シグルイはどこまでいくのか

シグルイ 5
シグルイ 5
posted with 簡単リンクくん at 2005.11.23
山口 貴由 / 南条 範夫
秋田書店 (2005.11)
通常24時間以内に発送します。
んー、なんかどんどん表紙が怖くなっていくなあ。真夜中に表紙の伊良子と目があったら泣いてしまいますよ。
原作を読む前は、シグルイに出てくる数々の異形の武芸者たちはみな原作に登場するものだと思っていたが、これら八割方山口氏のオリジナルだと知ってからは、その独創性・想像力に舌を巻くばかり。やはり山口氏は天才。まあ、この「無明逆流れ」の押し広げっぷりから考えると、おそらくは「駿河城御前試合」の他のエピソードが漫画化されることはなさそうですが、それでもいいや。ここまで面白くしてくれるのなら。検校の思惑も絡んで、御前試合までの道のりはやっぱり相当に長くなりそう。何より、藤木ってばまだ両腕あるしな。
あと、更に原作読了後にしみじみ感じるのは、シグルイの中で度々出てくるナレーション、モノローグの類の文章の格調の高さ。漫画の領域を脱しているので、てっきり原作からの引用だと以前は思っていたわけですが、これも山口氏の手になるものってことで…鬼気迫る文体、行間から漂う異才。小説家にもなれるんじゃないですか、山口氏。天才。天才としかいいようがない。

ピルグリム・イェーガー 5
沖方 丁 作 / 伊藤 真美 画
少年画報社 (2005.10)
通常24時間以内に発送します。
ロヨラ師にザビエルくん大活躍。そして「蛇」さん本領発揮に、銀貨集結(全員じゃないけど)。見所多し。ただ、アデールとかカーリンはぶっちゃけどうでもよくなってきました(笑)。これだけキャラ多いとなあ…誰が主役かわかんないっす。今月のOURSの表紙もロヨラさんとザビエルくんだし(笑)

無論初回限定版でゲトしましたよ。うひひ。トイレ4コマ大爆笑。表紙はとうとうリンくんですか。登場が遅かった人なのに、もうかなりメインな人になってます。若くして王の器を全開の漢っぷり、そして戦闘時の頭の回転の速さ。捨て身で敵を出し抜くランファンの覚悟と相まって、ちょーカコイイ。しかし、物語も大分核心部分に迫ってきた感じしますね。クライマックス近いのかな。


ニライカナイ 6
岡田 芽武
講談社 (2002.12)
通常2-3日以内に発送します。
結構長くかかってしまいましたな。全6巻読了までに。途中、いろいろと話がぶっとんで、最初の話はどうなったんだ、と思うようなトキもありましたが、一応きちんと着地を決めましたな。しかし、この線の多さとトーンの大量使用っぷりは…いったいどんだけ手間がかかってるんだろう。えらいなあ。岡田さん。

「セリヌンティウスの舟」石持浅海

セリヌンティウスの舟
石持 浅海
光文社 (2005.10)
通常24時間以内に発送します。
「扉は閉ざされたまま」に続いて、限定されたメンバーと空間の中、細く焦点を絞り込んだ推理で一転二転するパターンのお話。今回は、ディスカッションで推理が展開されるので、毒チョコ風味。「友情」と「自殺の真相」についての推理なんですが、こういう話では得てして、登場人物たちの暗黒面をあぶりだし、互いの不信をあおり立てる形でサスペンスが盛り上げられる傾向が強いものですが、この話の場合はどこまでもお互いと自殺した人を「信じ抜く」ことによって真相に迫ろうとしている点が斬新に思います。ただ、やはり「信じる」ことが前提であるため、お互いの疑わしい点を指摘する切っ先が随分甘く、推理合戦としてはいささか緊張感に欠けます。それでも、「走れメロス」と巧くからめた謎と真相は、やはり石持氏の面目躍如という感じ。リーダビリティも良いし、サクっと面白く読めました。