All You Need Is Kill/桜坂洋/スーパーダッシュ文庫

All You Need Is Kill (スーパーダッシュ文庫)
よくわかる現代魔法」で人気急上昇中の桜坂洋の新刊。「よくわかる〜」の方は未読。神林長平が帯に推薦文を書いたり、作者自身もSFマガジンに短編を載せたりと、最近なにかとSF寄りの人。地球外生命体との戦争の最中、「ループ」に巻き込まれた男がなんとかそこから脱しようとする、というあらすじ。ゲームのガンパレに似てるという人が多いですが、私はそっちをやったことないのでラノベで言うと、「E.G.コンバット」のような雰囲気を感じました。

冒頭、いきなり戦場から話は始まります。毒づくような文章と緊迫感に結構引き込まれたのですが、その後のテンションは基本的に右肩下がりかな……?こういう題材でやるんならもうちょっと時間をかけて、せめて上下巻でやるべきだったような気がする。主人公が状況に適応するのが早過ぎることもあって、異常事態に
永遠とも思える長い間、1人で向き合っている主人公、という感じがあまりしなかった。一時期の荒んでる主人公とかは結構好きですけどね。あの長年の苦悩の末の出会いもいい場面ではあるんだろうけど、キャラが弱いこともあって、うーん……。

多少曖昧なところもあるけど、やっぱり設定は面白かった。ループものってアニメでも漫画でもわりかしやり尽くされた感があるけど、寡聞にして私はこういう料理の仕方をした作品を知りませんでした。ゲームから着想を得たって聞いて最初はRPGを連想したんだけど、どっちかっていうと「マリオ」とかのアクションゲームですね。上げたレベルを次回そのまま持ち込めるわけでもなく、プレイ毎にキャラクターが強くなるわけじゃないけど、操作する方がやり込めば知識と腕がついていつかクリアできるようになる。ただ、生身の身体のままじゃいくら先読みできるようになっても限界があるとは思うけど……そこらへんは野暮な突っ込みか。