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macroscope

2018-01-30

災害、ハザード(hazard)、曝露(exposure)、脆弱性(vulnerability)

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

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【この話題は、わたしにとって狭い意味の専門ではなく、わたしは詳しい知識を持っていない。しかし、大学の授業で教えることがあるなど、広い意味の専門には含まれる。そこで、わたしは、大きなまちがいをしないように気をつけながら、わざとおおまかな記述をする。】

気候変動と災害」(増田, 2014)という文章を書いた際に、災害に関する用語を、災害論の専門家が書いた章とつじつまが合うように注意して使う必要があった。その文章自体には書きこめなかったが、わたしがその用語について考えたことを書きだしておく。ただし、わたしの考えがまだ熟していないので、これからも考えなおして書きなおすかもしれない。

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自然災害(英語ではnatural disaster)を話題にするとき、たとえば、「自然災害には、大雨や地震などがある」と言ってしまうことがある。日常会話では、このような表現も悪くないだろうと思う。しかし、大雨や地震は災害なのだろうか、と、考えてみると、大雨や地震があっても人が住んでいなければ災害とは言えない(というとらえかたもある)ことに気づく。

自然災害の被害は、自然現象と、人間社会側の要因とが、もし数量で表現できるならば かけざん のような関係で組み合わさったものだと考えたほうがよさそうだ。このように考えるとき、(潜在的に)災害を起こしうる自然現象(あるいはその強さをあらわす数量)を英語で hazard という。日本語でも かたかな で「ハザード」と書かれることが多い。人間社会側の、hazardを受けたとき災害になるような性質(あるいはその数量)を、英語で vulnerability、日本語で「脆弱性 (ぜいじゃくせい)」という (この記事での「脆弱性」の第1の意味)。

ここで仮に「脆弱性」としたところを、さらに分けて考えることもある。ハザードが人間社会と出会うかどうか(あるいはその数量)と、出会った場合に被害が生じるかどうか(あるいはその数量)の、かけざんのように考えるのだ。前者を英語で exposure、日本語では「曝露 (ばくろ)」[注]、後者を vulnerability、「脆弱性」(この記事での第2の意味)とする。

  • [注] わたしは「曝露」と「暴露」は同じ語の表記のゆれだと考えている。しかし、もし「暴露」と書くと「秘密であった情報を広く知らせること」をさすと思われがちであり、それはここで意図する意味とは遠いので、その文字づかいは避けることにした。

「曝露」と「脆弱性」(ここでの第2の意味)とを区別してとらえることができるならばわけたほうがよいと思うが、わけにくいこともあると思う。わけにくい場合は、ここでの第1の意味の「脆弱性」としてとらえるのがよいと思う。

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IPCC2011年に報告し2012年に出版した「気候変動への適応推進に向けた極端現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書」(Special Report on Managing the Risks of Extreme Events and Disasters to Advance Climate Change Adaptation; SREX) の「政策決定者向け要約」(SPM)の「図 SPM.1」は、気象・気候災害が、ハザード、曝露、脆弱性の組み合わせで生じることを図式的に示している(組み合わさるしくみを具体的に述べているわけではない)。ただし、話題を気象・気候災害に限定しているので、ハザードにあたるところを、「気象及び気候現象」(weather and climate events)と書いてしまっている。

SREXの図SPM.1には、もうひとつ、わたしがこの記事でまだ述べなかった論点が含まれている。ハザード、曝露、脆弱性の組み合わせで生じるのは「災害リスク」(disaster risk)であり、そこから「災害」(disaster)が出てくる、という形になっているのだ。これは、災害が起きてしまってから被害を考えるのではなく、災害が起きるまえに、ハザードが生じるかどうかが不確かな状況で、起こりうる被害を考えるからだ。定量的に考えるのならば、災害リスクは、もしその災害が起きた場合の被害と、その災害が起きる確率とをかけたものでとらえることができるかもしれない。

なお、SREXは本として出版されている(下に「IPCC, 2012」として示す)ほか、ウェブ上の次のところにある。

文献

  • IPCC, 2012: Managing the Risks of Extreme Events and Disasters to Advance Climate Change Adaptation (C.B. Field, V. Barros, T.F. Stocker, D. Qin, D.J. Dokken, K.L. Ebi, M.D. Mastrandrea, K.J. Mach, G.-K. Plattner, S.K. Allen, M. Tignor, and P.M. Midgley, eds.) Cambridge University Press.
  • 増田 耕一, 2014: 気候変動と災害。 持続可能な社会をめざして -- 『未来』をつくるESD (飯吉 厚夫, 稲崎 一郎, 福井 弘道 編, 平凡社), 26 -- 33 (第1章第2節). [著者によるHTML版 (アクセス制限あり) http://macroscope.world.coocan.jp/ja/text/geosci/saigai_esdbook/text.html ]

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