ヨーロッパの中心で「我々はまだ善良である」と愛(勝者の正義)を叫ぶグローバリストなけもの

でも私たちもあんまりドイツを笑えないよね。


ドイツ議会、101年前の「アルメニア人大虐殺」を認定、トルコは反発「2国関係に損害をもたらす」 | ハフポスト
先日の日記で「ヨーロッパの道徳的帝国主義は終わるのか」とか書いたばかりなのに全然終わってない感じあって、さすがドイツさんですわと感心してしまうお話。

この事件を大虐殺として認定するドイツに対し、アルメニア人は歓迎する一方、ドイツとトルコ間に生じた政治的対立がシリア難民のような他のグループにどのような影響を及ぼすのかは明らかではない。

ドイツとトルコの両国は、難民危機に対処するための国際的な取り組みにおいて重要な役割を担っており、この危機にあたって、何百万人ものシリア人が近隣諸国に移動し、ヨーロッパへの危険な海の通路を渡ろうとしている。

ドイツ議会、101年前の「アルメニア人大虐殺」を認定、トルコは反発「2国関係に損害をもたらす」 | ハフポスト

上記でも言及されていますけども、難民をトルコに事実上「押し付けている」のにこんなことやっちゃう辺りほんとよく解らないタイミングですよね。
以下その背景についての無責任で適当な考察。




元々ドイツさんと言えば、ヨーロッパでも随一というレベルのグローバリストであり、だからこそ強硬な欧州統合推進役でもあったわけですよ。当日記でもEU関連ネタで何度か書いてきたような彼らの熱意って、私たち日本と根は同じ所にあるんですよね。
――つまり、前回戦争の大反省として。
かつてアイザイア・バーリン先生が「世界史上における真の国家主義者」と呼んだ彼らは、戦後になって文字通り180度の急旋回を目指した。私たち日本が半ばカルトのような平和思想に取りつかれたように、ドイツでは同様に「国家後」の世界観に強く囚われるようになった。まぁそれも仕方ないよね。だって「平和」や「人道」に対する罪を『勝者の正義』として裁いたのが、あのニュルンベルク裁判であったのだし。


ギリシャ危機なんかでも、しばしば「すわドイツが欧州連合・ユーロを離脱か!?」なんて事書かれてきましたけどもそうした構図を前提にすればまったくあり得ない選択肢だと個人的には思うんですよね。だってそれは私たち日本が『平和主義』を否定するに等しい所業であるから。
ヨーロッパの道徳的帝国主義のおわり? - maukitiの日記
しかし前回日記でも書いたようにドイツの思いは空回り、あるいは現実に敗北しつつある。ぶっちゃけてしまえば難民対応でヨーロッパが見せたのは身も蓋もない「国家のエゴ」であり、メルケルさんの一世一代の大博打でも露わになったように、それはドイツ自身ですら例外ではなかったわけですよ。難民すべてを救うことなんて無理だった。



その意味では、今回の空気読まない「アルバニア大虐殺認定」ってそんなグローバリストなドイツ人たちの罪悪感からの揺り戻しの一要因かなぁと思ったりします。難民ではあんなことしたけど、我々はまだ『国家後』を目指す善良な人びとである、という健気な主張を守るために。当然、周囲の人びとは「こいつこのタイミングで何を言ってるんだ」という目をするんですが、しかし自分のアイデンティティを必死に守ろうとしている当人はそんなことに気付かない。



いやぁドイツ人ってクッソめんどくさいよね。
みなさんはいかがお考えでしょうか?