ダルタニャン物語の第1巻を読んでみた

ダルタニャン物語〈第1巻〉友を選ばば三銃士 (fukkan.com)

ダルタニャン物語〈第1巻〉友を選ばば三銃士 (fukkan.com)

 ダルタニャン物語の1巻目。パリにやってきたダルタニャンが三銃士と友誼を結び、彼らと共に王妃を助け、銃士隊の末席に取り立てられるまでの話。まともに観た三銃士原作ものといったら数年前にやってたNHK人形劇しか無かったのだが、この完訳版を読んだら、思ったよりもあの三谷ワールドな話が原典に忠実であったと判ってびっくりであった。三谷氏がアテレコしたオレイリーさんも原作準拠のキャラだったとは(←今更?)。
 200年前と現代とではモラル観にずれがあるのは当たり前だが、三銃士たちの行動が結構ひどい(汗)。それぞれの従者への当たり方もだが、道中で負傷して宿屋にて療養中のポルトスがお勘定の話を出された途端に癇癪を起こしてして大暴れとか、枢機卿に騙されて足止めに加担した宿屋にアドスが逆ギレし、食料庫にて無断で飲み食いしつつ何日も立てこもるとか、騎士のプライドをかさに来たモンスター客じゃないのさぁ(どちらも後に合流したダルタニャンが代金を払うw)。コンスタンスは旦那のボナシューに対してかなり情が薄いし(これはボナシューもなのでお互い様ではあるが)、ダルタニャンはコンスタンスを逢引することばかり考えてるし、そんな自分勝手(?)な登場人物達のなかバッキンガム公だけがアンヌ王妃への見返りを求めぬ騎士道的純愛に燃えているというか何というか。港を封鎖する等の無茶苦茶な権力の行使っぷりもひたすらに王妃を愛するゆえと思えば。
 一方で、チャンバラシーンケレン味や様式美に溢れていて素敵。三銃士のみならず、若輩のダルタニャンや敵方の枢機卿旗下の兵士たちさえも。最低限の誇りと筋道はきっちり通してみせてくれるので快感である。一応敵国人であるバッキンガム侯爵とダルタニャンとの「いずれは戦場でまみえましょう」なのやりとりもお約束なのね。