映画を見る前に

川端康成『女であること』新潮文庫、1961年4月(ISBN:4101001162)
川端康成『古都』新潮文庫、1968年8月(ISBN:4101001219)
石坂洋次郎青い山脈新潮文庫、1952年11月(ISBN:4101003041)
この前、『日本人の目玉』(ISBN:4480089217)の川端康成論を読んで、また川端を読みたくなってしまった。思えば、戦後の作品はあまり読んでいないのだ。それに、今週末から、私がよく行く映画館で文芸映画の特集がはじまる。これらの作品も上映されるのだ。そういうわけで、映画を見る前に(あるいは見た後に)原作の小説も読んでみようと思っている。『青い山脈』は戦後のベストセラー小説として有名なので、この機会にしっかり映画と小説を味わっておきたい。

吉本隆明『ハイ・イメージ論Ⅰ』

吉本隆明『ハイ・イメージ論Ⅰ』ちくま学芸文庫、2003年10月
これは難しかった。その原因は、私が吉本隆明の著書に慣れていないからかもしれない。もっと吉本の本を読めば、読みやすくなるのだろうか。
吉本隆明が言う「イメージ」やら「像」というものが、何を言い表しているのかが、一回読んだだけではわからない。しかし、これが理解できないと本書に収められている各論の主張が理解できない。
論の対象がまた幅広い。情報技術からファッション論、都市論、民俗学、そして日本文学論。これだけバラエティに富んでいると、ついて行くのが難しい。私は、かろうじて文学論だけ、なんとか食らいつくことが出来た。その文学論では、「形態論」が興味深い。はじめに柳田國男をとりあげて、「形態」を認識することを論じていく。その後、一転して、漱石や花袋を「形態」の認識の観点から分析し、次に女性作家を論じている。論の流れ自体は、脈絡もなく続いている感じがしたが、女性作家を論じているところが一番面白い。

ハイ・イメージ論〈1〉 (ちくま学芸文庫)

ハイ・イメージ論〈1〉 (ちくま学芸文庫)