ダブルブリッド 終わる誰かの夢現/中村恵里加

ダブルブリッド depth break

ダブルブリッド depth break


2008年に完結した血みどろ妖怪(この作品では「アヤカシ」)バトル小説の外伝短編。海を漂うだけの存在になってしまった優樹は、仲間たちと過ごした在りし日のことを思い出していた。麻雀をする時にはカレーを食べなければいけない。そんな掟のため、材料を買いに外出した先で見知らぬアヤカシと出くわした、あの日のことを……・。イメージアルバム「ダブルブリッド depth break」に同梱。


シームルグ、虎、火蜥蜴、やまのかみ、酒呑童子。妖怪仲間がカレーを作って食う、ということに大部分を費やしてる話をここまで読ませる恵里加ちゃんはやっぱりすごい。バトルものは守られるべき日常を描くことを忘れちゃいけない、みたいな主張を以前から見かけることがあって、それは決して多数の作品に適用できる理屈だとは思わないけれど、少なくともこの作品には当てはまるかもなあ、とは思った。まあ、この作品における「日常」ってのは普通人じゃなくて妖怪たちのそれだけど。ギリギリのラインで人間社会に適応してる妖怪たちの日常を追うのがとても楽しい。ある意味「サンレッド」とかに似てるかもね。いや「鬼太郎」でも当てはまる部分はあるか。ここまで行くとバトル要素排除した(人外による)日常物書いてください、とか要望したくなるけど、「ソウル・アンダーテイカー」とか「ぐらシャチ」とか読む限り本人的にはそれをメインに据える気はないのかなー。