文章読本(谷崎潤一郎)
- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/02/18
- メディア: 文庫
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小説における文章の作法や類型なんかを述べた、今で言うハウツー本。同名の本は複数あるが、僕としてはこれを薦める。理由を以下に挙げよう。
まず、戦前に書かれた古典的著作にも関わらず、多くの点で今でも通用するところがある。これはすごいことだと思う。文章を書く上での心構えなんかは特に参考になる。相当によく考えて作ってあるのだろう。
そして、それを書いたのが谷崎だということも見逃せない。「刺青」などを読むと、ドMで足フェチの変態なのではないか?と邪推してしまうが、この際それはどうでもいい。
例えば、「頭がよくなる〜」とか「賢い人の〜」とか銘打った新書を見かけると、「じゃあ、そんな本を書いた著者の頭のよさは誰が保証してくれるの?」とかいつも思ってしまう。その点、これは説得力がある。だって著者自身小説家として成功しているから。
まぁ、なんだかんだで、かなり薄い本だし、図書館にあるだろうし、小説を書いている人・書いてみたい人なら一読してみては?ってことなのだ。たぶん、一度読んでしまうと、自分の文章の「主語の多さ」とか「文末の表現」とかが気になってしまうことだろうて。
(カンパニール)