第465話 嵐の夜に

もうこんな時間か。
アナタキコウ松浦さんのヒゲ時計が夜の11時を指している。



(松浦さんのほっぺたの下のヒゲの濃さでだいたいの時間がわかるようになりました)


2月某日。
わたしは玉造のバンコ(という日本酒バー)にいた。
この日はいつものバンコのメニューではなく、友人のまり女史による『まり寿司』が提供される。
あいにくの大雨だったのだが、店内は満員御礼。
友人知人でごった返す中、件の松浦さんがいた。
松浦さんは希代のソングライターであり、そして数少ない加藤さんの理解者でもある。

「KTRは色々言われてるけど、あいつなりにちゃんとしようとしてるからな」
「洋介とかがもっとフォローしたらなあかんやんか」
「ステージの上では唯一無二なわけやからさ」

暖かいひとだ。
世界中の人が加藤さんのことをしょうもないと思っている現在(いま)、
松浦さんだけは加藤さんを理解し評価している。
わたしはこんな松浦さんが大好きだ。
そんな松浦さんにひとつだけ言いたいことがあったので、
僭越ながら言わせていただいた。


「でも、加藤さんは松浦さんのこと『ドぼんくらのド酒乱』やって言うてますよ」



(あんなものはドぼんくらのド酒乱ですよ)



・・・え?


雨がやんだ。
店もそろそろ仕舞だ。
友人たちはまだたくさんバンコに残っている。
まだ少し飲み足りないのだろう。
松浦さんがみんなをメロー(というバー)に誘いだした。
松浦さんはみんなと地下鉄でメローにむかうようだ。
わたしももう少し飲みたかったので自転車で先にメローへとむかった。
わたしがメローについてしばらくして階段を登る音が聞こえた。
松浦さんたちだろう。
素晴らしい夜の続きがはじm・・・



オマエ、一人なん?



(おまい一人なのか?おれも一人なんだ・・・)


扉をあけたのは松浦さん一人だった。
・・・なんか、思ってたのとちゃうねんけど。
みんなで来る雰囲気やったやん、
女の子いっぱいいてたやん、
そんな感じなん?
オマエのヒゲ時計もだいぶ時を刻んでいることやしそろそろ帰ろかな・・・



(深夜一時前)







※結局朝の6時くらいまで飲んじまいました。




(おやおやだぜ・・・)