2012-02-11 2011年本の収穫
■力強さを失った日本 「中国化」するしかないのか
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120210/biz12021010030009-n1.htm
典拠となっている「若手歴史学者、與那覇潤氏の著書「中国化する日本」(文芸春秋社)」、これをこの際に推したい。それこそ、梅棹忠夫の『文明の生態史観』に匹敵する、むしろそれを更新するような重大著作な割りに、どんな辺鄙な地の書店でも山積みになっていて当然なのに、そうでない。これを取り扱わない本屋(実体は取次か)なんてものは見識を問われる。
アンドレ・グンダー・フランクの大著『リオリエント』を読んだ者からすればそれほど意外でもないが、一般の読者の常識を覆す、しかし言われてみれば腑に落ちるに違いない歴史観が提示される。あれを理解するということは、こういうふうに誰にもわかるように誰にとってもの関心事の次元で言えないとダメなんだなと、こちらは猛省した。
しかし著者は、何もA.G.フランクの解説者なのではなくて、独自にこういう史観に達したものらしい。この本が昨年末で、年頭にでていたのが、
■帝国の残影 兵士・小津安二郎の昭和史
- 作者: 與那覇潤
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2011/01/14
- メディア: 単行本
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で、年末に『中国化する日本』を読んであわてて、出版から一年以内にギリギリ滑り込むタイミングでこちらも読了した。小津映画ってものはだいたいスノッブのブランドで、それだけではかえって興味がないのに、著者への興味いっぽうで読んだが、やはり面白い。
本の内容の説明とか端折り、面白いと個人的に思う核心だけ述べると、この著者の日本と中国を等距離に眺められるスタンスである。これは著者の姓から容易に推測できるように、ルーツが琉球の人であるのが大きいであろう。それはどこか、チェコスロヴァキア初代大統領マサリクが『ロシアとヨーロッパ』をものしたスタンスに近いものが感じられるのである。
ここで改めて批判しておきたいのは、同じく内藤湖南のテーゼから出発しながら、ただ「日本に古代はあったのか」などと一国内的に矮小な次元に落としこむ、井上章一国際日本文化研究センター教授である。結局のところ彼は、武士による関東の革命政権樹立と先行する全共闘世代に対して、それぞれ反動的京都人にして日和見保身世代としてルサンチマンにもとづく陰険なせせら笑いを浴びせかけたいだけなんであろうが。
2012-02-08 続々プッチベスト12
■12 青春のセレナーデ / 真野恵里菜
以上のようなベキ両者の楽曲充実もヨゴレの一言で斬って捨てるかもしれぬ、ハードコアな清純派支持者(いわゆるマノフレ)のアイドルがマこと真野ちゃん。それは例えば、清純ダンス・ナンバーというような矛盾を綱渡りのように試行する本作にも如実である。つんく♂みたいなダミ声で合いの手を入れられるなんぞ拒絶して女声(本人?)でシャランラシャランラと入るが、再放送の昭和40年代TVアニメに親しんだ者からすれば、それは「魔女っ子メグちゃん」主題歌を想起させて、いかがなものか。往時の衒学雑誌「遊」の歌謡曲特集における著名人のフェイヴァリット曲アンケートで、それ以外の回答者もそれ以外の回答も忘れてるのに、そのアニメソングの回答だけ強烈に記憶するのは、沼正三ないし天野哲夫によるその選が奇抜でありながら、生理が始まって色気づいた小学生女子の同年代男子を圧倒するティージングを歌い込んで希代のマゾヒストを感服させる道理に頷かされたことだった。
■13 My Days for You / 真野恵里菜
鈴木俊介による流麗なアコースティック編曲がいかにもらしい。これをデビュー曲といっても、まだ通用しそうなくらいフレッシュさを維持する。つまりは、その作品世界と本人の性格あるいは体質におよそ乖離がない。それゆえマノフレの信がいよいよ厚いわけであるが、これがそのうち裏切られる事態もないとはいえないだけに、まさに累卵の危うきに成立する美学である。
■14 ショートカット / スマイレージ
あえて詳説は避けるが、すでに裏切った主要メンバーが円満に卒業ならぬ、いわば中退させられたチームがスである。あざといまでに甘い歌声がもともと苦手だったから、一連の騒動に意外さを感じなかった。Perfumeの路線をハロプロなりにフォローしたものでもあるけれど、やはり個人的に無理。
■15 タチアガール / スマイレージ
モ以外の妹分として異例の増員後も相変わらずの路線を行く。さすがに一旦凹んだがタチアガールというわけである。なんにせよ今後の挽回に期待するしかないが、モ本隊が9期から間を置かず10期の増員を決めたのも、高橋脱退の空白を埋める意味以外に、年少チームとしてここだけを当てにできないとする保険の意味もあるだろう。
■16 雑草のうた / Buono!
ベキ選抜チームのロックンロール・アイドルぶりに、これまで賞賛を惜しまなかったが、ベ「愛の弾丸」を聴いたあとでは、コンテンポラリーな流行に棹差すエモ曲調も、不良「少年」に仮託する歌詞も安易に感じる。統一された路線がよかったにしても、そろそろマンネリが見えてきたか。
■17 アサアサンバ / 久住小春
モOGにしても(現ドリームモーニング娘。)今では彼女はハロプロに在籍しない。これまでの本シリーズでもあった、おまけレア音源でゲスト出演(?)。ここでの彼女は、テレ東系の朝のこども番組「おはスタ」のダンシング筋肉おかま仮面ドン・ファンと同じカテゴリーでコミックソングを歌うお姉さん。曲調も歌唱力も三浦理恵子「水平線でつかまえて」とほぼ同じなのに、この相違は両者のキャラに帰するよりない。しかし7期単独加入でミラクルと呼ばれた彼女がこうなるとは(これも女性誌のモデル抜擢もそれなりに成功ではあるが)大いなる誤算だった。
■プッチベスト12から見る2011年のハロプロ
モベキマスといえば全部の、5ポイントに絞られたことと、以前にもやってたオールスターズ(これが実は秋元の悪事にヒントを与えたのかも知れない)同様に集合することで大人数グループとしても対抗できる態勢を再構築したことが、まず見て取れる。さらにこの5単位を適宜組み合わせて簡易にシャッフル(はしてないが中規模の)ユニットを機会ごとに出していくという新方針ができた。
モーニング娘。は高橋卒業で時代を画する。9期で鞘師という次世代エース候補も確保された。卒業と同時に10期も補充されて、数の上ですでに年少組が上回るリフレッシュを遂げたが、これは今後に期待の要因。
とにかくベリキュー二組の成長が瞠目すべきものである。娘。の長老(!)5・6期同様まだまだ現役バリバリのアイドルなので、リニューアルしたスマや娘。新メンバーが戦力化するまでの時間稼ぎもやれる。その後ですら、さすがに太陽とシスコムーンまでは行かないが、かつてのメロン記念日のような、熱いライヴ・アイドルグループ(が二組!)としてサヴァイヴァルは保証されたといえる。
今回Buono!には点が辛かったが、非つんく♂作品でインパクトを与えてベリキューに還元された要素は大いにあるので存続を希望する。
やはり非つんく♂系の真野ちゃんは、思春期的作品世界を完成している。しかし時間が凍結できない以上、どこかでなんらかの「卒業」があらざるをえない。どういうふうにソフトランディングできるのかが課題だ。
スマと小春は各論に付け加えること無し。
2012-02-07 続プッチベスト12
■6 ヒロインになろうか! / Berryz工房
続いてベである。エレクトロニカのスピード・チューンで畳み掛けるソロ交替、サビに行くブリッジがまたプッチモニ風なのがおかしいが、おおむね初期の「なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?」のヴァリエーションといえる。だがかえって、無意識にローティーンの頃と比較され、成長の著しさに驚かされる。
■7 愛の弾丸 / Berryz工房
これはまたなんというリッチー・ブラックモア節か。アレンジは山崎淳という人かとライナーを見たが違った。けだし、人気絶頂の黄金期に対して(9thアルバムタイトルにもかけて)プラチナ期ともいわれる高橋主導モ本隊の名曲「悲しみトワイライト」のブライアン・ロバートソン節と双璧をなすブリティッシュ・ハードロック歌謡を歌いこなすまでになっているということなのだ。
■8 Kiss Me 愛してる / ℃-ute
ベのライヴァルがキである。基本デッド・オア・アライヴみたいなハイエナジーだがキーボード使いがジャーマン・メタルっぽいクラシカル・フィーリング…まあこれもベの6と同系統(唄い終わりのソロとか特に)。こっちの方が歌唱にアイドル的な(良い意味の)甘さがややまさっている。いずれにしろ伊達にキャリアを積んでない両チームだ。
■9 桃色スパークリング / ℃-ute
イントロがちょっと松田聖子クラシックスの「夏の扉」を思わせるように(というか、全体がもうオマージュか)、王道中の王道を行くアイドルソングに拝跪せざるをえない。この甘さが最高なのである。
2012-02-06 プッチベスト12
■前口上
最近当地でハロプロ公演あっても会場付近通りすがって初めて知るくらいで、あえてジツ券買って入場しようともしないし、もはやファン活動といえるのは、年末発売のこの年度オムニバス盤の購入のみとなってしまった次第である。
およそ傍観者の位相にあるわけだが、かなり好意的であることはたしかで、そういうアティテュード、観点でアイドル集団が定点観測されることに、意義を見出せる人は見出していただければよい。
このハロプロが唯一正統アイドルとして現状どのような段階にあるかという解説は、すでに前年済ませたので過去記事の参照を願った上で、今回はアルバムに直参いたす。
■ジャケット
- アーティスト: オムニバス
- 出版社/メーカー: UP-FRONT WORKS
- 発売日: 2011/12/07
- メディア: CD
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例年は、各チームのメンバーの写真をただ合体させるだけの芸のないものだったが、今年はチームごとにトランプのカードふうにあしらう統一されたゴシックなデザインがしゃれてて、珍しくアート・ディレクションに気を使う、いい兆候が見られる。
■1 ブスにならない哲学 / ハロー! プロジェクト モベキマス
さっそく収録曲を順に聴いていくことにしたい。初っ端のこれは、以前でいうとH.P.オールスターズといったところが、今はH.P.(ハロプロ)の第一線チーム・ソロが五組に整理されているので、その沓冠体がチーム名だ。出だしの感じが、ずっと昔、最初のシャッフル・ユニットのひとつ黄色5ぽくて懐かしい。全体はけっこう「アントキノ」ハロプロっぽいクールなR&Bナンバーに仕上がっている。内容がよい意味で裏切る、こういう思い切ったタイトルのつけ方も独特だ。
■2 負けるな わっしょい! / ベキマス
モ以外のチームだというのが名前からわかるが、コンサート会場限定発売のシングルだったらしい。古くはプッチモニの「BABY! 恋にKNOCK OUT!」、モーニング娘。「いきまっしょい!」なんかに近い、勢い一発の和風ダンス・チューンで、ライヴでこそ真価を味わえるようなものだが(だから会場限定なのか)中堅メンバーたる彼女らのパフォーマンスの充実は感じられる。
■3 まじでスカ! / モーニング娘。
さて、本隊モの登場だ。9期メンバー加入後初、通算45枚目(にもなるんだなあ…)のシングル。曲調スカのレパートリーは2002年の16thシングル曲「ここにいるぜぇ!」とか(もっと前にプッチモニのデビュー曲にしてミリオンセラー「ちょこっとLOVE」もそう)あったので、お手のもの。新人のフレッシュさを吸収しながら、さすがに本隊らしい貫禄を見せている。
2012-01-30 帰ってきた赤い日記帳 p. 75
■某月某日
今月はまた盛大に買ったものよ、と我ながら呆れつつ記す。まずは「京」の古本フェア。やや高めの(というか個人店なら普通なのか)価格設定ながら、掘り出しが多いのでいつも行っている。今回も、ラーゲルレーフ「幻の馬車」180円、小島政二郎「円朝」上下各巻150円・「聖体拝受」「吟味手帳」、長谷川幸延「大阪歳時記」、野崎六助「獣たちに故郷はいらない」、P・ガスカール「ランボオとパリ・コミューン」各500円。
「梅」に戻って「ビル地下」。ステファーヌ「冒険家の肖像」、松田道雄「在野の思想家たち」、E・ロミリー「ぼくはスペインで戦った」3冊475円。
駄目押しで「東通」。長谷川公昭「ナチ占領下のパリ」、アンソニー・ストー「孤独」各200円、和久田康雄「日本の私鉄」100円。ひとつには買い換えたバッグの以前に増した大容量という要因もあるだろう。
■某月某日
「さん」半額セールで、谷沢永一「読書人の観潮」400円、安藤彦太郎「中国語と近代日本」、吉村忠典「古代ローマ帝国」、山内昌之「イスラームと国際政治」、梓澤要「遊部(上)」各52円。
「ユザT」で、ベイビーフェイス「THE DAY」、エアロスミス「ア・リトル・サウス・オブ・サニティ」各100円。エアロスミスは投売りだなあ。
「メト」。有栖川有栖「月光ゲーム」、土屋隆夫「推理小説作法」、吉行淳之介「鞄の中身」、水上勉「才市・蓑笠の人」各100円。
「鷹」で〆。ジャネット・ジャクソン「オール・フォー・ユー」、月刊GOLD WAX2001年9月号各105円。
■某月某日
「京」2回目は当地BOから参る。石射猪太郎「外交官の一生」、カレル・チャペック旅行記コレクション「北欧の旅」各250円文庫セールなんだが、それほど安くない。
会場もそこそこ。「ザ・ベスト・オヴ・ニナ・ハーゲン」未開封、「キャンパー・バン・ベートーベン」、カントリー・クラシックスVOL.2「ホンキー・トンク・ヒーローズ」、本庄桂輔「サラ・ベルナールの一生」各500円、J・フォークト「新訂 世界史の課題」箱欠300円、山本光雄訳「プラトン書簡集」250円、M・エーメ「猫が耳のうしろをなでるとき」200円。
ところが、はじめて京阪電車に乗って「大江」にいたると、とんでもない大漁だ。G・スタイナー「脱領域の知性」、G・バシュラール「空と夢」、ツヴァイク全集9「デーモンとの闘争」月報付、マイケル・サリバン「中国美術史」、飯沢匡「反骨の絵師 歌川国芳」、川合貞吉「土着の反権力闘争と民乱」、川村湊「戦後批評論」各300円。