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2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「正しくこわがれ」ではなく「こわがらなさすぎず、こわがりすぎず」

ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、 正当にこわがることはなかなかむつかしい。 - - 寺田 寅彦 (1935年) 随筆「小爆発二件」より これをわたしは[別ページ]で名言として紹介した。これを教訓として、「こわがらなさすぎず、こ…

不確かな科学情報を社会に提供すること - 地震発生見通しの場合

2009年4月6日、イタリアのラクイラ(L'Aquila)で地震災害があった。その前に、国は「大地震の可能性は低い」という情報を出していた。被災者たちが、情報源となった科学者を訴えて、裁判になっている。この話は、科学者は不確かな情報をどう社会に伝えたらよ…

黒い雨

広島・長崎の原子爆弾による、いわゆる「黒い雨」について、テレビのドキュメンタリーを見た。NHKの「黒い雨 --活(い)かされなかった被爆者調査--」だ。2012年8月6日に放送されたのだが、わたしは8月14日午前0時50分(感覚的には13日の深夜)からの再放送を見…

円グラフの条件つき復権、つづき

[8月12日の記事]の続き。奥村さんからTwitterでコメントをいただいた。わたしのことばで書きとめておく。 円グラフよりも適切な表現があることが多い。比較には積み重ね棒グラフがよい。 論文に使われた円グラフは情報の割に場所をとりすぎていることが多い…

「安全・安心」論に関する覚え書き

国の政策目標という文脈で「安全・安心」をひとまとめに論じるのを聞いたのはいつごろからだったかよく覚えていないが、2000年以後だったと思う。わたしにとってこれは気持ちが悪い。自分では安全と安心とは区別するようにしてきた(というよりも実際は「安心…

ロンドン・エクセル

3月にあったPlanet under Pressure会議[4月2日の記事]の会場は、オリンピックの卓球、柔道、レスリング、重量あげなどの会場 http://www.joc.or.jp/games/olympic/london/map/09.html と同じ「エクセル(ExCeL)」だった。(蛇足: マイクロソフト・エクセル(Exc…

有用微生物は活用すべきだが、比嘉ブランドのEMは勧められない

われわれの生活は微生物に依存しているところがある。とくに、有機物を分解し、なまごみを堆肥にしてくれる微生物が有用であることはまちがいない。そのような有用な微生物を選んで育てる活動は奨励したい。しかし、「有用」は、どういう目的に有用かをあわ…

円グラフの条件つき復権

8月11日の記事でふれた学力テストの件にわたしが気づいた発端は、折れ線グラフの表現に関する奥村晴彦さんの感想だったのだが、その周辺で、別のグラフも話題になっていた。dritoshi (二階堂 愛)さんが、統計情報研究開発センターによる(日本統計学会も後援…

国家エネルギー戦略に関する意見

国家戦略会議の「エネルギー・環境に関する選択肢」に関する意見募集 説明は http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive01.html の「パブリックコメント」と書かれたところからリンクされたPDFファイル (HTMLにしてほしかった) 入力フォームは https://f…

学力テストの気象関係の問題に思う、考える能力を評価するむずかしさ

文部科学省が4月に実施した「全国学力・学習状況調査」の調査報告が出た。 平成24年度 全国学力・学習状況調査 調査結果について http://www.nier.go.jp/12chousakekkahoukoku/index.htm 文部科学省初等中等教育局学力調査室 国立教育政策研究所教育課程研…

われわれ生物は放射能に適応しているか

ヒトを含む多くの生物(以下「われわれ」)の健康にとって、環境中に人工放射性物質(形成45億年後の地球上に自然には存在しない放射性同位体)が多くなることは、望ましくないことなのだと思う。しかし、それだから、「原子力利用は生物の自然に反するのだ」と…

マグニチュード、震度など、現象の規模の表現

地震の「マグニチュード」と「震度」の関係が単純でないことが話題になっていたのを見た。これを機会に、自然現象(や、一部の社会現象)の大小の規模についての表現について、知識を整理しておきたい。ひとまず、資料調べをせずに、頭の中にあることを書き出…

奇人

昔、ただしテレビ受信機がだいたい一家に一台普及したころ、夕方テレビのスイッチを入れると、次のような歌が聞こえた。 奇人 奇人 奇人 奇人 うちじゅうみんな 奇人 奇人 (当時わたしは、わたしの属していた集団の中で「奇人」だったにちがいない。しかし、…

日本国は基礎科学を捨てるのか

3月26日に「労働契約法改正の趣旨はもっともだが任期制研究労働者には抜け道が必要」という記事を書いたが、この法律改正案は、このままいくと今週中に成立する見通しだそうだ。 無期雇用へ5年ルール 改正労働契約法、週内にも成立 朝日新聞デジタル 政治>…