ファンタジア大賞受賞者のイマ(とりあえず第10回まで)
第11回以降辺りから積極的に追わなくなったため知識不足なので、これくらいで。続きは誰かやってください……というか、このリストも叩き台的な扱いで。
第1回 | 1989 | 備考 |
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準入選 | 神坂一『スレイヤーズ!』 | いまだに売れ続ける大御所。アニメ化 |
準入選 | 縄手秀幸『リュカオーン』 | 『スレイヤーズ』とは正反対の作風。受賞作以降沈黙? |
佳作 | 冴木忍『風の輪舞』 | 地味に生き残っている人 |
佳作 | 山本利津夫『リーヴァス』 | 短編でのデビューはあったとか? |
努力賞 | 鷲灘宰務『聖騎士物語』 | デビュー未確認 |
第2回 | 1990 | 備考 |
準入選 | 小林めぐみ『ねこたま』 | あまり途切れることなく作品を発表。『食卓にビールを』で人気 |
準入選 | 麻生俊平『ポートタウンブルース』 | 最近、MF文庫Jにて新作発表 |
第3回 | 1991 | 備考 |
準入選 | 秋田禎信『ひとつ火の粉の雪の中』 | 『オーフェン』がヒット。現在充電中?アニメ化 |
準入選 | 大林憲司『東北呪禁道士』 | 複数のレーベルを渡り歩く |
佳作 | 葛西伸哉『熱死戦線ビットウォーズ』 | 複数のレーベルを渡り歩く |
佳作 | 護矢真『漆黒の守護天使』 | 受賞作以降沈黙? |
佳作 | 原山佳奈『空が遠ざかったあと』 | デビュー未確認 |
第4回 | 1992 | 備考 |
大賞 | 五代ゆう『はじまりの骨の物語』 | 初の大賞受賞者。現在HJ文庫にて過去の作品が再版中 |
準入選 | まみやかつき『翡翠の魔身変』 | 受賞作以降沈黙? |
特別賞 | ろくごまるに『喪中の戦士』 | 夏は来た、が…… |
努力賞 | 羽広里子『SCRAMBLE MAKERS』 | デビュー未確認 |
第5回 | 1993 | 備考 |
準入選 | 川崎康宏『銃と魔法』 | 最新刊は今年2月、GA文庫から。固定ファンはいる模様? |
佳作 | 富永浩史『死天使は冬至に踊る』 | 架空戦記やノベライズ等も。今年12月、富士見から新作発表予定 |
奨励賞 | 雑賀礼史『龍炎使いの牙』 | 『リアルバウトハイスクール』が長期刊行中。アニメ化 |
第6回 | 1994 | 備考 |
大賞 | 滝川羊『神々の砂漠』 | 受賞後沈黙。数年前、復活の報がDM増刊に載ったものの、音沙汰なし |
佳作 | 夏緑『海賊船ガルフストリーム』 | 旧PNなつみどり。MF文庫J等にて執筆中 |
特別賞 | 川口大介『そんな血を引く戦士たち』 | 04年の『拝啓、姉上さま』以降沈黙? |
最終選考 | 南房秀久『黄金の鹿の闘騎士』 | 『ハード・デイズ・ナイツ』等 |
第7回 | 1995 | 備考 |
佳作 | 櫻井牧『月王』 | 01年のエンターブレインA-NOVELSでの新作以来沈黙? |
佳作 | 対馬正治『異相界の凶獣』 | 01年のファミ通文庫での作品以来沈黙? |
第8回 | 1996 | 備考 |
準入選 | 昆飛雄『杖術師夢幻帳』 | 受賞作以降沈黙? |
準入選 | 水無月ばけら『友井町バスターズ』 | 何故かhtml関係でwebでは有名に。現在沈黙 |
特別賞 | 清水文化『正しい台風の起こし方』 | 現在はHJ文庫で新作発表中 |
佳作 | 篠原正『氷壁のシュプール』 | デビュー未確認 |
第9回 | 1997 | 備考 |
準入選 | 榊一郎『ドラゴンズ・ウィル』 | 恐ろしい執筆速度を持つ売れっ子。アニメ化 |
佳作 | 内藤渉『カレイドスコープの少女』 | 最近DM増刊にて復活 |
佳作 | 高橋夕樹『化け猫じゃらし』 | 01年の龍皇杯以降沈黙? |
最終選考 | あざの耕平『霧の都の吸血鬼』 | 旧PN字野耕平。現在売り出し中。アニメ化 |
最終選考 | 青田竜幸『歌え<ドミニオン>我がために』 | 04年の『グランダイバーズ』以降沈黙? |
第10回 | 1998 | 備考 |
準入選 | 星野亮『ザ・サード 蒼い瞳の刀使い』 | 『ザ・サード』シリーズがアニメ化 |
準入選 | 市川丈夫『宝珠、紅に染まるとき』 | D&D小説など発表中 |
特別賞 | 秋口ぎぐる『並列バイオ』 | グループSNEメンバーとしても作品発表中 |
ライトノベル系新人賞受賞者・デビュー作リストを参考にしました。
こうして見ると、結構生き残ってるような気もする。デビューすらしてない人を除けば、半分以上は何らかの形で作品を発表してはいるんだよな。
ちなみに、第11回以降はまだアニメ化作品なし。大賞出身じゃない人を補足するなら、庄司卓は92年、賀東センセは98年(その前に『蓬莱学園』で仕事はしてるけど)、築地俊彦は99年(『まぶらほ』に非ず)デビュー。だから、97-99年辺りは、榊一郎、あざの耕平、賀東招二、築地俊彦、星野亮などアニメ化作家の人たちが揃ってデビューした、富士見的には当たり年期間だったんじゃないかな、と思う。
あさっての方向。#6「夏の永遠」
- 弟がからだにいつ襲い掛かるのかとヒヤヒヤしながら見守ってました。嘘か真か分からないけど、中途半端に、断片的にどうなるか知ってる原作のアニメってのはアレですね。いつ切れてもおかしくない綱渡りを見てるようで、なんとも危なっかしいですね。
- からだの中の人こと藤村歩の安定感がすごい。今回は、幼女verと大人verとが交互に出てきて、最後に幼女の頃を思い出しながら手紙を書いてる大人ver、と3パターンのからだが出てきたわけですけど、ちゃんと演じ分けてるのがすげえなあ。
鬼ごっこ(1)/黒柾志西
無名の新人によるデビュー作。伝奇物。女の子の服の、布地の皺が半端なくいやらしい。こんな人が今まで無名だったなんて信じられない。ComicRIN辺りで描いてるエロ漫画家でも連れてきたんじゃなかろうか。
白々しい冗談はともかく、エロ漫画家ベンジャミンの別名義一般向け初単行本です。詳しくは後で記しますが、エロ漫画家の一般向け転向には、いつも不安と寂しさがつきまとうもの。でも、これは結構成功例なんじゃないかなーと。なんでかっつうと話は単純で、この人の場合脱がさなくてもエロいからだと思う。表情とか。着衣の皺とか。むしろ下手に脱がされるよりこっちのが。あとはショタっ子とか黒髪ロングのお姐さんとか白スク水とかが鍵。
それでも町は廻っている(1)(2)/石黒正数
帯に曰く、「本格商店街メイド純喫茶漫画」。「本格」は「商店街」を修飾するのであって、決して「メイド純喫茶」にはかからないところがミソ。
この漫画のメイド喫茶ってのが生まれる過程を想像すると、
19世紀イギリスに実在したメイド
↓
日本人のオタクが面白おかしくそれを脚色してゲームや漫画などに輸入
↓
それを現実に再現しちゃったメイド喫茶
↓
この漫画の間違ったメイド喫茶
と、実虚実虚みたいな感じで、段々何かがズレてく辺りが面白かった。
作中でメイド喫茶が舞台である意味ってのは既にあんまりなくて、2巻では全8話中3話しかメイド服を着てないのだけど。それでもあえてメイド喫茶であることの意味、というのを問うとしたら、本来非日常的な空間である筈のメイド喫茶が、人々の日常の拠点である商店街に回収されてる、ってのが興味深いとか、云々。
まあ、そんなこじつけしなくとも面白い漫画です。面白いんだけど、どうやって人に薦めればいいのか、ちょっと悩む漫画でもあるなあ。多分、ミステリー風味に、スラップスティックコメディ風味に、ラブコメ風味に、ちょっといい話と、なんでも書けちゃう人だから、逆に薦めどころに困るのだとは思う。スラップスティックコメディが基調ではあるんだろうけど。個人的には、主人公歩鳥の幼なじみ・真田君が絡んでくるラブコメ話が好きです。
あと、パンチラ(というかモロ?)が結構頻繁にあるんですが、サービスシーンとかじゃなくて、「だってこんな動きしてて見えなきゃおかしいじゃん」とばかりにあっけらかんと見せてるので、あんまり色気とかはなし。でも、サービスシーンではちゃんとエロい線を描くのがいいですね。
秋桜の空に/marron
ふとすずねえに会いたくなったので起動。うーん世界が優しい。甘やかされADV(正確にはこれの次だけど)とはよく言ったもので。序盤から女の子の好感度MAXってのはそう珍しくもないけど、それが全然関係ない女生徒まで及んでるとなるとそうないんじゃないでしょうか。それでいて嫌味を感じないのもいいなあ。
つーか、ドラマCDのすずねえのCV桑島法子は今にして思えばベストチョイスだったなあ。考えてみればユリカも年上ヒロインだし。あ、智代もそうだ。姉さん女房ってのがハマリ役なのかもしれない。またこういうのやりませんかね桑島さん。
秋桜の空に 奈々坂の門/竹井10日/ケイエスエスノベルズ/秋
原作者によるノベライズ。ゲームのすずねえEDから3年後の後日談。本文イラストは何故か依澄れい。この人の18禁仕事って初めて見た。
原作者執筆だけあって、ゲームの雰囲気は十二分に出てると思うけど、小ネタギャグの連続で成り立ってるような話なので、どうせならゲームとして遊びたかったなあ、というのが本音といえば本音。というか、これは『小説』ではないような気がする。
ドラキュラ紀元/キム・ニューマン 梶元靖子訳/創元推理文庫
もし、あのドラキュラ伯爵との戦いにヴァン・ヘルシングが敗れていたら。あまつさえ、ドラキュラがヴィクトリア女王と婚約、大英帝国を支配し、ロンドンが、吸血鬼が大手を振って闊歩する魔都と化していたら。「吸血鬼ドラキュラ」のありえない未来を描いたIFのお話。
凄い。こりゃ凄い。世界的に有名な小説のIFってだけでも大変なのに、シャーロック・ホームズ(の兄)、モリアーティ教授、切り裂きジャック、ジキル博士、Dr.モロー、はてはブラム・ストーカーの家族まで、歴史上実在するしないに関わらず古今東西の有名なキャラクターがまさに虚実入り乱れて登場するんだから、もうやりたい放題。出てくる人名は実に300人、巻末の人名リストは50ページに及びます。訳者あとがきで、本編の翻訳よりもそちらを調べる方に時間がかかってしまったと白状する有様。でも、本書の凄いところって、子どもかオタクが妄想したような筋でありながら、ちゃんとお話として成立してるところではないなでしょうか。私自身、今年初頭にブラム・ストーカーの原典を読んだばっかりで、吸血鬼物に詳しくないのだけど、十二分に面白い。多分、造詣が深ければもっと楽しめたんでしょうけど、そういう元ネタに当たりたいと思わせるのって、まず本編が面白くないといけないと思うのですよ。その点、これはすごい面白かった。ストーカーの原典に比べると、アクションありのお色気ありので、まさに血湧き肉踊るという感じでした。
つーか、あれですよね。この人のオタク気質には、海外にもこういう人がいるんだなあ、と勝手な共感を覚えずにはいられません。見かけは16歳の美少女だけど実年齢は470歳のロリババア吸血鬼とか、どんなジャパニーズオタクの発想だよ。という視野の狭い考えこそがまさによくないオタクの発想なんだろうけど、イギリス王室の扱いとか、宗教観とか、なんとなくこういう無節操な話ってそういうものに対してニュートラルな日本人にしか書けないと思い込んでました。
まあ、なんにしてもロリ吸血鬼のジュヌヴィエーヴたん素晴らしい。作者の人のただならぬ愛を感じます。
ああ、GONZOの「巌窟王」スタッフ辺りがアニメ化しないかなあこれ。
とりあえず、その内読んどきたい吸血鬼関連
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- 作者: 広岡未森
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シャーロック・ホームズ対ドラキュラ―あるいは血まみれ伯爵の冒険 (河出文庫)
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つうかそのオタク気質に勝手に共感を覚えてはいたものの、一番上、ニューマンが別名義で出した、ジュヌヴィエーヴ主人公の小説が、安田均の手で翻訳されてたとは。TRPG畑の人間じゃないし、著作も読んだことないので、微妙と言えば微妙な距離の人なんですけど、それでも、なんか納得してしまった。