グラン・トリノ 感想


町山智浩「大傑作!」 グラントリノ C.イーストウッド監督


【超絶オススメ!】宇多丸 C・イーストウッド監督主演「グラントリノ」 シネマハスラー

非白人の国になるアメリカへのエール。(町山智浩/映画秘宝2010年3月号)

2009年公開。
監督・主演、クリント・イーストウッド
テレビやビデオでの視聴がほとんどですが、一連のマカロニ・ウェスタンものや言わずと知れた『ダーティハリー』シリーズ、そしてオスカー受賞の『許されざる者』など、私も子供のころから現在に至るまで数多くの彼の映画を観て来ました。
そんな彼が今回で俳優業を引退すること、そして本作がとても評判が良いことを聞いた時、私の脳裏によぎったのは「ゲタを履かされているのではないか?」という不安。
しかし、実際に観賞してみたらそれは全くの杞憂で、間違いなく本作は傑作でした。
ストーリーはいたってシンプル。
かつてアメリカの象徴であった自動車を作っていた「白人」の主人公・コワルスキー(イーストウッド)から、「アジア人」の少年・タオへ「アメリカの魂」が継承されていく物語です。
私はタオ以外の登場人物では、コワルスキーに影響を受け神学校の教科書通りの説教から自分の言葉で語るようになるヤノヴィッチ神父も印象に残りました。
現在のアメリカという国に向けたメッセージをサラリと描いてしまう監督としての手腕。
彼の今後の作品にも目が離せません。



↑出来ればこの作品だけは事前に観ておいた方がより本作を楽しめると思います