■さて理解力をつけるには?


・理解:認識・行動の可能性を拡大するような記憶をすること


例:技能は理解(「体でおぼえる」)
古典的条件づけは理解ではない(ベルが鳴ると唾液が出るというのは記憶の
一種だが、だからといって行動がそれで広がりはしない)
好き嫌いの形成も理解ではない。
丸暗記やエピソード記憶は、理解とは言えない(言いにくい)。


例:道具の使い方を理解:手順の記憶
読書しそこで使われている論理を理解:規則の記憶


→いずれにしても、理解とはパタンの記憶。



・理解と思考は密接に関係している。
思考:心象を操作・加工して新しい心象をつくる、心の働き
理解力とは、心象の操作(思考)をつうじて、思考対象にみられるなんらかのパタンを見出す力。


さて、正しい理解のためには、思考対象に含まれる情報を失わないように把握。
そのためにはパタン「「抽出」」と「「観察」」をくりかえす。
また、どういったタイプのパタンを習得し、それによりどういった行動の可能性が広がるか、
を把握しておくことが必要。「「用途はあく」」
そして、得られたパタンが、(他の情報源から得られる情報との兼ね合いなど)
より広いコンテキストのなかで正当性をもつかどうかのチェックも必要。「「検討」」


つまり、理解は、
|用途はあく
|観察
|抽出
|検討
という流れをたどる。


たとえば、読書においては、


「「用途はあく」」: 何の本か、それぞれの節は何をテーマにしているか


「「観察」」: 文を読み、テーマに関するパタンを把握
(※たとえば、健康法の本なら、それぞれのエクササイズと効用との間の関係、などの
ことをここでは「パタン」と読んでいる。
理解とは、行動の可能性を広げるパタンの記憶のことだったが、この例では、
エクササイズと効用の関係を正確に知ればより柔軟な健康管理が可能になることをさす)


「「抽出」」: 不明瞭または複数解釈可能な部分について見当をつけておき、
本の他のページや本全体の用途を参考に、より精密な理解(パタン抽出)をめざす。


「「検討」」: 他の本との関係や、自分の生活との関係などを念頭に、より広いコンテキストで
の意味合いを検討する。