さよならのあとで


これは絵葉書です。数日前に掲載した将棋の駒が仁王立ちしてるのも絵葉書。
「さよならのあとで」(夏葉社)これまた、何度も読み返したくなる、大事な人と死別した時、この詩をそっとそばに置いて読んでみたい、そんな本です。
あえて画像はのせません。本屋なり、古書ますく堂なり、お店で是非とも実物をみてほしい。表紙からして、しゃれているから。100年後も残したい本って、まさに夏葉社さんが出している本のことをいうのだ。
この本を出すために出版社をたちあげたというくらい、夏葉社さんの思い入れのある本。出版って、こうでなくてはいかんと私が偉そうに言うことではないが、でも思う。
夏葉社さんは思い入れが強すぎてと謙遜していらっしゃったが、強くて結構!

詩は1作品のみ。あとはなんともやわらいだ気分にさせてくれるイラストが時たま、顔を出す。詩集を読みたいとも思うのだけど、一冊に沢山、詩がのっていて、結局、どれも心に残らないなんてことがある。
これは随分、思い切ったことするなあと驚いたけど、むしろ、一冊に詩がひとつのほうが、ずどーんと心の中に入り込んでいいのかもしれない。この詩だけをじっくり、ゆっくりと読むことができるから。この詩をめちゃくちゃ幸せな時に目にするのと、人生最大の不幸だよなんて時に読むのとでは、感情の入り方が全然違うだろう。詩が一つだけで一冊なの?と疑問に思う人もいるだろう。そう、余計なものは何もついてない。もし、この詩が詩集として出されていたら、埋もれていたかもしれない。
悲しみで呆然としたら、自暴自棄になりそうになったら、とりあえず、これを読んでみてほしい。あの事件以上に悲しいことなんてないと、私は勝手に思っている。そんな私はもっと早く、あの時期にこの本と出会いたかったなあと思う一冊。

最初の2行だけそっとのせます。冒頭で釘付けになってしまったから。
死はなんでもないものです。
私はただ となりの部屋にそっと移っただけ。