メディヘン5

時々書く読書感想blog

エリザベス・ベア『HAMMERED』『SCARDOWN』『WORLDWIRED』<サイボーグ士官ジェニー・ケイシー>

HAMMERED―女戦士の帰還 (ハヤカワ文庫 SF ヘ 9-1 サイボーグ士官ジェニー・ケイシー 1)SCARDOWN―軌道上の戦い― [サイボーグ士官ジェニー・ケイシー2] (ハヤカワ文庫SF)WORLDWIRED―黎明への使徒― (ハヤカワ文庫SF)

あらすじ

舞台は、資源枯渇と環境破壊で世界が傷ついた近未来。ヒロインのジェニー・ケイシーは、第三世界でのPKFに従軍し傷ついた体をサイボーグ化された退役兵士。痛む体をかばいながらニューヨーク近郊のスラムで暮らしていた彼女は、故郷カナダから軍務への復帰を強制され、異星人のテクノロジーを使って建造された超光速恒星間宇宙船のパイロットとなる。かつての仲間やリチャード・ファインマンをモデルにしたネット上のAIに助けられたジェニーは、イニシアチブを取り戻し、カナダ国内の陰謀や中国の超光速宇宙船、姿を表した異星人たちといった脅威に立ち向かう……

感想

3月〜5月の3ヶ月連続刊行ということで、今年前半のハヤカワ文庫SFの目玉じゃないですか。表紙もタイトルもカッコいいし、『SFが読みたい! 2008年版』の刊行予定を見て以来、ミーハーに楽しみにしてきたわけです。

読んでみると……どうもイマイチ、ピンと来ない、という感じ。まず、主人公のジェニー・ケイシーが50歳の女性で退役軍人というところから感情移入しにくい。そして、不惑を遥かに越えた彼女が、昔の上官を忘れられずに彼を中心にした三角関係に悩むといったあたりでワタクシにはちとついて行けない気分となりました。

ストーリーの方も、サスペンス、アクション、カタストロフとテンコ盛りで、最後はファースト・コンタクトまでこなしてしてしまうサービス精神全開の大盤振る舞い。しかし、ちと話を膨らませすぎでは? 展開が激しすぎて、こちらも登場人物に感情移入できない原因だったかも。まあ、目一杯詰め込まれているという意味では、お買い得であります。

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