ル・グウィン『いまファンタジーにできること』
ファンタジーに興味のある人、もっと広くいえば、フィクションに興味のある人、もっといえば小説が好きな人に是非読んでもらいたいル・グウィンの評論、講演集。「メッセージについてのメッセージ」は秀逸。

物語が「メッセージをもっている」という考えは、その物語を二、三の抽象的な言葉に縮小することが可能だということ、学校や大学の試験で要求されるように、またそっけない書評に見られるように、コンパクトに要約できるということを前提にしている。もしそれが真実なら、どうして作家はわざわざ、キャラクターや人間関係やプロットやら風景やらをつくりあげる苦労をするのだろう? どうして単にメッセージを示して終わりにしないのだろう? 物語は考えを隠すための箱なのか?

P170

いまファンタジーにできること

いまファンタジーにできること