ケータイ小説を読んでみた みたいな。

ちょこっとトウがたった本読みである私、ケータイ小説ってものに対して
偏見を持っていました。
読んだこともないのに。
まあ、偏見って知らないから持つものだと思いますけど。
(偏見内容)
・ギャル文字で書かれているのではないか
・交通事故とか不治の病とかが出てくると思う
・誰か妊娠する気がする
・そもそもストーリーはあるのだろうか
・恋人が記憶喪失になったりして
一部韓流ドラマと混在してますが、こんな感じです。


それがですね、この間、ちょっときっかけがあって、読んだんです。
あたし彼女』。
最近ケータイ小説大賞を受賞したそうです。


感想ですが、



感想?

いやー

びっくりした

みたいな。


(※ケータイ小説愛好家の皆様には、
失礼な表現が多々入ることをあらかじめお断りしておきます。)


何にびっくりしたって、「意外と読めた」ことにびっくりしました。
なんだ、読みづらいけど読めるじゃん!
文体もかなり独特だけど、確立されてるし!
純粋に小説として評価すると、はっきりいって
「・・・これが大賞!?」って感じですけれど
予想より随分ちゃんとしてました(何を想像していたのか、私)。
少なくとも最後までついていって読めたもの。
(途中で投げ出しちゃうんじゃないかと思ってた。)


この小説を読んで、ケータイ小説のお作法というものが
なんとなくわかった気がする。
他を読んでないので、単に『あたし彼女』の特徴かもしれないけど、
ざっと挙げると
・一行にあまり長く文字を書かない(長くて10文字くらい)
・あんまり漢字を使わない
・とりあえず改行する
・文を強調したい時は改行しまくる


つまり、ページ数の割にはものすごく文字数が少ないのです。
(きっと、長いと読者が飽きちゃうんだと想像しています)
これを守ると、どうしても情報量がぐっと減りますよね。
この制約の中でストーリーを展開して、
なおかつそれを読者にわからせないといけない。
厳しいです。
あたし彼女』作者は、そういう意味ですごいと思いました。
がんばったなぁー、この人。


そんなわけで、『あたし彼女』読了後、ケータイ小説への誤解は
こんなふうに変わりました。
・ギャル文字 ⇒ 読みづらいけど、ギャル文字ではない。
ただし、「もぉ」とか「本とに」とかものすご読みづらい!
言いたかないけど使役文がことごとく間違ってます!わざとですか?
・交通事故、病気⇒事故は出てきました。不治の病はなかった。
・妊娠⇒出てきた出てきた。
大昔のトレンディドラマっぽいぞ!と思ったんだけど
こういうのが今の高校生とかが考える恋愛ドラマなの?
・ストーリー⇒実はちゃんとありました。
すんごいクラシカルなストーリーが。
なんなら平安時代までさかのぼれそうな骨格をお持ちでした。
・記憶喪失⇒出てこなかった(そりゃそうだ)。


最初に書いたとおり、小説として決して質の高いものではなかったので
もう1度読もうとは思わないです。
これを機に他のケータイ小説を読んでみようとも、正直思わないです。
でも、意外とケータイ小説ってのもアリな世界なんだな、
ということがわかりました。
これからは、ケータイ小説についてむやみに否定しなくなると思います。
そして、ケータイ小説読者たちにお知らせしたい。
ぜひ、普通の小説も読んでみてください。
おもしろいのがいっぱいあるから!
本屋でちょこっと立ち読みして、合うものだけでいいので
読んでみてほしいと切に思います。
スクロールで読書するより、ラクだよきっと。


ちなみに冒頭の「〜みたいな。」という口調、
あたし彼女』の文体なんですけど、インパクトありすぎて
読んだ後しばらく、すべての語尾に対して「みたいな」が
自動的に付与されます。
これは何も私ひとりの現象ではないようで、
自分のブログの文章を『あたし彼女』口調に変換してくれる
「あたしブログ」というサイトまで
できてます。
興味あるかた、お試しあれ。