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インターネット崩壊論者の過去の日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-07-24 インターネット再考

7/15の日記の続き

正直になろうよ 正直になろうよを含むブックマーク 正直になろうよのブックマークコメント

JANOG20で印象的だったのは、IPv4枯渇問題に真摯に取り組んでいる前村さんに向かって「嘘をついてはいけない」と淡々と語ったRandy Bushさん。(前村さんはスケープゴートにされただけですね)

前村さんが紹介していたものをリバイスしたものだろうが、Randyさん自身がNANOG MLで”IPv6 Transition & Operational Reality”を紹介していたので、入手し読んでみた。正しい! こういう正直な分析と姿勢が大切なんだと思う。

11/23追記: NANOG41(10/16)でのRandy Bushのプレゼン(スライド,ビデオあり):http://www.nanog.org/mtg-0710/bush.html

せっかく良い問題提起があったのに、前村さんのセッションはあまりに短かすぎた。どこかでRandyさんも交えて続きをお願いしたいなぁとつぶやいてみる。

私はIPv6否定論者ではない。ただ、ぼろぼろのIPv4に寄生しながら、徐々にとって変わろうというのは無理だし欺瞞でしかない。嘘や、無理や、過剰宣伝はやめて、これまでのインターネットのあり方をリフレクション(反省)し、真摯にインターネットとはなんであるかを人々に説き、人々がインターネットの哲学を共有できたとき、IPv6の出番もあるんじゃないかな。それまでは、哲学を共有できる人たちの輪をひっそり広げていけばいい。IPv4インターネットがそうであったように。決してIPv4に強引に乗りかかってはいけない。いっしょに沈んでしまうでしょ。

追記:それとも、哲学や真実なんてどうでもいいからビジネスしたい、ってのが正直な気持ちなのかなぁ、、、(早晩マーケットがつぶれても?)

アーキテクチャ再考へ続く...

アーキテクチャ再考 アーキテクチャ再考を含むブックマーク アーキテクチャ再考のブックマークコメント

正直になろうよに続く)

そして、インターネットをリフレクションするといえば、河野さんプロデュースのパネル。インターネットの再定義に果敢に望もうとした素晴らしいパネルだったと思う(河野さんのブログ参照)。だが、革新的なアーキテクチャの差し替えは必要だろうか。いや、可能だろうか。インターネットは奇跡だったと思う。インターネットの思想を皆が共有し、そのミーム(思想)が大きく膨らんできた。しかし気がついた時には、ミームはどこかへ行ってしまい、その抜け殻だけが水死体のように膨らんでしまっていた。

インターネットのミームは悪いミームだったのか。いや、インターネットをこれまで推進してきた人たちは、途中から思想よりも技術を広めることだけにやっきになってしまったのである。地域でインターネットの啓蒙に取り組んできた私自身、これは大いに反省するしかない。インターネットのミームは良いミームであると今でも思う。イリイチが説いたConvivialityの思想は素晴らしい。それを具現化するtoolとしてインターネットは広がってきた。思想の誤りでも、技術、アーキテクチャの誤りでもない。誤りなのはあるときから、思想抜きに技術だけをばらまいてしまったことにある。

今必要なのは新しいRFCを書くことでも無く、コードを書くことでも無い。人々にインターネットとはなんであったのかをあらためて語ってまわり、また人々と共に再考してみることである。

End-to-End原則は正しい。問題はどこにEndを置くかという問題に帰着できるのではないだろうか。End-to-End, Stupid Networkの大前提は、EndがIntelligentであることである。しかし、これまでISPたちはStupid/土管に徹し、インターネットが何であるかの説明もしないまま、インターネットというコミュニティへの参加責任を顧客にすべて押し付けてきた。いまやるべきはアーキテクチャ再考以前に、Endの再考である。

例えば賛否両論の中、広がりつつあるOP25BはEnd-to-Endの崩壊ではない。EndをISPに引き上げたにすぎない。これは従来、企業や大学では当たり前にやってきたことである。ISPが一部責任を引き受けたという意味では画期的なことであり、むしろ遅きに失したといってもいい。一方で責任をもってEndであらんとする人々にはStupidなネットワークへの接続を提供することがインターネットの一員であるISPの使命であろう。これは矛盾することではないが、なぜかOP25Bの議論ではこれがまぜこぜにされてしまっている感がある。

また何かと法律を盾にする向きもあるが、これは甘えである。法律なんて変えればいいだけ。大切なのは思想と人々の幸せであって、技術や法律ではない。

大体、いつからインターネットは通信事業あるいはインフラになったのだろう。壮大なる実験ネットワークじゃなかったのかなぁ。誰か実験やめましたって宣言した?

MiyaMiya 2007/07/25 05:50 tssさま、ありがとうございます。最近の思考方法と気づきへの過程は先生に大きく影響を受けています。まだまだ程遠いですけれど。
インターネットがインフラ、というのは共同幻想ですね。しかし、なぜか、「何でも取り込む」という勢い、というか方向性が生来の性質としてbuilt-inされているため、結果的にどんどんインフラ的役割を負うことになっている(好む好まない、意図する意図しないにかかわらず)ような気がします。

memecomputingmemecomputing 2007/07/25 07:28 恐縮です。
> ...しかし、なぜか、...
それがミームのミームたるところです。文化の進化の性質です。
ただそれを暴走させず、なんとかうまくコントロールする叡智を必要とする時代が来ていると思っています。

maemmaem 2007/07/25 10:50 ご紹介とトラバありがとうございます。
別にRandyも僕を嘘つきのカドで追求した、ということではないと思いますよ。
Randyの言い方は、真っ正直ですね。よーくよーく彼の書きものを読んで、あるべき姿を探りたいと思っています。彼は今年中に日本に引っ越してくる(何年いるかは知らない)ので、とっぷり話す時間ができますからね。

itojunitojun 2007/07/25 14:12 (ためいき)
じゃあtssさんはどういう貢献をしてくれているのかな。教えて下さいよ。

memecomputingmemecomputing 2007/07/25 16:22 貢献せぬ者、物申すべからずってとこですか。
まあ、貢献って、公言するもんじゃないでしょ。;-)

thehajimethehajime 2007/07/25 20:15 僕自身 tss さんのお話は数箇所で見てきましたが,今回のこの blog でやっとどういう事なのかがわかったきがします.

>End-to-End原則は正しい。

ここですかね.tssさんは,ずっと正しくない,と思ってらっしゃるのかと僕自身思ってました.

今の IETF のプロセスについて,良くない,反省すべしと言うことを(も)おっしゃっているのではないか?と思いますが,あってますか?
「Rough Consensus」の方です.

memecomputingmemecomputing 2007/07/25 20:45 ありがとうございます。おっしゃるとおりです。

memecomputingmemecomputing 2007/07/25 20:47 あれ、loginしてないと、こうなるんですね。

memecomputingmemecomputing 2007/07/25 20:54 インターネットの哲学はこちらにまとめてあります。
http://www.e-ontap.com/internet/philosophy/

micknmickn 2007/07/25 22:36 「貢献せぬ物、物申すべからず」とおっしゃるということは、「貢献」をコードを書くこと、という狭いとらえかたをしているようにも見えます。もちろん、貢献といった場合には、「コード」以外にも「道徳」だの「経済」「法律」といった他の面もありますよね。

「今必要なのは新しいRFCを書くことでも無く、コードを書くことでも無い」ということにしても、普段のJANOG等の発言をお聞きするにしても「tssさんと同様の問題意識を持ってコードを書いたり RFC をまとめたり制度設計したりする人」の行動まで不必要におとしめてしまって、やる気を削いでしまう、あるいは、そのような議論に加わることに興味を持ちそうな人が遠ざかってしまう空気を醸成し、かえって、tssさんが問題とするような実装や行動の蔓延を加速してしまわないでしょうか?

memecomputingmemecomputing 2007/07/26 06:58 誤解ですよ。RFCやコードを書くことだけが貢献だと思っている人への皮肉に決まってるじゃないですか。

memecomputingmemecomputing 2007/07/26 07:22 RFC(その前にI-D)を書いたりコードを書くことは大切なことです。しかしそれを正しく運用することも同様に大切なことであり、そこでどちらが大切かなんて議論は本来ありえないはずなのです。ところが今日の悲惨な状況をみるかぎり、どちらに大きな問題があるかは明白でしょう。どんな良いコードがあっても、それを心のない使い方がされたのではたまったものではありません。巷の技術者にはすべからくインターネットの哲学を自分が具現するのだという自負と誇りをもって欲しいですね。それが持てないのは技術者のせいばかりとはいえないでしょう。むしろ社会的な認知の問題が大きいと思います。

a39a39 2007/07/26 17:00 字面上での意思の疎通は難しいもの.
また,人間であるが故に多少なりとも揺れていたり確定しきっていない部分があってもおかしくはないもの.
それはさておき...
RDC/I-Dを書くこと,普及啓蒙のための記事を書くこと,調査し客観的主観で考察し提言すること,それらは常に一貫性を持って実施しなければ効果が薄い部分もあるかもしれませんが,必ずしもそうではないと思います.
ただ,その心を理解する努力と理解の(ある程度の,完全は無理でしょ?)共有は必要かなと思います.
誤解を招く表現であれば,別途修正すればすむこと.
文字だけでのコミュニケーションは難しい(表現力の問題だけでなくて,文字でのコミュニケーションだと人格が変わる人もいる...)わけですから,意見交換を進めて,適宜「主張のsnapshot」化すればいいんじゃないかなぁ.

memecomputingmemecomputing 2007/07/27 14:52 私は一貫しているつもりです。おかしいことを気づいてもらうための逆説が誤解されたり、舌足らずだったりするのは私の不徳の致すところです。mOm

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