第166話 ちゃんとせぇ

信じられへん。

この間実家でくつろいでいたら、
オトンが「そろそろ寝よかな」言うて立ち上ったんです。
その時、兄嫁の西川さんは風呂に入っておったんですね。
オトン、ふらふら〜って歩いて風呂場ガッチャ〜ン開けて、

「西川さん、おやすみなさい」

言うて、ふらふら〜って自分の部屋に入っていったんです。
信じられへん、
こいつ何考えとんねん、
西川さんも「キャーーー!!」って言うてるねん。
こんな日常の一コマありなん?
久々に実家帰ってきたらやで、オトンがおもくそ兄嫁の風呂覗いてけつかる。
なんかね、オトンは事あるごとにボクに対して批判的なんです。
その論旨はだいたいにおいて『ちゃんとせえ』なんです、
「髪の毛ちゃんとせぇ」「酒飲みすぎや、ちゃんとせぇ」「フラフラすな、ボチボチちゃんとせぇ」

オマエがちゃんとせぇ!

世間体を気にするんですよ、彼は。
確かにきたない恰好で町をフラフラしてます。
昼間から酒飲んでウダウダしてます。
たまにチンコも出てるかもしれません。
世間は、半浮浪者やとおもてるかもしれません。
そんな息子が気に入らないんでしょう。
しかし、兄嫁の風呂を覗く父親を世間ではなんと呼ぶでしょう。

性犯罪者やで。

オトンが、『ちゃんとせぇ』で攻撃してくるならば、
ボクは六法全書で反撃したいとおもてます。
法律でビンタをしてやろうとおもてます。
おもいっきり助走をつけて。
次は家のリビングではなく、

法廷で会おう。



なんや、西川、何みとんねん・・・


オマエの乳をやな!


バイン!バイン!バイン〜!!!

裁判長〜!こっち、こっち〜!