JPモルガンの巨額損失、米議会での金融規制論議に影響

JPモルガン・チェースがトレーディングで巨額の損失を
出したことを受け、金融業界に対する
米議会の視線が厳しさを増しており、
金融規制改革の議論に
影響を与える可能性が出ている。

上院のリード民主党院内総務は
JPモルガンの行動を「ギャンブルだ」と非難。

共和党は、金融規制を
緩和する計画に待ったをかけた。

民主党共和党とも、11月の選挙を控えて
JPモルガンの問題がもたらす政治的影響を
見定めようとしているが、リード院内総務の対応は早く、
JPモルガンはビジネスをラスベガスに持って行ったようだ。
なぜなら、彼らがやっていることはギャンブルだからだ」
と痛烈に批判した。

一方、オバマ政権の関係者の対応は慎重。

JPモルガンに在籍したこともあるデイリー元首席補佐官は
「銀行はリスクを取らざるを得ない」と擁護。

「現在は重大な時期であり、こうした問題には
真剣なコメントを出さなくてはならない。銀行が
ギャンブルを行っているとは思わない」と反論した。

ガイトナー財務長官は、巨額損失はリスク管理のまずさが
原因だとしながらも、JPモルガンに対する攻撃は控え、
今回の問題は2010年のドッド・フランク金融監督法に
定められた厳しいルールが妥当であることを示している、
との認識を示した。

クリントン政権で財務長官を務めたサマーズ氏も、
今回の問題を受けて金融セクターの改革を進めるべきだと指摘。

「今回起きたことを考えれば、誰でも安全のバッファーや
資本及び流動性に関する基準は高いほど望ましい、
という考えに傾きがちになるだろう」と述べた。

共和党議員は多くが今のところ慎重に対応しており、
結論を出す前にさらなる情報が必要だとの姿勢を示している。

ルーカス下院農業委員長は、スワップに関する規制についての
採決を延期する考えを表明。その法案はJPモルガンの損失問題とは
無関係だとしながらも、委員会は時間をかけて情報収集を
進めるべきだとの認識を示した。

上院銀行委員会のリチャード・シェルビー共和党筆頭理事は、
ダイモンCEOと規制当局者を公聴会に呼び、何が起きたか
説明を求めたいとの考えを示した。

共和党の大統領候補に事実上確定しているロムニー氏の陣営は、
JPモルガンの巨額損失は自由経済における不幸な側面だと指摘。

ロムニー候補はある程度の金融規制を支持しているが、
今回の問題は納税者を巻き込んでおらず、金融セクター規制が
投資を損なうことがあってはならないと主張した。