FileMaker Server 11.0v3のWeb公開エンジンとOS X Lion ServerのApacheを連係させるには

FileMaker Server 11.0v3のWeb公開エンジンはOS X Lionと非互換

OS X LionおよびOS X Lion Serverが先月発売されましたが、2011年8月時点で判明している問題点としてFileMaker ServerのWeb公開機能がOS X LionおよびOS X Lion Server上で動作しないことが分かっています。

FileMaker Server 11については2011年10月にアップデータが提供される予定となっていますが、FileMaker Server 10およびそれ以前についてはOS X Lion対応の予定はないようです。

【2011.10.01追記】2011年9月30日にFileMaker Server 11.0v4の提供が開始され、OS X LionおよびOS X Lion ServerでもWeb公開エンジンが機能するようになりました。LionでFileMaker ServerのWeb公開機能を利用する場合には、バージョン11.0v4の利用をおすすめします。

なぜWeb公開エンジンが動作しないのか

実際にOS X Lion上でどのようにFileMaker Server 11.0v3のWeb公開機能が動作しないのか調べてみたところ、下記のサーバーソフトウェアは起動して動作していることが分かりました。

  • fmserver_helperd
  • データベースサーバー(fmserverd)
  • Admin Console Server(Tomcat
  • カスタムWeb公開エンジン(Tomcat
  • Web公開コア(FM Web Publishing.app)


Web公開機能に必要なサーバーソフトウェアは動作しています。FM Web Publishing.appが動作していなければ対処方法がないところでしたが、各種サーバーソフトウェアが動作していることから、Web公開エンジンとApacheが単に連係していないだけではないかと推測されます。動作を確認してみると、インストーラーがLionに対応しておらず、Web公開エンジンとApacheの連係のための設定ファイルがないことが分かりました。

FileMaker Server 11.0v3のWeb公開エンジンとOS X Lion ServerのApacheを連係させる手順

【重要】下記にFileMaker Server 11.0v3のWeb公開エンジンとOS X Lion ServerのApacheを連係させる手順の概要を記載しますが、この方法は公式にサポートされている方法ではありません。OS X Lionを搭載したMacを開発環境として使いたい場合を想定した説明であり、実際の運用環境での利用は想定しておらず、無保証・ノーサポートとなりますのであらかじめご了承ください。FileMaker Server 11.0v4 アップデータが登場すれば下記の説明は不要になるはずですので、通常はアップデータの登場を待つことをおすすめします。

  • OS X Lionをインストールする
  • OS X Lion Serverをインストールする
  • FileMaker Server 11をインストールする
  • FileMaker Server 11.0v3にアップデートする
  • Server.appでWebサーバーを起動する
  • 設定ファイルを追加する
  • Server.appでWebサーバーを再起動する
  • FileMaker Serverのサーバー展開アシスタントで設定を行う
OS X Lionをインストールする

Mac OS X v10.6.8にアップデートしてからMac App StoreOS X Lionを購入し、ダウンロードおよびインストールを行います。もちろん、OS X Lionが搭載されたMacを新たに購入していただいても構いません。

OS X Lion Serverをインストールする

本説明ではOS X Lion Serverに同梱されているmod_jk.soを使用するため、OS X LionではなくOS X Lion Serverが必要です。Mac App StoreOS X Lion Serverを購入し、ダウンロードおよびインストールを行います。

FileMaker Server 11をインストールする

FileMaker Server 11をインストールします。インストールの途中でJava ランタイムが必要という表示が出るので、Javaをインストールします。または、FileMaker Server 11のインストーラを起動する前に、Java for OS X Lionを事前にインストールしておくとよいでしょう。

インストール後に確認ダイアログが表示されますが、展開アシスタントは正常に起動するので、セットアップ作業を進めることができます。この時点では、Web公開を有効にしないで設定を進めます。手順の詳細は、製品に付属の文書を参照してください。

FileMaker Server 11.0v3にアップデートする

サーバーバージョンが11.0v3(11.0.3.309)でない場合には、11.0v3にアップデートします。アップデータを適用する前に、Admin Consoleを終了し、データベースサーバーやWeb公開エンジン等は停止させておきます。

$ fmsadmin stop server
$ fmsadmin stop wpc
$ fmsadmin stop cwp
$ fmsadmin stop adminserver
$ sudo launchctl unload /Library/LaunchDaemons/com.filemaker.fms.plist

アップデータを適用した後、FileMaker Serverを起動します。

$ sudo launchctl load /Library/LaunchDaemons/com.filemaker.fms.plist

上記の手順についてよく分からない場合には、上記の手順をとらず、アップデータに付属の文書を参照するようにしてください。

Server.appでWebサーバーを起動する

Server.appでWebサーバーを有効にして、Apacheを起動します。必要に応じて、「PHP Web アプリケーションを使用」にチェックを入れます。

その後、http://localhost/ で「ようこそ Mac OS X Lion Server へ」と表示されていることを確認します。

設定ファイルを追加する

設定ファイルを2つ追加します。パスとファイルの内容はそれぞれ下記の通りです。

# for OS X Lion Server


LoadModule jk_module libexec/apache2/mod_jk.so

JkWorkersFile '/Library/FileMaker Server/Admin/admin-helper/WEB-INF/conf/workers.properties'
JKLogFile '/Library/FileMaker Server/Logs/web_server_module_log.txt'
JKLogLevel error
JkLogStampFormat "[%a %b %d %H:%M:%S %Y]"
JkOptions +ForwardKeySize +ForwardURICompat -ForwardDirectories
JkRequestLogFormat "%w %V %T"
JkShmFile /var/log/apache2/jk-runtime-status
JkMountCopy All

JKMount /fmi/config config
JKMount /fmi/config/* config
JKMount /fmi/conf/*.cwpe cwpe
JKMount /fmi/conf/*.wpc wpc
JKMount /fmi/xsl/cnt/* cwpe
JKMount /fmi/xsl/relay/* cwpe
JKMount /fmi/xsl/*.xsl cwpe
JKMount /fmi/iwp wpc
JKMount /fmi/iwp/* wpc
JKMount /fmi/xml/* wpc

  • /Library/FileMaker Server/Admin/admin-helper/WEB-INF/conf/workers.properties

worker.list=wpc,cwpe,config
worker.config1.host=127.0.0.1
worker.config1.type=ajp13
worker.config1.port=16018
worker.config1.lbfactor=1
worker.config2.host=127.0.0.1
worker.config2.type=ajp13
worker.config2.port=16018
worker.config2.lbfactor=1
worker.cwpe1.host=127.0.0.1
worker.cwpe1.type=ajp13
worker.cwpe1.port=16018
worker.cwpe1.lbfactor=1
worker.cwpe2.host=127.0.0.1
worker.cwpe2.type=ajp13
worker.cwpe2.port=16018
worker.cwpe2.lbfactor=1
worker.wpc1.host=127.0.0.1
worker.wpc1.type=ajp13
worker.wpc1.port=16016
worker.wpc1.lbfactor=1
worker.wpc1.retries=20
worker.wpc2.host=127.0.0.1
worker.wpc2.type=ajp13
worker.wpc2.port=16016
worker.wpc2.lbfactor=1
worker.wpc2.retries=20
worker.config.type=lb
worker.config.balance_workers=config1,config2
worker.cwpe.type=lb
worker.cwpe.balance_workers=cwpe1,cwpe2
worker.wpc.type=lb
worker.wpc.balance_workers=wpc1,wpc2

workers.propertiesのファイル所有者はfmserverにしておくとよいでしょう。

$ sudo chown fmserver:fmsadmin '/Library/FileMaker Server/Admin/admin-helper/WEB-INF/conf/workers.properties'

なお、OS X Lion Serverに付属するmod_jkはバージョン1.2.30なので、http://www.famlog.jp/article.php?id=1439 にある記事(「mod_jk 1.2.26以降をバーチャルホストで利用する際の注意点」)もあわせてご覧ください。

Server.appでWebサーバーを再起動する

上記で追加した設定ファイルを有効にするために、念のためServer.appでWebサーバーを一度停止し、起動します。起動に失敗する場合には、/var/log/apache2/error_logにあるエラーログファイルで原因を調べる必要があります。

FileMaker Serverのサーバー展開アシスタントで設定を行う

FileMaker Server Admin Consoleのサーバー展開アシスタントで設定を行い、Web公開機能を有効にします。PHPを有効にする場合には、すでにインストール済みのPHPエンジンを使用するように設定し、別途手動でファイルを追加する必要があります。ここでは詳しくは説明しないので、追加方法については製品に付属の文書で確認してください。

FileMaker Server Admin Consoleにおいて、サーバーステータス情報に「すべてのシステムは正常です。」と表示されていることが確認できれば設定は完了です。


繰り返しになりますが、上記の説明は暫定措置であり、FileMaker Server 11.0v4 アップデータが登場すれば不要になるはずです。通常は、アップデータの登場を待つことをおすすめします。