『アマガミ』を漢字で表現すると? 「安心」でどうだろうか。
『キミキス』スタッフが作ってる、キャラクターにアクがなくてみんなナチュラルでかわいらしい。そういう「安心」感ももちろんあるのだが、ここでいう「安心」はゲーム画面から受ける雰囲気。
実際ゲーム画面を見てもらえばわかるが、このゲーム、据え置きゲーム機でありながら一画面に表示されるテキストは20文字×3行=60文字、と非常に少ない。いやいろんなゲームの文字数を丹念に数えたことがあるわけではないが、文字が大きく、テキストの表示量が少ないこの画面はとても見やすいのだ。最近の据え置きゲームはPS3や360といったHD機が中心になってしまっており、16:9の大画面HDテレビでないとさっぱり文字が読めないようなひどいゲームが多数存在するわけで、未だブラウン管の24インチにはとてもありがたい。遊んでいて安心できる。
更に言えば、『アマガミ』は1行に表示される文字数が少ないのに加え、大半の台詞が2行以内。そのおかげでいちいち台詞が濃く、会話のテンポが良い。ヒロインのボイスも最後まで聞いていられる長さ。また、1つ1つのイベントは短かめだが、イベント量が多いので決してボリューム不足にも感じられない。ここ数年でやったテキストゲーといえば『ひぐらしのなく頃に』『街』『428』などだが、いずれもあんまり長すぎて、どうしても途中でだれてきて、読むのが面倒に思ってしまう部分があった。『アマガミ』にはテキストから来るストレスが一切ない。こういったところも、「安心」を感じるポイントなのだろう。
任天堂のゲームでも、文字の見易さ、最適な改行位置などで感心させられることは多い。子供から老人までがプレイすることを視野に入れている『脳トレ』なんて、文字の見易さに本当に感心させられるが、多くのゲームでは二の次にされ、あまり気を使われないポイント。『アマガミ』はスキルートのエロさや、主人公・橘くんの変態っぷりばかりが注目されがちだが(そしてそれこそがこのゲームの魅力の大部分を占めているのは事実だが)、テキストゲームの、ひいてはゲームとしての基本をきっちりこなしているからこそ、多くのユーザーに支持されているのだといえよう。
(なんてことだ……。もうアマガミ最高じゃないか……)