ECB先行きに自信、9日から国債買い入れ=ドラギ総裁

ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は5日、理事会後の会見で、
来週9日から国債買い入れを開始すると明らかにした。

同時に公表したスタッフ予想では、
今年と来年の成長率予想を引き上げた。

国債買い入れは当面、2016年9月まで継続し、
必要なら延長も視野に入れるが、成長予想の
引き上げは買い入れ延長を困難にすると
みられている。

主要政策金利であるリファイナンス金利
予想通り0.05%に据え置いた。

上限金利の限界貸出金利は0.30%に、下限金利
中銀預金金利もマイナス0.20%にそれぞれ据え置いた。

ドラギ総裁は「ECBは2015年3月9日にユーロ圏の
公的証券の流通市場での買い入れを開始する。

前年に開始した資産担保証券(ABS)、及び
カバードボンドの買い入れも継続する」と述べた。

ECBは月額600億ユーロ(667億4000万ドル)の国債
及び一部民間部門資産の買い入れを計画している。

今年の域内総生産(GDP)見通しは1.5%で、
12月予想の1.0%から引き上げた。

2016年も1.9%と、12月予想の
1.5%から上方修正した。

ドラギ総裁は記者会見で「最新の経済統計、とりわけ
2月までに判明した調査では、年初時点で経済活動が
多少ながら一段と改善したことがうかがえ、
今後についても、景気回復は裾野が広がり、
段階的に力強さを増すものとみられる」と指摘。

「ユーロの経済見通しをめぐるリスクは、
依然下向きだが、最近の政策決定、及び
原油安を受けて後退した」と述べた。

今年のインフレ率見通しは0.0%と、
12月予想の0.7%から引き下げた。

2016年は1.5%と、12月予想の
1.3%から引き上げた。

2017年は1.8%としており、2%弱の目標と
整合する水準まで回帰すると見込む。

ギリシャに対しては、緊急流動性支援(ELA)枠を
5億ユーロ拡大し約690億ユーロとしたと表明。

同国の銀行には支払い能力があり、資本水準も
最低要件を満たしているとの見方を示した。

そのうえで、ギリシャの銀行システムが支払い能力を
有していることがECBが同国に対するELAを承認する
前提条件となっているため、支払い能力維持が非常に
重要になっていると指摘。

ECBがユーログループ(ユーロ圏財務相会合)に対し、
突発的に緊急事態が発生した場合、資本増強に向け
約100億ユーロの資金が利用できるように用意を
整えておくよう要請したことを明らかにした。

ただ、ECBはギリシャの短期債発行上限の
引き上げは承認しないとした。

また、ギリシャ国債は9日に開始する
国債買い入れの対象にはならないと述べた。

ドラギ総裁は、買い入れ対象の国債について、
現在マイナス0.2%となっているECBの
中銀預金金利を下回らない限り、買い入れを
行うと明らかにした。

ECBのQE計画では、ユーロ圏の各国中銀は
自国の債券市場での買い入れに専念する。

リスクを共有すれば、損失の穴埋めを
押し付けられかねないと危惧する
ドイツの懸念を軽減するためだ。

ECBが買い入れの対象とする国債
不足するのではとの懸念もある。

市場には資金があふれているほか、銀行は
国債など質の高い資産を保有することを
義務付けられている。

ドラギ総裁はユーロ圏の国債の半分以上は
域外の投資家が保有しているとし、「複雑な
問題もあるだろうが、重要ではないと
考えている」と述べた。

総裁はまた、今度はユーロ圏各国の
政府が役割を果たすべきだとけん制。

構造改革を通じて景気回復に確実に
寄与する必要があると強調した。