っている感じで、これはヒットですね。このままノベルスにしていい感じ。
確かに秀英三号は暴れている。でも「釘の生えたバット」という形容は、ちょっと複雑な気持ちになる。
秀英三号については、朗文堂が「秀英3号明朝体かなシリーズ」という本を出版している。これはモリサワ秀英三号の各ウェイトを、本蘭明朝、石井明朝、本明朝、モトヤ明朝、岩田明朝、秀英初号など様々な書体の漢字と組み合わせた、秀英三号の見本帳とでも言うべき本。ここで片塩二朗氏が「どことなく小意気ななかにも、明治の気骨を感じるものがある。」と秀英三号を表している。
どちらかというと片塩氏に親近感をおぼえる。わたしにとって秀英三号は、とてもはいからさん。ここ id:mashco:20040626 でも書いているように「はいからさん」のイメージ。明るくておしゃれさんで気丈で元気でこっそりと夜に泣く子。三号は秀英体のなかではいちばん女子っぽいと思っていた。庄司薫の薫くんシリーズに出てくる由美ちゃんも近い。幸田文「きもの」のるつ子ちゃんとか。それぞれの文字を眺めると、中心なんてないように自由に動いているのに、いざ縦に組むと、まっすぐすうっと文章がはしる。男前な女子。
秀英初号も現代のタイプフェイスにはない奔放な筆捌きだが、そこには息を殺し相手の出方をみる、ピーンとした緊張感がある。三号は緊張感の中で、好奇心旺盛にきょろきょろしていそう。
西尾維新のキャラクターの饒舌に秀英三号は結構合っていると思ったが、なにより竹のイラストにマッチする。あの色使いと、流れるような緩急のついた線のはこびに。
大日本スクリーンのサイトで、連載「タイポグラフィの世界 書体編」が開始された。著者は小宮山博史氏。
http://www.screen.co.jp/ga_product/sento/pro/index.html
上海美華書館の広告や崎陽新塾活字製造所の活字見本帳など、貴重な図版がたくさん!(欲をいえばもっと大きいほうが……)用語解説も充実。PDF版も容易されており、本になりそうなくらいの充実。しかしPDFにも図版がほしかった。
ちなみに「千都フォントライブラリー 書体総覧」先着300名プレゼント http://www.screen.co.jp/ga_product/sento/press/soran1.html は締め切り。気がつかなかったー。
新文化2004.9.30号3面によると、山下書店新宿駅ビル店(マイシティ6階)が閉店とのこと。「フロア集客力が低下したため、昭和39年の出店から40年の歴史に幕を閉じる。(略)ジュンク堂新宿店の出店とは無関係である。発展的な撤退」とある。
この店はいつも「新宿本店」と呼ばれている気がするが、同じよね?
WEB本の雑誌で連載している「新宿のお嬢」http://www.webdokusho.com/koushin/nagashima.php は同店書店員のながしまりえこ氏が執筆しているが、今のところ特に閉店に触れた内容は出ていない。ながしま氏はどうなるの?
ターザンカフェ今日のコラム2004年5月20日は「小説がバカ売れしている理由とは?」というタイトルで、束とバカ売れの関係が論じてある。
http://www.ibjcafe.com/talk/tarzan/a/2004/20040520125827.htm
もともとNHKのニュースが、セカチューと綿矢りさ&金原ひとみの本が売れている一因に、通常より束を厚くする「かさ高紙」を使っているおかげではないか、と紹介していた。
“かさ高紙”にされた小説は分厚い印象を与えるのに、なぜか女の人にとって読みやすく、読み切ったあとの「え、わたしってこんなに厚い本を読んだんだ!」という読後の達成感が、また彼女たちにとっては一つの喜びになっているのだ。
短いテキストにかさ高紙を使って「薄目な単行本」にしているだけでしょう。わたしが既読の「蛇にピアス」だと、文庫化するなら同じ長さの小説をもう一本いれないと格好つかないだろうってぐらいのテキスト量だった。「薄目な単行本」なので分厚い印象なんてもらわない。こんな薄い本に1200円払うのはいやだなあと思った。女の人にとって読みやすいというか、本をあまり読まない人に「薄めな単行本」が適度な量なのでは?
薄い本はバッグに入りやすいし、かさ高紙は軽いので、通勤中に読みやすい。そういう意味では女性云々はいえているかも。それなら、セカチュ綿矢金原だけでなく、L文学系の本はどれもそうじゃないのか?
誰かが言っていたがこれはある種のトリックである。ここでわかったことはやはり消費者の対象を、女性にしぼらないと今の時代は、ビジネスおよびビッグビジネスには、できないということである。
これはずいぶんなオッサン感覚だろう。女性? ビッグビジネス? ハッ。ってなものではないか。活字離れしていた人にむけてりさたんもひとみちゃんも書いてないだろう。
日本経済新聞「スイッチオン・マンデー」に載っていた記事によると、かさ高紙はコミック紙を改良し、長文に耐えうるように変色せず光沢をあげた製品だというのがわかる。かさ高紙は軽いので、版元のコスト削減につながるからこんなに普及したのか。日経の記事については、下記が詳しく書いてある。
http://blog.kansai.com/silverbicycle/235
http://blog.kansai.com/silverbicycle/240
このかさ高紙は、日本製紙の「オペラクリームウルトラ」で、セカチュ綿矢金原三冊ともこの紙が採用されている。日本製紙のサイトに紹介 http://www.np-g.com/products/topics/index.html#04 があり、
おお、やはり綿矢金原は同じ厚みの紙。
王子製紙も書籍用かさ高紙「OKソフトクリーム」シリーズを出していて、こちら http://www.ojipaper-youshi.jp/oknews/news/2003_8_1_25.html に詳しく載っている*1。
なにごとも、文句を言う前に、やってみましょう、ということで、Sonyの読書端末リブリエの読書日記をつけはじめてみた。
機械読書日報 http://mashco.exblog.jp/
既に細かい問題が出ている。一方で、最初気になっていたこと(文字が荒い、とか)はさほど問題ではないと思った。
(追記)
やっぱりはてなは書きやすいなあと思った。携帯から投稿するときなども。でも個人で複数IDはだめなんだものね。エキサイトブログは最近投稿した記事タイトルをメニューに表示させることができなくて、別の会社にすればよかったと若干後悔する。あと記事を複数カテゴリに登録することはできないのか?
*1:王子製紙はかさ高紙がどんなものかこちら http://www.ojipaper-youshi.jp/oknews/news/2003_8_1_25.html でまとめていて、わかりやすい。
最新トラックバック一覧
http://heikinritsu.com/archives/20040213-type_and_daughters.html