「UMAハンター馬子 完全版1」田中 啓文

 以前から気になって気になって仕方なかったけれども、学研ででている間なかなか店頭で出会えず、なんとなくそのまま読みそびれていたこのシリーズ、「完全版」として出ているのを発見し、その経緯を知ったときには涙でましたよ。ああ、学研さん、あんた冷たいよ…ミステリ・SF読みの心がわかってないよ…そして、早川さんに感謝。よくぞよくぞ、完全版を出してくださいました。というわけで、今ほくほくして読んでます(今はもう、2の後半だが)。
 とにかく、馬子さんのド畜生っぷりと、イルカのけなげさが醸し出すハーモニーと、UMA民俗学、そして微かにではあるが本格ミステリの香りが見事に調和して、極上のエンターティメントとなっているのです。うーん贅沢。そして、馬子さんが事件の真相とその背景に鎮座しているUMAの正体に触れるときの、生あるモノへのこの上ない憐れみ…このどーしょーもないおばはんが食い意地が張ってて淫乱で下品なのは、自分の生命活動に忠実であるからで、それはとりもなおさず、自分も含めた世界の「生命」そのものを深く深く愛しているからこその行為なのでは…なんてのは買いかぶりすぎですかねえ(笑)
実は俺、1巻読み終えた段階で、馬子さんの正体に見当がついてしまったりしてます。多分当たってると思いますが…結構、分かった人って多いかもなあ。
 あと、余談ですが各エピソードのサブタイがウルトラセブンなのも、とてもシンパシー感じちゃって、気に入ってます。う〜ん素敵。

UMAハンター馬子 1
田中 啓文
早川書房 (2005.1)
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