8.プロフェッショナルの条件

 はじめて読むドラッカーということでいろいろな文献からエッセンスを抜き出したものみたいなので多少一貫性の欠ける気がしないでもない。が、ドラッカーを読んだことがない人にはぜひ一読を薦める。特に2,3,4章は読んで損なし。かといって、もはや古典ともいえるレベルの本なので「時間を管理する」だとか「もっとも重要なことに集中せよ」などはやりの本に書いてありそうでもあるが。
 以下、個人的に気になった部分を列挙。

通常、成果をあげる上でもっとも重要な人間は、直接の部下ではない。他の分野の人、組織図の上では横の関係にある人である。あるいは上司である。

われわれは、貢献に焦点をあわせることによって、コミュニケーション、チームワーク、自己啓発および人材育成という成果をあげる上で必要な人間関係に関わる基本条件を満たすことができる。(以下理由略)

私の観察によれば、成果をあげるものは仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。何に時間がとられているかを明らかにすることからスタートする。次に、時間を管理すべく、自分の時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける。そして最後に、その結果得られた時間を大きくまとめる。すなわち、時間を記録し、管理し、まとめるという三つの階段が、成果をあげるための時間管理の基本となる。

優先順位の分析については多くのことがいえる。しかし、優先順位と劣後順位に関して重要なことは、分析ではなく勇気である。(中略)第一に、過去ではなく未来を選ぶことである。第二に、問題ではなく機会に焦点を当てることである。第三に、横並びではなく自らの方向性をもつことである。第四に、無難で容易なことではなく、変革をもたらすものに照準を合わせることである。

問題解決に対する決定が満たすべき必要十分条件を明確にしなければならない。(中略)必要十分条件を簡潔かつ明確にするほど、決定による成果は上がり、達成しようとするものを達成する可能性が高まる。

成果をあげる者は、意図的に意見の不一致を作り上げる。そうすることによって、もっともらしいが間違っている意見や、不完全な意見によってだまされることを防ぐ。