「アルレッキーノの柩」真瀬もと

アルレッキーノの柩
真瀬/もと??著
早川書房 (2005.6)
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メーリングリストで「面白かった」という評判を見かけて、衝動買いをしたんですが。長い!とにかく長い!設定は魅力的で、<十二人の道化クラブ>の設定とか、ハートレイの魔女の呪いとか、19世紀ロンドンの舞台仕立てとか、面白いと思うんですよ。なのに長さばっかり気になって乗れないのはなんでかなー。途中から速読で読んでましたが、それで丁度な感じ。文章も上手ですっきりはしているのですが、なのになんだかサクサク読めない。しんどく感じる。かといって、描写が微に入り細に入って、雰囲気が出てたり素晴らしいペダントリイが詰め込まれているかといえば…そうでもないのですよねえ。別にくどい文体というわけでもないと思うのですが…やっぱりメリハリがないということなのでしょうか…もう少し物語の焦点を絞って、テンポ良くした方が良かったのでは。で、じっと考えてみると、ああそうか、これは良くも悪くも少女小説なのだなと。作者さんの思い入れ、感情移入、キャラクターを愛する心、そういうものがありったけ詰め込まれている。そういうものにシンパシーを感じる純なお年頃の女の子なんかは、長ささえクリアできれば、きっと楽しく読めるのでしょうが、俺のような最初から眉に唾つけて読みたがるひねくれオヤジが読むと、そういうのが過剰で無駄な部分に感じられてしまう。その意味で、この小説がこの作者さんにとって「大人向け」に書かれているとしたら、その試みは失敗と言わざるを得ないでしょう。