ジオエンジニアリング、気候工学、意図的気候改変 (5)

【まだ書きかえるかもしれません。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

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[ジオエンジニアリング、気候工学、意図的気候改変 (4) (2016-03-30)]の記事を書いてから2年がたった。そのあいだ、わたしはこの話題に関する知識をあまり更新していない。

これも直接たしかめておらず、伝聞によって述べるのは気がひけるのだが、近ごろ英語圏では、geoengineering や climate engineering のような包括的な用語を使うことは減ってきて、carbon removal と solar geoengineering に分けた表現が使われることが多いのだそうだ。

わたしも、従来の慣用略語でいう CDR と SRM をいっしょにしないことには賛成だ。

ただし、それぞれをどう呼ぶかとなると、英語からの直訳ではなく、適切な表現を考えるべきだと思う。考えても、普及してくれるかどうかは、また別の課題になるが。

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訳語としては、carbon dioxide removal は「二酸化炭素除去」、carbon removal ならば「炭素除去」でよいだろう。

しかし、removal は、どこから取り除くか、が問題だ。それは「大気から」だろう。この用語を使う人の意識が大気に向かっているあいだはそれでよいのだが、この技術を実現するためには、どのような化合物としてかはともかく、地表面から下のどこかに、炭素を受け入れてもらわなければならない。受け入れる側にとっては、removalは不当な表現だろう。(たとえ「二酸化炭素」という形では世界のどこにも残らないとしても。)

やりたいことは、炭素が大気中に出てこなくすることだ。すでに使われている表現としては、sequestration (隔離)がある。ただし、これは、CCS の S として使われることがあるので、CDR のうちでも人工的隔離技術にかぎる印象を与えがちだと思う。(CCS の S は、どちらかといえば、storage (貯留) であることが多いのだが。)

「動きにくくする」という意味で、わたしが思いあたる用語は、「固定」だ。英語では fixation だろう。

(「固定」に思いあたったのは、「(空中)窒素固定」からの連想だ。窒素固定では、大気中の窒素( N2 )を、アンモニアや硝酸塩などの物質に変える。ただし、この場合、つくられた物質はあまり安定ではないので、大気から隔離することにはなっていないかもしれない。しかし、少し動きにくくはなっているだろう。)

そこで、わたしは、CDR にかえて「二酸化炭素固定」という表現を提案したい。(英語の場合はよく考えていないが、carbon dioxide fixation、略して CDF だろうか?)

- 2a [2018-05-27 補足] -

炭素あるいは二酸化炭素の「固定」という用語は、生物学のほうでは、酸化還元状態が二酸化炭素よりも還元側の物質(有機化合物あるいは単体炭素)をつくる場合に限って使うので、二酸化炭素をそのまま地下にとじこめる場合に適用するのはまずい、というご意見をいただいた。

わたしは「固定」ということばをそれとはちがう感覚で使っている。気体や液体のままでは固定とはいいがたいが、固体になるならば、酸化還元状態を問わず、「固定」と言えると思う。二酸化炭素と同じ酸化レベルの炭酸塩でもかまわない。そして、地層中に二酸化炭素を注入する場合はたいてい炭酸塩の固体ができることによって長期維持されることを期待しているので、「固定」にふくめてよいと思うのだ。

しかし、還元する場合に限る使いかたが定着しているのならば、それを尊重するべきかもしれない。

これから「固定」ということばの使われかたを調べて、あらためて考えたい。

暫定的には「固定」ではなく「二酸化炭素隔離」という表現を使いたいと思う。大気から隔離するという意味である。

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二酸化炭素固定と「緩和策」の区別は難題だが、たとえば「火力発電所をCCSつきにする」ことなどは、緩和策でもあるし二酸化炭素固定でもある、ただし温暖化対策をかぞえあげるときには二重にかぞえないように注意する、というのが順当なところかと思う。

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太陽放射の反射をふやすほうはどう呼ぶのがよいだろうか。

もし solar engineering というと、太陽を操作することと思われるおそれがあるが、 solar geoengineering ならば、geo がはいっているから、地球の側のどこかを操作することになるので、意味のまぎれはあまりないかもしれない。

しかし、日本語では、「太陽地球工学」では、意味がつかめないか、磁気圏や電離層などを扱う「太陽地球系科学」の関連だと思われそうで、よくない。「太陽気候工学」もわかりにくいと思う。

かたかなの「ソーラー」ならば、使われる文脈はおもに太陽エネルギー利用だから、太陽放射をさすことが伝わるかもしれない。しかし「ソーラー工学」では利用技術と思われるだろう。「ソーラー地球工学」「ソーラー気候工学」も、わたしには変な感じがする。

やはり「放射」(radiation)ということばを入れたほうがよいと思う。

ただし「管理」(management)は、人間の思いどおりに操作できるという印象を与えるので(それだから賛成する人も反対する人もいると思うが)、まずいと思う。技術でできることは modification、日本語ならば「改変」である、という立場をとるべきだと思う。

(太陽から来る放射を改変するわけではなく、地球を構成する物質がそれを反射・吸収するところを改変するのだ、ということも、明示したほうがよいとも思うが、簡潔な表現を思いつかない。)

前に書いた案のくりかえしになるが、「太陽放射改変」としたい、と思った。

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ここまで書いたところで、前に書いた「(4)」の記事を読みかえしたら、放射能関係の「放射壊変」(原子核放射線を出してほかの種類の原子核に変わること)と音が同じになるという難点があることを、わたし自身が指摘していたのだった。

電磁波をさす「放射」と放射能関係の「放射」は、語源も同じだし、専門家にとってはまぎれないものの、しろうとから見ると文脈による区別をしにくい用語だと思う。太陽放射の全部が可視光線ではないのだが、「太陽放射」は「太陽光」と表現したほうがよいかもしれない。【[2018-05-21補足] わたしは、地球放射の主要部分をしめる熱赤外線(波長10 μmあたり)については「光」という表現はまずいと思うが、太陽放射の無視できない部分をしめる近赤外線(波長1 μmあたり)を「光」にふくめるのはかまわないと思っている。】

「改変」の言いかえは、うまい表現を思いつかない。「太陽放射変更」も変だろう。発想を変えると、想定される太陽放射改変(仮称)のすべてではないとしても多くの場合にすることは、地球による太陽放射の反射をふやすことだ。それを直接的に表現すれば、「太陽光反射強化」となる。この表現がよいだろうか?

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masudako
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