そして再び国家が舞い降りる、のか?

市民の安全を守ってくれるのは誰?


スペイン・バルセロナ繁華街で車両攻撃、13人死亡 2件目を阻止と - BBCニュース
【バルセロナ襲撃】 ワゴン車3台とガス缶120個で大規模攻撃計画か - BBCニュース
ということで今度はバルセロナで自動車チャージがあったそうで。(彼ら的には『聖戦』なんでしょうけど)悪意を以って人混みへ自動車で突っ込み、オマケに刺したり撃ったりする。いやぁ寒い時代になってしまったものだ。

スペイン北東部の主要都市バルセロナで17日午後4時50分(日本時間同11時50分)ごろ、繁華街のランブラス通りでワゴン車が歩行者を次々とはね、少なくとも13人が死亡し、100人以上が負傷した。同国警察はさらに18日未明、バルセロナから海岸沿いに西約120キロの港町カンブリスで、容疑者4人を殺害し、2件目の襲撃事件を未遂で阻止したと発表した。警察は、2つの襲撃事件が近くの町の民家で16日夜に起きた爆発事件と関係するとみて調べている。

スペイン・バルセロナ繁華街で車両攻撃、13人死亡 2件目を阻止と - BBCニュース

昔からテロの多い地域でもあり取り締まりの強化などによって追い詰められた果ての策は、もちろん手段を選ばず無辜の市民を巻き込み反感を抱かせるという致命的なデメリットもあるものの、これはこれで事前察知も防御も難しい成功率の高い手法となっている。
普通の自動車が凶器に 車両攻撃を防ぐのに打てる手は - BBCニュース
実際、その対応策についてほとんど何も言ってなくて笑えばいいやら絶望すればいいやら。現状ではほとんど唯一の実現可能な解答であろう「バリケード」は、それをやればやるほど、ヨーロッパの都市たちがイラクなんかの都市にある自動車爆弾防御用のブロックの列に似てくるという愉快なお話ではあります。「壁のない世界」を目指した果てにある「壁のない世界(内にないとは言ってない)」だね!



ともあれ、今回のスペインに限らず統合を目指しているはずのヨーロッパでテロが起きると、逆の風が吹くことになるんですよね。古臭いと言われてもおかしくないような伝統的な『国家』の役割が見直されることになる故に。
――市民の安全を守るのは国家の義務のはずではなかったか。
上記のような付け焼刃な対応策しか採れないままでいると、人びとの不満はそうした国家主権の回帰=統合懐疑へと向かうことになるわけで。(ちなみに左側から欧州統合懐疑へと向かっているのは、同じくグローバルな市場競争から国内労働者の安全(雇用)を守れていない、という『経済ナショナリズム』なお話だったりする)。EUそのものがテロ対応なんてことしてくれるはずもなく、「自由移動」などの欧州統合の理念は捨てられないが、もちろん市民の安全という義務を捨てるわけにもいかない。その結果として現代ヨーロッパではほとんどどこでもかなりの警察国家が進行しているのはホント皮肉なお話であります。まぁこの辺は本邦含めほとんどどこの先進国家でも同じジレンマを抱えているものの、しかしヨーロッパの進み具合はそれどころではない。


二兎を追うヨーロッパの彼らがたどり着いているほとんど唯一の解決策。
より緻密な監視社会と強い警察力を国家が強化しよう。


強い国家主権への道は、テロリストたちの犠牲によって舗装されていく。
がんばれヨーロッパ。