浜松HAPPY化計画ブログ

鈴木めぐみが見つけてきたあんなコト・こんなコト

限界集落と村の自治

京都府綾部市で開かれた「全国水源の里シンポジウム」に参加した。シンポは「いま考えよう水源の里〜おみやげが元気」をテーマに、全国水源の里シンポジウム実行委員会が主催した。
http://www.city.ayabe.kyoto.jp/view.rbz?cd=1760

初めての全国シンポジウムということで、会場に入りきれないほどの参加者と報道陣の数だった。
会場に入る前にテレビのインタビューを受けた。
「どちらからですか?」という問いに「静岡県の浜松から来ました」と答えると、相手は怪訝そうな顔をした。
そりゃ、そうよね。政令市の浜松の議員が、なんで限界集落、水源の里のシンポジウムに来るのかって疑問だよね。
そこで、「浜松は12市町村合併をして、限界集落の問題が新たな課題として出てきたのです」と補足した。

政令指定都市浜松も、限界集落の問題に大いに関係があるのだ。

*「限界集落」とは、65歳以上の高齢者が集落人口の半分を超え、冠婚葬祭をはじめ、生活道の補修管理等の社会的共同生活の維持困難な状況にある集落のこと。(大野晃著・山村環境社会学序説)
シンポジウム主催の綾部市の四方八洲男市長は、限界集落という表現は、水源を守ってきた人々に失礼で、感謝を込めて、水源の里と名付けている。綾部市は今年4月限界集落の再生をめざす「水源の里条例」を5年間の期限付きの条例を施行した。
<浜松の状況>
佐久間、龍山、春野、水窪地域の中で、
  高齢者(65歳以上)が半数以上を占める集落が46集落。
  そのうち、機能維持が困難の可能性がある集落が18集落
  機能低下している集落が17集落



高齢化・過疎化が進み集落機能の維持が困難になった水源の里をどうして守っていくかーーを議論する全国水源の里シンポジウムが18日、綾部市京都府中丹文化会館で開かれた。同じ悩みを抱える全国の自治体関係者や地元民ら804人が参加。消滅の危機にある「限界集落」の再生と活性化に向けて意見交換した。

 
<基調講演>

長野大学の大野晃教授が「いまなぜ限界集落か〜あすの日本を見つめるために」の演題で基調講演した。
限界自治体限界集落、山の荒廃、流域協同管理、住民の主体形成の5つのキーワードを示した。準限界集落を存続集落にしていくための「予防行政」が必要。「集落を失えば、伝統文化は無くなり、山は荒廃する。下流に住む住民にも水害の増加や海の環境悪化が起こる。森林環境交付税の創設などで国民全体での支援が必要」と訴えた。コンパクトシティでは、お年寄りが住みにくい。自分たちの手で自分たちの町を何とかしていこうという住民の主体の形成が必要だ。そして、住民自ら、自分たちのまちの課題を政策化していくチカラ、草の根の政策提言が必要だ。高知県十和村の女性たちの事例などを紹介。

<パネルディスカッション>
綾部市の水源の里の住民による現状報告の後、綾部、新潟県上越市などで地域振興に取り組むリーダーらが意見交換。集落の人材育成や若者の定住、生活基盤整備などについての課題や活性化策が紹介された。
綾部市では、集落の人たちがその気になってくれれば、まだまだ活性化すると考え、5年間限定で支援策を用意した。
市長自ら、集落に出かけ、膝を交えて、話し合いをしたそうで、最初は「無理」と言っていたのが、意識が変わっていったそうだ。5年間限定は、事業のスピードアップをはかるためだ。条例ができたことで、外に出た集落の出身者の耳に届くようになったり、行動を移すきっかけになった、「たかが条例、されど条例:

上越市に合併した安塚町も、「雪国文化村構想」を掲げ、交流人口を増やし、町づくりを進めているという。


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限界集落、あるいは準限界集落は、このままほっておいてしまうと、消えてしまう。あるいは、まちの発想でそろばん勘定すれば、非効率な集落だ。だったら、集約して、集落再編してしまおうって、なりかねない。(これが、一方で国が推進をしているコンパクトシティの考え)

8月に行った水窪の大沢地区では、300年も前からずっと世帯数は変わらず、7戸か、8戸。これ以上増えると豊かさを維持できなくなるということで、ずっと調整をしてきたのだという。大きな集落を昔から望んでいなかったのだ。

さて、こうした集落を持続可能にしていくためには、集落に住む人たちが村を守っていく気持ちが大事で、そのとき外のネットワークを活用していくことが大事だと今回のシンポジウムで学んだ。



そして、下流に住む私たちが、上流のことを考え、現地を訪ねることから始めることではないだろうか。これからのこと、一緒に考えよう。