反米政権のおもちゃとなった元英雄

見事なペルソナ・ノン・グラータ扱い。


スノーデン容疑者の選択肢狭まる、ドイツなど5カ国が亡命拒否| Reuters
【スノーデン事件】米の“圧力”…宙に浮く亡命申請+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
スノーデン元CIA職員、ロシアに政治亡命を申請 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで一世を風靡したスノーデンさんではありますが、まぁ見事に亡命を拒否されまくっているそうで。
ボリビア大統領機が飛行拒否される、元CIA職員搭乗の情報で| 世界のこぼれ話| Reuters
特にフランスやポルトガルなんて飛行機の上空通過を「疑惑」というレベルですら拒否しているという。結果として、アメリカさんちに逆らえない、あるいは無用な外交問題を引き起こしかねない彼を受け入れる国はほとんどなかったというオチ。まぁあのロシアさんや中国さんですら放り投げているのだから同盟国が受け入れるはずありませんよね。情報は欲しいけれども、しかしここまでマスコミの大舞台出てしまった以上、下手なこともできないし、だったらアメリカに恩を売った方がマシだと。我らが日本でも、もし4年前ならあるいは……一瞬だけ表明してすぐに「そのような思いで申し上げたわけではない」というコントが見られたかもしれませんね。
そして唯一その気配を見せているのが、恒例の反米を「趣味」とする一部の国々だけであったと。逆説的に言えば、上記のような世界の国々の反応である上で、軽く彼を擁護する空気を出すだけでいかにも「アメリカに抵抗するオレたち」というポジションを簡単に表明できる構図となっている。まさに反米政権のおもちゃ。


ともあれ、ニュースのネタとしてはともかく、最初のプリズム暴露がピークでどんどん行き場がなくなっているよなぁと。外交機関への盗聴問題にしても、それってまぁPRISMのような市民監視プログラムとは微妙に性質の違うものであるわけで。それを暴露した所で別にアメリカ市民における「自由」がどうにかなるわけではないし、私たち日本からすれば当たり前の話でしかないし、むしろ日常業務過ぎて国益という視点からするとマイナスの方が大きかったりする。
そして肝心要のプリズム暴露にしても、最も支持を得なければならい本命でもあったアメリカ市民の皆さまから、結果としてそこまで支持されたわけではなかったという。それはおそらく『9・11』の呪いが未だに続いているのと同時に、彼が中国なんて行ってしまったせいで決定的に「アメリカを売った」というイメージが付与されてしまったことの影響なのだろうと思います。
おそらく、もし仮に彼が逃亡せずにアメリカ政府に拘束なんてされていたら、また別の展開となっていたんじゃないかなぁと。だからといってそれで彼が真に幸福になれた――「英雄」になれたのかは解りませんが。


上記反米政権のおもちゃ扱いという点も合わさって、見事に「英雄」というよりは「売国」という扱いに近づきつつある。この辺りがスノーデンさんの現状を招いた要因であり、決定的な誤算だったような気がします。